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駆け抜けようぜ そうさ それがスーパー戦隊

4週連続スペシャル『スーパー戦隊最強バトル!!』感想・最終話

◆FINAL BATTLE「そして明日へ」◆ (監督:坂本浩一 脚本:荒川稔久
 囚われのルカと天晴の居場所を探り出すべく、“被ると声が関智一になるマスク”をすぽっと被るマーベラス
 「今日も君の正義が私の自由を侵す。さあ答えよ! 君の戦う理由を」
 ……じゃなかった(いきなりの『コンクリート・レボルティオ』ネタは間口を狭めるのでやめましょう)、ガイソーグの記憶にアクセスしたマーベラスが走り出し、それを追ったカグラと共に、地下室へ。そこで2人を捕らえる鎖を断ち切るも、案の定暴走状態になるマーベラスだが、銃を取り戻したルカ、思い切り撃つ。
 「とっとと起きな!」
 そして、踏む。
 「いい蹴りだ」
 「なに無茶してんのよ」
 「おまえがいりゃあ大丈夫だと思ってな」
 「……うっさい、ばーか!」
 ここに来てまだ、トップギアを隠していたのか荒川さん(笑)
 そんな2人の様子にカグラと天晴は顔を見合わせ、世の中、色々な戦隊があるな……としみじみ。……まあトッキュウジャーは、どちらかというと皆でレッドを袋だたきにしてもOK系の戦隊ですが!
 ガイソーグの正体は、かつて宇宙を席巻した戦闘民族の念の力により、強き者を求めて何万年も宇宙を彷徨っていた鎧である、と『リュウソウジャー』に接続され、リタの元へ向かっていた大和&スティンガーでは、スティンガーが勝手な行動を大和に謝罪。スティンガーの行動が無ければリタの陰謀は見抜けなかった、と大和も快くそれを受け入れ、2人の関係性もしっかり穴埋め。
 互いに出来すぎといえば出来すぎなのですが、思えばスティンガーの単独行動中に大和が独力で3回戦を突破していなかった場合、スティンガーはスパイ活動中に強制送還の憂き目にあっていた可能性があるので、まあそれは、謝っておかないとまずいよな、と(笑)
 また或いは、ボスから受け取った翻訳装置の最後に、スティンガーへの私信が含まれていたのかもしれません。
 『追伸:ちなみにジュウオウジャーの風切大和青年は、君が不在の3回戦で、ぶちぎれて3人抜きとかやらかしていたので、謝っておいた方がいいと思う』
 とか。
 大和とスティンガーはリタの元に辿り着くが、既にリタは、完成した願いのジェムに究極大サタンの復活を祈っていた。
 ここでスティンガーの問いに応えて、本当の守り人は宇宙の彼方へ飛ばしてしまった、とわざわざ言及があるのも、『リュウソウジャー』へ繋がるネタなのかどうか(夏映画とか?)、それは考えすぎなのか。なんにしろ、勢いあまってガンマジンにチケット送らなくて良かったと改めて。
 悪に蝕まれた母星において正義に裏切られた過去を持ち、世界全てに憎悪を向けるリタは、自分の死もいとわず全宇宙の消滅を願うが、その激情の前に進み出るスティンガー。
 「自分を取り巻く宇宙に、正義がない事を憎めるなら! ……おまえは悪じゃない。周りのみんなが悪の言いなりになっても、おまえはそれに従わなかった。それは! おまえが心の奥底で、正義を求めてるからだろ!」
 「……はっ、知ったような事言わないで。あんたに何がわかるの!?」
 「俺の兄もな……」
 まさかの、サソリ仮面様拾った。
 「おまえと同じく悪を憎み、力を求めて闇に堕ちた」
 ……でしたっけ。
 ここで例のバラードから熱いお兄さん語りが始まり、ちょうど先日、スティンガーやツルギのキャラの確認の為に自分の『キュウレンジャー』感想を読み返していたタイミングだった為、回想の映像とシンクロして『キュウレン』でも屈指の玉突き衝突大事故回の記憶がまざまざと甦ってしまい、大変困りました(笑)
 かつて失った兄の事を今も心に抱えたスティンガーは、「おまえを死なせたくない!」と呼びかけるもリタに届くには至らず、遂に復活する究極大サタン。
 その咆哮は一撃で大地を砕き地形を変え、突撃を仕掛けたイーグルとサソリは軽々と弾き返されて変身解除級のダメージ。そこに襲い来る戦闘員軍団と生身で戦う事になり、前回に続き、混成戦闘員軍団の、ああこういうの居たよね……というのは良い趣向。
 2人が追い詰められたその時、銃声と共に駆けつけたのは、マーベラス、天晴、カグラ。その姿に大和くんとスティンガーが笑みをこぼして反撃開始するというのが、凄く戦隊であるという意味性が濃縮されていて、この後の展開に繋がるのも含めて好きなシーン。
 救援の3人も生身で立ち回り、色々鬱屈のたまるポジションだったマベちゃんちょっと長め。
 あとタカ兄のスタイルの良さが目を引きますが、本編のストーリーから離れたところで、タカ兄の良いところが次々と発掘されていきます(笑)
 「追いつくからやられんなって言っただろ!」
 「マーベラスさん……!」
 『ジュウオウ』本編コラボ回を踏まえている事により、ちょっと面倒くさいし悪ぶっている態度がどうかと思うけど尊敬できる先輩←→ちょっと口うるさいけど一目置いている後輩、という大和×マーベラス両者の関係性がスムーズに成立しているのは、このお祭り企画において実に大きかったと思う要素。
 「変わり者チーム、初めて揃ったよ!」
 「よっしゃ熱いぜ。燃えてきたぁ!」
 「どんなに敵がでかかろうと、んなのは関係ねぇ! それがスーパー戦隊ってもんだろ!!」
 究極大サタンを見上げた5人は、揃って変身からフル名乗り。
 「勝利の「忍びなれども「ど派手に「おまえの運「なめるなよ!」
 もとい、


「我ら!」
「「「「「スーパー戦隊!!」」」」」

 「たった5人だけで何が出来るっていうの? どうせ究極大サタンが、宇宙ごと消しちゃうんだから!」
 「スーパー戦隊を――なめるなよ!!」
 今作主題歌をバックにそれぞれスーパー化し、改めて、ジュウオウイゴエルの空飛ぶヒラヒラマッチョは禁じ手感が強い(笑)
 一方、解放後に別行動を取っていたルカは地下の結界発生装置に辿り着いており、戦闘員相手の立ち回りもこなす大サービスからゴーカイチェンジ。
 しかしカワリモノレンジャー5人はそれぞれの必殺技を究極大サタンにぶつけるも次々と跳ね返されてしまい、スーパー化が解除される危機に陥っていた。
 「もう……どうしたらいいの?!」
 「諦めるな。俺達はスーパー戦隊だ!」
 これまでの戦いで出会った先輩達の言葉を胸に、再び立ち上がる5人。
 「……みんな、かなえたい夢を胸に、ここに来たぁ!」
 「なのに、それを宇宙を消す為に利用するなんて、酷すぎる!」
 「みんな、誰かの笑顔の為に何かをかなえようとした!」
 「それがスーパー戦隊スピリットなんだ!」
 ここで特別出演レジェンド達が回想シーンの形で再登場する、というのがサービス精神が最後まで貫徹され、出たら出ただけにならず、“魂を受け継ぐ”というモチーフとも接続されて良かったです。
 「おまえら、行くぜ!」
 約1名、自力で立ち上がりましたが、本編で散々レジェンドと絡んでいますし、マベちゃんはもう、魂を伝え、引っ張る側に居るのだな、と。
 5人、そしてその背後に積み重なる勇者達の思いに応えるかのように、宙に舞う赤いキー。
 「全スーパー戦隊のパワー確かに受け取ったぜ!」
 ゴーカイレッドがアカレンジャーのキーを手にしたその時、地下ではルカが結界の破壊に成功し、召喚されたゴーカイがレオンが究極大サタンに体当たり。
 そこから『ゴレンジャー』主題歌をバックに、スーパー戦隊スペシャルストームに雪崩れ込むという、懐古趣味もオールドファン向けのネタ要素も確かにあるけど、今でも十分に格好いいよ! というか私が格好良く撮るよ! と真っ正面からぶつけてくるのが、凄く坂本監督です(笑)
 「私は強い! 私は強い! 私は強い! スーパーガーーール!」「イケイケドンドンだ!」「俺達を、なめるなよ!」「貴様の運、試してやるぜ!」「ど派手に行くぜ!」
 と各自(戦隊)の決め台詞もしっかり組み込み(何故か『トッキュウ』の「勝利のイマジネーション」は一度も使われていないのですが、「イマジネーション」概念は『トッキュウ』世界と密着しているからか……?)、力と技と団結のエンドボールが突き刺さり、消滅する究極大サタン。
 だが、消耗が激しく生身で膝を付いた5人の前で、リタが自らウルッポイゾの鎧兜を身に纏うクリスタルメイクアップ。
 「スーパー戦隊なんか終わっちゃえ!」
 危ない叫びと共にエンシェントブレイクの衝撃波が5人に迫ったその時――それを弾き飛ばしたのは、光と共に現れた、新たな黒と緑の戦士。
 「な、なんなのよあんた達?」
 「なんなの、て、ここに呼んだのはあんただろ?」
 チケットをヒラヒラさせた緑と黒はリタソーグと刃を交え、ウルッポイゾの剣はリュウソウジャーと同型なのか、と今頃気付きました。
 緑と黒の柔と剛の剣に苦戦するリタソーグは、戦いを見守るしかない変わり者5人の元へと走り、最初に近づいたのがタカ兄だったので、え、タカ兄人質になるの?! 好感度爆上げ中のタカ兄、ヒロインの座まで獲りに行くの?!と胸の動悸が高まりましたが、普通にカグラで心の底から残念(おぃ)
 それに対して、リュウソウ緑と黒はハヤソウルとノビソウルを発動し、リズミカルな音声ギミックは面白いですが、果たして本編ではこのテンポがどう出るか。速ソウルはスニーカーの意匠、伸びソウルはカメレオンの舌のような意匠、とガントレットのデザインが違う辺りは楽しいので、巧くはまってくれると良いですが(扱い的には『フォーゼ』のアストロスイッチみたいな感じになりそうか?)。
 リュウソウジャーは、黒の伸びソウハンドでカグラを救出、緑の速ソウ微塵斬りでリタソーグを倒すと去って行き、それを見送る5人。
 「新しい戦士か? あいつら」
 「多分そうじゃないかな」
 大和くんも、すっかり世界の在り方に慣れてきていた(笑)
 とにもかくにも究極大サタンの復活は阻止され、ガイソーグ騒動もひとまず終結し、一件コンプリートという事でハイタッチして回るカグラだが、そろそろ電池が切れてきたのか、腕組みしたままのマーベラスはそれを拒否。大和くんからのハイタッチも拒否。横の船長よりは付き合いの良いスティンガーは片手でハイタッチを返すと、座り込むリタを逮捕。
 「俺はいつか……君の笑顔が見たい。だからちゃんと罪を償ってくれ」
 恐らくは放映タイミングも考慮してか、単純に悪い奴を成敗して終了にはしたくない、という意向が働いたのかと思われるリタは、“正義のヒーローの手が届かなかった存在”という背景に対して、今作としてのテーマ性を描くのではなく、スティンガーのターンに接続した為に、やや中途半端な扱いになってしまった印象。
 あくまでお祭り企画ではありますが、かつて『仮面ライダーブレイド』において會川昇が近似のテーマを扱い、

 「もうやだ……本当にいいんだってば……どうせあたしなんか……誰も守ってくれない! ヒーローなんて居ない!!」
 「居るよ……」
 「だったらパパとママとお兄ちゃんを、どうして助けてくれなかったの!」
 この問いかけに対する一つの解答を鮮やかに描き出したとの比べると(脚本家自身の継続的なテーマが絡んでいますが)、持ち込んだテーマに対する解答欄の弱さ、というのはどうも感じてしまいました(それこそ、実はあの人の怨念でした! とかやって娯楽作品に徹する事も出来た筈ですし)。
 大和くんファンとして、最終話にもう一度、大和くんのターンが無かった事への若干の不満も含みますが、持っているテーゼとしては大和くんの方が相性良かったのではとも思え、しかし考えてみるとスティンガー、スパイとしては活躍したけど次に出てきた時は鎧の中だったし、主題歌バトルも無かったし……という事で、とにかく全体のバランスに徹底的に配慮した、という面では(それぞれの作品にファンが居るわけですし)これで良かったのでしょうが。
 個人的なツボとしてはもう一歩、「ヒーローとは何か」が入ってくれると、言う事なかった、という部分。
 「……あ、そういえばお宝ほったらかしでいいんですか?」
 スティンガーの ナンパ 言葉に頷くリタの姿にほっと息をつく一同だが、大和くんの伝家の宝刀・真人間ツッコミに愕然としたマーベラス、遠くを見つめる(笑)
 「…………ま、いいだろ……」
 「お迎えが遅い! ……お仕置きだな」
 今やすっかり売れっ子声優の市道真央さんですが、脚本も演技も大変ノリが良く、素晴らしい友情出演でありました。
 「そろそろ行くよ。……俺の宇宙はここから遠い」
 満点の星空を見上げるスティンガーの呟きが格好良く、メイン5人からゲストレジェンドまで、満遍なく魅力を引き出してみせたのは、本当に良かった点。
 「あたし、みんなに会えて良かった。夢はかなわなかったけど、なんか頑張れそうな気がする」
 「気がするじゃなくて、頑張るんだよ」
 「かなわない夢もあるけど、それを胸に、新たな夢を生み出す事はできる」
 亡き少年との約束を守る事が出来ず、微笑に幾ばくかの寂しさが漂う大和だが……その時、ジャンパーのポケットに入り込んでいたジェムの欠片を発見する天晴。
 「持ってってくれ。ほんのちょっとだけど……願いを叶える力、残ってるかも」
 とタカ兄は大和くんにその欠片を爽やかに渡し、タカ兄、タカ兄ぃぃぃぃぃ?!
 『ニンニン』本編への評価は低い私ですが、今作のタカ兄はホント格好良かったよ!
 勿論、キャラクターと物語というのは密接に絡み合っていて、『手裏剣戦隊ニンニンジャー』という物語の中で醸成された「伊賀崎天晴」というキャラクターがあってこそでありますが、本編を土台に、主要キャラ全員に見せ場を作り魅力的に描く、という部分は、全4話、素晴らしい仕事でした。
 そして微妙なラインだった大和くんの「願い」に関しては、視聴者に結末の解釈を委ねる、という形で、良い落としどころだったと思います。
 「またどこかで会えるといいね」
 「……もういいだろ」
 マーベラスさんは電池が切れそうです。
 「きっと会えるって。スーパー戦隊の歴史が続く限り」
 大和くんが綺麗に収めて5人は夜空を見上げるが(なおこうしている間にも、ルカのお仕置きランクが上昇していき、途中で姫かオカンが止めてくれない限り、マーベラスが番組終わった後も死にそうな目に遭いそうですが、それはまた別の物語)、すっかり忘れられたウルッポイゾの兜を拾い上げる、何者かの手があった……。
 そして、前回ラストで登場した男(First本郷猛)は、遺跡で黒と緑が捨て置いた空のリュウソウルに目を止める。
 「あいつの分、やっと見つけたぜ」
 手に取ったソウルに赤い輝きが宿り、かくして歴史と物語は、『騎士竜戦隊リュウソウジャー』へとつづく……

 ――全ての敵を、ぶった斬れ。

 リュウソウレッドさん、公式のスチール写真を見た第一印象は正直あまり良くなかったのですが、PVなどで叫んでいる際の表情は第一印象を覆す良い雰囲気なので、どんな主人公になってくれるか、楽しみです。作品としてはスタッフの入れ替えに不安の漂うパターンではあるものの、まずは俊英・上堀内監督の演出がスーパー戦隊とどんな化学反応を起こすか、期待。
 コラボものにあまり魅力を感じない方なので、それほど期待していなかった『スーパー戦隊最強バトル!!』ですが、第1話からこの最終話まで、予想を超えて存分に楽しませていただきました。荒川脚本によるキャラクターのポジショニングの上手さと軽快なやり取りに、めまぐるしいアクションを中心にスピード感のある坂本演出が四つに組み合い、お祭りとしてのバトルのみならずストーリー面でもしっかりと緩急がつけられ、特に、急造チームの戦隊成立、をクライマックスとした構成はお見事。
 リュウソウジャーの見せ場に関しても、5人が巨大ボスを倒した後に、改めてガイソーグを倒す、というのは悪くないバランス。物語的にいえば、5人とリタソーグの直接対決があればもう少しその中にリタを「救う」というニュアンスが込められたかもしれませんが、これに関しては致し方なし。
 恐竜系戦隊が大会に参加していない事は特に今作には影響しませんでしたが、数を考えると、偶然誰も入らなかった、という事は無いでしょうから、単純にリュウソウジャーを目立たせる為だったのか、或いは夏映画で何か考えているのか……。
 ところで本編のイメージをそのまま継承しつつ、ドスの利いた声で後輩達を叱咤する姿が堂に入ってきたマーベラスを見ていると、50周年記念作品は、キャプテン・マーベラス長官が率いる、という企画が水面下で進められていると言われても信じられる気持ちになってみたり(笑)
 とにかくスッキリ楽しく、面白い作品でした。

 「大人になっても覚えてて。みんな、勇気という名の魔法が使えるの。それがきっと未来を照らしてくれる。私もスーパー戦隊にそれを教えてもらったの」