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愛と憎悪は紙一重……?

電撃戦隊チェンジマン』感想・第28話

◆第28話「呪われたクレヨン」◆ (監督:山田稔 脚本:鷺山京子)
 星王バズーは、かつて自分の暗殺をもくろみ、宇宙漂流刑に処していたレジスタンス闘士・ペインを宇宙獣士として地球に送り込む。
 「人間どもよ、俺の憎しみの血が染み込んだ呪われたクレヨンを受け取るがいい」
 シーマと共に地球へ現れたペインは性格が様変わりしており、遡れば見た目から変貌して理性を失うタロウの例もありましたが、どうやら宇宙獣士は、もともと好戦的で残虐な性格か、或いはバズーによって人格改変を施され、敵として戦うしかない存在になってしまっている、という事で前回から巧く接続。
 ゴズマの尖兵たる宇宙人にも家族の愛があり侵略の被害者であるるならば、それを毎回の「怪人」として倒してしまっていいのか、という問題に対して、現段階で素早く一定のエクスキューズを与え、なおかつバズーの邪悪さも引き立てられ、抜かりがありません。
 ペインの血には、それを用いて愛を込めて描いた絵の対象に呪いをかける効果があり…………という事はレジスタンス時代、愛を込めて星王バズーの絵を描いていたのか。
 そういえばバズー様、アハメス配下の樹木獣士にも暗殺を試みられていましたが、歴代トップの、暗殺を計画されたボスキャラなのでは(笑)
 ペインの生み出した呪いのクレヨンをシーマが配り歩いている頃、スケッチブックを拾おうとして川で溺れかけていた少女を救った疾風は、それがきっかけで仲良くなり絵のモデルになる事に。
 対象となる呪いの絵の中に疾風を発見したシーマは、疾風の絵を完成させようと少女をアジトにさらい、嫌がる少女に洗脳光線を浴びせて絵を描かせ…………あ、愛は?
 敵サイドが適当に描いた絵では呪いは発動しない、という理由付けとして「対象への愛」を持ち込んだのですが、物語の都合で扱いが雑になり、この後も含めて色々しっちゃかめっちゃかな事に。
 疾風の絵を描き進めていた少女は真心から洗脳に抗い筆を止め、洗脳を強めようとするシーマ。一方、少女の所持品の分析からクレヨンの異常を察知した電撃戦隊では、疾風が敢えて呪われたクレヨンで自分を描かせる事により、獣士のアジトを逆に割り出そうと目論み、まんまとこれに釣られたシーマと獣士は呪いを発動……なお絵を担当したのはさやかなのですが、この作戦に基づいてさやかの描いた絵に……愛?
 呪いにより今週も大爆発に飲み込まれる疾風だが、準備していたロープによりこれを回避。そしてさやかの謎装置によりクレヨンのエネルギーを逆流させると、獣士のアジトが結構な爆発(笑)
 危うく床に倒れていた少女が巻き込まれて爆死するところで、実に大雑把な展開なのですが、映像的には大変面白かったです(笑)
 爆発の反応をキャッチしたチェンジマンはアジトへ乗り込み、死を偽装した疾風が別行動で少女を救出、というのはらしい展開。『バイオマン』劇場版で見たような記憶がある工事現場?での戦闘シーンにおいて、もうもうと砂煙を立てながら斜面を転がり落ちるヒドラ兵、のシーンが格好いい。
 ペインがグリフォンを集中攻撃している間に、シーマ(初期衣装が暑かったのか、気がつくと胸元の開いた夏服仕様になっている気がする)が残り4人のチェンジマンを1人で相手取る立ち回りを行い、最近あまりいい所のなかった副官ポジションの見せ場として良かったです。
 止め→止め、という殺陣を見るに動けるキャストというわけではなさそうですが、衣装デザインとスラリとした体型が相まって、キックの線を強調する演出が巧くはまっています。
 一方、触手攻撃に苦戦し、ペインスモッグに包まれたグリフォンだが、マグマギャラクシーで反撃し、それを見たシーマは撤退。残ったペインをバズーカでファイヤーし、巨大戦では電撃剣を取り出してから珍しく攻撃を受けるが、それを反射してサンダーボルト。疾風は少女に新しいクレヨンとスケッチブックをプレゼントし、チェンジマンは揃って少女に自分の絵をせがむのであった、でオチ。
 オーソドックスなヒーローと子供の交流エピソードという、90年代まで続く鷺山さんらしいシナリオなのですが、『チェンジマン』的には「大量に配られた呪いのクレヨンにより、子供達の描いた絵で街が呪いの大パニックに」となりそうな所を、早々と疾風と少女の関係に焦点を絞り込んだ結果、「段ボール一箱分配った筈の呪いのクレヨン」(成分追跡から地球守備隊が回収したとは思いますが)という要素が全く拾われない事に。
 それならそれで、肝心の少女が呪いのクレヨンを受け取る→それで絵を描くシーンがあればまだ良かったのですが、そこが抜け落ちている為に、少女の絵による呪いの発動も随分と唐突になってしまいました。
 途中でプロットの変更でもあったのか、或いは尺の都合で色々カットした際の編集が悪かったのか、
 〔疾風、川で少女を救う→(数日間以上の交流タイム/この間に少女は呪いのクレヨンを入手)→公園で疾風の絵を描いている時にペインの呪いが発動〕
 という想定だったと思われる事の成り行きが、
 〔疾風、川で少女を救う→同日、公園で疾風の絵を描いている時にペインの呪いが発動〕
 と見えてしまったのも、唐突さ加減に輪を掛ける事になってしまいました。
 そんなこんなでストーリー的には残念でしたが、後半のアクションは良かったです。
 次回――宇宙海賊の登場で、久々にブーバが飛竜と絡んでくれそうなのは期待。副官キャンペーンという事で今回のシーマぐらいには見せ場があると嬉しいですが……取り戻せ、ライバルの座!