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時代遅れの守護神でいい

『魔進戦隊キラメイジャー』感想・第31話

◆エピソード31「おもちゃ」◆ (監督:加藤弘之 脚本:荒川稔久
 見たかったなぁ……東京ミニチュア化作戦(笑)
 アバンより前に名前を検討される事もなく邪面師が抹殺され(邪面獣の能力を考えると、スマホ邪面……?)、社会人組がそれぞれの仕事に向かったタイミングで、一拍遅れで邪面獣が出現。
 圧倒的戦力である王様を呼ばないのは、気軽に呼ぶとかよくない! とキラメイストーン達の意思とされ、臣下の意見としてはわかりますし、切り札を最初に切らない理由付けとしては悪くない部類とは思うのですが、「んな軽々しくオラディン王様を呼ぶんじゃねぇよ」と亡国のヒエラルキーにこだわり続けるファイアの価値観は、ちょっと好感を持ちづらい領域になっていて、変化があってほしいところです。
 亡国の臣としては、国家の体制にこだわり続ける事が「まだそこにクリスタリアがある」事の精神的証明になっている要素はあるのでしょうが、ファイアにとって今一番大事なものはなんなのか、とは考えてしまうところ(少なくとも、オラディンは、その事をわかっているだろうだけに)。
 本当に困ったら王様を召喚だ、とアローを手にした充瑠と宝路は迎撃に向かうが、スワイプ邪面獣の特殊攻撃を受けてキラメイジン@充瑠とギガントドリラー@宝路はおもちゃサイズに縮小され、通りすがりの少年・龍生に拾われてしまう。
 (どうする……? 早く本部に戻りたいけど……)
 (とりあえず、この子が飽きるまで、おもちゃのふりして付き合うしかないだろ)
 (ぐぬぬ……)
 少年は魔進たちを「科学特捜スーパー警備隊メカ」(そこはかとなく聞き覚えのある響きが混ざっているのはきっと気のせいです)と命名すると、室内にお菓子の箱や日用品などを並べて簡易ジオラマを作成し、脳内ドラマに則って遊び始め……いやもう、この時点で、滅茶苦茶いい話ですね!
 玩具として商業展開されているメカを、物語内で玩具に見立てるメタ的なアプローチなのですが、劇中の少年にとっては、あくまで“見知らぬメカ”を、イマジネーションに則って自分なりにひらめキングしている構図が清々しく、それを趣向を凝らしたカメラワークで飽きさせずに見せてくれたのも良かったです。
 ファイアらの変形機構に気付いた少年はロボット形態を組み立てるが部屋を片付けている内に疲れて眠ってしまい、少年の想像の中で羽ばたいていたメカ達が、眠る少年を見守る存在にスライドする(“子供とヒーロー”の関係性をなぞらえている)見せ方が秀逸で、加藤監督が大変、視点の置きどころのいい演出。
 「待って! ……このまま帰りたくない。……あの子に確かめたい事があるんだ」
 少年が眠っている間に抜き足差し足伸び足で逃亡を図る魔進たちだが、少年に出会って以来、何やら気にかかる事がある様子の充瑠は、それを止めると、敢えて自分から少年へと話しかける。
 少年に拾われる前、「大丈夫?」ではなくて「平気だよね?」と言ってしまったり、口を開き掛けた子供に「龍生がいい子でお母さんほんと助かる」と被せてしまう母子のやり取りが慎重かつ丁寧に描かれており、“命を得たロボット”を自称して友達になると、「本当は一人で留守番するのは寂しい」少年の本音を引き出す充瑠。
 「いい子だね、君は。でも、そのままじゃ君は、キラキラできなくなる。君にとって、大切なことを守りたい時には、我慢しなくてもいいんだよ」
 「え?」
 母子家庭で忙しい母親の為に我慢するいい子だった少年に対して、母親と一緒の写真の中ほどキラキラしていない事を充瑠が気にかけ、デリケートな要素に踏み込みつつ、母子どちらも互いの事を想っているがそれ故にちょっとしたボタンの掛け違いが起きている・写真の中のキラキラが親子の愛情の証明・それらに気付いた通りすがりのヒーローが少年に道を示す、と要点を押さえながらの話運びが実に鮮やか(もしかしたら充瑠の家庭も? と考えさせる表情の付け方も巧い)。
 また、前回ちょっと気になった、充瑠が正解に辿り着く問題は、体内に内臓された「超高感度キラキラセンサー」のお陰という事で、変な納得感が(笑)
 一方、街ではエネルギー充填を終えた邪面獣が再起動。博多南に集められて充瑠らを探し回っていた為朝らはヨドンナとも遭遇し、黄青が邪面獣に立ち向かい、緑桃がヨドンナを追う事に。
 少年宅ではお母さんが帰宅して、見知らぬ玩具をどこから持ってきたのかを問い詰める一騒動。充瑠ジンの「地球のピンチ」発言を聞いていた少年は二体のロボットを手にして外へ飛び出し、
 「地球がピンチなんだよ! 行かなきゃ駄目なんだ!」
 「よく言えたね、龍生くん。ありがとう!」
 どこからか勝手に取ってきたのではないかと心配している母親に対して、少年が地球のピンチを主張するのはキャッチボールになっていないので充瑠の「よく言えたね」は、話の流れからの「我慢しすぎずに、お母さんに言うべき事を言う」からはちょっとズレてしまっているのですが、道路をとてとて走っていくミニミニキラメイジンを少年が笑顔で手を振り見送るのが名シーンだったので、良しという事で!
 「充瑠が初参戦の時みたいだな。この戦い方」
 「懐かしいが、魔進抜きで邪面獣と戦うのは……やっぱ無理!」
 桃緑に絡まれたヨドンナは面倒くさくなって帰宅し、伸びる剣と銃弾で怪獣に立ち向かう黄青は苦戦。ココナッツベースに辿り着いた充瑠ジンは、博多南に事情を説明してひとまずアローを元の大きさに戻す事に成功し、映像から邪面獣の特殊能力を解析して、拡大修復してしまう博多南さんが、相変わらず出鱈目……。
 博士じゃないよ博多だよしかも南だよ、の研究開発能力のぶっ飛びぶりはトンデモなものの、冒頭、オラディンを気軽に呼び出さない理由付け → その他の魔進不在の説明 → いざという時用にと自然に充瑠がアローを持ち出す → 聖地と連絡不能で魔進完全不在の大ピンチ → アロー回復からの召喚、という一連の流れは非常にスムーズで、今年は荒川さんの筆が本当に冴えています。
 「我を求める声あれば、必ずそこにやってくる! 魔進オラディン只今参上!」
 姫様によりオラディンが召喚され、満喫しているな魔進生活……。
 本来なら、悲劇を背負い姿形は変わっても魂は不変の不屈の英雄! といった位置づけなのでしょうが、国を失った反省ゼロでヒーロー生活をエンジョイ中に見えるのは、人徳の問題なのか、私の色眼鏡の問題なのか。
 このままガルザが独り相撲でどんどん自滅の道を歩んでいったりするとあまりに可哀想なので、どうにか一矢報いてほしいですねガルザ……。
 オラディンとハコブーに黄青が乗り込むのは二人乗りロボの上手い活用法となり、前回に続いて女性陣が少々割を食いましたが、すっかり定番となった分割展開の用い方としても上手く、今できる形でどう話を作るのか、の工夫が各所に見えて、硬軟取り混ぜた荒川さんの熟練の技も光る一篇でした。
 グレイトフルフェニックスはスマホ邪面獣を圧倒し、アックスで両断。
 そして母子の元に残されたギガント宝路は、母親の誤解を解きつつ、これまでの成り行きを説明していた。
 「という事がありまして……」
 「そうだったんですか」
 「龍生、お母さんにもっと、何か言いたい事があるんじゃないか?」
 少年の部屋では、とっとと逃げ出そうぜ! と充瑠の行動に頭を抱えていた宝路ですが、少年の事情を把握すると、丸投げされた説明係を玩具の姿でこなした上で龍生少年を促してみせ、スピーカー邪面回に続いて“いいお兄さんヒーロー”ぶりをしっかり見せてくれたのが格好良く、スーパー化から省かれた追加戦士に立ち位置に合わせた見せ場を忘れず用意するのは、今作の良い目配り。
 少年は、一人で留守番するのが寂しい、と母に本音を告げ、知らず知らずの内に息子に負担をかけていた事を悟る母。
 「ごめんね……お母さん、気付かなかった。龍生に頑張らせすぎちゃったね。これからは、ちゃんと聞くから。ほんとのこと言って?」
 「ほんとは、お仕事行く前に、お母さんにぎゅーってしてほしい。そしたら我慢できるから」
 その上で、母親の事情は十分に理解していて、我が儘を言うのではなく、我慢できる力を求める少年は、ひたすらいい子であるのですが、誰かが無理して限界を超えてしまうのではなく、一人一人が輝く為に支え合う事こそが、本当の意味で大切なものを守る事に繋がるのであり、私と貴方が巡り会うのはその為なんだと、キラメイジャーのテーゼを貫いて美しく着地。
 映像的な変化球に魔進たちの出番を確保しつつ、メタ的なアプローチからノスタルジーと不変のイマジネーションを織り交ぜて、まだまだこんな引き出しもあったのか、と冴え渡る荒川脚本に、単調にならない工夫とヒーローの視点を貫いて、加藤監督が好演出でした。
 (龍生くん、今の笑顔は、滅茶苦茶キラキラしてるよ)
 母子は固く抱擁し合い、夕陽に照らされながらそれを見つめる二大ロボ、でつづく。
 9回に渡った音楽祭は宝路でラストを迎え……昭和の男が、オチかーーーーー!!
 ま、まあ、敢えて今風でないメロディラインにしたようなので歌いにくい部分があったのかもしれませんが、ぐらぐら揺れる歌唱力はともかく、「剛力! 怪力! 時には神通力」の部分の映像が、義妹に対するテレパシーハラスメントのシーンだったのは、大変面白かったです(笑)
 次回――欲しかった小夜メイン回ですが、どうして、為朝とガルザの方が盛り上がっていますか(笑)
 予告の台詞が某ハカイダーの遠吠えタイムみたいになっているけど、大丈夫かガルザ?!