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その胸に宿り続ける真実

仮面ライダーアギト』感想・第27-28話

(※サブタイトルは存在しない為、筆者が勝手につけています。あしからずご了承下さい)
◆第27話「汝が魂の色」◆ (監督:石田秀範 脚本:井上敏樹
 翔一くんは美杉家に帰還し、「姉さんの恋人だった人に会いに行ってたんだけど……」と前回の行動を説明すると、夢の女=自殺した姉・雪菜である事を真魚ちゃんに明かす。
 姉の自殺に納得出来ないでいる翔一は、感情を剥き出しにする新たな一面を見せて記憶喪失ビフォーアフターが示されるが、肝心の記憶喪失になった経緯は覚えておらず……フェリーに乗った記憶はある、と更に繋がり始める点と点。
 真魚ちゃんとお弁当の約束を交わした翔一は、再び津上邸を訪れると遂に沢木哲也――を名乗る津上翔一と対面し、雪菜が超常の力を持っていた事を知らされる。
 「君の姉さんは……自分の力を、制御できないようになっていった。……神の力だと思っていたものが、実は全く別のものだったのかもしれない。彼女は、そう思うようになっていった。荒れ狂うその力に……彼女自身の、心までが、飲み込まれてしまうんじゃないかと……」
 超常の能力と、それを手にした人の心に焦点が当たっていき、恋人を失った沢木が何故「人間を知りたい」と固執するのか、何故あかつき号事件の関係者に接触して覚醒を加速させるのか、がようやく腑に落ちる形に。
 一方、超治癒能力と念動力を手に入れた相良は、カラス2号を撃退。眼鏡の女・関谷が「キノさん」から涼を処分するように指示を受けたと知ると逃走した涼を追い、仮面ライダーvs超能力者の異能バトルが発生。
 前回に続いて今回も画面にフィルターを使いまくり、映像としてあまり見やすくはないのですが、見た目人間同士の激しい戦闘(涼の腕を鉄骨が貫く描写あり)は、フィルター処理でぼかす事で通せた感もあり。
 積極的にギルスの力を使おうとしない涼を相良は一方的に遠隔攻撃し、泥まみれになりながら、川へと沈む涼。その相良に迫るカラス2号だが、沢木との会談を終えた翔一がアギトとなって駆け付け、3色フォームを発動すると、2号、そして4号を撃破。
 相良は戦闘中に逃げ出し、叩きつけるような激しい雨の中、変身を解除して川を見つめる翔一くんは……
 「俺は……何をやってたんだ、今まで」
 数日分の、記憶が、消えた(笑)
 おおよそ折り返し地点で翔一くんの失われた記憶が繋がり、物語の歯車が大きく前へ進む展開に成る程、と思っていたら、たった2話で元の木阿弥に戻り、さすがに唖然。
 ……ま、まあ、半分まで来たところで主人公の名前が変更とか、人格が修正とか、ハードルが高いけど、ここからどうするのだっけ……? と思っていたら、想像を絶する力技で、このくだりを全く覚えていなかった事に納得しました(笑)

◆第28話「残照」◆ (監督:佐藤健光 脚本:小林靖子
 ――数週間前。
 沢芽市を訪れた機械仕掛けの青年ジロー……じゃなかった、まだ元気だった頃の涼は、スーツ姿の男二人に追われる少年・浅野一輝と出会っていた。
 「どこでもいいんだ。どこか、ずっと遠くへ行ったら、もしかしたら……今が嘘になるかもしれない」
 「……どこに行ったって同じだ。今は、嘘になんかならない」
 アンノウンによって両親を殺害され、現実を受け入れる事を拒否しようとする少年と涼の束の間の交流を通して、怪物になった自分から逃げずに戦う涼の姿が描かれるのですが……どうも涼絡みのエピソードがピンと来ないというか、ギルスの存在がしっくり来ず、涼/ギルスが、ある種の「古典的なヒーロー像の体現」なのはわかるのですけれど、それが「アギト-G3」とは別のストーリーラインに見えて、ギルスの受け止め方に悩んだまま、はや半分。
 正直その辺り、丸ごと出てこないエピソードの多さに反映されてしまっている気はするのですが、そのフォローもあったのか、前回・今回は氷川くんが登場せず(この辺り、劇場版の関係もあったのかもですが)、今回は丸ごと涼のエピソードなインターミッション。
 涼単体で見るとヒロイックはヒロイックなのですが、そのヒロイックさが私が“『アギト』の面白さ”として楽しんでいる部分とはちょっとズレを感じるのではありました。
 とはいえ、交錯する主人公たち、という視点の数でいえば、3人は必要だな、とは思うのですが。
 ギルスは1話限りにしては割と格好いいピラニアアンノウンを、バイクラリアットからの踵落としで撃破し、少年は逃げ続けていた両親の葬儀に出席。視聴者へのミスディレクションとはいえ、逃げた少年に散々振り回された上に、トマトまみれで階段から突き落とされたにも拘わらず、少年を暖かく受け止めるおじさん、いい人だ……。
 次回――夏だテニスだ怪盗だ?!