東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
旧ダイアリー保管用→ 〔ものかきの倉庫〕
特撮作品の感想は、順次こちらにHTML形式でまとめています→ 〔特撮感想まとめ部屋〕 (※移転しました)
HP→〔ものかきの荒野〕   Twitter→〔Twitter/gms02〕

秘密兵器D80号

ウルトラマン80』感想・第47話

◆第47話「魔のグローブ 落とし物にご用心!!」◆ (監督:東條昭平 脚本:石堂淑朗
 少年野球の試合でエラーをした少年がグローブに八つ当たりすると、そこに謎の怪光線が宿り、不気味なグローブ型宇宙生物に!
 「おまえ、グローブのくせに生意気だぞ!」
 平気でそれと追いかけっこをする少年がだいぶ素っ頓狂な事になり、紫外線の異常を調査中の矢的とユリ子が怪グローブを発見するも翻弄され、どこへ行きたいのかわからない感じはちょっと面白い(笑)
 とりあえず撃ってみる矢的だが通用せず、空を飛び回りながら紫外線を吸収していく怪物グローブは姿を消し、紫外線の異常現象は環境問題が影響しているのかも、とユリ子がUGMに講義。今回、冒頭からユリ子の出番が多めなのですが、気がつくとUGMのレーダーなどをいじっており、謎の位置づけです(城野隊員の殉職後に、配置転換されたという解釈は可能な範囲でありますが)。
 キャップは怪物グローブの捜索を命じ、夜明けと共に活動再開する可能性が高いのに、どうして、徹夜でパトロールを命令……。
 矢的は会議中に口を滑らせた涼子をウルトラ説教し、矢的がウルトラ族と地球人の距離感を説く為に、涼子が毎度なにかやらかすパターンになっていますが、正直、今頃になってそのテーマを持ち込む事そのものに困惑するので、涼子が無駄に可哀想な印象。
 「地球の人間が、変に我々の力をあてにし始めるのが一番怖いんだ」
 最終的に80が事態を解決するのは(メタ的な必然性による)お約束なものの、UGMの側が80を当てにする描写は記憶の限りでは皆無であり、どちらかというと矢的が積極的に変身してきたので、このテーマをやればやる程、矢的の支離滅裂の度合いが手遅れになり、記憶の混濁が手に負えなくなっていき、ユリアンは本当は王女ではなく(矢的が思い込んでいるだけ)、ウルトラの国からやってきた看護士なのでは……。
 そもそも今作の場合、80を登場させる為にUGMがこれといった作戦を工夫する事も許されないまま雑に前座を務めるのが恒例になっているので、そのメタ状況を作り出している当人である矢的に上から目線で言われても、地球人に出来る事は地球人で、という教訓を引き出すのに多大な無理が発生しています(それを従順に聞く生徒役の涼子、というのもあまりよろしくない構造)。
 そしてUGMが無駄なパトロールで消耗した翌朝、日光を浴びたグローブが覚醒。
 市民から引きはがす為に涼子が赤外線を撃ち込むと、興奮した怪グローブはとうとう巨大化してしまい……超、気持ち悪い。
 先に「地球人がウルトラマンをあてにするようになってはいけない」と言わせたので、この怪獣の巨大化については不用意に赤外線を撃ち込んだ「我々の責任だ」と言わせるのですが、その割に80に変身するわけではなく、日没までの丸一日、怪獣が大暴れを繰り広げるので、『80』基準でもだいぶ意味不明な事に。
 日が沈んで紫外線の供給を受けられなくなったグローブ怪獣が姿を消すと、UGMは捜索を再開し、宇宙光線キャッチ能力を発動した涼子が雑に怪獣の居場所を特定。矢的も矢的でウルトラアイを使用し、今度こそ自分たちで責任を取るという事なのかもしれませんが、率直に今作としては無理のあるテーマを挿入した結果、矢的先生の自分ルールぶりが目も当てられない酷さになっていきます。
 どうしても「地球(人)とウルトラマン」のテーマをやりたいなら、「80を母星に連れ帰りたいユリアン」と「地球を守る事にこだわる80」の対比にでもした方が、それに基づく矢的猛のアイデンティティを確立し直しつつ、ウルトラ族としてのしかるべき距離を取りながら地球人と歩んでいこうとする80の姿も描けて、収まりが良かったように思えるのですが……。
 「夜だし街から離れている。君一人を観客に、君の代わりに力一杯戦うよ」
 時空間移動を繰り返して記憶が曖昧になりながらも、それだけは健在な残念スイッチを押した矢的先生は80に変身すると、軽快なBGMに乗せて多彩な蹴りを叩き込み、珍しい主題歌バトルになるのですが……後期OP、物凄く戦闘に合わない(笑)
 グローブ怪獣の柔軟ボディに決定打を与えられない80は、空中で高速回転すると自ら球状になって飛び回る必殺・ウルトラ団子を発動し、興味本位で一時停止してはいけなかった画。
 見た目はともかく威力は高いウルトラ団子の猛攻で優位に立つ80だったが、体当たりを透過されると紫外線攻撃を浴びて危機に陥り、涼子の赤外線による援護を受けると、逃げるグローブ怪獣を追って前期主題歌インストに乗せての空中戦。
 夜明けが近付く中、グローブ怪獣を地面に叩きつけた80は、ウルトラ皿回しからのウルトラ赤外線ビームで大勝利。怪獣は消滅し、矢的と涼子は現場に残されたグローブを拾い、さすがにそれは、少年一家も要らないのではないでしょうかね……。
 最後は少年野球のコーチを買って出た矢的先生が、スポーツマンぶりを誰ともなしにアピールして、ユリちゃん強化キャンペーンかと思ったら、結局涼子が全て持っていったまま、つづく。
 石堂脚本回にしてはUGMメンバーが動作不良を起こしませんでしたが、涼子以外の隊員はどうでもいい空気が急速に作品全体を覆っており、城野隊員は、色々なものの犠牲になったのだ……。
 次回――またしても予告が内容の大半を喋っている気がするのに、その大半が何を言っているのか意味不明の新パターン来た。