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目指せ地図にない場所を 幻なんかじゃないんだ

電撃戦隊チェンジマン』感想・第29話

◆第29話「花を守れ! 幻の蝶」◆ (監督:山田稔 脚本:藤井邦夫)
 「私が欲しい物は宝石ではなく――黄金の蝶」
 アハメスは自分に求婚してくる宇宙海賊ギガラに、全ての命を甦らせ不老不死をもたらすという伝説の蝶を要求して地球へと送り込み……そ、それはどう考えてもセントパううっ、頭が……。
 毎度お馴染み昆虫魂ネタはさておき、その頃、飛竜はどういうわけか風光明媚な高原に居たが、昼間っからいい若い者が一人でハイキングしている姿を蝶泥棒と誤解され、凶器を振り上げた少年に襲われる事に。
 「違う! 俺はこの高原にUFOが現れたと聞いて調べに来たんだ!」
 五十歩百歩ですね!
 そこに、黄金の蝶を求めて口から毒ガスを撒き散らすギガラが姿を見せ、容疑の晴れた飛竜はレッツチェンジ。初使用の挿入歌をバックに一騎打ちとなり、ゴズマ配下の宇宙獣士ではなく、一匹狼の宇宙海賊を名乗るギガラは、金銀の鎖を取り出しての連続攻撃でドラゴンを追い詰め、ひと味違う戦闘力を見せつける。
 仲間達が駆けつけるもギガラの皮膚はチェンジソード(射撃)さえ弾き返し、ズーカを構えるチェンジマンだが、通りすがりのブーバに攻撃を邪魔されてしまう。ヒドラ兵を連れて休暇にハイキングに来ていた(としか思えない)ブーバは、かつてギガラと無敵の宇宙海賊コンビを組んでいたのだ!
 がっちり握手を交わした海賊二人は華麗なコンビネーション戦法でチェンジマンを一蹴し、強烈なビームの一撃! とかではなく、目に見えて説得力のあるアクションにより、無敵の海賊コンビの強さを示してくれた立ち回りが非常に秀逸。
 そして毒ガスを浴びたドラゴンは、久々にスキル《転落の匠》を発動する。
 「ドラゴーーーン!」
 「「「ドラゴン!!」」」
 残された4人はドラゴンを助けるべく退避し、ブーバもまた、負傷したドラゴンを追い詰めるべくヒドラ兵を山狩りに向かわせる。
 「負けてたまるか……。絶対に、地球は荒らさせはしない」
 傷だらけの飛竜は冒頭に襲撃してきた少年に助けられ、山のほこらに祀られる黄金の蝶の伝説を聞くと、仲間と無事に合流。今回から爽やかな夏服姿となった伊吹長官に、宇宙海賊の目的を伝える。
 「長官、黄金の蝶は本当に居るんでしょうか?」
 「うむ!」
 長官は力強く頷いた!
 「黄金の蝶の伝説は地球だけではなく宇宙伝説にもあり、そのエキスを飲めば不老不死、つまり永遠の命と美しさを与えられるという。まさか、この地球に居るとは……!」(※独自の研究です)
 もう30話も近いですが、改めて、この人、信用していて大丈夫なのか(笑)
 一応、専門家のお墨付きを得たチェンジマンは、黄金の蝶を海賊にもゴズマにも渡してはならない、と状況を確認し、海賊に踏み荒らされた草花を整え直す少年の姿を挿入して、霧ヶ峰高原の美しい自然をアピール。
 ところがその少年が海賊に襲われ、明らかに狙ったタイミングで、祠の影から飛び出して少年を助けるチェンジマン(笑) 幾ら何でも、ヒーロースキルでは言い訳の効かない飛び出し方ですが、電撃戦隊が子供を囮に使う事にはすっかり慣れてきてしまい、しかし、それでいいのかチェンジマン。地球の為だチェンジマン
 そこへ、黄金の蝶を確保後、邪魔なギガラを抹殺せよと密命を帯びたブーバが乱入して少年を人質に取り、無抵抗でヒドラ兵の攻撃を受けるチェンジマン、どこぞのエージェントと違い人質への配慮があって大変素晴らしく、その少年を囮に使っていたのは、多分、気のせいです。
 絶体絶命のその時、少年の祈りに応えるかのように、祠に祀られていた蝶の像が光り輝くと黄金の蝶が羽ばたいていき、混乱の隙を突いて少年を救出した5人はレッツチェンジ。
 「宇宙海賊ギガラ! ブーバ! これ以上地球の自然を、貴様等の自由にはさせん!」
 から主題歌バトルに突入し、
 「負けてたまるか! 俺達は美しい自然と、黄金蝶を守る!」
 と、今回は霧ヶ峰ロケで繰り返し強調。
 ヒドラ兵を蹴散らすも、またも海賊殺法に手も足も出ないチェンジマン。そろそろ雑に逆転しそう、という頃合いで放たれた渾身のドラゴンキックも弾き返されるが、前衛に立ったギガラがその防御力で攻撃を跳ね返した直後、背後のブーバが飛び上がり、ギガラを踏み台に空中攻撃を仕掛けてくる、という海賊殺法のパターンを掴むと、ブーバがギガラをジャンプ台にしようとした瞬間を狙い澄ましてギガラの足を撃つ事で両者の体勢を崩し、海賊殺法を打ち破る!
 一度、これでも駄目か、と海賊コンビの強さを存分に描いた上で、単純な力技ではなく戦術能力と鍛え上げた戦闘技術でそれを打ち破るという流れが大変素晴らしく、形勢不利と見たブーバの撤退後、主題歌をバックにドラゴンアタック→パワーバズーカへ繋げる所までスピード感も溢れて、非常に良いバトルシーンでした。
 巨大ギガラは風車斬りで武器を破壊してからスーパーサンダーボルトで真っ二つにし、黄金の蝶は何処ともなく飛んでいってしまったが、霞ヶ関高原を守り抜くチェンジマン。地球が生んだ戦士は自然と共に生きるのだ! とナレーションも重ねて強調して、続く。
 霧ヶ峰ロケでしぜんをだいじに、という半ば企画回のようなエピソードでしたが、最後にチェンジマンの力の源である「アースフォース」と「地球の自然」を関連づける事で、そもそもチェンジマンは何の力で何を守るために戦っているのか、を手堅く再確認してくるのが、今作らしさ。
 藤井脚本という事を考えると、友情を取るか命令を取るか、脚本段階では後半に若干ブーバのドラマがあったのでは? とも思えるのですが、そこは特に広げられず。悪女ムーヴで余裕を見せ続けるアハメスに対しギルークの小物ムーヴが止まらないのが少し心配ではありますが、ブーバのアクション的見せ場がたっぷりあったのは良かったです。
 次回も、引き続き霧ヶ峰