東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
旧ダイアリー保管用→ 〔ものかきの倉庫〕
特撮作品の感想は、順次こちらにHTML形式でまとめています→ 〔特撮感想まとめ部屋〕 (※移転しました)
HP→〔ものかきの荒野〕   Twitter→〔Twitter/gms02〕

転校一直線!

高速戦隊ターボレンジャー』感想・第13-14話

◆第13話「魔女をワナにかけろ!」◆ (監督:新井清 脚本:藤井邦夫)
 若い女の恋心と生命力を奪うタメイキボーマを暗躍させ、恋する若い女の明るい笑い声は平和の象徴だからこの世から消し去ってやる! と意気投合する暴魔幹部陣(笑)
 作戦内容からするとジンバ担当でも良かった気はするのですが、アギトボーマ回と重なりすぎるのと、あまりにも僻み根性で情けなく見えるという判断だったのか、作戦はジャーミンが担当。
 はるな友人や山口先生が次々と暴魔に恋心を奪われてしまい、原宿のババの館が怪しいと探りを入れる高速戦隊は、恋心を偽装する装置ではるなが暴魔を引っかけ、
 「残念ながら私は恋はしてないわ!」
 と断言するのが、やたら男前(笑)
 「恋する女のシンボル、結婚式場の花嫁を、無差別に襲え!」
 作戦方針を変更したジャーミンの指示により、魔女モチーフの溜息ボーマはホウキにまたがって空を舞うと、次々と結婚式場を襲撃。クルクルシーロンマジックによって振袖で着飾ったはるな(&タキシードを着た男衆)が式場に潜入してボーマを待ち受けるが、空飛ぶボーマに翻弄されて取り逃がしてしまう。
 「ホウキよ! あのホウキを奪わなきゃ!」
 今度は神主と巫女に変装して神社で待ち受け、さらりと祝詞を読む洋平(笑)
 そして、御幣に仕込んだ銃を撃った!!
 短時間にトンデモが凝縮されているのですが、ジャーミンとズルテンの介入でまたも逃げられてしまい、最後の作戦は、はるながウェディングドレスをまとっての偽装結婚式(相手は力)。
 「恋する乙女の明るい心を奪い取り、溜息をつかせて苦しめ、死に追い込むなんて絶対に許さない!」
 見事に誘き寄せた溜息ボーマのホウキを力がへし折ると、はるなが3カット分割で啖呵を切り、はるなならでは感の薄かった暴魔ゾンビ回に対して、今回は友情を発端に華やかな衣装チェンジ3回を披露する事でしっかりとしたキャラ回になっていたのは良かったところ。
 難を言えば、コスプレ作戦3段階目の偽装結婚式が尺も短く雑な見せ方で、一つ前の御幣マシンガンの方が面白くなってしまって、ピークの場所がズレた気がするところでしょうか(笑)
 ドレス姿からの変身で主題歌バトルに突入しで、巨大戦は二段斬りでフィニッシュ。
 「うるさいけど、溜息ばかりついているよりはいいよな」
 「それにしても山口先生、本当に恋してんのかな?」
 顔を見合わせる男性陣だが、そこをフランスパン片手に自転車にまたがった近所の不審者もとい妖精おじさんもとい太宰博士が通りがかると、山口先生がはにかんだ表情を見せ、仰天する5人で、つづく。
 突然の、山口→太宰は、藤井先生の筆が滑ったのかなんなのか(笑) 博士は博士で、やたら親しげに山口先生に挨拶をしていくのですが、団子回から今回までの間に二人に一体なにがあったのか……まあ博士、妖精関連にさえ目をつぶれば、それなりの二枚目かつ資産家であり、山口先生が学校に遅刻しかけていたところを、通りすがりの博士がスポーツカーで送ってくれていたりすると、博士が格好良く見えてしまう事もあるかもしれない……!
 次回――学ラン転校生、投入。

◆第14話「参上!さすらい転校生」◆ (監督:長石多可男 脚本:曽田博久)
 ある日、口笛と共に3年A組に現れた学ラン姿の転校生――その名は、流星光(ながれぼし・ひかる)。
 「人呼んで高校流れ者――さすらい転校生、流れ星」
 しょ、職業なの?!
 学帽を斜めに被っているので顔立ちがハッキリしない上に長身で体格が良く、あまり未成年に見えない事にまず困惑するのですが、なんだか世界観の違う転校生は、背に流れ星の刺繍が入った学ランをクラスのメンバーに見せつける……ちょっとお茶目な奴かもしれなかった。
 「流星光、よろしく」
 「そんなの聞いてません!」
 「だから今入ったのさ! このクラスが気に入ったんだ」
 20年は前のバンカラノリで傍若無人に振る舞う流星は、大地の席を奪おうとして睨み合いになり、水泳部や体操部に乱入すると高速戦隊メンバーへの喧嘩腰の挑発を繰り返し、続けて野球部では魔球マンガめいたアクロバットな動きで力と激突。
 「おまえ、ターボレンジャーだろ?」
 「……なんのことだかさっぱりわからんな。仮にもしそのターボなんとかだったらどうだっていうんだ?」
 「お友達になりたくてな」
 流星は校庭でバトントワリングをしていたはるなにも視線を向け、第14話にしてはるなの所属部活が判明。視線に気を取られたはるなが木の枝に引っかけたバトンを、人間離れした跳躍で回収した流星は、丁寧にハンカチでぬぐってから渡す紳士ぶりを見せ、ハンカチにも流れ星の刺繍が入っている徹底ぶり。
 音楽室では激しくも華麗にピアノを奏でると、群がるギャラリーの前で背面弾きを見せつけ、これは鍵盤の上に乗って足で弾く流れ……?! と思ったら鍵盤の上で倒立弾き……!
 恐らく実写版『柔道一直線』(『仮面ライダー』前夜の平山亨プロデュース作品)のパロディというかオマージュと思われるのですが、この辺りの文脈を90年代以降に井上敏樹が時代に合わせた咀嚼を交えながら継承しているのが窺えるのは、面白いところ。
 シーロンに確認を頼むも流星から暴魔の匂いは感じられず、困惑しているところに、兜山古墳でドグウボーマが大復活。現場に向かったターボレンジャーが目にしたのは、頭だけ出して土中に埋められた人々の姿で、更にジャーミンの武器を弾き飛ばす謎のニューカマーが乱入し、まだAパートも終わっていないのに、情報量過多で脳が沸騰しそうです(笑)
 「そいつらは俺の獲物だ」
 「何者だ?!」
 「流れ流れて2万年。流れ暴魔ヤミマル、只今参上!」
 曲刀を構え、顔を仮面で覆い、「さすらいの一匹狼」を自称する謎の暴魔がターボレンジャーに襲いかかり、今作ここまで、派手なパンチはないものの、わかりやすい戦隊作劇を志向したオーソドックスで安定した作りだったのですが、2クール目早々にスピン! スピン! ピッチャー返し! が炸裂してターボレンジャーの個人武器が次々と弾き返され、今このタイミングで六尺玉を打ち上げる必要はあったの?! と狼狽します(笑)
 なお、流星とはるなの接触が紳士的に描かれた事から注目されたピンクターボへの対応ですが、物凄く普通に殴り飛ばしたので、別人の可能性も捨てきれません……。
 ヤミマルはレッドターボのスーツを切り裂くと、5人の決め技プラズマシュートを一刀両断! エネルギー弾が空中で真っ二つにされ、左右に分かれて落下すると大爆発が起こるシーンは大変格好良く、迫力満点。
 「分かったか。流れ暴魔ヤミマルの凄さを。ターボレンジャー覚悟!」
 突然の強敵の出現に5人はやむなく逃走し、振り上げた刃の落としどころを失ったヤミマルは、謎の力で土偶ボーマを土偶状に戻すとそれを強奪して撤収。
 シーロンさえ知らない流れ暴魔、とは……
 「流れ暴魔とは、暴魔百族にも加えてもらえぬ、半人前の暴魔よ。恐らく二万年前、封印をまぬがれたのであろう」
 「しかし、そのような半人前の暴魔が、なぜプラズマシュートを破るほどの技を持っていたのでしょうか」
 「恐らく二万年の間に腕を上げたものと思う」
 大帝の推測するように、その正体は二万年間レベルを上げ続けた最強のゴブリンなのか? 思わせぶりに姿をちらつかせる流星に疑念を抱く力たちの前に、土偶ボーマを連れたヤミマルが現れ、第二ラウンド開始。
 ヤミマルの肩に姿を見せたクモの吐く糸が槍へと変じ、どうやら、ざんばら髪と衣装の縞模様はクモのイメージのようで、今作の伝奇テイストを考えるとつまり、流れ暴魔の底本は、まつろわぬ民としての土蜘蛛でありましょうか。
 槍の次は鎖鎌、そして剣、と多彩な武技を見せつけるように振るうヤミマルだが、戦士の誇りとかは特に持ち合わせていないので相手の土俵には乗らない赤が飛び道具を放ち、弾き飛んだ剣が背後でぼんやり立っていた土偶ボーマの頭部にクリティカルヒット。弱った土偶はコンビネーション攻撃からGTクラッシュで始末され、哀れすぎる奴……。
 ヤミマルは口笛で呼び出したクモの呪力で土偶ボーマを巨大化すると姿を消し、何故か暴魔獣を奪い取って手駒にする → 正面から手駒と一緒に襲いかかる → 手駒がやられると帰る、と、巨大戦ノルマの都合で敵の行動原理が意味不明になる戦隊作劇の一番駄目なパターンに直撃してしまい、嵐を巻き起こそうとする新入生だけに大変残念な事になってしまいました。
 ターボロボは巨大土偶のボディへの連続パンチから投げ落としを決めるも、土偶フォームからの光線を受けるが、強烈な飛び蹴りを決め、元の姿に戻ったところを高速剣のカウンターから二段切りでフィニッシュ。
 新たなる強敵が現れて必殺技を破られ、新兵器の開発へ……という展開なのですが、改めて一般の暴魔獣は個人必殺攻撃でさっくり倒せる事が証明されてしまった為、一方的に粘着してくる第三勢力(敵は敵ですが……)への対策、という微妙なスケール感になってしまい、巨大戦ノルマ同様に、手段と目的が混線気味。
 ヤミマルもヤミマルで訳あり風味に描いてしまった為(ただのバトルジャンキーの可能性もありますが)、強敵撃破へ向けて物語を走らせる為の火種がどうも弱いのですが、次回もう少し諸々噛み合ってくれるのに期待。