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ウルトラマンコスモス』感想・第2話

◆第2話「カオスヘッダーの影」◆ (監督:北浦嗣巳 脚本:大西信介 特技監督:佐川和夫)
 「正直、俺は君に惚れた」
 ムサシの行動力や判断力、パイロットとしての技量を高くかったヒウラキャップにスカウトされたムサシはチームアイズに転属するが、そこでは新人の胸一杯に膨らんだ理想を現実という名の鈍器で叩き潰してやろうと、怖い先任軍曹たちが手ぐすね引いて待ち構えていた(順番にキャラ紹介してくれるのはスムーズ)。
 チームの一員となるからには互いに命を預け合う関係になるので、青臭い理想論で突っ走られるのは御免被る、というのはわかるのですが、それにしても最初から喧嘩腰で、みんな、お仕事に疲れています。
 早速、リーダーからは前回の生存について詳しく説明しろと詰問され、敵意剥き出しの顎先輩には絡まれ、立場の悪い新人だが、光のウイルスにより地底から怪獣が出現し、転属初日から怪獣保護活動に参加する事に。
 音楽が冬木透さんという事でか復活したワンダバに乗せてチームアイズは出撃し、机上の口論がややこしくなり過ぎないうちに、標準オペーレーションとして抑制弾から捕獲作戦を展開する、従来作とは明確に違う切り口を見せてくるのは、巧い流れ。
 だが、以前にも捕獲に失敗した事がある怪獣ゴルメデはレーザーネットを切り裂き、リーダー機は敢えなく不時着。そのまま怪獣に踏み潰されそうになったリーダーとムサシを危機一髪で救ったのは、なんとリドリアス!
 「まさか……奇跡?」
 『80』でいうところの「人事を尽くして天命を待つの「人事」がUGMで「天命」が80」、『ガイア』でいうところの「ウルトラマンは、僕たちを助けてくれるけど、その前に、僕たちが精一杯頑張んなきゃいけないんだ」を、ムサシの行動原理として「ギリギリまで頑張ればきっと……きっと、奇跡だって起きる!」で示し、「怪獣が人間を助ける」事をして“奇跡”と称したのでしょうが、なにぶん前回、ウルトラマン降臨というとびきりの“奇跡”が発生しているので、それを“奇跡”と呼ぶのは、キーワードありきの少々強引な接続になってしまいました。
 人間と怪獣の間に生じる絆、という点においても前回の「ペンダントぐるぐるで沈静化する」で、十分以上に“奇跡”をやってしまっていますし、ムサシとリドリアスの特殊性から怪獣の気持ちを描くならば、今作世界における人間と怪獣の様々な関係性を積み重ねてからの方が、劇的になったかな、と。
 ……あと、ムサシの危機を救おうとして、強引にシールドを突破してしまう怪獣、は殺処分しなくてはいけないのでは、という気もしてしまうわけですが、翼にダメージを負っているリドリアスはゴルメデの踏みつけを受け、リドリアスのモチーフががリトラという事は、ゴルメデのモチーフはゴメスなのでありましょうか。
 アイズ戦闘機はゴルメデに攻撃を仕掛けるが、どちらも助けなきゃ駄目だ、と飛び出したムサシは閃光弾を目くらましに用い、自分を囮にゴルメデを引きつけるも、火球に追い詰められて咄嗟に破壊弾で反撃してしまう。
 「やっぱりこれしか……撃つことしかできないのか?!」
 「そういう事だ。それが現実だ」
 ムサシは思わず銃を投げ捨て……チームの大事な装備品を乱暴に扱う隊員は、罰として後でトイレ掃除二週間と腕立て300回!
 (ムサシ……諦めるな……)
 崖っぷちにムサシが追い詰められたその時、思い出のペンダントが光り輝くと魔法のステッキに姿を変え……どう考えてもペンダントの方が携帯しやすかったですコスモスさん!
 脳裏に響く謎の声を聞いたムサシは、崖から転落するもステッキを掲げてウルトラマンコスモスへと変身(今のところ、コスモスさんの状態は不明なので、便宜上)し、OPでも見せている怪鳥のポーズで大地に降り立つコスモス。
 ……以前、『未来戦隊タイムレンジャー』で、タイムピンク/ユウリが変身時に取っている似たような謎ポーズに首をひねっていたところ、「映画『マトリックス』からではないか」とコメント欄で教えていただいたのですが、放映が1年違いなので、こちらも『マトリックス』からだったりするのでしょうか。
 スペース形意拳の使い手っぽいコスモスはスペース鶴拳で怪獣の攻撃を受け流すと癒やしの波動を放つが、光のウィルス改めカオスヘッダーがゴルメデの生命エネルギーを吸い尽くしてカオスゴルメデとして実体化。目的を果たすとゴルメデにトドメを刺すカオス怪獣の行為に怒りでプルプル震えたコスモスは、赤メインの体色に姿を変え……つまり、
 「just now! 怒りの封印が、今、解かれる!」
 江戸っ子モードを発動したコスモスはカオス怪獣に荒々しい打撃を見舞い、毎度、沈静化で決着をつけると怪獣退治のカタルシスに欠けますし、沈静化できるのが基本になるとゴールへのサスペンスが薄くなってしまう……と思っていたので、容赦なく抹殺できる対象が出現したのは、成る程。
 もっとも、現状では正体不明のカオスヘッダーだけは一方的に悪と決めつけられている部分があるので、今後そこの揺さぶりも発生するのかもですが。
 レッドマン先輩の薫陶を胸に、教えてやるぞカオスヘッダー! 大抵の生き物は、脳にダメージを与え続けると死ぬ! と強烈な飛び蹴りを見舞うコスモスだが、「ウルトラマンがこの星で活動できるのは、地球時間でおよそ3分」とカラータイマーが鳴り響き、熱線放射を弾き返すと、威嚇する鶴のポーズから気功掌を放ち、頭から派手に吹っ飛ぶ、ザ・佐川爆発(笑)
 久々だったので、思わず笑ってしまいました。
 「燃えるような赤……まるで、太陽のコロナのよう」
 コスモスは飛び去り、保護区域に戻ったリドリアスは怪我を癒やし、いつの間にか理想を追う事に疲れ「現実」を口実にしていたかもしれない、と認めたリーダーは、「奇跡」を目指して再び歩き続ける事を決意する。
 かくしてキャップの思惑通り、ムサシはチームアイズに新たな活力を与える事になり、尖り顎のフブキさんの方も飛行怪獣の姿に微笑んでいるので、既に攻略完了?! 『ガイア』でいうところの初期梶尾さんポジションのフブキ(元防衛軍のエースパイロットとかだったりすると個人的によりおいしいのですが、さて)、もう少し粘ってほしいのですが、土俵際で踏ん張れたかどうかは、次回を待て!
 ……本編とは関係ない話ですが、配信の合間のCMに出てくるゾフィーが、衣装といい声のエコーといい語り口といい、怪しい宗教家っぽくてちょっと怖い(笑)