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王様はペンギン走り

仮面ライダージオウ』感想・第5話

◆EP05「スイッチオン!2011」◆ (監督:坂本浩一 脚本:下山健人)
 ゲイツ、数式出せた。
 未来人補正も加えてか学校のサーバーをハッキングすると言い出すなど、前回のドイツ語に続いて割とオールラウンドな頭脳派の面を見せてくるのですが、あまりゲイツを賢く描くと、嬉々としてコスプレ用の制服を用意しているツクヨミがアホの子に見えてきてしまうので、程々にしてほしいところ(笑)
 一方、ゲイツのハッキングを止めたソウゴは「もっと簡単な方法がある」と階段落ち芸で体を張り、人助けの為にアクティブな姿を描きたかったのでしょうが、促しているのは保健の先生を引きつけている間にデータベースを盗み見る事なので、この魔王、最終的に人助けに繋がるのなら、誠実とか不誠実とか割とどうでもいいのだなという姿が、少々不安を誘います。
 勿論、ヒーローというのは時と場合によりお行儀の悪い存在で、多少の脱法行為はヒーロー性の中に収められるものではあるのですが、「ハッキングは明らかに違法行為だから」別の手段を考えるのではなく、「ハッキングより手間がかからないから」別の手段を提案する、という思考経路が、ソウゴの一線の引き方として、ちょっと怖い。
 女子高生連続失踪事件の次のターゲットと思われる女生徒を見つけ出した3人は、屋上から落ちた女生徒がアナザーフォーゼと居るのを目撃して、戦闘に。
 ゲイツがびるどアーマーを装着してライドウォッチが共有可能である事が示されるのですが、魔王ドライバーと俺ドライバーは同一の物なのか、ゲイツは魔王にはならないのか、など、疑問点が改めて浮上。一歩間違えなくてもゲイツ、自分が魔王に取って代わろうとするアナザージオウでもおかしくないのですが、タイムジャッカーを影で操っていても驚かない。
 まあさすがに「ゲイツとは何者か」には遠からず焦点が当たりそうには思えますが、ツクヨミツクヨミでマネージャーさんと顔見知りのようなのにこれといって説明はせず…………やはり一番信用できる「仲間」は、マネージャーさんなのでは?!
 「おおおっ?! また出た」
 「いい加減慣れてほしいな、我が魔王」
 そんなマネージャーさんは、ペンギン走りのソウゴのリアクションにちょっと傷つきつつも、スケジュール帳を読み解いて「流れ星」というキーワードを伝えて姿を消し、魔王様のプロデュースは今週もバッチリです。
 アナザーフォーゼと、謎めいた行動を取る女生徒に逃げられたソウゴ達は、戦闘を目撃していた仮面ライダー部に招かれて部室でフォーゼウォッチを入手し、ソウゴとゲイツは2011年に。
 ……ところで、タイムジャッカーによる魔王擁立を阻止する、という理由でもない限り、ゲイツツクヨミが積極的にアナザー事件に関わる動機が無い気がするのですが、二人とも、タイムジャッカーの目的、知っていましたっけ……? 割と肝心な所を忘却してしまいましたが、とにもかくにもジオウとゲイツは2011年でアナザーフォーゼを発見し、戦闘開始。
 どらいぶゲイツが吹き飛ばされ、フォーゼウォッチを起動しようとするも殴りかかられるジオウだが、それを横から食い止めたのは、部隊袖でじっとステージを見守っていたマネージャーさんだーーー!
 「下郎。おまえ如きが我が魔王の継承の儀を邪魔するなど、おこがましいにも程がある。下がれ」
 大切な看板アイドルに手を出そうとは不届き千万、とアナザーフォーゼの拳を片手で受け止めたマネージャーは、軽く一ひねりすると手から衝撃波を出して吹き飛ばす戦闘力を披露。
 「さあ、我が魔王、継承の儀を」
 促されるがままにウォッチを起動したジオウは、ロケット変身フォーゼアーマーを装着する!
 「祝え! 全ライダーの力を受け継ぎ、時空を越え過去と未来をしろしめす時の王者、その名も仮面ライダージオウ:フォーゼアーマー」
 満を持して朗読するマネージャーさん、アップで決め顔を連発し、肝心のフォーゼアーマーより目立つ勢い(笑)
 フォーゼジオウはアナザーフォーゼの放つミサイルを撃ち落として派手に爆炎を背負うと、ロケット頭突きからの宇宙に行ってきりもみキックそして再び地球へ、で撃破。だがなんと、フォーゼアーマーの下から姿を見せたのは、別のアナザーライダー……その肩に刻まれた文字は、FAIZ。
 一方、逃げた女生徒を発見した2018年のツクヨミは、二人の男の乱入に巻き込まれていた。
 「おまえは……」
 「久しぶりだな、草加
 友情出演の二人が睨み合ったところで、つづく。
 00年代ファン向けの序盤の目玉として、放映開始前から出るぞ出るぞ、と広く宣伝されていた巧&草加ですが、第3話のエム先生同様、メタ的にサプライズ要素は薄いのに(OPにも力強く名前が出ますし)、本編ではサプライズ的な見せ方になっているのが、今作の今後の方向性も含めて、難しく感じる部分。
 いっそエピソードの序盤から、仮面ライダーと知らないままに(そここそ、変身ヒーローの特性でもありますし)日常の一場面で絡んだりした方が面白いのではと思うのですが、衝撃の映像はCMの後! と銘打ってからCM明け延々20分ほど引っ張ってエンディングの直前にチラっと見せる、みたいな悪い意味でTVバラエティ的な作りになっている気がします。
 まあこの辺り役者さんのスケジュールの問題もあるので、2話分の出演が調整できなかったりとかの事情もあるのかもですが、サプライズ向きではない素材でサプライズ展開をやろうとして、空回りしているような印象。
 タイムジャッカーの方には、ウールとオーラよりも強い時間停止能力を持つ、普段は商店街にある電機店の3代目で、月に一度、大学時代の友人達と組んでいるアマチュアロックバンドのライブでギター弾いてそうな、紫ノースリーブのおじさんが登場。
 「実験」というのはアナザーライダーの二重登録で、十中八九、ツクヨミ達が狙われたと考えている女生徒の為に、素体の青年がファイズ-フォーゼの力を用いて何かをしている、のだと思われますが、『555』ネタを組み込むと薄暗い方向しか想像できない中、巧・草加を交えてどうまとめてくるのか、予告の盛り上げ方から見ても序盤の一山になりそうで、お手並み拝見。
 ……気になるのは、キーワードが「仲間」にしても、第5話にしてソウゴの口から「王様」関係の発言が無かった事が一つ(まだ、もっとそこを押していく期間では)。
 もう一つが、『フォーゼ』メイン監督という事で参戦したと思われる坂本監督の演出がやたらと大人しくて、らしい面白さが全然見えなかった点。煩悩を排除された時の坂本監督の真っ白具合、という意味ではいつも通りなのですが、変装にかこつけてツクヨミを素足にしようと目論んでいたのにNG出されてやる気を失ったのではないか、と疑いたくなるレベル。
 ……まあとにかく、サブタイトルも格好良いので、次回、盛り上がってくれるのを期待したいです。