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みんな確かに信じていた

『魔進戦隊キラメイジャー』感想・第42話

◆エピソード42「仁義なき戦い」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:下亜友美)
 「この技でクリスタリアを守るんだ! 閃きは世界を救うんだ。だから僕に任せておけ!」
 子供の頃から!
 暖め続けていた必殺技を!
 今、遂に自らの手で実現!!
 ……人類なら誰しも抱く夢が達成された、栄えある瞬間でありました。
 何者かの意識とシンクロした充瑠が出会った鉱石人の少年が、王様ではなくガルザなのはわかりやすいミスディレクションでしたが、この局面でまた、王様がきな臭くなってきた!(笑)
 充瑠はクラスメイトに叩き起こされて夢から目を覚まし、直後に柿原さんに否定的なツッコミを受けるのですが、補習完全無視で眠りこけていた充瑠を叩き起こしてくれる同級生カップル男子、割といい奴なのでは……?
 もはや補習の常連と化している趣きのある充瑠ですが、キラメイ活動で忙しい……という事情はありそうなものの、真っ正面から、今、学業に興味が無いのでどうでもいいです! といった貫禄さえ漂うのは、いっそ潔い(笑)
 メタ的には、「補習」という事にしておけば教室の生徒数が少なくてもリアリティが出せる事情などもあるのでしょうが、恐らくそんな充瑠と時間を共有する為に敢えて補習に参加するようにしている、柿原さんの、愛。
 もう無いかと思っていた柿原さんの再登場は嬉しかったですが、脚本の下さんが柿原さんをお気に入りらしく、柿原さんを是非出したいと推したのか、或いは柿原さんが出てくる事になったので是非書きたい、と手を挙げたのか。
 同級生カップルがニヤニヤと見守る中で柿原×充瑠の正調ラブコメが描かれ、外野の視点の存在で場の空気が非常にわかりやすくなっているのですが、登場3回目ながら同級生カップルがかなりいい味を出していて、第1話の登場人物を活用してくれたのも、嬉しかったところ。
 一方ヨドンヘイムでは、ヨドン皇帝と謁見したガルザが皇帝との一体化を望んでいた。
 「我が意識の一つになるというのか?」
 「はい。そもそも私は力を求めてヨドンヘイムの一員となりました」
 「我の力が欲しいか?」
 「はい。さすれば、ヨドン様の尖兵として、わたくしめが、地球の大部分を汚染し、ヨドン様が降臨する準備を整えます」
 「よかろう。我の中に来い!」
 皇帝の複数人格は、他者を内部に取り込む事ができる能力と明らかになり、インパクトのある紅一色の空間でヨドンナを発見すると、とりあえず起こすのが凄くガルザですね(笑)
 「ここは我の意識の部屋だ」
 ガルザが皇帝に代わって玉座に腰掛けると肉体の主導権が移り……象徴的でわかりやすい映像表現ではありますが、ヨドン皇帝はこれまでずっと、ヨドンナとして行動中は玉座の後ろに隠れていたのでしょうか(笑)
 「これがヨドン皇帝の力! 凄い! ……俺は皇帝と、一体化した」
 ガルザは莫大な澱みのオーラを噴出し……皇帝との謁見そのものが唐突だったのに加えて、急激な強化により、コツコツ積み立ててきた邪メンタルがどこかに吹き飛んでしまったのは気になるのですが、邪メンタルが一定の段階を越える→シャドンを失った皇帝に注目される→クランチュラの離反を見て千載一遇のチャンスと動く、ぐらいのガルザ側の動きがあった方がスムーズだったというか、そういう補完をする必要が出てしまったというか。
 「やーだ為くん、まだ巫女さんヨドンナ引きずってたのー?」
 「「やだー」」
 「引きずるかっ!」
 為朝×ヨドンナに関しては、身内からのツッコミで始末を付けて山に埋められ……まあ、一目惚れした女の子は実は、その娘の父親の女装でしたは、真面目に考えると一生もののトラウマになりそうなので、これ以上は掘り返さないであげた方が良さそうですね……。
 「ガルザに頼まれたこれが、私の最後の創作物になるかもしれない」
 爆弾かかえたクランチュラを、マシュマロの君のコンサート帰りの宝路が発見して追いかけ始めていた頃、地球に降り立ったガルザが放出した闇の霧に触れた人々が、ペチャット化していく事件が発生。充瑠の学校も霧に飲み込まれて同級生カップルがペチャット人間と化し、一緒に逃げ出そうとした柿原さんも、闇に飲み込まれてしまう事に。
 「熱田……行って! 絶対に助けてね…………一緒に遊園地に行くんだから!」
 「待ってて! 絶対に助ける!」
 22話ぶりの登場にしてヒロインレースに全力でドロップキックを入れてきた柿原さん、登場回数と間隔を考えると若干無理のあるブーストぶりではありますが、今作アベレージの高さによるゲストキャラへの印象の良さもあって、まあいいか……ぐらいの気持ちになれるのは、作品の積み重ねてきたものの強さといえましょうか。
 未登場の間も、ちゃんと『キラメイ』世界で生きていた感が強いというか、そういう点でも、エピソード自体はそこまで評価してしないものの、充瑠の学園生活フィーチャー回はホントやっておいて良かった一本でありました。
 柿原さんのみならず、プログラムの写真という飛び道具で秋保さんを出したのならば、他のキャラもそれぞれ一人ずつ、関わったゲストが間接的にでも出せればより盛り上がりましたがそこまではさすがに難しかったようで残念。
 「地球はこれでおしまいだ! へっへー!」
 なし崩しで善良扱いの懸念されたクランチュラは、自由で楽しい創作を求める魂と地球の平和は別に一致しない事を見せつけて遁走し、引き続き銀がそれを追いかける一方、充瑠はココナッツベースに合流。
 「姫様! 案ずるなかれ! 儂と為朝の力を持ってすれば、ヨドン皇帝などちょちょいのちょいじゃ!」
 「その通りです。わたくしとお嬢様の愛の力を見せつけてやりましょう!
 「僕とアニキのペアで、ぎゅいーんとやっつけちゃうんだからー!」
 「小夜サンとヘリコのエモエモパワーで、戦意喪失、させちゃうもん!」
 「充瑠、何があっても俺たちは負けねぇ。俺たち全員で、キラメイジャーだからな!」
 これまでにないヨドン軍の大規模攻撃にたじろぐ充瑠らにそれぞれの相棒が声をかけ、博多南が特定した霧の中心に立っていたのは――禍々しい気配を身に纏うガルザ!(ここの、CARATカメラによる5段階ズームインが格好いい)
 出撃する5人だが、皇帝パワーを得たガルザは一刀の元に赤を吹き飛ばすと、不死鳥モードとなった残り4人も子供扱いで軽くひねり、これがノーマルガルザ最後の立ち回りになる可能性もあってか、非常に格好いい殺陣。
 「結局最後に勝つのは力! この世のものを服従させる、強大な力だ!」
 「違う! 力だけじゃ、何も作れない! 小さい頃のオラディン王だって、「閃きは世界を救う。だから僕に任せておけ」って言ってた!」
 「ッ?! 閃きは世界を救う……? そんなものは戯れ言だぁ!!」
 赤を踏みにじるガルザは皇帝に席を譲り、程よく澱みの満ちた地球に、いよいよヨドン皇帝が降臨する、が――
 「今こそ! 私の一世一代の大勝負!! おーりゃーーーー!!」
 「え?! 何してんだ?!」
 「ん……?」
 直後、クランチュラの投擲した爆弾が、皇帝の眼前で炸裂。
 「体が……動かん……?!」
 「効いたようだな。ふははははははは!!」
 意識の部屋の中で高笑いするガルザは皇帝を裏切るとヨドンナをパンチ一発で気絶させ、身動きできないヨドン皇帝を一刀両断してその玉座を奪い取る。
 「今から、この肉体は、俺のものだ」
 ヨドン皇帝の姿が主導権を握った巨大ガルザに取って代わると、更にそれは黄金の鎧を身につけた新たな姿へと変貌。
 「俺は生まれ変わった新しい皇帝。――ロードガルザ」
 格好……は正直良くないのですが、ここまでの成り行きを考えると、これがガルザにとっての「理想の俺」でありましょうか。裏切り者として処分されそうになったクランチュラを助けたガルザは、クランチュラにある計画を打ち明けていた事が明らかに。
 「ヨドン皇帝を乗っ取る?! 本気で言ってんのか?!」
 ガルザは無言のまま横を向き、その意志の強さを汲み取るクランチュラさん、の間がやたら格好いいんですが(笑)
 「……いひっ、面白いじゃないか。皇帝の意識を弱体化させる爆弾を作り、私が起爆させよう」
 ヨドンヘイムにも地球にも居場所はなく、二度も命を救われた事に加え、創作者魂に火の点いたクランチュラはこの仕事を請け負い、案の定、組織の軛を外れたら完全にダメな人になっていますが、そんなクランチュラに自分の運命を賭けた大博打の成否を委ねる、ガルザからの信頼感が物凄い事になっており、面白侵略活動コンビの集約点として、大変ぶっ飛んだところに辿り着いてしまいました(笑)
 どうしてあなた方、気がつくとこの状況でお互いの運命を預け合ってるの……?!
 ロードガルザの偉容に5人が愕然とする中、博多南さんが出撃の音頭を取り(最終章という事で、全体的に台詞の配分にかなり気が配られている感じ)、現着するキラメイストーン。
 「「「「「まっしーん!!」」」」」
 「アニキ! 来たよ!」
 「小夜さーん! しっかりしてして!」
 「お嬢様! お気を確かに!」
 「為朝! 乗り込め!」
 上で、「他のキャラもそれぞれ一人ずつ、関わったゲストが間接的にでも出せれば……」と書きましたが、前半と後半に一回ずつ、キラメイストーンとの関係性を補強してくれたのは大変良く、こちら優先は納得のいくところ。
 「おい充瑠! どうした? 早く乗れ!」
 「……す、すご……す、す……すっげー!! なにあれ?! あんなにわくわくする姿、俺、始めてだよー?!」
 一人だけ地上で固まっていた赤をファイヤがせき立て、ちょっと急に妙なテンションすぎる気はしますが、ロードガルザ=「ガルザの理想の俺」だとすると、その姿に充瑠との同調率が高いのは不穏な前振りで、「果たして充瑠は誰とシンクロしていたのか?」を含めて、何か大きなひっくり返しがあるのかは、楽しみなところ。
 銀はクランチュラの嫌がらせを受けてその後を追い、5人はキラメイジンを合体させるが、勢いはともかく戦力としてはほぼ期待できないキラメイジンの必殺剣は、あっさり打ち破られてしまう。
 「俺は最強になった。何をやろうと無駄だ」
 助っ人に呼び出したキングエクスプレスとザビューンも合体前に撃墜され……あれだけ思い入れの強かったジョーキーがどこか消えてしまったのも残念ですが、最後に王様との絡みで何か意味が出てくる事に期待したい要素。
 ロードガルザの重力攻撃によりキラメイジンはバラバラに吹き飛ばされ、フェニックスした赤は王様を召喚。
 「その姿……ガルザ! おまえはどれだけ好きにすれば気が済むのだ! おまえは必ず私が倒す!」
 「ほざけ!」
 事ここに至ってようやく「倒す」宣言の出る王様、「どれだけ好きにすれば」と、むしろガルザが言いたそうな発言を含めて、この二人の関係性も綺麗に収まってほしいところです。
 ロードガルザに苦戦するグレイトフルフェニックスは、お休み中の2話に編み出したとっておきの必殺技を繰り出すが、ロードガルザはそれを一蹴。王様の真・必殺技が、夢の中で見た少年の描いていた技ではない事に驚く赤だが、その技――トルネードスクリュークラッシュを繰り出したのは、なんとガルザ!
 「今の技……あの子が描いていた絵と同じ!」
 「なに……? なぜ貴様がその事を知っているのかは知らんが、この技を考えたのは俺だ」
 「じゃ、あの子は王様じゃなくて……ガルザ?!」
 ここでガルザの必殺剣が、いかにも子供の考えそうな名前、なのがポイント高いのですが、皇帝パワーを我が物としたガルザは、幼き頃に夢見た必殺技で恨み重なる兄を打ち破り……つまり「出せた……アバンストラッシュが出せた!!」ですが(ゴッドハンドでもドライブシュートでも水面斬りでもなんでも可)、オリジナル必殺技実現の為に理想のパワーを求めていたのかと思うと、ガルザの動機に全て納得が行ってしまいました(笑)
 夢を叶えたロードガルザは、重力攻撃で王様フェニックスを捕らえると、ヨドンヘイムでの処刑を宣言。ここで私怨を優先してしまったのが大きな一失となりそうですが、充瑠たちが絶叫し、クランチュラはおまけコーナー枠で銀にワンダーふん縛られて、つづく(笑)
 ヨドン皇帝はガルザの踏み台にされて退場とは思えないので、次回予告を見る感じ、ガルザとの決着を付けた後で、ラスト2話が真打ちヨドン皇帝との決戦になりそうでしょうか。モンストーンがここまで完全無視なのは少々引っかかりますが、幼いガルザの絵で斬られていたのがモンストーンだったので、クリスタリア土着の敵対的生物なのか、それとも何かもう一ひねりが待ち受けているのか。
 決戦の場で充瑠たちを待ち受けているのは一体どんな真実なのか、楽しみにしたいです。