東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
旧ダイアリー保管用→ 〔ものかきの倉庫〕
特撮作品の感想は、順次こちらにHTML形式でまとめています→ 〔特撮感想まとめ部屋〕 (※移転しました)
HP→〔ものかきの荒野〕   X/Twitter→〔X/Twitter/gms02〕

ささっとゼロワン

仮面ライダーゼロワン』感想・第21話

◆第21話「異議あり!ソノ裁判」◆ (監督:杉原輝昭 脚本:高橋悠也
 劇場版を担当していた杉原監督が復帰し、それに合わせてか、『宇宙戦隊キュウレンジャー』鳳ツルギ役で繋がりのある南圭介が、ゲストの弁護士ヒューマギア・ビンゴ役で出演。ツルギ初登場回がくしくも杉原監督の担当回だったのですが、Aパートでサソリ仮面様があれして、Bパートでアルゴ船があれするという、今となっては何もかも懐かしい『キュウレン』屈指のカオスな回でしたね……(遠い目)
 天津社長はお仕事対決第3回のお題として、ある結婚詐欺の裁判を提案し、「人の人生かかってるのに頭おかしい」と抗議するアルトだが「ヒューマギアが人の人生を救えちゃったら1000%最高じゃないですか」と口車に乗せられ、結局勝負を受けてしまう事に。
 天津社長が頭おかしい事にはもう少し早く気付いてほしかったですし、その頭おかしい勝負の片棒担いでいる事を自覚してくれるともっと良かったのですが、いざ勝負を承諾すると軽いノリで弁護士ギアを応援してしまうので、「人の人生」に対するアルトの態度も天津社長と五十歩百歩。
 繰り返しになりますが、とにかくアルト、「飛電社員の人生」を考慮している節が全く見受けられないので、いきなり他者の人生への配慮を持ち出されても説得力皆無ですし。
 多分これ、高橋脚本の悪癖というか病疫みたいなものだと思うのですが、『エグゼイド』のエム先生が「患者の命を救うマシーン」となっていたのと似た症状で、アルトが「ヒューマギアの事以外どうでもいいマシーン」になっているような。
 娯楽活劇としての楽しさや面白さを表現したい意図はわかるのですが、それが「お仕事対決」という要素と噛み合っていない設計ミスが、第2部に入ってからとにかく足を引っ張ります。
 ZAIAスペックを装着した検事とヒューマギア弁護士の対決、という事で注目の集まる裁判の冒頭陳述は弁護士側有利に進んだかと思われたが、毒々ライオンレイダーがビンゴを襲撃。
 ゼロワンとライオンの交戦中、走り込んできたバルカンのジャンプの踏み切りでコンクリートにヒビが入り、空中でアックスをキャッチするとバスターに変えて攻撃、というのは格好良かったです。
 ライオンを追い詰めるかと思われたゼロワンとバルカンだが、スモークグレネード弾を食らってまんまと逃げられてしまい、「娯楽活劇としての楽しさや面白さ」を出すならこちらのパートだと思うのですが、本日もまた踏み台なり。
 販売戦略の事情もあってか、天津社長の変身シーンには毎度たっぷり尺が割かれる一方、その割を食う形で今作の強みであった「ヒーロー」の劇的な変身(とそれに伴う戦闘)シーンが削られまくっているのも、痛い。
 アルトはライオンが落としたと思われるZAIAスペックを拾い、それをA.I.M.S.に提供する代わりに滅との面会を取り付け、何者かによってヒューマギアに“悪意”がラーニングされた事、そして現在起こっているヒューマギアの暴走は、人間からの悪意の伝播が原因である事を突きつけられる。
 「インターネットの発達によって、人間の悪意はその感染速度を増した。人から人へ。或いは、人からヒューマギアへと」
 今回、なりすましの可能性があるサイバー犯罪、が裁判の内容と連動しており、そこから現代社会への寓意的要素が入ってくるのですが、「人工知能搭載人型ロボ・ヒューマギアが、様々な仕事をサポートする新時代」なのに、サイバー犯罪絡みのやり取りがSF感皆無で、わかりやすいといえばわかりやすいのですが、不動産編に続いて、未来世界描写はまたも逆走。
 特撮TVシリーズの描写的限界はありますし、オーバーテクノロジーとそれ以外の混沌はファンタジーとして構わないのですが、高性能人型AIが主題の作品で、「インターネットの発達」が現実とさして変わらぬ地平で描かれ語られてしまい(個人的には「インターネット」という単語時点で雰囲気台無し)、『ゼロワン』世界なりのサイバー犯罪を創出する事なく、SNSの絡んだなりすましメール詐欺で済ませてしまう事で、パイロット版で打ち出した未来的世界観がまるっきり張り子の虎になってしまって、極めて残念。
 こういうところこそ、嘘テクノロジーを持ち出して大嘘つくべき部分だと思うわけなのですが。
 ヒューマギアは自分の命を狙いもしたが救いもした、それを良い方向に勉強させるのが「仕事」なのでは? とだいぶマイルドになった不破に励まされたアルトは、警察の捜査によりZAIAスペックの持ち主が、相手方の検事のものであった事を知る。真犯人らしき人物が登場し、如何にもなミスディレクションながら、一癖ありそうな検事や、被害者役に過去キャストのイエローバスターなど、胡散臭い人物を増やす事でサスペンスを増したのは、今回の良かったところ。
 ZAIA側へ乗り込んで不正を糾弾する飛電側だが、当のビンゴ自身が、検事の「盗まれた」発言を真実だと判定してしまい、窮地に陥る事に……なお、検事に向けて「嘘つき」だの「ビンゴを襲ったのはおまえ」だの、率先して罵ったのはアルトです!
 「やはりヒューマギアは欠陥品です。廃棄に限る」
 わざわざビンゴを追い詰めて暴走するように仕向け、ただのヒューマギアを破壊したいだけの人になっている天津はサウザーに変身し、まあ確かにこの流れは人気も出ないよなぁ……と思うところですが、ゼロワンはゼロワンで、背後からサウザーの脳天にジャンプ斬りを叩きこもうとするので、一体アルトが何をしたいのか、アルトにとって最大の優先順位が行方不明な状況が続きます。
 情熱タイガーフォームとなり、サウザーと貝マギアの双方を火であぶるゼロワンだったが、サウザーにより情熱ファイヤーをジャックされ、貝マギアは真っ二つ。
 「よくも……ビンゴを……」
 「ヒューマギアは道具に過ぎません。道具を生かすも殺すも……人間が決める事でしょう」
 元をただせば一番最初に殴ってきたのはサウザーですし、その発言に怒りを燃やすのもわかるのですが、vsサウザーにしろvsレイダーにしろ(特に後者)、アルトが中身人間に普通に殴りかかるのはどうにも違和感があり、アルト主観の物語を貫くのであれば、「レイダーを殴る覚悟を決める」エピソードに前後編を使っても良かったぐらいに思います。この辺りも現状、新展開からよりによって主人公が振り落とされているように見える部分。
 怒れるゼロワンの胸部が赤く輝き、なにやら異変が……? でつづく。