東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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後半戦加速開始?!

地球戦隊ファイブマン』感想・第31-32話

◆第31話「あぶない母」◆ (監督:東條昭平 脚本:曽田博久)
 狸の像だらけの寺で宇宙人に襲われる母・みどりの悪夢を見たレミは、夢に見た通りの光景に出くわして母と思われる女性を助けるが、その前に現れる道着姿の宇宙人たち。
 「おまえも、カンフーを使うらしいが大人しくその女を渡さぬと命はないぞ」
 かくして宇宙カンフー対決が始まり、大暴れするレミだがトラバサミの罠で宙吊りにされてしまい、そこに現れたのはドルドラとザザと、合身銀河闘士タヌキツネギン!
 母みどりに銀河カンフー軍団、更には現場に現れたドルドラ、ザザ、銀河闘士そのものまでもがタヌキツネの作り出した幻術であり、タヌキとキツネが真っ二つ、な名前からデザインから何もかもストレートすぎるのが“面白い”の領域に入っていて、戦隊の突破口の一つは怪人の面白さだな、と改めて。
 兄妹が助けに駆け付けて幻影ドルドラらは一時撤退するが、幻影みどりがそこに姿を見せ、感動のあまり20年の時の流れを忘却しすぎではあるのですが、別れた当時の年齢の違いなどから、母から名前を呼ばれるのと距離の詰め方にそれぞれ差があるのが、丁寧な演出。
 再会の喜びに声を震わせるも弟妹の気持ちを慮り、数美と健が駆け寄るのを見守る長兄の学(二人の姿に、一歩踏み出すもそこで止まるのが素晴らしい)、そして記憶に残らぬ母の姿に、最後まで距離を取って無言で佇んでいる末弟の文矢の芝居が凄く良くて沁みます。
 「……文矢……文矢なのね? ……文矢……あの、赤ちゃんだった?」
 「…………母さぁん!!」
 文矢は感極まって母に抱きつき……丁寧な描写であればあるこそ、これは全て銀河闘士の作り出した幻影です、とこの時点で仕掛けが割れているのが、えっぐい……!!
 「おのれ……麗しい光景もそこまでだ!!」
 再登場した幻影ドルドラもノリノリで煽り立て、予告時点でこの母は偽物だろうと思わせ、早めの種明かしをしながらも、感動の再会を情感たっぷりに描く事で、茶番ではなく悲劇に仕立て上げるスタッフが邪悪だ!
 「母さんには指一本触れさせんぞ!」
 「行くぞ!」
 「「「「「ファイブマン!!」」」」」
 テンションマックスでカンフー軍団を蹴散らした5人のブラスター攻撃は幻影をすり抜け、慌てた幻影ドルドラらは幻影みどりをさらって撤収。
 「ドルドラ! 口先ばかりで、またもや失敗を見せつける気か!」
 皇帝陛下にお叱りを受けたドルドラは偽みどりを人質に使い、ブラスターの一件と20年の歳月を指摘する学だがレミは飛び出してしまい、合間に入る5くん人形のターンが、空気台無しで大変辛い。
 罠にはまったレミは再びカンフー大作戦となるも多勢に無勢で追い詰められるが、アーサーの放った妨害電波により幻影が消滅し、そのショックで気が狂ってしまう(としか思えない描写をされる)タヌキツネ。
 「……幻……母さんも幻……」
 ガックリと崩れ落ちるレミだが、アーサーが電波の発信源を特定し……さあ、オトシマエの時間だ。
 ドルドラ一行が邪魔に入ってレミが単独先行し、タヌキツネのアジトに乗り込むと、幻影の資料映像の中に、これまで見たことのない母の姿を発見。フィルムを回収すると兄妹揃ってタヌキツネとの戦いとなり、感情の流れとしてはレミ回である事よりも、5人でカチコミをかけた方が盛り上がったので、ドルドラの邪魔は余計だった気がして惜しい(作戦放棄後に、タヌキツネを守るように動くのも説得力が薄いですし)。
 怒りのイエローの猛攻から、SFボールを取り出し……あ、アースカノン?!
 前回編み出した必殺技は勢いの産物では無かったようで、タヌキツネに叩き込まれるエンドボール。ゴルリン26号が召喚されて巨大タヌキツネが誕生し、うどんもそばもパスタヌキ攻撃に苦しむファイブロボだったが、超次元ソードにより拘束を切り裂くと、久々な気がする「正義の剣を、受けてみよ!」でフィニッシュ。
 レミが回収したフィルムを再生した兄妹は、日時も場所も不明ながら、母みどりが銀帝軍に捕縛されている姿――少なくとも惑星シドンで死亡していなかった事実を発見し、新たな希望を得て、つづく。
 偽物騒動からレミのアクション祭でお茶を濁されるのかと思ったら、視聴者には虚構とわかった再会劇の描写でぐっと引き締まった秀逸回でした。

◆第32話「学、死す!」◆ (監督:長石多可男 脚本:井上敏樹
 ……どこかで見たようなサブタイトル。
 今日は学アニキの誕生日……だが、弟妹からのプレゼントを開こうとしたその時、5人を襲う、爆発!
 「Happy Birthday~ ファイブレッド~」
 「シュバリェ!」
 「俺からもプレゼントを贈ろう。受け取れ。ワニカエルギン!」
 凄く嫌な感じの、出てきた。
 さすがに頭部の形が違いすぎて真っ二つには出来なかった結果、ワニの頭部に割れたカエルの頭のような腫瘍が出来ている、といった風情のこれはこれでグロテスクな合身銀河闘士が登場し、お役御免かと思われたアースカノンを発射すると吹き飛ぶが、その能力により、なんと時間を巻き戻す!
 時間を自在に操るワニカエルの時間停止能力により一方的にシュバリェの攻撃を受けた赤は、全身を切り刻まれた末に崖から落下していき……学、死す!
 「安らかに眠れ、ファイブレッド」
 心停止と弟妹たちの慟哭、そしてファイブレッドを貫いたシュバリェの血まみれの剣が克明に描かれ、内部で更なる路線修正の指示があったのか、前回今回と、東條監督と長石監督が振り切れてきました!
 「……兄貴? 目を開けて? 兄貴ぃ!」
 「兄貴……兄貴が死ぬなんて……どうすりゃいいんだ? 俺たち一体どうすりゃいいんだよ?!」
 支柱を失った兄妹は激しく動揺し、遂に数美が、敗北を宣言。
 「戦いは終わったのよ。あたし達はゾーンに負けたのよ!」
 「な、なに言ってんだ姉さん! そんな事で兄貴が喜ぶとでも思ってるのか!」
 「……あたしは死にたくない。あなた達にも死んでほしくない。学兄さんが死んで、始めてあたしわかったの。あたしにとって一番大切なのは兄妹なの! 地球の平和なんてどうだっていい!」
 この時点でだいたい真意はわかりますが、学の死という強烈な揺さぶりを発火点として、これまで精々「単独行動しようとする」「それを止めようとする」ぐらいの違いだった兄妹のリアクションに大きな差を付けたのは新鮮になり、それを単純な絶望ではなく、別の優先事項を持ち出す形で表現したのも、鮮やか。
 「硫酸の雨で、地球全土を、覆い尽くせ~~」
 マグマベースを飛び出した数美は、地球全土に攻勢を仕掛けようとするシュバリェに頭を下げ、命乞い。
 「この美しい顔がやつれ果てるまでこき使ってやるのも、また一興」
 裏切り防止の爆弾首輪をセットされた数美は、そこに現れた健たちにゾーンの支配下でひっそりと生きよう、と提案するも拒絶されると、シュバリェに殴りかかる文矢を止め、平手打ち、そして裏拳。更に勢いのついた鋭い飛び上段蹴りを顔面に見舞う残虐ファイトから、健とレミの鳩尾に拳を叩き込み、星川家に代々伝わるスピンキックの直撃を受けた3人は、海へと落下。
 「愚かな。ファイブレッドを失い、兄妹の絆まで失ったか」
 ワニカエルの願いを聞き入れたシュバリェは数美を奴隷として与えるが、それをきっかけにワニカエルはすっかり増長し(この後の展開を見るに、数美が色々と吹き込んだ可能性大)、数美を侍らすと、どこかの誰かさんのような薔薇色の日々に耽溺。硫酸雨による地上壊滅作戦を放棄して美人奴隷付きニート生活を満喫すると、怒鳴り込んできたシュバリエに反抗し、自ら宇宙の帝王になると宣言する。
 「おまえはダイヤがなければ何も出来ない。……その事を忘れるな。一度だけチャンスをやろう。頭を冷やせ」
 ステッキの一撃を受け止められるシュバリェだが、すぐに冷静さを取り戻し、絶大な特殊能力と引き換えに燃費の悪いワニカエルの致命的弱点を指摘。余裕を見せて下がっていく事でキャラの格を保ち、ワニカエルへの忠誠を装う数美は、ダイヤを集めてくると称すると黒ずくめの姿で宝石店を襲撃!
 「もう……もうあんたなんか姉さんじゃない。ゾーンの手先、俺たちの敵だ」
 数美を止めようとするもバイクで蹴散らされた文矢らの前にはシュバリェが立ちふさがり、直接戦闘を解禁したシュバ様はステッキを剣、そして銃へと変え、今ならプレミアムバンダイから玩具が出そうです(笑)
 ダイヤ禁断症状に苦しむワニは宝石店に駆け込むが、ダイヤを根こそぎ強奪した筈の数美は、付近のダイヤモンドは全てシュバリェに持ち去られたと嘘を報告。
 「過去へ、過去へ戻りましょう、ご主人様」
 数美の裏切りは芝居な上で、そこからどうやって過去へ戻らせるのか、が肝心のポイントでしたが、“開かれなかったプレゼントの箱”が持ち出される、鮮やかな一撃!
 学の誕生日プレゼントは極上のダイヤだった、と吹き込んだ数美にそそのかされるままワニカエルは時間を巻き戻し……シュバリェの攻撃が無かった事になり、ゾーンの襲撃直後の時間で、甦る学。
 「大成功! 時間よ! 時間が過去に戻ったのよ!」
 兄妹は過去の時間で合流を果たし、必死のワニカエルが開いたプレゼントはまさかのびっくり箱(笑)
 「馬鹿者め! なぜ過去へ戻した!」
 「みんな! 本当の戦いはこれからよ!」
 復活したファイブマンはダイヤエネルギーの尽きたワニカエルに100倍返しの連続攻撃を叩き込み、Vソードアタック!
 ゴルリン27号が召喚されて誕生した巨大ワニカエルは、シールドと銃を駆使したスターファイブにあっさり撃破され、夕暮れの海をバックに開かれる仕切り直しの誕生会。
 「でも、凄かったな。数美の演技」
 「ね!」
 「でもほら、よく言うでしょ。敵を欺く為にはまず味方から、って。でも学兄さん、今度死んだら、もう絶対助けてあげないんだから」
 「ああ、約束する。俺は死なない。ゾーンを倒すまではね」
 妹からの軽い冗談に、真顔で返す男、星川学。
 新しく用意されたプレゼントは、びっくり箱どころか中に火薬が仕掛けられており、腰を抜かす学に弟妹は揃って大はしゃぎ。打ち上げられた落下傘にぶら下がっていたのは……の、呪いの人形?!
 ナレーション「数美の働きにより、学は甦った。ファイブマンは死をも乗り越え、地球の平和の為に戦うのだ」
 さらっと凄い内容でナレーションさんがまとめましたが、一切の誇張が無いのが、恐ろしい。
 井上脚本×身内バトルというと、『光戦隊マスクマン』第13話「アイドルを追え!」(監督:東條昭平)、『高速戦隊ターボレンジャー』第20話「暴魔族 はるな」(監督:東條昭平)に続き、4年で3回目となりましたが、尻上がりに出来が良くなったのは、お見事。
 「メンバーの一人が欠ける」「その救出の為に敵に接近する」「仲間と敵対関係になり本気バトル」の要点は『ターボ』第20話と同じ上で、過去へと戻る際のキーが冒頭にさりげなく配置されていたのが実に綺麗に決まり、またそれが“家族の象徴”になっている事で、『ファイブマン』としての完成度が高まるのが、会心
 ちなみに井上敏樹は、『超新星フラッシュマン』第38話「ジンが死ぬ日」(監督:長石多可男)でも、誕生日にレッドが酷い目に遭う話を書いており、「フラッシュ星、本当に酷い星だった……」。
 今回の被害者となった学アニキ、劇中で心停止が確認される戦隊ヒーロー、はシリーズ史の中でも割と珍しいと思われますが、更にそこから甦ったヒーロー、として歴史に名を刻む事になりました(もしかすると、クローバーキング以来か……?)。
 次回――またちょっと緩めの雰囲気ですが、予告の映像で、某不憫枠の人が宙を舞っているらしき姿があったのが、大変気になります(笑)