『海賊戦隊ゴーカイジャー』感想・第32話
◆第32話「力を一つに」◆ (監督:竹本昇 脚本:下山健人)
――ひとりひとりは 小さいけれど 一つになれば ごらん無敵だ
「あのバスコ相手に力になるかわからんが、仲間の力を合わせる時に、俺たちの託した“大いなる力”を使ってくれ」
アバンに登場した隊長が、バスコに完敗して倒れ伏す海賊達にアドバイスを送り、隊長格好いいーーー!
撮影的に同じシーンの続きとはいえ、回またぎという異例の出演になりましたが、この辺りはやはり、構造としてバスコの引き立て役にしてしまった部分へのフォローもあったでしょうか。
……まあその人自体は、ジャイアントローラーに乗って一人で怪人倒しちゃう人なんですが(笑)
屈辱的な敗北を喫した海賊たちだが項垂れる事はなく、鎧はアイムから傷の手当てを受け、マベジョールカは訓練を重ね、ハカセはより強力な武器の開発に挑む、再起編。
あいつはその気になれば出来る筈、とハカセを黙って見守る仲間たちと、地球のサッカー少年との交流を通して、普段は気弱なハカセが誰かを励ます立場に回る姿で、ハカセの成長と海賊達の結束の強さを描き、鎧はこういう時にどうしても「大丈夫ですか?!」係になってしまうのですが、異分子としての存在が海賊達の関係性を引き立てる効果があり、「見習い」という立場が巧くクッションになっています(いずれそれを脱するエピソードを期待したいところでもあり)。
「……そんなのわからないじゃないか。決めつけるなよ! 駄目だなんて、全部やりきるまで言うな」
「僕は、みんなと試合に出たいから、一人で巧くなろうと思ってた。でも、仲間と一緒に頑張れば、実力よりもっと力が出せるんですね。仲間の力が一つになるから、より大きな力になるんですね」
「……そうだよ。みんなの力があるから、駄目だなんて弱音を吐かなくなるんだよ
ダマラスの刺客・シールド隊長にも完敗し、新装備開発に行き詰まったハカセは、落ち込むサッカー少年の練習に付き合っている内に初めての二丁拳銃?を思い出し、ハカセが少年に自己を投影する事で、落ち込む自らをも叱咤、そして仲間の意味へと繋げていくのは、交流要素を入れつつスムーズな流れになりました。
「みんなの武器を、貸してくれないかな!」
意を決したハカセの申し出に、皆は当然の事としてそれぞれの武器を預け、提供された複数のゴーカイシリンダーを使って新兵器開発に取りかかるハカセ……そんなハカセを支えるのは、
団扇で扇ぐ鎧
肩を揉むルカ
紅茶を淹れるアイム
ショートケーキを差し入れするジョー(自作?)
何もしないキャプテン!
仲間達の協力もあり、完成に近付いていく新兵器だが、最終調整が終わらない内にシールド隊長がガレオンを直接攻撃し、ハカセに武器の完成を託した赤青黄桃が出撃すると、とりあえずビーストオン。
「なにか、なにか決め手が必要なんだ」
無敵シールドを打ち破る威力を引き出す為にハカセは苦心の調整を続け、外では獣拳によりスゴーミンを撃破するゴーカイジャーだが、精鋭シールド隊長にはゲキ注入も通用しない。
「諦めんな! ハカセが完成させるまで耐えりゃあいい!」
ちゃんと、一番信頼して発破をかける場面があってホッとしたよキャプテン!!(笑)
手を変え品を替えのゴーカイチェンジで奮戦する4人だが、アースフォースも通じず、ゴッドハンド(正式に使ってくれてちょっと嬉しい)も通じずに追い詰められていき……ガレオンでは、開発中の新兵器がオーレバズーカに似ている、と鎧がトレースを指摘。
「そんな似てないし……オーレバズーカ……あ、そうかぁ! オーレンジャーだ!!」
自作のオリジナリティを主張するハカセだが、よくよく見て類似に気付くと共に隊長のアドバイスを思い出すとオーレンキーをセットしてその“大いなる力”を注入し、歴代バズーカ代表という事なのでしょうが、やたら扱い良いぞオーレンジャー(やはり、シリーズの大いなる基盤としての鈴木武幸P作品群への意識があったのでしょうか)。
そして、今回も存在を無視されるキングレンジャー……まあ、キングレンジャーのこの扱いに関して、個人的には特に不満はありません。
赤青黄桃が絶体絶命のその時、完成した新兵器を手に駆けてくる緑の姿に主題歌が重ねられて「進め勇気の旗掲げ」がドンピシャにはまり、竹本監督はこういう演出させると実に上手い。
「名付けて、ゴーカイガレオンバスター!」
5つのキーを差し込んで、第32話にしてバズーカ系の必殺武器がゴーカイジャーの手に収まり、ゴーカイジャーが35番目のスーパー戦隊になっていくマイルストーンとして、追加ウェポンの存在が綺麗に収まりました。
「やったじゃないか」
「みんなの力が一つになって、より大きな力になっただけだよ」
「ふ、おまえは思った通り、秀才だな!」
今開かされる、マベのハカセ評(笑)
巨大シールド隊長にはいきなりのハリケンゴーカイオーが繰り出されるが、まさかの手裏剣白刃取り。
「今気付いたぞ。攻撃こそ、最大の防御なり!」
だがそこに、今回はお休みかと思われたシルバーが豪獣神で参戦し、片手攻撃でひるませたところに手裏剣千本ノックで成敗バイ。
「僕は自信なんてないよ。でも、そんな僕だって、掴みたいものはこの手で掴めたんだ。彼だって必ず掴めるよ」
ハカセが今回の陰のMVPであるサッカー少年に改めてエールを贈り、次回――餃子屋だァァッ!