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くらっとネクサス

ウルトラマンネクサス』感想・第3話

◆Episode03「巨人ウルトラマン」◆ (監督:根本実樹 脚本:長谷川圭一 特技監督菊地雄一
 「チームを預かる者として、あの真っ直ぐさは危険です」
 「例のあの男を思い出しますか? あの男も人一倍、強い意志を持っていましたからね。結果的には、それが災いして……」
 「チームとして重要なのは信頼感です」
 おたくの副隊長さんが、新入隊員と信頼を育む気ゼロなのですが。
 プロフェッショナルとしてのシビアさとか以前に人間として必要以上に当たりの強い副隊長と、好青年とか以前に一日にバスが3本しか運行していない田舎から三日前に上京してきたばかりみたいな孤門くんのやり取りは今回もひたすら辛く、「目の前のものが真実とは限らない」という副隊長の言葉を思わせぶりに引っ張ったと思ったら、その真意は、ビースト事件は様々な形の情報工作により隠蔽されているという何の捻りも無い内容で、衝撃の真実とかいう以前に孤門は一ヶ月、筋トレしかしていなかったのでしょうか。
 当然、実習期間中にレクチャーしておくべき内容だと思うのですが、もしかして孤門、最低限の戦術教練とかも受けていないのでは、とTLTの養成プログラムの内容が大変不安になってきます。
 対する孤門は孤門で、そもそも現在の職場がダムに偽装された秘密基地なのに、「事件の隠蔽」とか「記憶の操作」とかに対して、「冗談でしょ?」と笑って流そうとする反応が社会人としてはあまりに純朴すぎて面倒くさく、何の悪気もなく友人に頼まれるままにマルチ商法に手を染めたりしていないか心配です。
 作品のコンセプトになっている「現実には隠された裏側がある」を強調したいあまり、フィクションとしてはさらっと前提にして先に進んでほしいところでしつこく足踏みを続けすぎて、主人公の現状認識の遅さがリアルというより鈍く見えてしまう大失点。またこの純朴さと善良さの混同とでもいえる描き方が、どうも孤門の好感度の上昇に繋がらず、視聴者と驚きを共有していこうという仕掛けが空回り。
 例えば順序が逆で、「どうして一般の人々はビーストの事を知らないのか」を疑問に思った孤門くんが副隊長に質問して、「そんなの秘密にしてるに決まってるでしょ、ばーかばーか」と言われ、その現実にショックを受ける、というのならまだしも劇的になるし、孤門の心境と純粋さを好感へと導けたのではと思うのですが。
 何者かの気配を感じた副隊長と孤門は革ジャンさんと遭遇し、山中で出会った一般市民に「つけていたな」といきなり銃を向ける副隊長、この人、いざとなったら記憶を消すか「事故」で処理すればいいと思っているな……。
 革ジャンの忠告むなしくウミウシの集団に囲まれてしまう3人だが、革ジャンは変身アイテムを銃にして二発でウミウシを粉砕。
 「その銃、なんなんです? あなたいったい……」
 いちいち素朴なリアクションを見せる孤門は、同期作品(『仮面ライダー剣』)で例えれば虎太郎のポジションで、視聴者に近い目線から疑問を抱いたり異常事に「異常ですよ!」と反応する役回りなのですが、語り手(観測者)でもある主観人物がそれで面白いかというと、やはり難しさを感じます。
 まあそこから、観客ではなく舞台上の人物に如何になっていくか(自覚していくか)、というところが物語の一つポイントになりそうですが、そこまでの道のりに必然的に生じる受け手のストレスを緩和する要素としてアクションシーンが機能していない為、ストレスだけが蓄積されていくのが困りもの。
 今回冒頭で、ようやくウルトラマンの格闘シーンが入りましたが、流れがぶつ切れなのでただでさえ盛り上がりに欠ける上に、BGMを使わないという徹底ぶりで、こだわりが逆回転気味。
 そのこだわりは、一体どこを目指しているのか。
 「君たちはキルポイントに誘い込まれたんだ。奴らは強いものと戦う事で、情報を吸収して模倣する。そしてより強力に進化する。まるで悪性のウィルスのように」
 革ジャンさんは銃を向ける副隊長を軽くいなして立ち去り、ますます眉間の皺の深くなる副隊長。だが前夜、飛行形態となったビーストを追った巨人が、体色を変え謎のビームによって作り出した異空間で戦うも仕留め損ねたビーストは、進化を続け、密かにナイトレイダーを見ていた……。
 (結局副隊長は、あの男の事を誰にも報告しなかった)
 し、信頼?!
 (僕には、何が信じるべき現実なのか、わからなくなりかけていた)
 麻雀で来月分の生活費までかっぱがれた徹夜明け、みたいなモノローグを呟く孤門、とりあえず、先物取引と仮想通貨はやめておけ!
 迷える孤門のいちゃいちゃ電話タイムを挟み、巨大化していくビーストがトンネルで市民を襲うシーンで、To be continued...。