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まっすぐに、君へ

 遅ればせながら、先週の『ルパパト』。これで心置きなく、第48話が見られます。

快盗戦隊ルパンレンジャーvs警察戦隊パトレンジャー』感想・第47話

◆#47「今の僕にできること」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:香村純子)
 前回ラストの依頼により、ゴーシュの手で何やら改造手術を受けるザミーゴ。
 「これで貴方のお望み通り、ルパンレッドとたーっぷり遊べるわよ」
 「あいつどんな反応するかなぁ。楽しみぃ」
 の言い方が絶妙にいやらしく、デストラにしろゴーシュにしろザミーゴにしろ、トータルでのスポットライトの不足はやや残念であったものの、ギアを上げてからの加速度合いはいずれも実に素晴らしい。
 人間界では咲也が初美花を食事に誘い、満更でも無い様子でOKした初美花は、魁利から「デートだ」と茶化されると言い訳しながらその場を離れ、厨房からその背を見送る透真の、表情と視線(笑)
 「……娘の心配する父ちゃんみたいな顔んなってんぞ」
 真っ正面から思い切りツッコんだ!(笑)
 遂に最終章突入という事で、脚本も演出も役者陣も、これまで積み重ねてきたキャラクターの全てを引き出しそれを超えていこうという勢いなのですが、ここの透真の表情が、今回最高に素晴らしかったです。
 序盤から、快盗唯一の成人としての意識みたいなものは見え隠れしていましたが、まさか透真が、保護者代理としてこんないい表情をするようになるとは、思いも寄らず。
 「これ以上深入りしてもろくな事はない。おまえもわかってるだろ」
 そう言う透真自身が、“そう言う事”で初美花に深入りしている(魁利に対しても深入りしていいのかどうかを悩む程度に深入りしている)、というのが今作を象徴する、主要登場人物の抱えるアンビバレントの繰り返しとして突き刺さります。
 「……じゃ、尾行でもして見張ってれば?」
 軽口を叩いてあまり踏み込みたくない話題を打ち切ろうとする魁利だが……透真は、真剣な表情で考え込んでいた。
 「……え? 嘘」
 かくして運命のうねりが巨大な波濤とならんとするその日――
 「ボンジュール! ギャングラーに、何か動きはあったかい?」
 国際警察日本支部戦力部隊捜査本部の空気は、標高8000m級に薄くて寒かった。
 OP明け、ノエル視点で始まるのが超きつく、そして凍った空気にノエルが全く気付いてないのが更にきつく、見ているこちらが酸欠になりそうです。
 一方、待ち合わせしてレストランに向かう咲也と初美花の後をつける、サングラスにハンチング帽の怪しい男が2人……
 「初美花が咲也と食事をしている…………もしかして?! あのオードブルが美味すぎて、箸が止まらなくなり、店長を褒めちぎった挙げ句、店の全メニューに挑戦した結果、パンパンになった腹に、何故か飛んできたキツツキが激突! 腹が爆発して、初美花が死んでしまうのでは。……心配すぎる……!」
 は再発しませんでしたが、周囲は男女のカップルばかりの程々ちゃんとしたレストランで、サングラスの男2人がテーブルについている絵面のおかしみで、かなり深刻な内容のエピソードなのにきっちり笑いを入れてきます。
 「ん、おいしーい!」
 「透真くんのご飯と、どっちがおいしい?」
 「…………透真」
 思わず口元が緩む保護者代理だが、ほのぼのタイムはここまで。若干わざとらしくも咲也は外堀からじわじわと探りを入れていき、魁利と透真はその内容に不審を覚える。
 「もしかして、巻き込まれた友達も居るのかな……?」
 意を決して切り込んだ咲也の問いに危険なものを感じた魁利がメールを送って初美花を中座させ、合流する3人。
 「まずいな……警察は、俺達を快盗だって疑っている」
 快盗にとって致命的な危機を土壇場で回避したきっかけが一見ギャグめいた尾行なのですが、透真が第28話「誕生日も戦いで」以降、初美花父と初美花の関係に、彩父と彩の関係を重ねてしまい、“親に想われている娘”に対して若干の保護者意識が強まっている布石があるので、透真の心理としては必然性があって決してその場限りのギャグでは無い、という接続が実に巧妙。
 とにかくこの場はやり過ごして後で対策を練ろう、と頷き合う快盗トリオだが、ギャングラー出現の連絡が入り、咲也は急遽、現場へ向かう事に。
 「ギャングラー、ですか?」
 「…………ごめんね、初美花ちゃん。僕は現場に行くから、初美花ちゃんは、気をつけて、まっすぐ……まっっっすぐ、帰ってね」
 たぶん咲也が何より辛いのは、初美花が自分を騙している可能性よりも、初美花が真っ直ぐに道を歩けない事そのものなのかもしれず、ならばそれは、咲也自身ではなく、初美花の為の祈りなのかもしれません。
 「……はい。咲也さんも、お気をつけて」
 (なんでこんな時に……やっと、ちゃんと初美花ちゃんの話、聞けそうだったのに)
 現場へ走る咲也の独白からは、快盗かどうかを確かめようとする事以上に、初美花の抱えているものがあるならば、それに正面から向かい合って聞きたいという想いが感じられ、きっかけは「可愛いから粉をかけた」だとしても、その辿り着いた所はまさに朝加圭一郎の後輩、という綺麗な繋がり。
 そしてだからこそ、咲也の気持ちは初美花に伝わる――伝わってしまう。
 「ごめん! 今日……2人に任せていい?」
 「初美花」
 「どうした」
 「だって咲也さん、疑ってないから。国際警察は疑ってるかもしれないけど、咲也さんは、あたしを信じてるから。…………騙してるのは……ずっとあたしの方だよ」
 ここの初美花の、泣くのをこらえるような表情からの呟きも素晴らしかったですが、誰かの信頼を裏切りたくないと思ってしまった時、精神的にはもはや“快盗ではいられない”わけで、危うい崖っぷちに立つ初美花。
 「……それが快盗だからな」
 だからこそ透真は、何よりも大切な人を取り戻す(取り戻させる)為、即座に心を鬼にして言わざるを得ない。ここで魁利に言わせるとドライになり(聞こえ)すぎるので、精神的に綱渡り状況にある初美花が壊れないように引き戻そうとする役割を透真に持っていくのが、また絶妙なバランスでした。
 「……わかってるよ。わかってるけど」
 快盗戦隊が寸刻みになりかねない、鋭い刃のような言葉の応酬が続くその時、店内に聞こえてくる、口笛の音――魁利を先頭に窓辺に駆け寄った3人が目にしたものは、ロックアイスーーー! を手にした、派手なソンブレロの男。
 ザミーゴ人間体のシンボルではあるのですが、この緊迫した状況下、最大限に劇的な邂逅の場面で、普通にロックアイスかじってきたのは衝撃的でした(笑)
 木の陰から出てきて最初に視界に入るのが、平々凡々としてどこか気の抜ける「氷」の文字なのは故意としか思えないのですが、日常の中に紛れ込んだ異常であるザミーゴのキャラクター性がよく出ていて、良い場面盛り沢山だった今回の中でも、凄く好きなシーンの一つ。今期演出陣では何より杉原監督のパイロット版抜擢からの成長ぶりが光りましたが、『ニンニンジャー』以来のローテ参戦となった渡辺監督がラブコメからキツツキから決戦クインティプルまで、多彩なエピソードでキレのある演出を見せてくれたのは、好きな監督なので大変良かったです。あと今更ながらザミーゴは、未確認生命体(『仮面ライダークウガ』)的なキャラクター性を有しているのか、と成る程納得。
 「……ザミーゴ」
 「え?!」
 「……アレが?」
 透真少々、俺達の因縁の敵はアレなのか?! が入っていそう(笑)
 「ターゲットはあいつに変更だ。……どうする?」
 「――行く。……早く、早く全部終わらせたい」
 皮肉な運命の悪戯も手伝って快盗である事に踏みとどまる初美花ですが、「早く全部終わらせたい」は初美花にとって都合が良すぎて、果たしてしっぺ返しは来るのか、全てを掴む事が出来るのか。この「快盗は全てを掴む事が出来るのか」というのが今作最終盤における最大の物語的焦点といえるのですが、マクロなテーゼをミクロからしっかりと補強しています。
 一方、咲也も合流した国際警察が通報現場で構成員を片付けるとその背後に姿を見せたのは、ゴーシュ・ル・メドゥ。
 「おまえ、いったい何をたくらんでいる?!」
 「別に。企んでなんかないわ。刻みたいから刻みに来たのよ。でも良かった~。エックスに会えるなんて」
 引き続き熱視線でロックオンされ、あれ? 今、僕と一番友好度高いの、切り裂きマッドドクターなの??
 「貴様の好きになどさせるか!」
 「「「「警察チェンジ!!」」」」
 そのルートへ入りたくないノエルを筆頭にパトレンジャーが4人並んでゴーシュに突撃を仕掛けていた頃、ルパンレンジャーもまた、ザミーゴと接敵。
 「探したぜ! ザミーゴ・デルマ!」
 「探したぜぇ~ルパンレンジャー。まとめて遊んでやるから、かかってきな?」
 「余裕こいてんのも今の内だ。今度こそ、決着つけてやる!」
 テーマソングをバックに銃撃戦に突入し、青がシールドで凍結弾を防御し、黄がアローで牽制している間に赤がビクトリー、とこれまでの戦闘経験を活かした流れるような連携が鮮やかで格好いい。
 「おまえを倒せば全部終わりだ!」
 「あんたが奪ったもんを、今日こそ返してもらうんだから!」
 「おまえの動きは読めるんだよ!」
 そしてザミーゴの土手っ腹に、Vレッドのルパンマグナムが風穴を開ける。だが……何故か、見る見るうちに塞がってしまうその傷口。
 「なに今の?!」
 「さあ、なんだろうね~」
 拳銃を持った両手を広げながらルパンレンジャーを嘲弄するザミーゴが、全面的に厭らしくて実に素晴らしいです。
 ルパンレンジャーの猛攻をものともしないザミーゴの背中には新たな銀の金庫がついており、なんとザミーゴはゴーシュの改造手術によって金庫を増やす事で、体を液状化するコレクションを用いて攻撃を無効化していたのだった!
 「あれは、ゴーシュにやったコレクションだな。ザミーゴに、分けてやったのか」
 その戦いをモニターで見つめるドグラニオ様、お酌係が構成員なのが、黄昏れゆく組織の象徴として、なんだか切ない情景です。
 「はっ、俺が築いた地位にも財産にも、興味はねぇ、か」
 そのくせ戦いを愉しむ為なら改造手術も辞さないザミーゴの姿に何を思うのか、ドグラニオ様の思惑ありげな呟きも積み重ねられ、他の幹部キャラ同様に、派手な花火を期待したい。
 「早く刻ませてちょうだ~い」
 「誰が!」
 ゴーシュと死闘の真っ最中の警察サイドでは、Xが快盗チェンジから足を取って転ばせてゴーシュの金庫に迫っていたが、ゴーシュは新たなコレクションを右腕に装備し、その一撃は、ルパンXの装甲すら貫く!
 「どう? 私の三つ目のお宝の力は」
 ゴールド金庫の数という明確な点も含め、単純な戦闘力ではデストラに劣ると思われるゴーシュですが、右腕にメス状のブレードを生やすというベストマッチなコレクションで強化する事で、最終盤の強敵として格を落とさない形に。その上で、基本4対1のバトルにする事で、デストラさんはやはりデストラさんだった! という配慮が見えるのも、死んだらそれで終わりではないキャラの使い方として、嬉しい所です(前回の隠し芸回想でもデストラさん上げが入りましたし)。
 「うふ、私の為にあるようなコレクションね」
 「そんなもの、へし折ってやる!」
 連続攻撃を浴びて倒れた銀に変わって赤桃緑が立ち上がり、個人的に好きなメガホン剣を持ち出してくれたのも嬉しかったところ。
 ゴーシュは嗤いながら右手のメスを振り回して警察戦隊を切り刻み、他方、3方向を快盗に囲まれるザミーゴも二丁拳銃と液状化能力で圧倒する、というW戦隊が強力幹部に揃って苦戦する二局展開を、画面を上手く重ねながらスムーズに見せてきます。
 「全然金庫に近付けない!」
 荒ぶる赤は青の手からシールドをひったくると、タービン回して滑空突撃で食らい付くが、急旋回や上昇しながらの連続射撃も有効打には至らず、最後は崩れた倉庫の下敷きとなって、完敗。
 「なーんだ、今日はここまでか。また次のチャレンジを待ってるぜ。アディオス」
 ザミーゴはトドメを刺す素振りすら見せずにあっさりと引き上げ、完全に弄ばれ打ちひしがれるルパンレンジャー。
 その頃、警察戦隊は警察戦隊でゴーシュのメス捌きと光弾の合わせ技に活路を見いだせず、苦境に追い込まれていた。
 「ほらほら、どうしたの~? 早く私を止めなきゃ、どんどんやっちゃうわよ」
 余裕を見せるゴーシュは、手から放射したビームでビルを切断。
 「やーめろーー!!」
 それを防ごうとする1号、ビルを切り裂くビームを、スーツの厚みで受け止めているぞ(笑)
 ゴーシュの無差別破壊を体を張って食い止めるパトレンジャーだが次々と変身解除に追い込まれ、立ち上がったルパンXもゴーシュに翻弄されたまま、連続の斬撃で変身が解除されてしまう。
 (コレクションを取る事もできない……街の被害も止められない)
 かつて第32話において、


 「そんなことない! コレクションを手に入れる事と、平和を守る事は両立できる!」
 「出来る出来ないじゃない。やらなければいけないんだ! それが君とも、レッドくんとも違う、僕の選んだ道だぁ!!」
 「ルパンコレクションを取り返し、大事な人を取り戻す! そして、ギャングラーを排除して、平和な未来を実現する!」
 総取りを目指す道を行く事を宣言したノエルが、力不足からどちらも及ばない自分を認める、というのはヒーローの敗北として象徴的。またノエルは、“自分一人では総取りできない”事を最初から認めて快盗と警察の双方を連携させようと模索を繰り返していたのですが、現時点ではその理想的な関係構築に失敗した、といえます(この辺りノエルが、万能なようで万能ではない、というのは明確なキャラ付け)。
 「可哀想にねぇ。頑張ったのに」
 故にこの、ノエルの思惑を知るわけではないゴーシュの軽い厭味が、ノエルの心奥に突き刺さる内容になっているのが、痛烈。
 (ごめん、魁利くん。僕一人じゃ、あの金庫は開けられないみたいだ。……みんなを守る為、今の僕に出来る事は……)
 全てをその手に掴めない時、選ぶべきものはなんなのか……ノエルが下した結論は、圭一郎達をかばってゴーシュの前に立つ事。
 「刻むなら、僕だけで十分だろ」
 両立の難しい二つの“どちらか”を切り捨てるのではなく、どちらの道も残す為に“自分自身”を切り捨てる、というのが、色々わかりにくい上に紆余曲折ありましたが、高尾ノエルという人間の真骨頂、という事になりそうです。
 出来ればこの“自己犠牲”は、否定されて欲しいたぐいのものではありますが。
 「ゴーシュ、おまえは見たいんじゃないのか? 人間じゃない、この体の中を」
 「……ノエル。おまえ、何を言ってるんだ」
 「…………ごめんね、今まで黙っていて。僕は、遙か昔にギャングラーに故郷を追われた、異世界の住人の子孫なんだ」
 そしてノエルは自らの正体を警察戦隊に明かし、状況的にはともかく、形としてはノエルの口から直接語る事になったのは、警察戦隊との関係性におけるノエルの誠意の表現となり、良かったところ。
 「人間を守る為に、自分を差し出そうっていうのね。うふっ、いいわよ~、貴方を切り刻めるなら、そんな雑魚」
 ザミーゴにとってルパンレンジャーとの戦いが楽しい遊びでしかないように、ゴーシュにとってパトレンジャーは取るに足らず捨て置いていい存在である、と強力な敵幹部がヒーローを捨て置く理由付けとして、二局の展開を繋げる事で上手く補強しているのも、細かく巧い。
 「話が早くて助かるよ」
 ノエルは手持ちのビークルを3人に預け、つかさ先輩、山盛り。
 「……死ぬつもりか? よせ!」
 「前に言ってくれただろ。僕のこと、一人の人間として、助けない選択肢はないって。……嬉しかったよ」
 第38話時点では、警察戦隊の姿勢としては当たり前すぎて、どうも劇的さに欠けていた「おまえがどんな胡散臭かろうが、任務で対立しようが、助けない選択肢はない! ……おまえだって一人の人間だ」という圭一郎の言葉が、ノエル視点では非常に重い意味を持っていた、というのがノエルの正体と改めて接続。
 「……馬鹿なことを言うな! 今も見殺しにする気は無い!」
 その上で、さすがに状況を整理しきれてはいないとは思いますが、断言してみせる圭一郎が、超格好いい。
 「ありがとう。でも……借りを返すだけさっ」
 「ノエル!」
 ゴーシュはノエルを捕縛すると、デストラの形見であるサボテンゴーレムを召喚して、異世界へ。無力さに歯がみしながらグッティを捕まえた警察戦隊はサイレンパトカイザーでゴーレムを撃破するが、ノエルはドグラニオ邸へと拉致されていた……。
 「ご覧下さいボス。私の新しい獲物です」
 「ほぅ……エックスじゃねぇか」
 「ステイタス・ゴールド・フィジカルプロテクト……」
 この局面で生真面目なノエルですが、ノエルにとってはこれが、アルセーヌを殺した元締めである仇敵との対面となるわけで、そういう点では非常に必然性のある人質展開。
 ノエルの瞳の中に映るドグラニオの顔、という渡辺監督好みのカットで、つづく。
 張り巡らされてきた人間関係や物語上の布石のみならず、各種ギミック的な集大成に、エピソードとしての完成度を上げる細かい工夫も二重三重に仕掛けられているという大変濃密なエピソードでしたが、様々な思惑が入り乱れる中で改めて、今作の背景に横たわる「何を手に入るのか? その為に何を失うのか?」という問いが浮上。
 「何かを手に入れる為には相応の代償が必要」というテーゼもあれば、「全てを掴み取って理想を実現してこそヒーロー」というテーゼもあり、今作がどちらに行き着くのか正直未ださっぱり読めないのですが、全体的には快盗の罪は快盗の罪として存在するというスタンスですし(法的であると同時に道義的に)、仮に一緒にギャングラーを倒したから全て水に流そう、では咲也の苦悩は何だったのかという話になってしまう事もあり、快盗と警察という存在の対比は、最後まで意味を持った形で収まってほしい所です。
 例えば今回の初美花は、快盗である事を隠し通したままザミーゴを倒して親友を取り戻せれば、快盗を辞め、ジュレという場は残り、咲也とも今まで通りの関係を続けられる(かもしれない)という思考に“逃げている”のですが、結局それは、表面上は隠し通せても咲也を騙していたという事実は消えないままの“虫のいい”願望であり、ヒーローの総取りの中に収めてしまっていいものとは思えないので、そこはしっかりと締めてくれる事を期待したい(キャラクターをきちっと殴ってくる事に関しては、香村さんを凄く信用していますが)。
 その上で今作通して一つハッキリ描かれているのが“人と人が真っ直ぐに向き合う”事の大切さであり、それが成し遂げられた時には、割と色々な理屈を飛び越えられそうな気配はあるのですが、果たして空前のW戦隊・VS戦隊はどんな「ヒーロー」に辿り着くのか、楽しみにしたいと思います。