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力こそパワー

地球戦隊ファイブマン』感想・第15-16話

◆第15話「レッドが二人!!」◆ (監督:東條昭平 脚本:曽田博久)
 「俺が咲かせたのさ」
 ガロア艦長はシドンの花を餌にして学を倒そうと誘い出し、「粋な演出だろう」……って、自分で言ってしまうのが、こう、ちょっと、なんというか……ビリオンと同じ匂いを感じます。
 それはそれとして、もはや用済み、と花を切り飛ばすのは格好良く、その光景に学は、20年前の惨劇と、学校の崩壊を重ねて思い出す。
 「一度ならず二度三度……」
 「ふふふふふふふ、ははははは!」
 「許さん!」
 飛び上がった学はファイブレッドへと変身し、パイロット版以来となるガロア艦長との激突という事もあって、ここは大変、格好いい流れ。
 「どうやら、腕を上げたな」
 「おまえを倒す為に!」
 「教えてやろう。――みんなそう言いながら死んでいったんだ!」
 艦長の立ち回りと台詞回しも、第2話で醜態を曝したのと同一人物とは思えない強敵感に溢れ、大技ガロアハリケーンの直撃を受けるレッド。ガロア艦長の更なる一撃は迫力満点の映像で車の屋根を吹き飛ばし、追い詰められる赤だが、飛び道具にガソリンが引火して大爆発を起こした事で、戦いは無効試合に終わる。
 「来るな!」
 赤を倒し損ねた艦長は洞窟で体育座りしており、そこを訪れる部下たち。
 「……医者を連れて参ったのです」
 「無駄だ。戦う男は、己の受けた傷など、見られたくないものだ」
 序盤からビリオンと艦長は他のメンバーよりも距離感が少し近いのですが(直々にスカウトされた凄腕剣士みたいな予定だったのかもですが……)、高まり通じ合う残念パワー!
 学は学で打倒ガロアの為に闇雲に剣を振るうと、鬼気迫る表情で車斬りに挑戦しては失敗を繰り返しており、弟妹4人が物陰から見つめるのも気付かずにひたすら訓練に打ち込むとシャツを脱ぎ捨て勢い余って半裸になり…………この人から「教師」成分を抜くと、本格的にヤバい人である事が視聴者の胸に突き刺さります。
 皇帝陛下は嫌がらせとして悪魔の銀河植物シドンデモンを作り出し、襲われる人々。
 「わかったぞ。メドー様の御意志が! 我に休む間も与えず、戦えとおおせられるか!」
 報告を受けたガロアはやおら立ち上がり……そう、艦長は、筋金入りのMなのです。
 学が狂気の特訓を続ける中、レッドに成り代わった健がガロアとの電流爆破シドンデスマッチに挑み、どうしても車斬りを達成できない学は、スーツのリミッターとか解除すれば、着用して3分経過すると木っ葉微塵に爆発する代わりに無尽蔵のパワーを得られたりするんじゃないか? とマグマベースに一時帰還。
 「パワーだ……ガロアに打ち勝つパワーを身につけるには、どうすればいいんだ?!」
 子供と関わらず「教師」成分が取り除かれた事で力のみを求める戦鬼と化した学は、自分の身代わりとして健が戦っている事に気付くが、その健レッドはガロアの斬撃でお面を割られて正体がバレて……死ぬほど雑な偽装手段で、どうしてここをサブタイトルにしたのか!
 ただ、怒りのガロアの連続攻撃を受けながらも立ち上がり
 「必ず……必ず兄貴はおまえを倒す方法を見つけてきてくれる。……それまで、俺は頑張るんだ」
 は格好良く、苦節第15話にしてようやく、健が良いところを見せてくれました。
 学が駆け付けて正真正銘ファイブレッドに選手交代するも、Mパワーが全身に漲るガロアの豪剣の前に苦戦を強いられるが、アーサーから受けた柔よく剛を制すのアドバイスに閃いた赤は、敢えてガロアハリケーンを受けるとその勢いを利用した反撃でガロアの額を断ち割り、古傷から血を垂らす艦長は、ゴルリン13号を召喚。
 13号はシドンデモンと合体してファイブロボが出撃し、ロボに乗り込むまで桃黒黄が変身なし、という変化球。
 ゴルリンの存在は、80年代後半に顕著だった、巨大戦の為にやられ役怪人をねじ込まなくてはならない問題を解消してはいる一方、のっぺらぼうのスポンジボディは巨大戦の相手としての迫力不足は否めず(能力と紐付けられたデザインそのものは秀逸なのですが)、マンネリ打破の為に色々と手を変え品を変えしてはいるものの、どうもこの辺り、手を変え品を変える事に振り回されている感もあります。
 体に蔦と花を巻き付けたプラントゴルリン13号により拘束されてしまったファイブロボの頭上に仁王立ちした赤は、宇宙刑事もかくやの秘剣を一閃すると、巨大なシドンデモンの花を切り落とし、学兄貴から「教師」成分を抜くと、大変ヤバい。
 「いつの日か、必ず俺たちの手で、正しく咲かせてみせる」
 地上の赤が巨大シドンの花をぶったぎると蔦の拘束が弱まり、残ったゴルリン13号は「正義の剣を、受けてみろ!」で成敗。
 ようやく艦長の見せ場、迫力のある一騎打ち、と導入は面白かったのに、話の流れがどんどん雑になっていってしまったのは残念でしたが、久方ぶりに学兄貴の狂気満載で、そこは大変楽しかったです。
 次回――地球ハンガー作戦!

◆第16話「腹ぺこヒーロー」◆ (監督:東條昭平 脚本:渡辺麻実)
 「ドンゴロス! 俺の酒をどうした!」
 超高速で動き回り、ありとあらゆる食糧を食い漁る銀河闘士ゴキラーギン、モチーフは勿論アレなわけですが、ドンゴロスが宇宙宅急便で呼んでおり、そこはかとなく後の『カーレンジャー』ノリ(笑)
 その高速移動は星川兄妹でさえ捉える事が出来ず、深刻な食糧難に陥った街では、人々がゴミ箱を漁り、ハトを捕まえて焼き鳥にしようとするまで追い詰められ、小学校ではなけなしの乾パンと塩スープだけの給食もあっという間に食べ尽くされてしまい……なんか、とんでもない強敵(笑)
 かつてない地球壊滅の危機が迫る中、祖父に憧れカメラマンを目指す少年・一樹の撮った写真を元に敵の能力を分析したファイブマンは、捕獲作戦をスタート。巨大野菜の中に隠れて不意打ちを仕掛ける卑怯極まりない戦法から主題歌バトルとなり、エネルギー切れしたところにアースカノンを叩き込み、ゴルリン14号。
 ビームを消化してしまうG闘士に苦戦するファイブロボは、イエローがセンターに入ってカンフーアタックの鉄拳制裁。超次元ソードさえヒラヒラかわすG闘士だったが、二刀流を発動すると、敢えて長剣部分を受け止めさせた上で、至近距離から短剣部分を土手っ腹に突き刺すえげつない戦法で、「正義の剣を、受けてみよ!」。
 ゾーン側の描写はコミカルながら、食糧難で心を荒ませ、他者への思いやりを失う地球人の姿が正面から描かれるのは東條監督らしい見せ方でしたが、エピソードとしては、その要素とゲスト少年のカメラマン要素がこれといって繋がらず、一応メインだったレミも、少年と顔見知り(元教え子?)ぐらいの意味しかなかったのは残念。
 ……そして、多分に偶然の産物とは思われるものの、自ら出張った艦長が惨敗した次の回で、お笑いノリで人類文明壊滅カウントダウンまで行ってしまって良かったのでしょうか(笑)