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燃え上がれ鎧武

仮面ライダー鎧武』感想・第23話

◆第23話「いざ出陣!カチドキアームズ!」◆ (監督:金田治 脚本:虚淵玄
 紘汰が貴虎から、インベスと化したチーム鎧武リーダーの最期を突きつけられていた頃、戒斗はヘルヘイムの森で、“知性を備えたインベス”の捜索を続けていた。
 「私は彼らの事を、オーバーロードと呼んでいる。ユグドラシル内部でも知っているのはこの面々だけだ。神の力に至る禁断の果実は、誰にでも渡せるものではない」
 位置づけ的にも名称は古典SF『幼年期の終わり』(アーサー・C・クラーク)からかと思われますが、破滅を凌駕し、新たな進化を果たした存在が示唆される一方、深いショックを受けた紘汰は、正面入り口からお帰り。
 「結局、また見逃してやるのかい」
 今回ばかりは、シドの言い分が正しいと思います(笑)
 「奴はもう抜け殻だ。二度と立ち上がってくることなどない」
 「ふ~ん……だといいが」
 主に話の都合でしょうが、何故かシドが無駄に広い主任の執務室でくつろいでいるのが2回目で、微妙に仲が良さそうで困ります(笑) シドは特にそう思って無さそうだけど、主任は、仕事仲間だしコーヒーぐらい淹れてやらないとな! と思っていそうというか。
 「君は私が貴虎を裏切るとでも思ってるのかね?」
 「……ええ。だってあなたは、兄さんに信用されすぎてる」
 「ほう?」
 「昔っからあの人の悪い癖なんですよ。兄さんはいつも……一番信用しちゃいけない相手ばかり信じ込むんです」
 ミッチはミッチでプロフェッサーに牽制球を投げつけて、プロフェッサーの「ほう」は毎度いい味(笑)
 ヘルヘイムの森に初めて入り込んだ場所で打ちひしがれていた紘汰は、そこで出会った舞に裕也の最期を明かしそうになるがミッチに止められ、紘汰が笑顔で居てくれる為なら、不都合な真実など許せないとちょっと病んだ事を言い出すミッチ、「隠し通したかった」ではなく「許せなかった」なのが、だいぶ危ない(笑)
 「それじゃ裕也が報われないだろ……! ……本当なら、初瀬がああなった時に気付いているべきだった。……最低だ、俺は」
 紘汰の精神的成長が一つ明確に描かれる一方、重い責任を感じてしまわないように舞には秘密にするべきだ、とミッチは重ねて紘汰を説得し、マクロとミクロで「真実」に対する正解のない向き合い方が衝突するのは、裕也問題を面白く使ってきました。
 決め打ちの上で“ノリノリで”殺させたのは趣味悪いな、とは思うのですが、ミッチが問題をややこしくする事で、自責の念を消化できるかできないか以外の観点を持ち込んでいるのは、いい意味で『鎧武』らしさにはなっているかなと(今作の“ややこしさ”はマイナスに感じる要素も多いので、この辺りは“ややこしさ”の好みとなりますが)。
 戒斗が森にばらまいていたのは、パイオニア10号と11号に取り付けられたものと同じニュアンスと思われる金属板と、国語辞典のセットで、それを手にした赤いオーバーロードが、不法投棄、ヨクナイ! と戒斗の前に出現。素手で辞書を引きちぎるオーバーロードに対して戒斗はバロンに変身し、ハイ、今日も劣勢です。ありがとうございます。
 ……というかプロフェッサー、森の調査に向かわせたのなら、戒斗にも実験装備の一つや二つぐらい貸してあげて下さい!!
 今回も悩んだ末にパフェ屋に来た紘汰の前に現れる課金警告の女、そして、スイカコーデの悪いおじさん。
 「よ! 浮かない顔だな」
 DJサガラの何が紘汰の魂にジャストフィットしてしまったのかは今作七不思議の一つですが、今、私の中のミッチが真剣な顔で「昔っからあの人の悪い癖なんですよ。紘汰さんはいつも……一番信用しちゃいけない相手ばかり信じ込むんです」とアピールしています。
 「守る為に戦うっていうのは……そもそもの矛盾だな。力は持って為せるのは、破壊のみだ」
 「……俺には……壊したいものなんてない。そんな力なんて欲しくもない」
 「いい加減に気付けよ。おまえが憎んでいるのは、ヘルヘイムでもユグドラシルでもない。希望の対価に、犠牲を要求する、この世界のルールそのものだ。そんなルール、ぶっ壊せ。ぶっ壊して、世界を変えろ」
 うー、うーん…………わかりやすいといえば、この上なくわかりやすいのですが、“ヒーローフィクションの根源的要素を、劇中人物が一字一句丁寧に言語化してくれる”のは個人的にはやり過ぎで、受け手の側に委ねられる部分、隠喩や解釈に留めてこそ美しいものを、作り手の側から解説書付きで皿に乗せて出してきて身も蓋もない、みたいな印象。
 またそれを、主人公の側から“気付く”ならまだしも、背景不明の謎のおじさん――もはやほぼ人外の存在っぽいので、つまるところ物語半ばにして、湖の中から出てきた髭を生やした老人が主人公に導きを与えてくれちゃったりしちゃったりしている構図は、もう少し他のやり方は無かったのかと思うところ。
 「世界を、変える……?」
 DJおじさんは、戒斗の行動からオーバーロードの存在まで全てを紘汰に説明し、基本的に紘汰が情報を得る手段が、“悪い大人たちのお喋り”しか無いのは、作劇上の難点。
 森の侵食を乗り越え、ヘルヘイムの森を操る力を身につけながらも森の侵略行為には一切の興味を持たないオーバーロード……その存在にいち早く気付きながら、自分だけの“秘密”にしてしまった男の存在をDJは示唆し、始末を付けるつもりだったので秘密兵器の存在をベラベラ喋るシド → なにやら狙いは隠していそうですがプロジェクト・アークの要点を明かすプロフェッサー → 鬱陶しくなってきて現実を突きつける貴虎 → プロフェッサー側の握る極秘情報を丁寧に説明するDJ、と3話連続トップシークレットの大放出で、気がつくと紘汰の方が貴虎より機密度の高い情報を持っている、ってどうなんですか(笑)
 「そいつは、ユグドラシルが目指す人類救済よりも、自分一人の野望を優先している」
 「…………戦極凌馬」
 「おっ、いい目つきになってきたじゃねぇか」
 DJサガラは、飼い犬の前に玩具をぶら下げて面白がる笑みを浮かべると、パフェ屋のオレンジに謎パワーを込めて新たな錠前を作り出し、紘汰にプレゼント。
 それを手にした紘汰は、プロフェッサーより先にオーバーロード接触する事で、ヘルヘイムの侵略を止める道に自らの希望を見出す。
 (おまえたちの諦めを、絶望を……ぶち壊す方法があるのなら!)
 「――変身!」
 個人的にはここでようやく、ままならない“現実”を突破しようとする者、として紘汰がヒーローの第一歩を踏み出した感があり…………長い道のりでありました。
 「どこまで愚かな……性懲りもなく」
 紘汰は鎧武に変身すると、DJから貰った魔法の箒にまたがって空中からタワーに突撃し、まあ率直に、あの流れでドライバー取り上げずに放り出した主任が今回の戦犯ですよね……。
 「裕也……俺は前に進むよ。だから見守っててくれ」
 裕也の件に折り合いを付けた鎧武はタワーからの対空砲火で撃墜されるが、落下しながら新たな錠前を発動し、ダイビング変身。徐々にそちらに寄ってきてはいたのですが、正攻法の鎧武者にかなり近いカチドキアームズが発動し、背中にダブルで幟が立っているのは……新しい(笑)
 勝ち鬨鎧武は黒影飛行部隊の一斉射撃をその装甲で跳ね返すと、ターンテーブル付きのDJ火縄銃を取り出してスクラッチしながら乱れ撃ちを繰り出し、凄く嫌な感じの武器です(笑)
 持つべきものはスポンサー! と大暴れする勝ち鬨鎧武は、強化フォーム初登場という事で力の入った銃撃戦で迫力があるのですが、そこはヒーローフィクションとして気にしてくれるなというのはわかるにしても、裕也の件についてあれだけ悩んでいた後で、黒影は何やっても死なない、みたいなアクションをされるとどうしても素直に呑み込みにくい部分が出て、物語のテーゼとアクションが衝突してしまっているのは、ヒーロー物としてはどうしても“巧くない”部分を感じてしまいます。
 この光景をモニターしたプロフェッサーは大興奮。
 「どうしてあなたは……素直に僕に従ってくれないんです」
 そしてミッチは、本格的に病んだ面を表に出し始める事に。
 勝ち鬨鎧武は、幟に見せてビームサーベル、かと思ったら幟そのままで黒影部隊を薙ぎ払うが、そこにメロンが到着。
 「確かに俺は過ちを犯した。だからこそ、同じ過ちが繰り返されるのを見過ごせない!」
 幟から通常装備の刀に持ち替えた勝ち鬨鎧武とメロンが激突し、ここ最近の射撃対決路線から、しばらく正攻法のチャンバラ。
 「俺は諦めない! 犠牲が必要だっていうなら、それを求めた世界と戦う!」
 ようやく場当たり的ではない、紘汰にとっての真のヒーロー宣言といえるものが出てくるのですが、ほぼほぼDJの受け売りで、ヒーローへの道は、まだまだ遠く険しい……。
 鎧武は再び箒にまたがって、大量破壊兵器を使用不能にするとそのまま飛び去っていき、勢いでメロンが負けなかったのは、ホッとしました。
 飛び去り間際に、大規模な隠蔽工作を出来なくなった以上、秘密を守り通したいなら本気でインベスを倒せ! と捨て台詞を残していくのですが……インベス関係の設定を考えると実際にはユグドラシル側は以前からインベス退治業務を手抜きせずに行っていたと思われるので、ユグドラシルが200匹倒している内に、鎧武が3匹倒したら、一方的に文句を言われているみたいな気がしてなりません。
 というよりも、前半に悪役としてのユグドラシルを強調する為に「インベスを放置している」事にしたのが明らかに基本設定と噛み合っていないので、あまりそこ突かない方がいいのではというか。
 「誰があの男の背後に居るのか、突き止めなくては」
 プロフェッサーはぷるぷると拳を震わせ、ミッチは瞳に暗い炎を宿して、つづく。
 ところで、次回予告の前に「仮面ライダー鎧武/ガイムはフィクションです。」とテロップが入るようになったのですが、何かあったりしたのでしょうか。
 次回――DJおじさんの秘密?