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『ルパパト』期末試験

快盗戦隊ルパンレンジャーvs警察戦隊パトレンジャー』感想・第45話

◆#45「クリスマスを楽しみに」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:大和屋暁


 問1.3話持ちの3話目に今回の脚本を渡された時の中澤監督の気持ちを10文字以内で答えなさい(句読点含む)。
 クレーン&ドリル回の幼稚園児が再登場し、幼稚園のクリスマスパーティに招待された咲也は、知り合いのフランス料理のシェフに頼んで「チキンを用意する」と約束。透真に頭を下げてジュレメンバーの協力を取り付けると、クリスマスに盛り上がってくるくる回るノエルは、ケーキの用意を請け負い、金Xに変身してパリへ。
 「わざわざ……ケーキの為に?」
 「ありがとうございまーす! ノエルさーーーん!!」
 笑顔で手を振る咲也に、いっそぎょっとした順番に振り返る快盗トリオが面白い(笑)
 その頃、沈痛な面持ちの圭一郎とつかさを背にデータベースを調べていたジムは、キーウイギャングの<化けの皮>と、過去に都内で失踪した男性の顔が一致する事を確認。<化けの皮>が人間を素材にしていると知るや、資料写真と膨大なデータを照合する国際警察、というのが賢く緩みなく、組織力も活かした好展開。
 「こいつの被っていた<化けの皮>も、悟と同じように失踪した人間から作られていたのか」
 悟が<化けの皮>の素材として消費された、という事実を噛みしめながらデータの照合を続けていた圭一郎達は、顔データの一致が確認された3人の行方不明者が、いずれも去年2月、都内で行方不明になっているという共通項を発見する。
 「あの大量失踪事件か?!」
 「……行方不明者から<化けの皮>が作られたのではなく、<化けの皮>を作るために誘拐されたのでは」
 遂に“ルパンレンジャーの始まりの時”から一本の線が繋がり、圭一郎達が失踪事件の被害者リストを洗い直し始めた頃、咲也は魁利とパーティの買い出しをしていた。
 「子供達と、圭ちゃん達のためにね。いいとこあんじゃん」
 嫌な上司を除いて概ねフレンドリーな咲也と、表向きは基本そつのない魁利のやり取りは、蓋を開けてみると至って普通。ただ今回、全体的に魁利の対応が柔らかめの印象はあり、圭ちゃん問題とノエル問題を乗り越えた事による人間的成長が示唆されているようであると同時に、ここから奈落の底に突き落とす前振りにも見えて、不穏。
 順調に買い出しを進める、女友達の父親に睨まれそうなコンビだったが、そこに突然登場する、鮭の骨ギャングラー。
 「今年のクリスマスは、シャケ一色に、染めてやるー!  ノーモア・チキンー! チキンの代わりに、シャケを、食べろーー!」

 問2.以下の文章の〔〕部分にふりがなをつけなさい。
   どんな怪人が出てきても、〔津久井教生〕さんや〔飛田展男〕さんや〔中村大樹〕さんならきっと何とかしてくれる。
 人々からチキンを強奪し、代わりにシャケをばらまくおかしなギャングラーが登場し、チキン派の2号は一騎打ちの末に敗北。シャケギャングは「クリスマスには、シャケを食え!」と都民に宣戦布告し、慌てて鶏肉店へ向かう咲也だったが、既にそこには「ノーチキン!」ギャング団の手が回っており、チキンの代わりにシャケの切り身が並べられていた…………ここ4話の出来事など無かったかのように怒濤のトンデモ展開が繰り出される、大和屋ナパーム!
 全て焼き尽くす勢いのシャケシャケシャケの投下による前回ラストからの温度差が酷すぎるのですが、そのくせ冒頭で、子供との「約束」という、今作の最重要タームを掲げてあるという手練れの技が憎い。
 「随分察しのいいギャングラーだな……」
 ローストチキンの危機に走る咲也だが、別の店でも状況は全く同じ。立ち去ったかと思って再びチキンを出すとすぐに来襲する、というギャングラーの行動に魁利は疑問を抱き、回想シーンの天丼ギャグからコレクションの能力へと繋がるこのテクニックの恐ろしさ。
 「ま、チキンがなくてもパーティは出来るだろう」
 「そんなこと僕が許さない! クリスマスといえばチキン! チキンといえばクリスマス!」
 一旦ジュレに戻って事情を説明した咲也は、大興奮のあまり動きがちょっと武突参流になり、一斉に背を向ける快盗達(笑) そこにケーキを手にしたノエルがパリから帰還し、シャケギャングは嗅覚強化のコレクションでチキンの匂いを嗅ぎつけているのだろうと推測する。
 「……ノエルさん! お願いがあります」
 「わかったよ」
 何故か以心伝心でわかりあう、アムールブラザーズ。
 「僕も、チキンの無いクリスマスなんて、考えられないからね」
 『エッエッエッークス!』
 ノエルは再び金Xとなってパリへと向かい、鶏肉店回想シーンに続く天丼ギャグなのですが、ジュレの扉を開けると変身済みでXトレインが即座に出発、というテンポが個人的に妙にツボ(笑)
 今回、字幕を多用するなど咲也パートは演出もかなり振り切れているのですが、咲也パートが振り切れれば振り切れるほど、シリアスのどん底にある圭一郎パートとのギャップが激しくなり、光が強くなるほど影が濃くなるというコントラストの効果が発揮されて、「ああこれはもう色々、駄目かもしれない……」という気持ちにさせられるのが、物凄く凶悪。
 前回以上に、東雲悟という存在が失われた事も実感させられ、だからこそ先輩達を気遣う咲也の気持ちもわかって、双方の明暗差が螺旋を成しながら地獄の蓋へ向けて降りていく、という鬼のような構造で、スタッフ揃ってなんて酷い事をするのか。
 迫り来る破綻の足音をまだ知らず、パリで首尾良くチキンを入手するノエルであったが、このままでは子供達が危険にさらされてしまうかもしれない……クリスマスを、人々の笑顔を守る為、咲也は今度は透真に熱視線。
 「……いいですよ。ちゃんと守ってくれるんでしょ……先輩」
 しっかりとネタを拾い、咲也パートは終始トンデモギャグ回ながら、スタッフ・演者それぞれのアイデアが活発に飛び交っている感じで、ここまで40数話、積み重ねてきたものが至るところで活かされているのが、見ていて素直に楽しい部分。
 咲也とノエルは、野外でチキンをローストする透真を囮にシャケギャングを待ち受け、更にそれを見つめる快盗赤と黄。
 「ホントいい人だよねー、咲也さん」

 問3.強調部分「いい人」に最も近い意味の言葉を次から選びなさい。
  1,恋人になりたい
  2,憧れのお兄さん
  3,いい人
  4,ミジンコ
 「ふーん、いい人ねぇ」
 「……な、なによ」
 かつては生理的に無理なダニストーカー扱いだった咲也を笑顔で評する初美花を魁利がからかい、こ、これは、ミラクルの気配なんですかノエルさん?! アムールの国ではどういう意味なんですか?! ノエルさぁん!
 初美花の場合、当初は咲也の事を「自分の事ばかり考えて相手の事情お構いなしにアプローチしてくる男」と捉えていたのが(120%咲也が悪い)、実は咲也が「他人の為に一生懸命になれる男」だと知った、というのは突き刺さる所はあったのでしょうが。
 それにしても咲也、幼稚園児と触れ合い、魁利と順調に交流し、ノエルと目と目で通じ合い、透真の先輩として頼みを聞いてもらい、初美花からの好感度が上昇に転じつつある、という全方位の無敵ぶりで、まさかここまでのモンスターに進化するとは(笑)
 もしかしたら今回が最後の見せ場という可能性もゼロではないですが、どう見ても深刻な事態になりそうな年明け最終章、陽川咲也という存在が物語の中でどんな光を放つのかは、注目したい要素です。
 匂いにつられたシャケギャングが目論見通りに誘き寄せられ、咲也とノエルは警察チェンジして迎え撃つが、戦隊ではギャグ怪人こそ鬼門であり、緑と金はシャケ料理幻覚攻撃に次々とダメージを受けてしまう(笑)

 問4.次のうち、「戦隊ではギャグ怪人こそ鬼門」にふさわしくない例を選びなさい。
  1,野球好きのデビルバッターによりジャッカー関東支部が壊滅寸前に陥った。
  2,ボーゾック1のピザ作りの名人XXミレーノによってピザにされたカーレンジャーは、食い殺される寸前にシグナルマンになんとか助けられた。
  3,魔法騎士ウルザードは「武器を持たず、戦う意志の無い者に手は出さん。魔道騎士たる者の当然の心得だ」と美学に酔ってマジレッドを見逃した。
  4,邪悪竜ターロンによって風水を固定された明石暁は、不幸続きの果てに精神崩壊直前に追い込まれた。
 「しゃっけけ! おいしいだろう?」
 「確かに、シャケは、素晴らしい食材だと思う」
 「僕も、サーモンは大好物の部類に入るよ。だけど!」
 「「クリスマスには、チキンでしょーがぁ!!」」
 全国のシャケ派に必死のフォローを入れながら立ち上がった緑と金は一斉射撃でシャケギャングを転ばせ、そこに現れた快盗トリオ、転んだシャケから生身マスク姿でコレクションを回収。
 「快盗! どうして?!」
 「俺たちも、クリスマスにはチキンだと思うからさ」
 とんだギャグ回なのに、無駄に格好いい(笑)
 「子供達との約束を守る為! 先輩達を元気にする為! 絶対におまえを倒す!」
 2号はアムール改めチキンの絆で結ばれたサイレン銀Xのトリガーを握りしめ……祝・ノエル、初めての合体技(涙)
 ビクトリーとサイレンのW必殺技で消し飛ばされるシャケだったが、ゴーシュが金庫を釣り上げて巨大化し、Xが「ゴーシュ……」と呟いて因縁継続しているのはポイント高し。
 巨大シャケ&助っ人構成員と激突するサイレンルパンカイザー&Xエンペラーだがシャケの必殺料理攻撃に予想外の苦戦を強いられ、このギャングラー、頭脳と活動はともかく、単体の戦闘力ではかなり強いのでは(笑)
 マグナムロボ投入で構成員を射殺し、形勢逆転したルパンレンジャーは幻覚攻撃をお返し、マジカルクリスマススペシャルによる一斉攻撃で、聖夜に散るのは、ギャグ怪人となるのであった。
 そして幼稚園では無事にクリスマスパーティが行われ、チキンに加えて振る舞われるシャケ料理のフルコース(切り身1枚50円だったから)。結果的に初美花とクリスマスの夜に一緒にいるにも関わらず、全身トナカイコスプレで固めている咲也、うん、いい人だ、いい人だよ……そこに遅れて職場からつかさもやってくるが、圭一郎は未だ到着せず。
 「もーーなにやってんだろ。早く来ればいいのに」
 子供達との約束を守り充実感に浸る咲也は、元気になってほしい先輩の到着を待ち望むが……楽しそうな歓声の響く幼稚園から一転、静寂に包まれた日本支部でリストの確認作業を続けていた圭一郎は、招待状に目を止めて腰を浮かせ、しかし作業を離れがたく画面をスクロールさせた所で、一つの名前に気付く。
 「ん? ……夜野?」
 昨年2月、都内で失踪した男性・夜野勝利。その弟の名は――夜野魁利。
 「魁利くんの兄さんが大量失踪事件の被害者?」
 これをきっかけに、以前に調べた初美花と透真のプロフィールが脳内を駆け巡り、ジュレの3人が揃って失踪事件の関係者である可能性に、遂に辿り着く圭一郎。
 「…………まさか」
 正義に燃える一人の男が、重い重い真実の扉に手を掛けた事を知らず、快盗達はその夜、束の間の安息のただ中に居た――それが、仮初めの“今”だとしても、そこにある穏やかな時間はいつの間にか本物に変わっていて……
 「圭ちゃん遅いなぁ」
 で、つづく!
 シャケギャングがかなり街で暴れていた筈なのに圭一郎とつかさは外に出てこない、というのが話の都合になってしまったのは惜しかったですが、パートの極端な温度差で見せる、という構造は面白かったです。ギャグはギャグ、シリアスはシリアスで楽しめましたし、上述しましたが、今作ここまでの積み重ねが良い形で出た回だったな、と。
 宇都宮P×香村純子メインのコンビとして前作にあたる『動物戦隊ジュウオウジャー』に比べて、バラエティエピソードを意識的に強化している節がある今作ですが(その代わり、ほとんどのエピソードに大筋に関係する何らかの布石がまぶしてある)、そういった振り幅の大きさを役者陣や物語が上手く吸収してきた感じですし、中盤からの大和屋さんのサブ起用は、かなりはまってくれました。
 それにしても、つかサンタお姉さんの扱いが雑だ!
 次回――「間違いない。快盗の正体は魁利くん達だ」「ありえません!」「ギャングラーとゲーム?!」
 2話続けてパートのギャップが酷い事になっていますが、総集編混じりの作りになるのか、今年は年末年始の総集編無しで行くのか……年明け女装で始まる最終章の行方はどっちだ?!

 問5.今回のエピソードで明らかになった事実を次の中から2つ選びなさい。
  1,<化けの皮>の素材はチキン。
  2,ヒルトップ管理官は武突参流古武術の使い手である。
  3,陽川咲也は「チキンのないクリスマス」は「餅のない正月」みたいなものだと考えている。
  4,朝加圭一郎はクリスマスパーティに招待してもらえなかった。
  5,高尾ノエルはパリ本部に、チキンを買ってくれる程度の知人なら居る。
  6,ジム・カーターの得意な宴会芸は4つ同時の皿回し。