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コスモ官僚主義を目指して

『魔進戦隊キラメイジャー』感想・第43話

 (※『獣拳戦隊ゲキレンジャー』最終盤の内容に触れている箇所があるので、ご留意下さい)

◆エピソード43「汚れた英雄」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:荒川稔久
 「私に協力しろというのか?! なんの義理があって!」
 「義理じゃねぇだろ。責任だろ!」
 というか、命の危機……?
 オラディン救出の為、ワンダー捕縛したクランチュラを案内人にヨドンヘイム突入を決意するキラメイジャー。皆が決死の覚悟を決める中、ひとり充瑠はロードガルザの姿や必殺剣へのワクワクが止められずに居たが、そのガルザの意識の中では、ヨドンナが目を覚ます。
 「貴様に用はない。大人しくしてろ。さもなくば消す」
 大人しくしている限りは同居もやぶさかではないガルザの、我が道を突き進みきれない感じ(笑)
 ヨドン皇帝の椅子はセオリーだと如何にも“孤独の玉座”なのですが、ガルザが希求しているのはどうしても、“自分一人の世界”よりも“報・連・相の行き届いた職場”に見えて仕方ありません(笑)
 そして、年に5回ぐらいは有給休暇を取って、気晴らしに女装して街に出たい。
 「奴の煌めきは……俺をこの上なく苛立たせる!」
 オラディン、キラメイシルバー、そしてキラメイレッド。3人を処刑してからヨドン皇帝としての覇道を始めるのだ、とヨドンナに所信表明を聞いて貰ったガルザは、ヨドンパワーでオラディンを人間の姿に戻し……とうとう転生フェニックスですら無くなって軟着陸傾向が更に加速していきますが、「新たな女王になる」姫様と「それを支えていく」宝路の決意は、どこへ行ってしまうのか……。
 王様と王妃様、国を子供達に任せて大宇宙世直し漫遊記とか始めそうな予感もしないでもないですが。
 「力尽きて吸い込まれ、腹の中で溶けた頃、確かめに来てやる」
 敢えて人間の姿に戻したオラディンを怪獣の前に放置してガルザは立ち去り……今回、なにが残念だったってここが残念だったのですが、第一に、ガルザが積もりに積もったオラディンへの憎しみを晴らす処刑手段にしては、あまりにも面白みに欠け、ひらめキングが足りません。
 これなら、「ハムスターがリンゴを囓り終えた時に首ちょんぱ」の方が、余程スリリング。
 第二に、積もりに積もったオラディンへの憎しみを晴らしたいガルザが、怪獣に食われまいと哀れにじたばたするオラディンの姿に全く興味ない、というのも不自然極まりなく、屈辱をアリーナ席からリアルタイムで鑑賞せずに、なんの悦楽といえましょうか。
 第三に、大口開けた怪獣の吸引に抵抗して懸命に走り続けるオラディン、が絵として緊張感皆無で、クライマックスとしては驚くほどチープ。この後、救援に来た赤との会話などを同じシチュエーションで続けるのも間の抜けた描写になって、エピソード全体の緊迫感を削ぐ大ダメージになってしまいました。
 今回最大の焦点からは外れるので、番組終盤の予算的にもあまりこだわれない事情はあったのでしょうが、1年間のトータルとしては「ガルザがオラディンを処刑する念願の機会」なので、(それがひっくり返される前提だとしても)キャラの情念が集約される一大イベントとして描いて欲しかった部分であり、刺身のツマめいた扱いになってしまったのは、大変残念。
 地球では充瑠に頼み込まれたクランチュラがヨドンヘイム行きをあっさり承諾するも、ゲートを開いてヨドンヘイムに到着するや虚を突いて逃走し、充瑠への個人的な協力はOKとも脱出のチャンスと見て飛びついたのでも、どちらとも取れる範囲に収めつつ、完全に、倫理観のぶっ飛んだマッドサイエンティスト路線をひた走ります(笑)
 「案内はここまでだ! 私は危ない橋を渡る気は無い! 達者でな~」
 ヨドンヘイムに入った一行が耐えがたい悪臭に顔をしかめるのは、沼女の呪い回を拾って地球とヨドン、お互いの相容れない部分を象徴的に描いて良かったです。
 一同がリングフィットアドベンチャー中の王様を発見していた頃、地球に残った宝路の前にロードガルザが出現してぶつかり合い、銀が劣勢になるや基地を飛び出していく姫様は、やはり基本的にこういうキャラだと思うところ。
 「わたくしにはわかりません! ヨドン皇帝を倒し、わたくしたちを滅ぼしたその果てに、何をしようというのですか?!」
 「……俺は世界を変える。俺の好きなように」
 上司が思いつきで誰にも告げずに海外出張に行かない世界に!
 「……あなたには出来ません」
 ここで姫様が、面と向かってガルザとやり合う――たとえ戦う力は弱くても、銀にかばわれるのではなく倒れた銀の前に立つ形で――姿を見せてくれたので、姫様に関しては一定の満足とします(もう一つ跳ねられるのではという期待はあったのですが、あらゆる要素を使い切れるわけではないので、やむなし)。
 「あなたには……? どういう意味だ? 誰なら出来る? オラディンか?」
 「充瑠さんなら! あの方は、煌めきで何かを変えてくれる方です」
 「そうだ……あいつは、見えなかった事を見せてくれる奴だ!」
 熱田充瑠の最大の煌めきとは、誰かの心に眠っている輝きを虚心で見つめられる事だと叫ぶ銀にトルネードスクリュークラッシュを直撃させたロードガルザだが、充瑠の存在に苛立つとトドメを刺さずにヨドンヘイムへ帰還。
 「どいつもこいつもキラメイレッド! 忌々しい……」
 ヨドンヘイムで王様を助けに飛び込んだ赤は、かつてのガルザが正しい煌めきを持った英雄候補であった事を教えられるが、直後に帰還したガルザにさらわれ、ジョーキー、出番あった。
 「貴様の煌めきなど何も生まんという事を、思い知らせてやる」
 キラメイレッド抹殺にこだわるガルザは、子供の頃から暖め続けてきた夢の必殺技ツーを発動。
 「ビーストウルフオメガディア――」
 「(……すげぇのまた来たーーー! 俺もーー)ひらめキーング! ゴッドバードアルファズム!」
 対する赤はその場の勢いで必殺技を生み出して両者の攻撃は相殺し、かなり素朴な形で、最初の煌めきはどこにあったのだろう? それは子供の頃に誰もが持っていたのではないか? と表現。
 「すげーーー! やっぱおまえ、すげぇよ! 無茶苦茶刺激されちゃって、今の俺も、すげーーー!」
 そして、それぞれの煌めきが出会い、ぶつかり合う時、互いを高め合う事が出来るから、人が人と繋がる事に意味が生まれ、それはスケッチブックの枠を越えた無限の未来を生み出していく――。
 「……俺は、本当はおまえを倒したくない!」
 「なんだと?」
 「おまえは敵だけど、おまえのその姿や必殺技! 俺に言わせれば神絵師だ! 滅茶苦茶ワクワクしちゃうんだ!」
 「戯れ言を言うなぁっ!」
 「……だから本当は、本当は一緒に絵が描きたい!」
 赤とガルザが剣を打ち合わせたその時、再び意識を同調させた二人は、ひらめキーングしていた過去のガルザ、一緒に並んで絵を描くオラディンの姿を目の当たりにし……兄弟の因縁としてはわかりやすい一方、この期に及んで「充瑠が閃いた(と思った)必殺技」がオラディンのコピーであった点はかなり引っかかるのですが、芸術は模倣から始める面があるとはいえ意識的なものではないですし、この世界における“真の悪”とは、選ばれた者にだけ閃きを与える白いキラメイストーン(に象徴される何者か)なのでは(笑)
 大宇宙を越えて共通語になっている、ひらめキング=真の邪悪説が急浮上する中、仲の良い兄弟が互いに刺激し合いながら煌めきを増していくその姿に、ガルザは忘れていた過去を思い出す。
 「そうだ……思い出した……俺は兄上が好きだった」
 王様救出の為、フェニックスを発動して怪獣に立ち向かう黄緑青桃の姿が差し込まれ、現状と著しく矛盾する自らの心理に狼狽するガルザは、戦意を失って膝を付く。
 「兄上も、俺を認めてくれていた。俺は……ひらめキングもしていたんだ。それが……何故、兄上を恨み憎むようになった?」
 塗り途中の絵を勝手に完成させられたとか、やりたかったゲームの完全ネタバレを喰らったとか、ラブレターを校内放送で朗読された、とか(全てオラディン的には善意)、思わず記憶を封印してしまう程の悪行の数々があったのではないでしょうか……。
 今からでも兄弟で仲直りをと勧めた充瑠が、叶えマストーンを4つ揃えればクリスタリアも復興できるかも、と教えたその時、「それはいい事を聞いた」とヨドン皇帝が復活し、玉座を奪還すると、ガルザをぺいっと体外に放出。
 どうやらガルザが何をするか興味本位で死んだフリをしていたらしいヨドン皇帝ですが、4つ目のストーンを奪うように指示したのは純粋な嫌がらせで、特に計画はなかったという衝撃の事実が判明(笑)
 まあそうしておかないと、半年以上も叶えまストーンに興味皆無だった理由が付かなくなってしまうのですが、最終決戦における悪役の狙いが、ヒーローが口を滑らせた事で確定しました。
 「我が消したガルザの記憶を、おまえは甦らせてしまった」
 「俺の記憶とは、なんだぁっ?!」
 クリスタリアの英雄たりうるオラディン・ガルザ兄弟の存在に脅威を感じたヨドン皇帝は、幼いガルザに接触すると、愛する者を、愛してくれる全ての者を憎む呪いを掛け、以降、ガルザはそれまで愛していた全てに憎悪を向けるようになってしまったのだった!
 「俺が兄上を憎んだのは、貴様の企てだったというのか?!」
 「その通り。おまえはクリスタリアを滅ぼすのに尽力し、我が地球に降り立つ為のジャメンタルをまんまと蓄えてくれた」
 形ばかりとはいえ邪メンタルも拾われ(英雄たるキラメンタルの資質を持つからこそ、そのネガエネルギーも他者より膨大に蓄積できた、といったところでしょうか)、全ての元凶はヨドン皇帝にあった、と明らかにされるのですが、幼年期からヨドン洗脳を受けていた事で、兄弟間のねじくれたあれやこれやとか特に無かった(あってもヨドン皇帝が原因だった)となってしまったのは、個人的には物足りない真相。
 なんとなく今作、世相もあってか途中から初期想定よりも軟着陸方面にスライドした雰囲気を感じるので、軟着陸するなら妥当な道筋として一定の納得は出来るのですが、幼少期のガルザがオラディンを敬愛しているのはそのままに、歳を経るにつれ、尊敬しているからこそ浮かれ提灯ないい加減ぶりが許せなくなっていく……みたいな性格の相違から生まれるすれ違いみたいな要因は出来ればあって欲しかったな、と。
 せめてガルザ思春期ぐらいの出来事なら、本心とは別に兄への劣等感や反発心で生まれた心の隙間にヨドン皇帝が忍び込んで……みたいな解釈も可能だったのですが、あまりにも年少の頃で、その後の人格は丸々ヨドンにねじ曲げられたのが元、では広げようがなく「ガルザ」が空っぽになってしまうのは、個人的にキャラクターの使い方として好きではなく、勿体なくも感じます。
 後これだと、「あんなに可愛かった弟が自分を“大輪の華”と称するナルシストになってしまった……参ったぜ」といった困惑と混乱もあったのかもしれませんが、ある日を境に人格と体色が代わって自分に憎悪を抱くようになった弟に対し、ん十年もの間、オラディンが中途半端な対応を取り続けた事にもなってしまい、着地点の柔軟性を確保する為にオラディンのガルザへの態度をふわっとさせていたツケが回ってくる事に。
 ……まあガルザ、憎悪を胸の内に抱えたまま、来るべき日までは真面目に仕事をしていたのかもしれませんが、在りし日の二人の関係性――というかオラディンのリアクション――があまりに曖昧なので、だいぶ視聴者の補完が必要になってしまったかなと。
 「俺が生きてきた意味は……何一つなかったという事か」
 あれほど求めていた力の筈が、今や虚構の人生の象徴と化した三日月ヘルメットを、ガルザは震える手で地面に叩きつけ、からっぽの中身に、虚ろな音が響き渡る……。
 「……違うよ! 悪いのは、全部ヨドンだったんだ! ガルザは、俺たちと一緒に、新しい人生を生み出せばいい!」
 前回からの、ガルザの創作物に対する充瑠のあふれ出すワクワクは、ヨドン皇帝に隠されて(消されて)いたガルザの本質を充瑠が見抜いていたから、というのは充瑠のキャラクター像と綺麗に繋がり、ガルザがキラメイレッドに執着していたのは、“有り得たかもしれない自分の未来”を知らずそこに見ていたから、も納得の着地。
 諸々の落としどころとして外してはいない一方で、ここまでの積み上げを考えればもっと大きく飛べたのではないか、という不満もあるのですが、ここ数話の流れから最も危惧していた“閃き無罪”が回避された点は、ホッとしました。
 「ご苦労だったガルザ。もう消えろ!」
 「俺が生きた意味は……今、ここで生み出す!」
 「それは最後の攻撃か?」
 捨て身の特攻をかけるガルザだがぺしっと弾き返されると、ヨドミウム光線に腹部を貫かれて大爆発し……単独で見れば悪いシーンではないのですが、なまじ本編で『ゲキレンジャー』コラボをやってしまった事もあって印象も引きずられ、どうしても『ゲキレン』と重ねて見てしまうのが、ちょっとノイズに。
 特に『ゲキレン』の場合、やりきれなかったどころか、そこに関しては突き抜けてやりきった作品だったので、ガルザの真実から最期が二番煎じめいてしまったのは勿体なかったかなと……勿論これは、過去作を見ているから気になる部分ではありますが、諸悪の根源として全ての始末を押しつけるにはヨドン皇帝の本格登場が遅すぎた事もあり、今作ならではの劇的さを生むには助走が不足して(物語としてはガルザの歪みの源流に焦点があって期待を持たせていたわけなので)、幻影を振り払いきれませんでした。
 ガルザに関しては、爆発の仕方と残り話数、今作の作風と兄との再会を果たしていない事を考えると、最終的な死亡は覆せなくても、もう一太刀はありそうなので、今作だからこその結末に一縷の望みを繋ぎたいところ(こうなってくると、なんでもありの大団円の方向もありそうですが)。
 続く皇帝の攻撃により爆炎に飲み込まれたキラメイレッドは崖から転落し、助けようとする王様フェニックスは黄緑青桃を乗せたまま撤退を余儀なくされる事に(しれっとフェニックスに変身している上に、時空転移もこなす好き放題)。
 「地球はもう、我のものだ――」
 哄笑するヨドン皇帝、澱みの大地に残された約束のチケットで、つづく。
 おまけコーナーではファイヤが倉庫で物思いにふけっており、次回からが真のクライマックスとはいえ、この最終局面で地球に放置されていくキラメイストーンの存在感が悲しすぎて、次回、キラメイジンの大勝負がある事を祈りたいところです。……キラメイストーンに関しては、アフレコ体制の変化により、掛け合いやアドリブの面白さを組み込めなくなったのが、大打撃だったのだろうとは想像されますが。
 人生の大半をヨドン皇帝の思惑に乗っ取られていた、という残酷な真実が明らかになったガルザ、今回で完全退場は物足りなさすぎますし、谷底に転落した充瑠の事もあるので、二人をまとめて助けられる存在……といえば考えるまでもなくクランチュラで、まさかここまで、クランチュラさんがキーキャラになるとは(笑)
 クランチュラさんはクランチュラさんで、コウモリモチーフが段々とあのキャラめいてきてはいるのですが、膝を打つような着地点を見せてほしいものです。
 次回――全宇宙ヨドンヘイム計画! 果たして、最終回直前に作り手トライアングル結成のミラクルはあるのか?!