『地球戦隊ファイブマン』感想・第4話
◆第4話「地球を酔わせろ」◆ (監督:蓑輪雅夫 脚本:曽田博久)
「愚か者はみんな、酒で身を滅ぼします」
サン・○ルバ(ぐさっ!)
スーパー○ルーク(ぐさっ!)
ガイ○ーク三大臣(ぐさっ!)(ぐさっ!)(ぐさっ!)
バルガイヤー内部の退廃的な銀河酒場において、前回の今回で飲んだくれているビリオンが全視聴者の期待に応え、猥雑な酒場の様相は、宇宙刑事シリーズ及びその直接後継作における小林義明風味を感じますが、後にその小林監督がパイロット版を担当した『激走戦隊カーレンジャー』におけるボーゾック本拠地の描写との間に今作が存在していたのは、面白いところ。
「ましてや、これは悪魔の銀河酒。地球を酔わせてご覧に入れましょう」
ゾウルギンの力でただの水を美酒へと変えた銀河博士ドルドラは艦長に向けて艶然と微笑み、格好は黄金のカニアーマーながら、丁寧な口調でどこか妖艶な言い回しのキャラ付けがなかなか面白い。
地球に赴いたドルドラは、ダム一杯の水を酒に変える古典的な(故にそこまで頻繁でもない)水源地狙いの作戦を決行し、水道水が悪魔の銀河酒に変わった事で、老いも若きも街中は酔っ払いだらけに!
厳密にチェックしているわけではないので断言は出来ませんが、自分の感想を検索した限りにおいては、『光戦隊マスクマン』第24話における人類総アメーバ計画以来2年半ぶりのダム攻撃でしょうか。
近くの山中でアーサー(意外とスパルタ)と特訓中だったレミが現場に先行し、ドルドラ一行を見つけるや、いきなりの飛び蹴り!
「こんな小娘、ザザで十分よ」
どうやらドルドラの護衛ポジションらしき銀河の牙・ザザが両手持ちの短刀を武器にルミへと躍りかかり、攻撃の間合いの近い者同士、第2話のイエロー戦に続くマッチアップ。
「……やるわね。私も新しい技を試したくて、うずうずしてたのよね」
蹴り飛ばされたレミは臆するどころか実戦の興奮に血湧き肉躍らせ、リングの上の殺しは事故として処理されます!
反撃体勢を取ると、飛び蹴りから追い打ちのジャンピング貫手で明らかに喉を狙いに行くレミだが、ザザの銀河移動能力で緊急回避されるとダムに叩き落とされ、水中からは復帰するも酒に酔って足取りがおぼつかなくなってしまったところをザザに攻め立てられる大ピンチ。
そこに学たちが駆け付けて銀帝軍は撤収するが、銀河酒には、社会に混乱を巻き起こすばかりではない恐るべき罠が仕掛けられていた。
「ゾウルギンの酒に酔った者は、やがて永遠に眠り続ける事になるのだ!」
「俺たちはこうやって、銀河の沢山の星を酔っ払わせて、滅ぼしてきたのさ」
「5人揃わぬファイブマンなど敵ではありません。後はただ地球が酔いつぶれるのを待つのみ」
銀帝軍の皆さんは大変真面目なのですが、変な面白さが発生しています。
「酒で地球が滅べば安いもんやで」
「そう願いたいものだが、果たしてそう易々と永遠の命を得て、全銀河不滅の支配者となれるものやら。とくと見せてもらおう!」
そしてメドー様は、宿願の一歩手前で思わぬ障害が発生するドラマチックな展開が、ちょっと楽しくなり始めていた。
パトロンもとい銀河皇帝からの、もっと派手に盛り上げろ、という無言のプレッシャーを感じたドルドラは、再出撃すると水ばかりでなくガソリンさえ酒に変えて自動車を酔っ払わせ、第4話にして魔術の領域に入る銀河科学(笑) ……まあ、メドー様はオカルト寄りの気配ですし、ゴルリンの時点で発想は依り代めいていたので、必然といえるのかもしれません。
酔った自動車に振り回される運転手の姿はコミカルながら、自動車二台を潰して吊って、更に一台の屋根の上にもう一台を乗せて走らせ、爆発炎上で始末を付ける、だいぶ派手な演出。
酔っ払って戦闘不能のレミを欠くファイブマンは、ゾウルギンの圧倒的アルコールパワーに苦戦。4人を助けようとするレミは死中に活ありメディテーションの心意気でピンチがチャンスだ! と《酔拳》を閃き、浴びるようにワインを飲みながら赤ら顔で拳を振るう、戦隊ヒーローとしてはかなりギリギリ感のある映像(設定年齢はともかく、レミが成人しているように見えないのも輪を掛けていますが……演者の早瀬景子(現:成嶋涼)さんは、当時18歳との事)。
レミが生身でゾウとザザを圧倒する姿に倒れていた4人も立ち上がり、地球戦隊・ファイブマン!
本日は簀巻き無しの連続攻撃でブラザーし、ゴルリンは生真面目にこのままカウントしていくのでしょうか(笑)
巨大戦では、メインパイロットを代わってのファイブロボ酔拳から、超次元ソードを召喚。
「命に懸けても!」
「「「「「この地球を守る!!」」」」」
切っ先を分離させての超次元二刀流でフィニッシュし、今作も巨大戦に工夫を凝らしながら、祝勝会エンドで、つづく。
レミを欠くファイブマンが特に策もなく正面から突撃を仕掛け、残ったレミは突然の酔拳覚醒で勝利を収め、一応、冒頭の特訓で修得した足捌きが酔拳の動きに繋がった……と説明はしているのですが、だいぶ強引。
倉田プロに所属し、前作では山口先生妹役でゲスト出演してカンフーを披露した早瀬さんの、特技ありきエピソードだったと思われますが、一発目のキャラ回としては、カンフーが得意です! 以上のキャラの広がりが無かったのは残念でした(メタ的にはカンフー得意なのは丸わかりですし(笑))。
次回――予告担当は、まさかの銀河商人ドンゴロスで通すの?!