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『魔進戦隊キラメイジャー』感想・第4話

◆エピソード4「亡国のプリンセス」◆ (監督:坂本浩一 脚本:荒川稔久
 「仲間二人が大変くだらない内容(今回の邪面師は「ネアンデルタール」か「ネアンデルタール人」か)で揉めている間、我関せずと椅子に寝そべって洋書を読んでいる(フリをする)」とか「5人で並んだ際に一人だけちょっと斜に構える」のが、時雨にとっての“格好いい”……!
 ……思った以上に、破壊力高い設定だな時雨(笑)
 なお、クランチュラの発言から、ヨドン軍公式発表は「ネアンデルタール人」邪面でした。
 「じん」といえば、5体合体が「キラメイジン」なので、てっきり「スカイメイジン」と「ランドメイジン」だとばかり思っていたら、「スカイメイジ」と「ランドメイジ」である事が発覚し、魔法使いはイメージで神になるのです。
 白熱する議論を重役出勤の姫様が微笑ましく見つめる中、街に巨大な黒いキラメイストーンが出現。充瑠達が魔進で出撃しようとすると、「この目で直接確かめたい」と姫様がファイアーに乗り込み、(恐らく)劇場版と繋げてクリスタリア側の人間関係を整理しつつ、怒濤の姫様ヒロイン推し回で煌めこうぜ!
 「国を治める者にとって、一番はなんだと思う?」
 「うーん……」
 「みんなの輝きだ!」
 「輝き?」
 「人々を輝かせる事が出来る、素敵な女性になるんだよ。煌めこうぜ!」
 つまり、人民は搾取される事によって煌めき、高貴で偉大なる支配者はその奉仕によってますます煌めくのですねお父様!
 お花畑で幼いマブシーナと「年貢取ろうぜ!」「煌めこうぜ!」ポーズを決めるお茶目なお父様の姿が回想されつつ、市街地上空に出現した巨大な魔石が恐竜ヘッド付きの電車へと変形し、乗り物・恐竜+電車、と鉄板モチーフがぐいぐいと来ますが、こうなってくると、追加戦士は昆虫でしょうか(笑)
 「あれは、クリスタリアの王室専用列車」
 「しかし姫、あれはオラディン王以外生み出せない筈では」
 「その通りです。それが、どうして……」
 暴走する恐竜レッシャーはビル街へと突っ込んでいき、何とかそれを食い止めると、中から転がり出したのは三日月アーマーの中の人。
 「ガルザ!」
 オラディンの弟、マブシーナの叔父にして、クリスタリアをヨドン軍に差し出した裏切り者とされるガルザだが、姫様の批難を浴びると「ワタシハ、センノウサレテイタノデス」と無罪を主張。オラディン王は生きていると告げるも、再び闇の支配力が強まった事で恐竜列車に乗って姿を消してしまう。
 王室専用列車を根拠にガルザの言葉に希望を得る姫様だが、瀬奈以外の面々は否定的で、充瑠もスケッチブックを見つめて思案顔。去り際にガルザに何事か囁かれた姫様は、意を決して厳重に保管されていた白いキラメイストーンを持ち出そうとするが為朝に咎められ、今回もドライで現実主義の為朝(仲間の危険に敏感、ともいえますが)は、言い方にデリカシーが足りない。
 この辺りちょっと、第1話の戦闘時におけるレポーターの女性に対する振る舞いとズレがありますが、とりあえず初動のキャラ付けをわかりやすくしてみたけど(そういえば、『デカ』の立ち上がり、男性陣をまとめてナンパフォルダに突っ込んだのは今考えても凄い)動かしている内に違ってきたのか、他者と身内とできっぱり対応の変わるタイプなのか。
 時雨は、誰が相手でも基本的にスタイルを変えないのが信条とされましたが、為朝が身内に対する本音と外向けの建前を明確に区別するタイプなら、それはそれで面白そう。
 父王が生きている、と希望にすがる姫様は為朝と充瑠にノーブルキラメイフラッシュを浴びせて走り去り、姫様を追おうとするキラメイジャーだが街に邪面獣が出現。ネアンデルタール人邪面は直接登場しないも闇エナジーが貯金されており、それを使って邪面獣が出撃する変則展開で、別個体という特性を活用。
 地球に送り込まれた邪面獣はリアル魚介類を取り込んだ思い切ったデザインがインパクト強く、オーソドックスな型式のエピソードでの戦いも見たくなります(笑)
 白いキラメイストーンは、かつて姫様が地球に降り立った時にその身を包んでいた魔石(脱出カプセル?)の一部であり、その本体が残る山中の着陸地点で、姫様はガルザと対面。
 父親の事で頭が一杯かと思いきや、仲間の意見もあってか叔父への不審も残っていたらしい姫様はガルザを問い質し、ガルザは、クリスタリア防衛の為にヨドン軍と戦っている最中、ほぼ怪獣のシルエットで描かれるヨドン皇帝により洗脳され、オラディン抹殺の刺客として人形にされていたのだと陳述する。
 ヨドン皇帝を討つ為、白い石の力が必要だと訴えるガルザだが……ちょっと待った!
 そこに代役ンにキラメイジンを任せた赤が駆け付け、かつて自分が見た夢の中で、王を殺したガルザは笑っていた、と異議アリ! その証拠は、夢から覚めた直後に書き留めたこのガルザの絵です! と突きつけ、今回、この「夢」がだいぶ唐突なのは、劇場版エピソード0の要素という理解でいいのでしょうか……?
 推測はつくものの、充瑠がガルザを疑う根拠となるキーだけに、劇場版未見だとかなり唐突かつ強引になってしまったのは、残念。
 被告人ガルザは哄笑をあげるとキラメイレッドの異議を認め、充瑠とオラディンが遙かな宇宙空間を越えて共鳴していた可能性を指摘。
 「pixivの閲覧数なら私の方が上だった!」
 じゃなかった、
 「魔進を生み出す力なら私の方が上だった! だが弟というだけで、兄上の駒とならざるをえなかった! ヨドン様にこそが、この俺の真価を生かしていただけるとわかったのだ!」
 犯行を自白したガルザは、裏切りの真相を告げると共に三日月アーマーを装着し、日の光の下に出てきた三日月アーマーは、改めて格好いい。
 クリスタリア滅亡の真実は、嫉妬と憎悪に狂った王弟による反乱であった事が明らかになり、今のところ同情の余地のない動機付けとなったガルザですが、ねじれた悪意があるにしても「兄上の駒」という表現は穏やかではなく、また、マブシーナもファイヤーも「キラメイストーンにイメージを与えて変形させる能力」をオラディンしか所有していないと思い込んでいた事を考えると、もしかしてガルザ、塔に幽閉されて「おまえの描いたこれ、俺のサイン入れて発表するからー、次もよろしくー」みたいな扱いを受けていた可能性もあるのではないかとドキドキ。
 純粋に卑劣で卑小な悪役、でもいいですが、これからどんな肉付けがされていくのか悪役好きとしては楽しみなキャラ。
 同じ女性(後のマブシーナ母)を好きになったが、プレゼントしようとしたデザインを兄上に盗まれた(と思い込んでいる)過去、とか妄想が捗ります(笑)
 「だから兄上には消えて貰った」
 「じゃあ……お父様はやはり……」
 「死んだ。ふぁはははははははは!!」
 ガルザは改めてオラディンの死を断言し、これで本当に死んでいた場合、群がる戦闘員ポジションによってたかって撲殺された上に床を引きずられていった戦隊史上でも希に見る酷い死に様になりますが、果たして真相の真相や如何に(個人的にはまだ疑っています)。
 暗黒力を阻む白いキラメイストーンを渡せ、と迫るガルザに対して姫様はそれをきっぱりと拒否。
 「……渡しません。絶対に、渡すものか!!」
 ヒーローに同行し、父が生きているかもしれない事に心を乱し、毅然とした態度で敵を撥ね付け、八面六臂の姫様がサブタイトル通りの大活躍。
 姫様の心を弄んだガルザへの怒りに燃える赤が挑みかかり、『ルパパト』の戦闘シーンで用いていたカメラの応用か、映す対象や上下左右がコロコロと切り替わる忙しいバトルの末、マダイ怪獣の足止めを振り切ったキラメイジンが到着。容赦なくキラメイジンで踏みつけにしようとするキラメイジャーだが、ガルザが乗り込んだ恐竜レッシャーが、怪獣モードにキョウリュウチェンジ。
 「見よこの爪、この牙、チェーンソー!」
 あ、やっぱりそこは、チャームポイントなのですね。
 蒸気怪獣は紫がかったクリスタル部分の色合いが格好良く、魔進ジェット棒すら鋼の爪で弾き返すと大技を放つが、それは乱入してきたマダイ怪獣に命中。短気なガルザはマダイ怪獣に牙を向けると処刑を執行し、前回登場したばかりのキラメイジンを倒すわけにはいかないので、怪獣を瞬殺してクランチュラに派手なリアクションを取らせる事で脅威をアピールする苦肉の策。
 「お楽しみは先に取っておくとしよう。おまえらの処刑はこの次だ」
 目の前の巨大怪獣を木っ葉微塵にして気が済んだガルザは気分良く撤収し、白いキラメイストーンの事は完全に忘れているのですが、おじ様……。芸術家としては優れていたけど、社会性ゼロなのでは、おじ様……。と、色々心配になって参りました。
 姫様はメンバーに謝罪と礼を述べ、「身を引き締める思いです」とぐいぐい来られて照れる充瑠を皆がからかい、今回もほのぼの。
 「わたくしは、改めてお父様に誓います。あなたがたと力を合わせて、この地球を守り、人々を、輝かせる事を!」
 で、つづく。
 姫様とガルザの因縁、クリスタリアがヨドン軍に滅ぼされた顛末が語られ、戦いの背景が明らかになると共に姫様が正統派亡国のプリンセスの立ち位置を確固たるものとしましたが、最初にPVで見たときはデザインにギョッとした姫様、今やすっかり慣れてしまったので東映着ぐるみ芸は本当に恐ろしい(笑)
 ところで、お父様が頭からやたら大きな輪っかを生やしている事に今回の回想シーンで気付いたのですが、姫様の頭に乗ったカメの甲羅(にしか見えない)も、その内、巨大化するのでしょうか。……いや、翼のイメージなのかな、とは思うのですけれども。
 姫様&設定説明回としては過不足無い内容の一方、上述した「夢」の唐突さや、怪人も怪獣も倒さずカタルシスに欠ける変則構成など、第4話にして色々と強引に詰め込まざるを得なかったのは、近年の戦隊作劇のマイナス要素がまとめて煮込まれたといった感。
 恐らく、このタイミングで恐竜レッシャーを出さなくてはいけない事情があったのでしょうが、出来ればキャラ回を一巡りした後ぐらいにやってほしい内容だったな、と。第7話ぐらいだったら、変則構成も強敵の出現によるキラメイジャー&キラメイジンの苦戦も受け入れやすいですし、その辺りの綱引きの結果、ガルザ&蒸気怪獣の強敵描写が中途半端になり、キラメイジャー・キラメイジン・ガルザ、が皆揃って一両損になってしまったのは、残念でした。
 次回――為朝のターンは、シャベルに持っていかれてしまうのか?!