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さっくりリュウソウジャー

『騎士竜戦隊リュウソウジャー』感想・第17話

◆第17話「囚われの猛者」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:下亜友美)
 見所は、騎士竜の放電攻撃に派手に巻き込まれるクレオン。
 『ビルド』のVシネマに回っていたらしい中澤監督が帰還したのですが、前回が正攻法で面白かった反動も手伝ってか、9割方、プラスにもマイナスにも感情がピクリとも動いてくれず。
 約1クールぶりの参戦×『ビルド』明け×恐らく初顔合わせの脚本家、という条件も良くなかったか、ドタバタコメディ寄りの演出も前回からの流れと巧く馴染まず、ちぐはぐな感じになってしまいました。
 ギャグ回、というほど振り切れているわけでもないですし、物語のベースラインともども、演出面でも意思統一の不透明な手探り感が続きます。
 女性が絡むと途端に問題児になるカナロですが、一度は無視した少年の問いかけを、改めて聞くというのは、“根はいい奴”というよりも、好感度を下げたくないので中途半端な描写になった、という感じ。
 そこはいっそ、「念のために聞くが、君に姉は居るか?」で良かったように思うのです(笑)
 最終的に、「幾つになっても女性は皆美しいじゃないか!」で好感度はキープしましたし、結局子供の頼みを聞いてしまうのならば、「女性の頼みしか聞かない」という最初の宣言自体があまり必要無かったよな……と。
 導入にキャラの特徴を活かしているようで、実際にはあっさり殺してしまっているのは残念でした。
 マイナソー素体はバンバの50年前の知己で、それに気付いたバンバがカナロに協力。ディメボルケーノとモサレックスが兄弟仁義合体して新たなサンダー騎士竜が誕生し……これが今回のノルマで話の展開は二の次だったようなのですが、陸と海のリュウソウ族の覇権争いはどこに行ったのか。
 ……まあ、両者ともドルイドンが地球を去る前にロールアウトした初期型(だからAIが高度)であり、跡目争いの勃発前にボルケーノが歴史から消されたとすれば、抗争の事情は知らずとも筋は通りますが……そういった当然湧いてくる疑問をスッキリ処理せず、地雷の上に地雷を重ねて家の庭に放置しておくのが大変『リュウソウジャー』。
 「……いえ、似てないわね。昔のあの人は、もっと孤独な目をしていた。貴方とは違うわ」
 ラスト、素体の正体の種明かしにより、50年前のバンバを知る人物の言葉で“バンバの変化”を補強したのは、長命設定も組み込んで悪くなかったですが、ここまでの物語の積み重ねによる説得力不足は如何ともしがたく。また、ドタバタコメディから一ひねりでちょっといい話で終わる、というよりも、9割型ドタバタコメディだったのがラストの2分だけ全く別の話になってしまう、といった感じで、伏線の有無の問題ではなく、一本のエピソードとして流れを綺麗にまとめ切れなかったのは、中澤監督に期待しているハードルからすると、物足りない出来で残念。
 それから最近、トワとバンバの間に本当の絆があるのか不安になってきているのですが、気がつけば毒を受けて延々とうなされていた回以降、ろくなスポットの当たっていないトワの明日はどっちだ!?
 次回――ようやく「騎士道」の中身に触れてくれるようで、果たしてロケット燃料になるか対戦車地雷になるか。