『忍風戦隊ハリケンジャー』感想・第45-46話
◆巻之四十五「隠れ家と大掃除」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:前川淳)
七本槍が減ってきたので、前回からOPにしれっと下忍が混ざって決めポーズ取っているのは、正直面白い。
御前様に呼び出されて訪れた寺で、烈堂(演:大葉健二)という住職に寺の掃除を命じられた鷹介たちは、不満たらたらで自分たちの伝説ぶりを回想し……『タイムレンジャー』『ガオレンジャー』に続いて、本編デビュー間もない中澤監督が、3年連続の年末総集編を担当。
サメの放った扇怪人猫が、遅れてやってきた霞兄弟の影に潜り込んで寺を囲む結界の内側に侵入する一方、鷹介たちはシュリケンジャー人間体を回想し、「バックアップをしてくれた」「いつも助けてくれた」「大切な仲間なんだ」と一斉に持ち上げたところで霞兄弟が到着。
「さてはおまえら、シュリケンジャーに騙されたな」
格好良く真実を指摘する風の一甲ですが、二人揃って、まんまと敵の侵入を助けてしまった真っ最中です!
5人はアレについて考え、ジャカンジャ側の怪人を回想し、一鬼からゴウライジャーの回想へと接続。そして三味線が登場し、ロボ回想がよりによってマンモスだけ(笑)
ようやく姿を見せた御前様から第三のメッセージの内容が伝えられてサンダール登場後のジャカンジャの動きが回想され、冷静に振り返ると、怒りの石の封印を解いた怒りの源が、「つまらないギャグに我慢ならなかった」からなの凄い……。
スパイ活動する猫忍者を通し、嘆きのメダルが御前様の体内に封印されている事を知ったサメは猫に御前様を襲わせ、それをガードしたハリライジャーと今回は変身無しの軽く生身バトル。そこに烈堂が現れて生身の立ち回りを見せると天空蒸着し、普段全然気にしない5人が、今回に限って妙にシュリケンジャーの変装の答え合わせにこだわるのは、後で掃除の報復をさせる為なのでしょうか。
人間体の時は貫禄のあったシュリケンジャーだが、必殺の千本ノックを軽々かわされると猫の飛び蹴りを受けて地面に呆気なく転がり、あっさりと逃走を許すいつものシュリケンジャー。もはや平常運行すぎて涙も出ませんが、ある意味で、“追加戦士は強い”というお約束を破壊したキャラクターだと受け止めればいいのでしょうか。
この一件で鷹介たちは館長の説教を受け、御前様は忍風館に居候する事に……でつづく。
サンダールが一枚上手だったとしても、一番やらかしている霞兄弟が戦闘中にひっくり返る事も説教される事もないままなのがややスッキリしませんでしたが、責任の所在を追求すると兄者が切腹とかしかねないので、真相は闇の中に葬り去るのが一番でしょうか。
次回――ここで御前様に肉付けしていこうという狙いは果たして、吉と出るか凶と出るか……。
◆巻之四十六「おせちと三巨人」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:前川淳)
サーガイン、日記を付けていた。
「見ていてサーガイン。あなたが遺したマシンで、必ずハリケンジャーを倒してみせるわ」
日記を元にサーガインの遺した3体のカラクリ巨人を発見したウェンディーヌは、開発日誌を胸に抱いて誓い、ちょっとシチュエーションに酔っている感もありますが、愛されているなサーガイン(笑)
一方、地球忍者が一同揃ってお正月を迎えた忍風館では、七海の作ったおせちが大好評。一鍬は、簡単に餌付けされそうでドキドキしますが、一口も箸も付けずに席を立ってしまった御前様の様子に、七海は気もそぞろ。おぼろと緑が所用で外している間に出現したウェンディーヌ操るメガタガメセクシーを前に、シノビマシンがテーマ曲に乗せて久々のフルバンクで出撃し、前回の総集編で外されていたロボ要素を特盛りにした、お正月ロボSPといった構成。
「伊達にハリケンジャーを名乗っているわけではあるまい。巻き返せ」
不在のおぼろに代わって淡々と指示を出す御前様がアクセントとして面白い事になり、久々のハリーアップでタガメセクシーを追い詰める旋風神だが、残り2体のカラクリ巨人に搭乗して、フラビージョとサタラクラが参戦。
「勝ったら焼き肉! 約束だからね~」
焼き肉は、善も悪も越えた絆への特急券!
再び形勢不利と思われたその時、おぼろと緑が開発を進めていた掟破りの量産型天空神が投入され、天空旋風神+天空豪雷神+天空神が一列に並ぶ、特別仕様。
そして、イルカは余っていた。
余ったイルカに皆の視線が集まる禁断の描写や、量産型のパイロットとして投入される黒子ロボなど、ロボットバラエティ回としてはそこそこ面白かったのですが、命がけの戦いの真っ最中に「御前様はどうして自慢のおせちを一口も食べてくれないのか!」が気になって気になって仕方が無い七海、というのはちょっとやりすぎだった印象。
基本的にハリケンジャー、“ノリは陽性で言動は軽いけど戦いには真剣”なので、これまでの描写とそぐわなくなってしまいましたし、七海は七海で“御前様を気遣っている”わけではないので、七海の可愛げにも、いまいち繋がらず。
そんな七海の心情を慮って御前様相手にフォローを入れる節穴ハムスターの株価が、数十話ぶりに上昇したのは、良かったです。
次回――サメが来る!