東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
旧ダイアリー保管用→ 〔ものかきの倉庫〕
特撮作品の感想は、順次こちらにHTML形式でまとめています→ 〔特撮感想まとめ部屋〕 (※移転しました)
HP→〔ものかきの荒野〕   Twitter→〔Twitter/gms02〕

ベルベルベルマジック

仮面ライダードライブ』感想・第19-20話

◆第19話「なにが刑事を裁くのか」◆ (監督:石田秀範 脚本:長谷川圭一
 死神バギーに生身突撃を仕掛けた剛はトライドロンが盾となってヤクザ映画のクライマックスを回避し、そこからの車対決は、今作らしいアクセントで良かったです。
 追田に問い詰められた橘は、5年前の真犯人を誘き出す為にジャッジとして復讐代行を行い始めたと説明し……えーと、この人は、人間という事でいいのか。
 「あなたをコピーしたロイミュードを、共犯者として操るには、よほど強い感情が必要です。例えば……怒りや……憎しみ。……復讐なんじゃないんですか? 殺された、岡島さんの」
 進ノ介の言葉でこちらは人間と確認され、一応、カメラマン回を踏まえているのですが、「ロイミュードに利用されている」ならともかく「共犯者として操る」にはだいぶ発想の飛躍があって、毎度、進ノ介らが話の都合に良い解釈を持ち出してくる為に、物語の芯となる「ルール」としての一貫性が弱いのが困ったところ。
 一方、雑な動画で剛をジャッジの身代わりに仕立てあげた真犯人は、橘の思惑通りにまんまと釣り出され、動き出す新たな復讐代行サイト。ジャッジの凶行を止める為に進ノ介は5年前に見つからなかった証拠品を捜そうと走り、だいぶ無茶ですが、それをシフトカー軍団が助けてくれるのは良かったところ。
 以下、これといった見所はなく、身勝手で醜悪な犯罪者・刑事としての一線を越えてでも真犯人を炙り出そうとする男の執念・冤罪による遺された家族の悲劇、と極めてシリアスなテーマを扱う一方で、追田とデコトラの絡みなど場当たり的にコミカルな表現を差し込んだ結果、キーフレーズにしたかったと思われる「デカ魂」が繰り返すほどにギャグめいてくるなど、物語の方向性と演出の方向性が噛み合わないまま、空中分解。
 見せ方次第でだいぶ印象の変わるエピソードだったと思うのですが、脚本は脚本で『ドライブ』らしさよりも書きたいものを放り込んできた感じだし、演出は演出でそれを『ドライブ』として如何に成立させるのかの工夫が薄く、双方好き勝手やって、しっちゃかめっちゃかになった印象。
 恐らく長谷川さんとしてはストーカー回から連続性をもって、普段ロイミュードを裁いている特状課が、人間の罪とどう向き合い、何を拠るべき正義とするのか、も主題にしたかったと思われるのですが、今作全体の傾向からは上滑りして大きなボタンの掛け違いが発生しており、今後も長谷川さんがやりたいテーマを突っ込んで、演出の方でソーダ割にする事が続くと、いずれ大事故が起きそうな。

◆第20話「西城究はいつからロイミュードだったのか」◆ (監督:金田治 脚本:三条陸
 風が強くて、みんなの髪が大変(特に剛とハート様)。
 前々回、本の出版で休みとか、いったい何……? と思っていた西城は、「本業はネットワーク研究家で知る人ぞ知るオタクのカリスマ」だそうで、そのサイン会にサプライズで向かった進ノ介一行は、重加速現象に遭遇。
 ビルの屋上でアイドルらしき女性を襲っていたロイミュード072は何故か仮面ライダーの登場に大喜びすると、ドライブにも派手な名乗りを要求し……進ノ介、戦う交通安全を違法DL(笑)
 『激走戦隊カーレンジャー』パロディは車繋がりでもありますが、役者さんの世代などもあったりしたのでしょうか。
 ライダーに対して敵意どころか喝采を送る072の態度に困惑するWライダーだが、そこに突如として、マントと武器で武装した二体のロイミュード死神部隊が乱入。逃げた072を追った霧子は西城の家に辿り着き、そこでは、二人の西城が、言い争っていた。
 「全部吐いて、早く楽になっちまえよ」
 確保された二人の西城は特状課によって取り調べを受け、仮面ライダーの情報を得ようと西城をコピーしたロイミュード072と、年明けからずっと同居状態だった事を白状。
 同居に至った事情については言葉を濁し……
 「あんま、アニメとか、見ないでしょ。……車マニアだし」
 以前も「車にしか興味ない」と言われていた進ノ介ですが、劇中で特に描写がなく(敢えて言ってもOP映像の洗車シーンぐらい)、こういう要素は台詞だけにしないでほしいところ。
 物語の要素としては、“人間と怪物の交流”に“趣味の違う人間同士の交流”(残念気味だが二枚目ではあり女っ気もあって趣味は車の進ノ介と、如何にもオタクでアニメ好きの西城)を重ねて現実にフィードバックする狙いが見られるのですが、その比較を鮮明にするのには、進ノ介サイドの積み重ねが不足してしまっています。
 「そっか……進ノ介くんが、仮面ライダードライブだったんだね。て事は、いよいよ僕も、最後だな」
 「それはまだ決められない」
 「……あいつはただの怪物なんかじゃない。変な奴なんだ」
 進ノ介は非道な策略によってロイミュード072の正体を暴き、西城をコピー後に殺害しようとした072が、西城の命乞いを聞いて一緒にアニメを見た結果、意気投合して共同生活を満喫していた事が明らかになる。
 そして進ノ介も、固いアニメの絆で意気投合していた。
 「間違って、いい奴になっちまうロイミュードだって、居るかもしれないだろ」
 「君は、072の事を、チェイスに重ねていたのか」
 本人からは凄い抗議が来そうですね……。
 「倒すかどうかは……あんたの話を聞いてから、決めようと思ったのさ」
 出来れば西城と共に人間社会でアニメにひたって暮らしたいと願う072だが、その胸を背後からケーブルが貫き、そこに居たのはメディックと死神部隊。
 「噂通り、とんだ不良品でしたわねぇ」
 072は爆死し、リセットしないの……? と思ったら、ハート様と選抜メンバー以外の余計なロイミュードはいらない、とメディックは新たな方針を宣言。
 わかり合えたかも知れないロイミュードの無惨な死に対し、長い無言から、
 「……行こう、進ノ介」
 「ああ」
 で顔を上げるのは、ヒーローとして久々に格好良かったです。
 「おめぇみたいなのを人間は死神じゃなく、悪魔って呼ぶんだ!」
 「なんですって」
 「どうにも気分が収まらねぇ! ……ひとっ走り付き合えよ!!」
 怒りのデッドヒートしたドライブはハンドル剣で死神部隊を軽々と蹴散らすとメディックに迫り、デッドヒートフレア。メディックは死神ミュード044と094を盾にして逃亡すると、怒りと屈辱に震えながらその真の姿を見せ……つづく。