『高速戦隊ターボレンジャー』感想・第23-24話
◆第23話「幽霊いっぱい」◆ (監督:長石多可男 脚本:藤井邦夫)
青春は、合宿だ!
夏休みに入り、体操部の俊介は臨時教官もといマネージャーを請け負ったはるなと共に合宿所のある野辺山へ向かっていたが、その地は今、封印から復活した幽霊ボーマの脅威にさらされようとしていた!
白装束で長い髪を前に垂らしたオーソドックスな幽霊スタイルを、垂らした髪にあたる部分の中に光る眼を置く事でドジョウ系のモンスターの顔に見立て、背中には翼のように卒塔婆を展開する事で、幽霊の要素を抑えつつ独立した怪人として成立しているのがなかなか秀逸なデザインの幽霊ボーマが何をするかというと、襲った人間を次々と白装束の幽霊人間に変えていくとんちきぶりが、凄く暴魔百族です。
俊介の寝坊により、部のメンバーから遅れて野辺山に到着した俊介とはるなは、封印の要であった妖精の羽を拾った事からズルテンに襲われていた少女を助けるが、既に村中に広がった幽霊人間に囲まれ、はるな軍曹、まさかの気絶。
「なに? 幽霊がいっぱい?」
はるなからの通信は謎のメッセージとして太宰邸に伝わり、夏休みは太宰博士の家でじっと座っているのもまた、青春だ!
孤軍奮闘する黄は幽霊ボーマの卒塔婆ミサイルを受けながらも、なんとか軍曹と少女を抱えて逃走に成功し、夏の怪談風味の演出をメインに据えつつ、幽霊人間にされてしまった父を心配する少女の想いと、それを励ますヒーローの姿が織り込まれていく事に。
「2人を血祭りに上げ、日本中を幽霊でいっぱいにするのだ!」
こんな作戦(?)で、めっちゃメラメラテンションMAXのレーダですが、暴魔百族では通常運行です。
「ユウレイボーマ! お父さんを返せ!」
幽霊軍団に追い詰められる俊介たちだが、少女が突撃を敢行すると妖精の羽が発動して幽霊ボーマが激しく吹っ飛び、一時的に幽霊軍団がかき消えたところに、便利なシーロン知識により俊介&はるなの危機を知った赤黒青が到着。卒塔婆爆弾を受けて再び逃走を余儀なくされるものの、妖精の羽が暴魔獣の弱点だと知ったターボレンジャーは反撃作戦をスタートし、洋平の発案により白装束を着込んで幽霊たちに紛れ込む事に。
そういえば特に参謀ポジションの明確でなかった高速戦隊ですが、怪談から一転、コミカルな描写でうらめしや作戦が成功し、村内をフラフラしていた幽霊ボーマを発見すると高速チェンジ。
妖精の羽を矢の先に取り付けてボウガンで打ち込む割と酷い攻撃で幽霊ボーマは大爆発し、苦しむボーマにVターボバズーカをぶち込んでビクトリー!
巨大戦は卒塔婆ソードを振り回すボーマとのチャンバラとなり、前蹴りを叩き込んでからのサーベルストレート、そして高速剣バッテン斬りで勝利を収め、パースを効かせた伸びるソードによる突き攻撃の画は非常に格好良く、ロボ戦のワンパターン化を避けようという工夫は、今作の光るポイントです(後の高校生戦隊である『メガレンジャー』の巨大ロボも伸縮ソード攻撃を行うのですが、今作のオマージュだったのかも)。
村は無事に元の平穏を取り戻し、俊介はようやく合宿に合流して、めでたしめでたし。
ヒーロー物の要点をシンプルに押さえ、特別跳ねるわけでもないが、酷く破綻する事もない、良くも悪くも『ターボレンジャー』らしいスタイルの一篇でしたが、怪人デザインの秀逸さは見ていて楽しく、プラスポイントでした。
次回――これは、行川アイランド?!
◆第24話「怖い! 夏の海」◆ (監督:新井清 脚本:曽田博久)
「おおあれだ! 遂に見つけたぞ!」
房総の海に勢揃いした暴魔幹部陣が、キャプテン・クックの財宝もとい、2万年もの間、海を漂い続けていた南の国からの使い――見た目はただの椰子の実――を発見していた頃、くしくも力たち5人も房総を訪れていた。
「お~~っと、やってきました、行川アイランド!」
『快傑ズバット』や『世界忍者戦ジライヤ』にも登場した、お馴染み行川アイランド協賛回で、大地は猿の真似を披露し、はるなはそれに笑い転げ、洋平はポリネシアンショーに情熱を燃やし、俊介は土産屋の仮面でおどけ、力は……
「俺たちの夏休みは今日だけだ!」
UGMみたいな事を言い出していた。
……まあ君たち多分、本来は受験生だものな……。
暴魔幹部陣が勢揃いしているところを見ると、メタ的には折り返し地点での慰労会なども兼ねていた可能性がありそうですが、メインの役者陣は本当に、夏休みが一日しか無かったのかもしれません。
5人の若者が焼き肉に青春を燃やしている頃、暴魔幹部陣が拾い上げた椰子の実から、椰子の実ボーマが大復活。その放つトーテムポール光線を受けた人々は次々と仮面にされ、椰子の木トーテムポールに貼り付けられてしまう!
「ヤシノミボーマ、今こそ2万年前の約束を、果たすのだ」
人間トーテムポールで集めた魔力を使い、南の島に未だ眠る大量の椰子の実ボーマ軍団を目覚めさせて戦力大幅アップを目論む暴魔百族だが、お互い運の悪い事に房総の地でターボレンジャーとご対面。
「暴魔百族め! どうしても俺たちには夏休みをくれないってんだな!」
夏休みだと思って油断していたら全面抗争が勃発し、色々な意味で大事なトーテムポールを、武器として振り回す暴魔獣。
両親を仮面にされてしまったカナヅチ少年の言葉でトーテムポールの秘密を知るターボレンジャーだが、暴魔百族の計画は順調に進行し、いよいよ溜まった魔力とポリネシアンショーの組み合わせにより、椰子の実ボーマ軍団大復活の儀式が開始!
行川アイランド回に限らず、70~80年代頃の観光タイアップ回ではしばしば現地ホテルのハワイアンショーなどが挿入されますが、それがここまで本編に組み込まれるのは、割と珍しい例なのでは(笑)
冒頭のショーのシーンで、南の島の音楽が椰子の実ボーマの魂を震わせるのだ! としっかり伏線は設置されており、踊り子をさらった暴魔百族は儀式の為のダンスを強要……結果として、大量の人間を生け贄に使った戦力大増強作戦において幹部勢揃いで行われるのが、ポリネシアンショーの見物という、戦隊史上でもかなり上位に来ると思われる酷いシチュエーションが誕生(笑)
大帝様、このノリを許容しているから、離反者続出で2万年前の人類妖精連合との戦いにも敗北したのでは……。
儀式の阻止に向かう高速戦隊だがジンバ部隊の足止めを受けてしまい、行川アイランドから人類絶滅の幕が開きかけたその時、おまえ達はお呼びでない、と捨て置かれていたマッチョな男性ダンサーズの踊るハカが5人の若者達の闘志を甦らせ、ターボレンジャー……光は絆だ!(なお、この前振りもちゃんとありました)。
ジンバ部隊を突破したターボレンジャーは間一髪で儀式を妨害し、南の国から椰子の実大作戦が失敗に終わった暴魔百族は嫌がらせでトーテムポールを攻撃。ターボレンジャーは身を挺してこれを守るが、その余波で両親のトーテムポールが海に落ちてしまうとカナヅチ少年は勇気を出して海へ飛び込み、それをは見た5人は久々の主題歌バトルで暴魔の軍団と激突。
椰子の実ニードルの突き刺さる赤だが、コンビネーションアタック二刀流で反撃を決め、話数的に折り返し地点という事があってか、意識して初期のターボレンジャーらしいアクションを用いてきたようにも見えます。
Vターボバズーカでビクトリーから、巨大戦では椰子の実の手持ち武器を奪い取ると、力強いスイングで椰子の実爆弾をピッチャー返しし、ターボガンで一撃必殺。
行川アイランドは平穏を取り戻すのであった。
次回――色々ギリギリな感じの予告(笑) そして、暴魔百族からまた離反者が出そうな予感。