東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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人の心は排水口に捨てたのか

仮面ライダードライブ』感想・第27-28話

◆第27話「詩島剛が戦う理由はなにか」◆ (監督:石田秀範 脚本:長谷川圭一
 本格的な後半戦スタートという事で、仮面ライダーチェイサーの追加など、OPがあちこちマイナーチェンジ。
 特状課は捜査一課との合同捜査会議に臨み、仁良課長との対比で本願寺課長が片岡鶴太郎から離れてくれたのはプラスですが、仁良課長的な憎まれ役キャラはシンプルにストレスなので、トータルの不快指数は特に変わらないのが辛い。
 そうでなくても、上層部の悪意が現場を苦難に陥れる作劇は、苦難の成り行きそのものが面白くなくなる危険を孕みがちですが、果たして上手くバランスを取っていけるのかどうか。
 捜査会議に「ノウミ」を名乗るブレンがアドバイザーとして現れ、父親の死について挑発された進ノ介は尋問はもう拷問に変わってるんだぜを実行したところ、人間を装うブレンの罠にはまり、見事に謹慎処分。
 ……《レスキューポリス》の時代から繰り返し書いておりますが、付けようレコーダー! 頑張ろう取り調べ可視化!
 「剛、なんでそんなにロイミュードを憎む?」
 「前にも言ったろ。ロイミュードは悪だ。奴らは人の幸せを奪う。だから、俺が倒す」
 こっそり捜査活動をする進ノ介は別口で依頼を受けた剛と接触するが、新興住宅地を狙って、融合進化ロイミュードの適合者を探す魔法使いロイミュードが姿を現し、デザインがなかなか格好いい。
 「ふざけるなロイミュード……なんでおまえらはそんなにも醜いんだ! ――レッツ……変身!」
 ようやく、ロイミュードとは何か? を掘り下げてくれそうな気配が漂い始め、剛の声を震わせて激高する芝居は、普段の陽気さとのギャップも利いて、いい感じ。
 マッハの危機を、新開発のトライドロン用飛行ユニット・ライドブースターが救うが、刑事として進ノ介は変身不能のその時、霧子の頼みを聞いたチェイスが現着。
 「霧子から事情は聞いた。ここは――俺に任せろ」
 無表情のまま銃で相手を牽制しながらの変身は格好良く、雑魚ミュード2体を斧で葬り去るチェイサーだが、イライラの募るマッハは、なんとチェイサーを攻撃。
 「全て計画通りだ」
 マジミュードはほくそ笑みながら姿を消し、マッハの攻撃を一方的に受けるチェイサーは、自ら変身解除。
 「それはいったいなんの真似だ! ふざけんなぁぁ!!」
 怒りのままにチェイスに武器を叩き込もうとするマッハだが、進ノ介が割って入って、からくも空振り。
 「なんでだよ進兄さん! ……なんで邪魔すんだよ!!」
 先日立ち直ったと思ったら、あっという間に再びどん底にまで突き落とされて、最近の剛は、なんだか不幸枠。
 「剛……ロイミュードを憎む気持ちは、俺にも理解できる。でも、なんでそんなに焦る?」
 「父親だから」
 「……え」
 「……ロイミュードを生み出したのは……俺の父親なんだよ」
 衝撃の告白に、愕然とする進ノ介で、つづく。

◆第28話「なぜ家族は狙われたのか」◆ (監督:石田秀範 脚本:長谷川圭一
 「姉チャン」からの着信には、写真が表示されます!!
 ……まあ、「進兄さん」からの着信にも写真が表示されたらそれはそれで反応に困ったので、無くて良かった、写真!!
 「剛の父親が……ロイミュードの開発者?」
 だいぶ以前にベルトさんが口にした「バンノ」の名前が登場し、ロイミュードの開発、そして暴走による人類への反乱、グローバルフリーズ以降に生まれ続ける悲劇について、父の犯した罪として責任を重い責任を感じる剛は、霧子をそれに巻き込まない為に、追跡・撲滅・いずれもマッハ、であろうとしていたのだった。
 「俺は……ロイミュードが憎い。奴らを一匹残らず倒す」
 進ノ介の父親問題が謎めく中、剛の父親が超重要人物であった事が明らかになり……つまりチェイスは、チェイ兄さんなのか。
 「剛は知っていたのか、父親の事を」
 ……えー…………
 ・剛は父親がロイミュードの開発者だと知っている。
 ・ベルトさんは剛がその事実を知らないと思っていた。
 ・霧子は父親がロイミュードの開発者だと知らない。
 ・なお剛はベルトの適合者としてロイミュードとして戦っている。
 状況が、どうやって生まれたのかについての説明が一切無いので、大変困惑。
 剛と父親の苗字が違うので、幼少期に死別やら離婚やらがあって、長じて実の父親がロイミュード開発者だと知った……などの推察はできますが、時系列の確認も含めて、さすがにもう少し、補足説明が必要だったのでは(「バンノ」なる名前が出てきたのも、約1クールぶりですし)。
 そして、剛が父親にまつわる事実を知らないと思っていたが、その息子をロイミュードと戦う仮面ライダーに仕立て上げていたベルト、そこのベルト。今の今まで、剛の憎しみや焦りの理由について全く見当ついてなかったと称するベルト。
 自分で言っていて、おかしいと思わないのか、ベルト。
 進ノ介はそろそろ、真剣にベルトを取調室へ連れて行くべきだと思います。
 事件の裏に見え隠れする001の狙いは剛ではないか、と気付いた進ノ介は、チェイスの助けを借りた茶番劇で、謹慎処分の解除に成功。
 「剛がピンチだ。もうひとっ走り付き合えよ」
 「剛をお願い! たった一人の……家族なの」
 「家族? …………いいだろう」
 率直に、チェイスの顔は好きです。
 ドライブとチェイスは、両サイドにライドブースターを接続した飛行トライドロンで空から重加速粒子反応を探るも、ブレンの放ったコウモリカー部隊の妨害を受け、しばらく空中戦。
 飛行トライドロンについては、スーパーマシンがとうとう空へ! よりも、色々台無しなのでは……? 感があって、個人的にはあまり盛り上がれず(笑)
 これも、進ノ介が提案するとか、晴れて情報を共有した追田や西城の思いつきに、りんなが乗っかるとか流ればあればまた印象が違ったかもですが、毎度の事ながら今作のパワーアップ要素は、ベルトさんやりんなが知らない所で開発していて一方的に飛び出してくるだけなのが、どうも盛り上がれません。
 以前に書いたように、そこは「チームとしての分業」意識なのだとは思いますが、正直上手く描けていないな、と。
 一方、剛の依頼者こそがマジミュードの融合体であり、剛はその能力によりネガティブな感情を増幅されていた事が発覚。
 「よくも俺の 穢れなき姉好き属性 家族の記憶を……」
 怒りのままに変身したマッハはマジミュードを滅多打ちにすると、そのまま勢いよく抹殺しようとしたところをチェイサーに止められ……ライダーの技は全部、融合した人間を分離できるように改良したのではなかったの……? ドライブだけ……? と困惑している内に、マッハの矛先をはチェイスに向かうが、今度はドライブがそれを阻止。
 「剛は……俺が守る!」
 ドライブFのアラレちゃんアタックで融合は解除され、融合進化体のアイデアはともかくとして、その解決手段が雑かつルールが不明瞭なので、焦点を当てててもサスペンスが成立しないし、人物の葛藤がすっ飛ばされているので一線を越えようとする行為への緊迫感が出ない、と総じて、何もないところで棒を振り回している感。
 「おまえは……誰なんだ?」
 「子供よ……怪物の。おまえら仮面ライダーに敗北した、惨めな怪物の」
 フォーミュラ砲を受けてナンバー050は消し飛び、剛を罠にかけた女は、かつて進ノ介が逮捕した犯罪心理学者の娘だそうですが、ジャッジ回でも書いたように、どうも長谷川脚本回が『ドライブ』全体のトーンから浮いているというか、物語の幅を広げているというよりは、違う店の料理を並べているような印象。
 石田監督がまた、女の狂気や悪意をどぎつく表現してくるのですが、今作全体として「人間の悪意」をどう位置づけたいのかが掴みにくく、ピースが綺麗にはまらないもどかしさが続きます。
 犯罪者の娘に自分を重ね、トボトボと歩み去る剛に、001が差し向けたブレンが接触して、つづく。
 どうも今回に関してはブルーレイ特典ドラマとの関連づけがあったようですが、どうにもこうにも『ドライブ』全体として情報の出し入れと整理の仕方に難があって物語に没入しきれず……例えば、
 〔死んだ進ノ介の父は刑事だった(A) → さりげなくも印象的な父子の過去(B) → 父の殉職について突かれて冷静さを欠く進ノ介(C)〕
 の順番で情報が出てくれば、要素Bによる「進ノ介は父親を敬愛していたんだな……(例)」といった想像や把握がステップとなって、要素Cについての納得度が増すし、要素Bの奥行きも広がるのですが、実際には、
 〔死んだ進ノ介の父は刑事だった(A) → 父の殉職について突かれて冷静さを欠く進ノ介(C) → それだけ死んだ父は進ノ介にとって大きな存在だった!(D)〕
 と、味付けのない生肉のまま要素Dを飲み込ませようとしてくるので喉に詰まってしまい、塩胡椒振ろうよ! と思うわけであります。
 勿論、いきなり生肉を食べさせる方法が効果的な場合もあるのですが、なにしろ半年間1ミリも無かった要素でありますし、「進ノ介が怒っているからそうなのね」ではなく、「そりゃあ進ノ介も怒るよね」と見せて欲しかったな、と。
 一応、死別シーンは描かれていますが、いきなり「大いなる責任」とかあからさまな『スパイダーマン』ワード出てくるので、さりげなくもなんともないですし……。
 あと進ノ介がエピソード単位においては情報AとBとCを繋げて「トップギアだぜ!」をやるのに、いざ物語の核心に関わる要素に触れると、「Aなんだ、ふーん」で思考停止してしまい、「AとBを繋げる」どころか「Aという事はCなのでは?」さえも考えず、ストーリー上の情報解禁日まで考えるのを止めてしまうのは、今作の根の深い悪癖にして、非常に残念な作劇。
 次回――魔進マッハー、誕生?!