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高速戦隊ターボレンジャー』感想・第27話

◆第27話「少女暴魔リン」◆ (監督:東條昭平 脚本:渡辺麻実)
 「洋平、鈴なんか付けちゃって。また女の子からもらったんでしょ?」
 「そ。でも女の子じゃないぜ。年上の人」
 どうやら洋平はメンバー内部のモテキャラと認識されているらしく、カバンに鈴を付けて歩いているのをからかう4人だが、思わぬボールが帰ってくると、開いてはいけない扉を開いてしまったの?! と揃って固まるのが妙なリアル(笑)
 ジャーミンに追われていた少女を助けて太宰邸に保護する5人だが、それはターボレンジャーの懐に潜り込もうとする暴魔の作戦で、少女リンの姿に化けた鈴鳴一族の姫・スズナリボーマによる、ターボレンジャー洗脳計画が始動。
 「ふん、これしきの三文芝居で、奴らが乗ると思うのか?!」
 「なにぃ?!」
 ホント暴魔百族の幹部陣は、突然せせこましく揉め始めますね……。
 首尾良く太宰邸に乗り込んだリンだが、シーロンにあっさり思惑を見破られるとシーロンを攻撃して逃走。それを知らない洋平を騙して海へと向かい、すっかりデート気分の洋平は、鈴に関する思い出をリンへと語って聞かせる。
 「大好きだった人が、くれたんだ」
 それは子供時代の洋平が、結婚する憧れの先生から貰った鈴であり、だいぶ引きずっている洋平の優しさに触れたリンは術をかける事を躊躇うが、気の短いジャーミンが姿を見せると術をけしかけ、潜入工作→マッハでバレる! 考えなしに妖精に直接攻撃!→マッハで逃げ出して作戦破綻! 運良く洋平をひっかける→マッハで上がる二人の友好度! 術をかけられない→マッハでネタをバラすジャーミン! と、色々マッハでぐだぐだ。
 「鈴」をキーアイテムにするにしてもリンが洋平にほだされるくだりがあまりにも強引ですし、洋平と鈴の挿話自体がだいぶ無理がある(小学生時代に貰ったのに今回いきなりカバンに付けているのに仲間達が気付くのは、気分の問題で済ませるには納得しにくい)ので諸々の説得力が低く、加えて折角新規の脚本家なのに、悲恋物マイスター藤井先生と方向性が丸被りになってしまったのもマイナス。
 「馬鹿野郎! なぜリンを逃がした!」
 「あの子はボーマだぜ! わかってんのかよ?!」
 いや君ら、相撲とか、氷魔とか、色々あったよね……?
 まあ、リンの攻撃でシーロンが負傷している事実はあるわけですが、物語の大きな背景となっている2万年前の大戦において、ラキアの大親分に心動かされた暴魔獣が存在した――話の通じる暴魔も存在する――のは既に今作の基本的な事項となっているので、裏切りに憤っているなど理由はつけられるものの、物語全体の流れからはスムーズに受け止めにくい展開になってしまいました。
 責任を取る、と一人で走る洋平だが、再び現れたリンは洋平に術をかけると仲間達を襲わせ、一族を人質に取られてジャーミンの策に従っていた鈴鳴ボーマが、見せしめに一族を殺されると改めて術をかけに出撃するのもどうもわかりにくく(映像上は、一族が全滅したように見えるので……)、カットシーンの選択にも問題があったのかもですが、とにかく全体的に右にフラフラ左にフラフラ、かと思えば背後からワープ! みたいな形で登場人物心の動きが不規則。
 特にここまでの今作が、話の要点を絞り、物語の軸線を真っ直ぐシンプルに描くのが持ち味だっただけに、デコボコ加減が悪目立ちします。
 赤が青を食い止めている間に、黒黄桃がリンを捜索し、黄黒の攻撃によって鈴が落ちると術は解け、逃げようとしたリンはジャーミンの攻撃を受け、爆死。暴魔獣としての正体(声もデザインも老婆寄り)を見ても必死に駆けよってジャーミンに怒りを燃やす青は格好良かったのですが、暴魔百族の設定的空白を上手く広げられず、逆にヒーローと怪人ポジションの交流の軸を終始ふわふわしたものにしてしまって残念。
 巨大鈴鳴ボーマの、全身の鈴を鳴らす音波攻撃に苦しめられるターボロボだが、ターボカノンで反撃を入れると、高速剣バッテン斬りでビクトリー。
 苦い勝利を経験したターボレンジャーは、卑劣な暴魔百族に怒りを新たにするのであった……。
 『超新星フラッシュマン』(1986)第25話の照井啓司以来となる、曽田博久・藤井邦夫・井上敏樹、以外の脚本家の参戦(厳密には、『フラッシュマン』第40話の脚本が長石多可男)となりましたが、経験値不足なのか演出との相性が悪かったのか、定番の内容なのに、アレンジを凝らすべき要点が軒並み雑で、パッとしない出来。
 次回――予告の勢いが『80』ぽいのですが、どこまで語られてしまったのか(笑)