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第3カイ! 銀河剣士は頭が高い!?

地球戦隊ファイブマン』感想・第3話

 前回の! 『ギンテイジャー』は!
 銀河皇帝メドー様の為に999個の星を滅ぼし、いよいよ1000バーン目の星・地球に乗り込んだギンテイジャー! ところがそこに待ち受けていた5人組が巨大ロボまで持ち出して、一体どうなっちゃうんだゾーん?!
 ……すみません、第1話で「ギンテイジャー」が思い浮かんだ為にやらずにはいられなかった一発ネタです。

 気を取り直しまして…………

◆第3話「挑戦! 銀河の虎」◆ (監督:蓑輪雅夫 脚本:曽田博久)
 前回までのおさらいも兼ねたメドー様の説教タイムで始まり、跪いて平伏する艦長・博士・牙の背後で、段差にどかっと腰掛ける剣士の存在感と、思わぬ障害となったファイブマンの登場にむしろ笑みを浮かべる温度差の見せ方が格好いい。
 お説教の終了後、てんやわんやで駆け込んできた商人の体内から飛び出したのは、銀河闘士トラルギン。
 「ファイブマンを倒す為に、俺が呼び寄せたのだ」
 古なじみのビリオンは、他者の肉体に入り込んで自在に操る能力を持つトラ闘士とがっちり握手。
 「銀河剣士と、銀河の虎。最強コンビの復活だぜ!」
 「固い絆で結ばれた、銀河最強コンビ――」
 ……昔の仕事仲間が出てくるとろくな目に遭わないのはシリーズ伝統というか(実際に統計取ってみないと正確なところはわかりませんが)、悪役サイドを用いて割と世知辛い現実を突きつけがちなので強調されるほどに今後の成り行きが見えてきますが、星川兄弟の前職に目を付けたビリオンは、トラを戦力に、子供を標的にした作戦を立てる。
 その頃学は、ニュータウン小学校への愛着から新しい学校に通おうとしない腕白小僧のタケシ少年に手を焼いており、廃墟と化した教室の一部が十字架を模しているのは凄く『ライブマン』ぽいのですが、蓑輪監督によるオマージュの意識があったりしたのかどうか。
 大人の事情で吹き飛ばされた学校ですが、通い慣れた教室や友達など、子供たちにとってはそう簡単に割り切れるものではない気持ちがしっかり抑えられるのと共に、星川兄弟が先生として慕われていた事が改めて示され、復讐鬼ばかりではないヒーローとしての土台が構築されていくのが、熟練の技。
 廃校舎を飛び出していったタケシ少年を追う学だが、トラルギンに憑依された少年は、驚くべき身体能力を発揮すると猛獣のごとく学に噛みつき、小学生を、思い切り吊る現場(笑)
 縦横無尽に飛び回り、鋭い牙と爪を振るうトラタケシの攻撃を一方的に受けざるを得ない学の姿を物陰で確認して銀河剣士はほくそ笑み、学が十分に消耗した所でおいしい所を持っていく気満々で、美学とかはあまり無いタイプでした。
 途切れ途切れに正気を取り戻し、学を攻撃する事に苦悩する少年が崖から足を滑らせ、辛うじてダイビングキャッチに成功する学だが、トラは思わず緊急退避。
 少年を操っていた銀河闘士の存在に気付き、トラルギンに怒りの眼差しを向ける学の頭上には銀河剣士が迫り、気絶した少年を抱えた学と崖の上に姿を見せたビリオンをあおりの画で一つに収め、頭上のビリオンが飛び降りるところまでカット割らずに見せる事で非常に迫力が出て、ビリオンの落下攻撃としても格好いいのですが……あっさりかわされた(笑)
 「俺の剣をかわすとは……銀河剣士ビリオンの必殺剣、銀河真空斬りを!」
 しかも、大げさな名前ついていた(笑)
 「地球は全銀河に生命を甦らせる為の最後の砦! 地球を守る戦士、そう簡単にやられるわけにはいかんのだ!」
 ……出来上がってる、出来上がってるな、学アニキ!
 今作に関して付きまとう「マンネリ」の問題を言うならば、“こういったヒーロー像そのもの”が「代わり映えの無さ/形骸化の象徴」になってしまった面があったのかとは思われ、次作『ジェットマン』では“ヒーローの行動原理そのもの”に深くメスが入れられると、“ヒーロー以前”のより濃密な掘り下げを行いながら記念碑的な第18話に到達するわけですが、今作は今作で、パイロット版における「地球戦隊ファイブマン」とは何か、に続いて、亡き両親の志と繋がる形で「地球」とは何か、が鮮やかに意味づけられているのは、注目点。
 「子供の体を利用するなんて卑劣な奴らめ! 許さん!」
 バイクから砲撃しながら兄妹が駆け付け、第3話にしてずたぼろのアニキが変身すると、ビリオンは戦闘員を召喚。
 赤が剣技、黒と青が格闘戦、桃と黄がコンビネーション射撃で戦闘員を蹴散らすが、ビリオンが続けて呼んだ戦闘機の吹き起こす突風に攪乱されている内にトラが再び少年の体に乗り移り、そのまま戦闘機を操縦させて市街地を攻撃させ、やり口がえぐい。
 ビリオンは少年の身柄を人質に取ると、変身せずに単独で指定の場所へ来い、と学を呼び出し、罠とわかっていてそれに応じる学。
 「俺を信じてくれ。身を捨ててこそ、活路は開けるんだ」
 ……出来上がってる、ホント出来上がってるな、学アニキ!
 金のオーラを背負った学は呼び出しの場所に向かうと、ビリオンの思惑通りトラの憑依を受け、学の自由を奪ったビリオンは中に入っているトラごと一刀両断!
 このダメージでトラの憑依が解け、ビリオンの攻撃に耐えきった学は、状況の飲み込めないトラに、ビリオンは最初からトラを切り捨てるつもりだったと丁寧に説明。
 「悪の絆なんて所詮その程度のもの」
 「教え子を救う為、命を懸けた、兄さんの師弟の絆のほうが強かったのさ!」
 前半の一当たりの際に、ビリオンとトラの間の意識差に学が気付いているような描写があったので、てっきりそれを利用して逆転するのかと思いきや、単純に気合で耐えただけになってしまったのは非常に残念でしたが、伏線の見せ方からすると、脚本も演出もその気だったのに、いざやってみたら思ったより説明がややこしくなって、ここだけ別の成り行きに変更したのでしょうか……と勘ぐりたくなるような流れ。
 「……へへへへへ、ビリオン、おまえ出世して変わったな。だが、俺はおまえといつまでも、一緒に戦いたいぜ」
 銀河最強の絆が紛い物だった事を突きつけられたトラの、心に抱えていた闇が噴出!(笑) ……いや、ただの皮肉の可能性もありますが、真相は銀河の藪の中。
 「おまえの体、借りるぜ!」
 「たわけ! 誰が貴様如きに!」
 ビリオン、ひねりを入れて飛んだ!
 バイクに乗って、走り出した!(え)
 「逃がさん!」
 てっきり斬り掛かるのかと思ったら、まさかの一目散にバイクで逃走を始めたビリオンの背中に捨てられた男の執念でトラが貼り付いて曲芸走行し……あまりにも予想外の展開(笑)
 銀帝軍の先陣を切って凄腕ぶりを見せつけるのかと思いきや、銀河真空斬りを回避され、卑劣な罠による一撃でも致命傷にはほど遠く、挙げ句の果てに切り捨てた手駒に追い回されて醜態をさらし、これぞまさしく、銀帝軍の残念ブルー。
 まんまと虎に乗っ取られたビリオンはバイクで反転すると、ファイブマンと激しいバイクスタント。走行しながらの斬撃も披露するが、調子に乗りすぎて背後から射撃を受けるともんどりうって吹き飛び、出だしというのもあるでしょうが、爆発はかなり派手め。
 地面に転がったビリオンから分離したトラは、心の闇が晴れたのか単独でファイブマンに立ち向かうも、負傷した赤をかばう兄弟の絆の前に形勢逆転され、リボンで簀巻きにした標的に集中攻撃を仕掛ける地獄行きの寝台列車だぜブラザー!
 「最後まで1人で戦ってもらおうか」
 気を取り直して高いところに立ったビリオンはゴルリン2号を召喚し、瀕死の銀河闘士は、巨大トラルギンに。
 マグマベースから、Aメカ・Bメカ・Cメカが連結したファイブトレーラーが発進し、ロボとは別の合体形態があるのは、おお、と思ったのですが、5人が3つのメカに乗り込んで一度分離してからトリプルジョイントしないとロボになれないのは、設計ミスなのでは(笑)
 右膝の「語」がチャームポイントのファイブロボは、両腕に搭載されたカノン砲の連射から超次元ソードを召喚し、
 「思い知れ……!」
 「「「「「俺たちの恨み!!」」」」」」
 「「「「「兄弟の絆!!」」」」」
 土手っ腹に風穴を開けると高々と持ち上げ、オヤジたちの仇じゃぁぁぁ!!
 たけしくんは腕白坊主に復活し、子供たちの為にも、はようゾーンの野郎どもをいてこまさにゃあかんのう、と改めて誓う星川兄妹であった。
 次回――末っ子、初メイン回にして、酔拳