東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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グリッドマン一挙

 アニメ『SSSS』は第2話以降を見ていない内に最終回を迎えてしまったのですが、とりあえず録画はしてあるので、その内、勢いをつけて見たいと思っています。

電光超人グリッドマン』感想・第28-31話

◆第28話「神かくし!ゆかが消えた!!」◆ (監督:村石宏實 脚本:平野美枝)
 「井上ゆか、顔を上げろ。こっちを向いて僕に笑いかけろ。そうだ、僕だけに微笑むんだ」
 冒頭から、遂にゆかをビデオカメラで盗撮する武史の姿がねっとりじっくりと描かれ、一線を踏み越えた最っ低具合が、もはや笑いに変換できないレベルなのですが、どこぞの馬場一平くんも半ばストーカー化して盗撮行為を繰り返していたという過去が作品全体に重くのしかかります。
 「どうして僕の愛に気付かないんだ。こんなに激しく、こんなに強い僕の愛に。なんて鈍感な女なんだ。……ゆかぁぁぁ」
 最近プッシュの激しい直人に向けられたゆかの笑顔に頭を掻きむしる武史は、家に戻ると「神隠しの実験」と称して、新たな怪獣を作成。
 「ふふふふふふふ、欲しい物は手に入れてやる」
 開いた自室のロッカーには『井上ゆか 僕と彼女の愛のメモリーとラベルの貼られたビデオテープがずらりと並んでおり、「遂に盗撮に手を染めた」どころか、「根の深い常習犯」でした!
 もはやカーンデジファー様と関わる以前から犯罪者街道一直線であった事が判明した武史(ハッキングもしていたけど)は、作り出した透視怪獣を愛用のハンディカメラに内蔵。そのカメラでゆかを盗撮する事で、自室の空間ごとゆかをビデオテープの中に閉じ込めてしまう!
 「これでいつでも一緒だ。誰にも僕らの邪魔はできない」
 自宅に戻った武史はビデオカメラをモニターに繋ぐと、戸惑うゆかの姿を大画面で見つめながら妄想にふけり、怪獣にCワールドを改造させる事で手持ちアイテムをオーバーテクノロジー化するというアイデアは第28話にして全く新しい切り口で面白かったのですが、青春の炎が燃え広がりすぎて、とんだド変態エピソードに。
 翌日、井上家には「私を探さないで」という明らかに編集されたゆかからのビデオメッセージが届き、直人と一平も巻き込んだ失踪騒ぎに発展。心配する井上母の前で、「こりゃどう見ても駆け落ちだな」と適当な事を言い出す直人父が桜が丘に蔓延するクズパンデミックに飲み込まれてしまったのはギャグとしても踏み外した感があり(このエピソード全体が踏み外し気味ですが……)、技術畑では無さそうなものの、TVマンである直人父が映像の不審に気付くぐらいしても良かったような。
 ビデオカメラを手に街へ繰り出した武史は、逆恨みの趣くままに人々をテープの中に閉じ込めていくが、電機店でバッテリーを充電した事によりグリッドマンが感知し、Gコール。ビデオメッセージが編集されたものである事を突き止めていた直人と一平は、「カーンデジファーの野郎、ゆかを誘拐しやがって!」と怒りに燃えるとCワールドへと突入する。
 四足歩行型で全身にストロボを付けた透視怪獣は、磁力怪獣(第12話)の改造と思われますが、どうしてストロボなのかよくわからなかった磁力怪獣よりも、むしろしっくりと来るデザイン。
 怪獣の懐に飛び込むも発熱攻撃に苦戦するグリッドマンだが、復活したゴッドゼノンが応援に投入され、最後はグリッドライトセーバーでずんばらりん。
 一応、エピソード内部での前振りはあり、あのままフェードアウトするよりは遙かにマシでしたが、ゴッドゼノンは一時退場も復活も、割と雑な扱い。
 キラキラミストでCワールドが修復された事により、神隠しにあっていた人々は元に戻り、ゆかも無事に帰宅。
 「武史のねじれた心、歪んだ魂は、どうしたら、救えるのだろうか」
 ナレーションさんにも心配されて、つづく。

◆第29話「愛犬爆弾計画」◆ (監督:石井てるよし 脚本:新藤義親)
 ニンジャ×カンフー=最強!
 犬に吠えられ、そば屋の出前持ちと衝突した武史は巷で流行しているコンピューター制御の首輪にカンフーシノビラーを送り込み、犬を次々と凶暴化。だがそれでは生ぬるい、とカーンデジファー様は首輪に爆破プログラムを送り込むように強制し、都内各地で犬が爆発! という本格的に凶悪な爆破テロに発展。
 直人達の同級生・美奈子の飼い犬も生ける爆弾と化してしまい、Cワールドでの戦いと爆弾犬探しを同時進行するという、『グリッドマン』いつもの盛り上がらないパターン(^^;
 とうとう、ペットアイテム社のホストコンピューターに平然とアクセスする一平が気になりますが、スニーカーにハッキング技術の通信指導でも受けているのでしょうか。
 「藤堂武史はもう使い物にならん……だが馬場一平、貴様の心の中には憎悪が怨念が醜い嫉妬がある!」
 とか、カーンデジファー様に見込まれてラスボス化しないか大変心配です(そういえば絵も描ける)。
 出てくる度に東映風味が強くなるシノビラーは、手裏剣の連打からヌンチャクの舞、更にそれを繋げた棍による攻撃でグリッドマンを苦しめるが、キンググリッドマンに敢えなく敗北。
 危機一髪でゆか達は犬と一緒に爆死を免れるのであった。
 次回――グリッドマン、またも精神攻撃に敗れる?!

◆第30話「世界滅亡の日」◆ (監督:石井てるよし 脚本:右田昌万
 注目は、
 「トキメキ星雲……?」
 という単語を口にするカーンデジファー様。
 概ね人間世界の常識や流行に対してアンテナ感度低めのカーンデジファー様、普段は一体、何をしているのか。勤勉な悪の組織なら征服対象の世界のリサーチに励みそうなものですが、武史が学校から憎悪と怨念を抱えて帰ってくるのを、ワクワクしながらコタツに入って待っているのでしょーか。
 巷で人気のコンピューター占い「トキメキ星雲」に従い、ゆか攻略の為に髪を金色に染め、似合わないパンクファッションに身を包んだ武史。勿論うまく行くはずもなく、男の痴漢に遭遇して顔中にキスマークを付けながら帰宅する、というのが結構酷いのですが、第28話で盗撮・監禁という完全な犯罪者コンボを決めていたので、2話越しの因果応報といえば因果応報。
 その顛末を聞いて思わず吹き出し、咳払いで誤魔化したカーンデジファー様の協力を得た武史は、魔力超獣をコンピューター占いに送り込んで言いなり光線を放つように改造し、第30話にして明かされる衝撃!
 カーンデジファー様が時々武史に使う洗脳光線の正式名称は、言いなり光線。
 …………ネーミングセンスが、「説明は後だ」でお馴染みハイパーエージェントさんと全く一緒なのですが、えー……もしかして、カーンデジファー様のフードを取ると、正体はグリッドマンだったらどうしよう。
 全ては、ヒューマンワールドの少年少女達の心を弄ぶ、ハイパーエージェントの邪悪なマッチポンプだったのだ!(爽やかガッツポーズ)
 辻褄の全く合わない与太はさておいて、逆恨み同盟の目論見は見事に当たり、「そんなに直人の事が好きだったら、直人が好きな女を殺してしまえ。愛は奪い取るものなのだ」と洗脳されたカナは金属バットでゆかに襲いかかり、「仕事なんか辞めてしまえ」と洗脳された直人父は大学時代に精神退行してビートルズ気取りでギターをかき鳴らし始め、翔家に迫る家庭崩壊の危機。
 「家のローンを支払い続ける為に、日曜も奴隷のようにこき使われるなんて、もうやめたんだ。トキメキ星雲よ、ありがとう!」
 ラジコン回で、退職金を前借りして家を買ったと言及されているので、大変切実です。……まあその割には、真っ赤な外車を乗り回していたりはするのですが。
 「今日は世界滅亡の日だ」
 盛り上がってきたカーンデジファー様はトキメキ言いなり光線を街中にばらまき、理性を失っていく人々。そして、トキメキ星雲を調べていた直人は「貴様の命は、今日でおしまいだ」という占いにより、鳴り響くGコールを無視して、体育座りながら「赤とんぼ」を口ずさんでいた(笑)
 一平は直人を殴り飛ばすと強引にジャンクの前まで連れて行き、「緊急事態だし、仕方ないよね」と目からビームで強制合体するハイパーエージェント(おぃ)
 だがCワールドに突入したグリッドマンは直人とシンクロしておらず、怪獣から逃げ惑うばかりでホッとしましたが、それはそれでとにかく現場に連れて行けば何とかなるのではと見切り発車したハイパーエージェントさんはやはり、宇宙的正義のエージェントとどこかで繋がっているのではないか。
 「グリッドマン……どうしたのでしょう?」
 「うむ……いつもより全然弱い」
 逆恨み同盟はモニターの前で首を捻り、割と世界もグリッドマンも大ピンチの局面で、妙にほのぼの(笑)
 未だにお互い、〔グリッドマン/ジャンクトリオ〕vs〔カーンデジファー様-怪獣/武史〕という二重構造のヒントすら掴んでいないのはちょっと面白いところですが、逆に、一つ糸口を掴めばそこから怒濤の最終決戦に持ち込めそうな気配が、70~80年代ぽい構成ともいえます(この後どう見せていくかはわかりませんが)。
 「こんなグリッドマンを倒しても面白くない」
 急にライバル精神を発揮したカーンデジファー様は、グリッドマンを単純に抹殺するのではなく、言いなり光線を浴びせてCワールドを破壊させる意趣返しを行い、逃げ惑うグリッドマンから錯乱するグリッドマンへと、変化球のアイデアを詰め込んでくる展開は見応えあり。
 特に、Cワールドを破壊し怪獣とハイタッチをかわして高笑いするグリッドマン、は名シーンでした(笑)
 サポート組はゴッドゼノン一式を送り込み、ジョイスティックを握った一平は、本人にしたのと同じ調子で、思い切りグリッドマンを殴り飛ばす。
 (最近ゆかと変な空気出しやがってこのヤロー!)
 (にやけ面にニキビが目立つんだよこのヤロー!)
 (上から目線で余裕かましながら鈍いフリするんじゃねえよこのヤロー!)
 ノリノリでグリッドマンを殴りまくる一平に、背景で、え……ちょっと……みたいな表情になっているゆかが面白い(笑)
 ゴッドゼノンを介した一平の執拗な精神注入ナックルに不穏な気配を感じたのか、横から割り込んだゆかはゴッドゼノンを強制回収。
 「何すんだよ?!」
 「直人が死んじゃう!」
 「世界中の人間が死ぬかもしれないんだぞ?!
 「直人ひとり救えないで、世界が救えるの?!」
 サポート側でヒーローテーゼが投げ込まれる、というアプローチは面白かったのですが、一平も別に「仕方がないだろ」レベルで覚悟が決まっているわけではない勢いとジェラシーの産物と思われるので、やや台詞を言わせたいが為の対立になってしまった感。暴れ続けるグリッドマンに対し、ゆかが必死で作成したプログラムを送り込むとなんか治った、という見せ方も劇的にならず、ここまで面白かっただけに最後のジャンプで大きく体勢が崩れたのが残念。
 「正気に戻った!」
 「バカな?!」
 言いなり光線の呪縛を打ち破ったグリッドマン/直人は、超獣の角を破砕。ブレストバーベキューの熱線を大ジャンプでかわすと、そのまま新必殺技の超エージェントキックで怪獣を撃破するのであった。
 カナの襲撃により、ゆかが怪我した事で怒りの表情になった直人が一人でトキメキ星雲に向かうなど、直人とゆかの関係性を劇中に散りばめてはいるのですが、ゆかが次に見た直人は体育座りしながら「赤とんぼ」だったりで、「I LOVE ナオト」のメッセージが治療プラグラムの中身であった、というオチと綺麗に連動しきらず、そこに集約するのならば、直人とゆかが喧嘩して……ぐらいにエピソードの焦点を2人に合わせても良かったような。
 ナレーション「この世で一番強いのは、やはり、愛なのかもしれない。しかし、愛がねじれてしまうと……」
 最近、いい話にまとめた所から振り向きざまに武史を殴りに行くのが癖になりつつあるナレーションさんに導かれるように、おみくじで大凶を引いた武史は再び痴漢に出会ってしまいフェードアウト、でつづく。
 次回――「街角でキララが拾ったのは、なんと、カーンデジファーの入ったフロッピーだった」
 …………こ、これは……新手の家出?

◆第31話「怪獣ママは女子大生」◆ (監督:北村義樹 脚本:神戸一彦)
 冒頭、2018年にサービス終了が発表されたポケベルを女子大生が駆使していて、隔世の感。
 その女子大生・キララが電話ボックスの前で拾ったのは、1枚のフロッピーディスク。どこかの企業秘密でも入っていたらラッキー、と軽い気持ちでディスクを自宅に持ち帰ったキララがPCで読み込むと、モニターの中に現れたのは黒ずくめの怪しすぎる人影。
 「武史よ。フロッピーなど使わずとも、儂は自由自在に動けるのだ。…………誰だおまえは」
 「あなたこそ誰よ? そんな変な恰好しちゃってさ」
 「なに? 儂の名は、カーンデジファーだ」
 衝撃の輸送をされていたカーンデジファー様ですが、5インチフロッピーディスクにもはやアーティファクトの趣きが漂う為、一周回って魔王様が入っていてもおかしくない気がしてくるのは、たぶん気のせい。
 「カーンデジファー? ……どこかで聞いた事あるわね」
 「お前達の救い主だ。ふっふふふふふふ」
 「救い主? それじゃ、私の願いかなえてくれるの?」
 「ぬっ?!」
 女子大生のキラキラした視線にカーンデジファー様がひるんでいた頃、武史は落としたフロッピーを必死に探し回り、話の要領を得ない上に色々面倒くさい武史に、ブツブツ言いながらも付き合う尼崎巡査が、いい人ポイントを獲得。
 なお途中でジャンクトリオと出くわし、武史がゆかに手紙を渡そうとした場合を除き、3人と武史が会話可能圏内で互いを視認するのは第31話にしてなんと初だったのですが……
 「君たちも、手伝ってくれないか? どうやら、落とし物をしたらしいんだが……」
 「「うるさい」なんて言われて手伝う気にはなれないよ」
 「そーだそーだ。行こうぜ」
 「あの性格じゃ、友達も出来ないわよね」
 「どんな大人なんだかこえぇぜ」
 物凄く辛辣だった。
 ヒーローポジションとしてのジャンクトリオが、武史に対して知らず善意の歩み寄りを見せるのかと思ったら全くそんな事はなく、100%武史が悪いにしても、ごく普通の中学生の反応をして通り過ぎていくのが随分と痛烈なのですが、果たしてこの接点は広がっていくのかいかないのか。
 武史というキャラクターの面白い所は、プラスでもマイナスでも目立つ事なく“存在が空気”という点であり、だからこそよく人や物ににぶつかるし、何度頑張ってもゆかに存在を認識されない(ので好感度上昇の手段が無い)のですが、そんな藤堂武史にジャンクトリオが向かい合う事があるのか、というのは後半に向けて気になる要素。
 一方カーンデジファー様は、「願いをかなえる」というフレーズに食いついてきた女子大生に世間に対する不満を問い、悪戯電話をやり返したい、という願いに辿り着く。
 「よし、それでは怪獣を造るのだ」
 「怪獣?」
 「その怪獣がおまえの望みをかなえてくれる」
 今回、陽性の女子大生に振り回されるカーンデジファー様、というのが要点なのですが、同時に、武史から離れた事でカーンデジファー様の本質が再確認され、カーンデジファー様は力の媒介として、人間の憎念を「怪獣」という形に抽出してもらわなくてはならない、というのが見て取れるのが面白い所。
 今ひとつ現状を把握しきれていないキララによってお気楽に生み出されたいたずら怪獣は電話局のシステムを改竄し、あらゆる電話のやり取りが、悪口へと変換されてしまう。
 「突然カナちゃんが僕の事大嫌いだって。それに二度と電話しないでって」
 「カナちゃんがそんな事言うわけないだろ」
 ……大地になら言うのではないか。
 弟の泣きべそに直人は一平に確認の電話をかけるが、2人の会話は悪口に変換されてしまい仲違い。こうなったら白黒つけてやるあの盗撮魔め! とジャンク部屋へ走る日記覗き未遂犯だが、道中でGコールが鳴り響き、既にグリッドマンから事情を聞いていた一平が直人をすんなり迎え入れてあっさり解決。
 少々拍子抜けではありましたが、ここで2人の罵り合いを挟んでもテンポが悪くなる、という判断だったのでしょうか。この後、何故かグリッドマンが出撃できず、どんな緊急事態かと思えば「GRIDMAN」のスペルが間違っていた(後から来たゆかが解決)、という前にも後ろにも一切繋がらないなぜ今頃という驚愕の一発ネタが差し込まれるのは、結果的に尺が余ったりしたのではと邪推したくなりますが(笑)
 グリッドマン出馬を目にしたカーンデジファー様は電線を辿って武史宅へと帰還し、尼崎を引きずりながらフロッピーを探していた武史は、その光を見てダッシュで帰宅。
 「よかった……」
 「二度とフロッピーで移動しようなどと考えん事だ!」
 ホント仲いいな、あなたがた……(笑)
 一方、珍妙な怪獣の動きに振り回されていたグリッドマンだが、そこにキララの制止の声が響き、とりあえず電話局のシステムを修復。ところが再びタッグを組んだ逆恨み同盟により、怪獣が文字通りの魔改造を施されてしまう。
 「口からは毒ガスを吐き、強靱な腕の力を持つ、凶暴で恐ろしい怪獣に変えてやったぞ」
 以前から、武史は理想の怪獣をオリジナルで制作する割に、「ぼくのかんがえたさいきょうのかいじゅう」的な夢スペックは持ち出さないな、と思っていたのですが、今回カーンデジファー様が女子大生の「気は優しくて力持ち、悪戯好きが玉に瑕」という“設定”にひっくり返り、その改造に独力ではなく武史というより強大な憎悪と想像力を必要とした事で、怪獣には整合性の取れたある種の“設定”が必要なのであり、例えば「グリッドマンを一撃で倒す強力なビーム」を実装する為には、それに見合った怪獣全体のバランス――ひいてはそれを想像しうるエネルギーが要求されるのだな、と納得。
 これが今作における共通認識なのか、今回スタッフによる解釈なのかは何ともですが、憎悪や怨念そのものが怪獣なのではなく、怨念の依り代として求められる具体的な「形状」こそが怪獣なのであるというのは今作における点と点を綺麗に繋ぎ、名と形を与える事で力を得るというのは魔術的でもありますが、Cワールドで暴れ回った怪獣が敗北した後で悔しそうな武史の姿が意外と描かれないのは、外部に抽出された憎悪が消滅する事で、実は武史自身は精神的に浄化されているのかもしれない、などとも飛躍してみたり。
 人相変わった怪獣の奇襲を受けたグリッドマンは、またも毒ガスを吹きかけられて苦戦。その戦いを見つめる女子大生が自分の間違いを認めて反省、というのは良い落としどころでした。
 「さよなら……テレボーズ」
 毒ガス対策に竜帝合体したキンググリッドマンは、女子大生から教えられた怪獣の弱点を破壊し、滅殺。悪戯電話騒動は収まり、直人達とキララはそれと知らずに街角で擦れ違うのであった……とオチも綺麗で割と秀逸回。
 それにしても武史は、いったいカーンデジファー様をどこへ運ぶつもりだったのか(笑) ディスクの中に収まってみるカーンデジファー様もカーンデジファー様ですが。