東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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9/16付けレス

 本日は『セイバー』感想を書きました。

凄い銀色のヒーロー

◆あきさん
 >渡辺監督が4話で荒川さんに忖度してやりたい放題ジョーアイやったのが余計にややこしくした気がします(笑)。
あれがかなり早かったので、なんか、予定外の導火線に火を付けた感じはありますよね……(笑)
 >荒川「えーとちょい待ちマベアイも」
荒川さんと中澤監督は、こっち派の工作を感じるんですよね……(笑)
 >もっともお二人的にはハカセ→ルカの方が鉄板みたいですが。
多分に趣味もあるのでしょうが、人間関係のバランスとしては、これが結構効いているなぁと思います。
 >背景込みのキャラや関係性の良さと加入エピソードを交えた見せ方が上手で何度見せてもらってもいいなと思えます。
キャラと物語の積み重ねも当然ありますが、過去エピソードとそれぞれの想いの見せ方が、今回は凄く良かったですね。本編参加は遅くなった竹本監督のギアが上がってきたな、と。
 >竹本監督によると必殺技を持ってるペアなのが重要らしく、最終回を除けば一番頭を使ったとか。
ゴーカイチェンジの使い方として、非常に劇的に決まりましたが、竹本監督のこだわりの賜物だったのですね。
 >この前のルカ回が・・・でしたからね。過去回は他が皆スペシャルなのでちょっとルカが割を食った感はあります。
最初から存在感は凄くあるし、赤青と緑桃の双方に間合いを自由に詰められるポジションも非常においしい一方で、考えてみるとレジェンドと絡めにくい部分は少しあったのかもですね。割と気さくな分、逆に一定以上に踏み込みにくいというか。
 >他の宇都宮P作品を見ても、意外と復讐心という後ろ向きの私情を必ずしも否定はしてないのかなと。
宇都宮さんは「ヒーローの本質」にこだわりの強いタイプだと思っていますが、その点において、ヒーローの元型の一つである「復讐譚」にも思い入れがあるのかもですね。『ルパパト』は、それを2010年代のヒーロー作品でどう描けるか、に取り組もうとした部分はあったのでしょうし。
 >アイムは初期メンバーの中では「公」の強いキャラですが、それでも抑え切れない「私」のために皆でアイムの公も私も守るというか。
基本的に「やりたい事をやる」戦隊の中で、アイムの中になくしたくない「公」の理由があったのが浮かび上がる回で、それが強烈な「私」に繋がるというのが、凄く凝った作りでしたね。
 >その気になればこんなものはいつでも壊せたがという形で実力と皇帝への忠誠心を見せるのが憎いですね。
端々でこういう見せ方のそつの無さが、作品の完成度を引き上げてますよねー。
 >荒川さんは「あまりに可愛いかったので、たぶんルカに一目惚れしてるんですよ」と仰っていたので
アイム回とのバランスを意識して女優さんへの配慮もあったのか、ルカ史上、最高に「可愛い」に振られた見た目でしたしね……(笑) そういう、ちょっと俗っぽいところはハカセの個性に巧くなってますね。
 >なお彼は一緒にいると自分が惨めになるからアイムにはいかないそうです(汗)。
あーあーあー、ハカセがアイムに対して一定以上の距離を詰めない理由としては、凄く納得してしまいました(笑)
 >ゴーカイジャーがレジェンド重視に舵を切ったことで一番割を食ったのがダマラスかもですね。
動くと状況が変わる系のキャラなので、ちょっと動かしにくくなった感じはありますよね……最後の巨大な花火を、楽しみにしたいと思います。

◆藤村さん
 >これはとりもなおさず「王妃が砂になった事実は変えずに受け止める」ということで、
この辺り、さらっとシビアだっただけに、次回どうなってしまうのか、ドキドキします(笑)
 >公私混同をするわけではないというキラメイジャーのビシッとしたところが表れていて納得感のある作戦でしたね
この線引きにメンバーがきちっと自覚的なのは、キラメイジャーの格好いいところですよねー。
 >宝路が残るのも「そうは言ってもいざ本人が行ったら養母を見捨てられないだろう」というのもあるのでしょうかね
それを込みで、宝路が「皆様のヒーロー」としての“真のキラメイジャー”になる話だと思うと、「過去を変えてはいけない」要素の使い方が、実に上手かったですね。裏を返すと、思いついても口にしにくいこの作戦を提案できる博多南さんには改めてぶっ飛んだ部分がありますが、為朝と巧く、シビア担当の役割を分担しているのだな、とも。

◆てひろぐさん
 >マブシーナ中心+アクション回が割り振られていて、手癖の女優ショットもほぼなくPの采配が決まっていると。
心境の変化でもあったのか、と勘ぐりたくなってしまうぐらい、今作、いまのところ坂本監督の悪い病気が出ていないのは、スッキリ見やすくていいですね(笑)
 >破壊された街からパンして東京湾に浮かぶ邪面獣という画に力もありました。
戦隊としては珍しく、明確な市街地の被害シーンを強調したな……と思ったら、海にデーン、というのはインパクトもあって実に良い絵でしたね。もともと邪面獣がいかにも「怪獣」なので、相性も良かったですし。
 >夏の劇場版の流用じゃないかと言われていますが、やはり新ロボ登場回はこれぐらいやって欲しいですねぇ。
このぐらいやると、ロボの強さの根拠は微妙にわからないながら、まあいいや、みたいな説得力が出ますね(笑) 私も今回のバトルは満足度が高かったです。

◆MOPさん
 >博多南さんがチート過ぎる事を除いては、納得度の高い良い回だったと思います。
博多南さんの、人格含めた出鱈目ぶりは、凄く80年代長官キャラだな、と改めて(笑)
 >今回ギリギリまでモーターボートと戦い続けて、仲直り出来たのは気持ちのいい流れでした。
宝路とマブシーナの関係は、道中少しずつ「これでいいの?」みたいな成り行きでしたが、最終的な着地点がここ、として考えると、段取りを踏んで綺麗に収まりましたね。
 >ヌマージョは割りと美人寄りのガワで、強いし、毒や呪いといった特性もあるし
ここでリタイアさせるには勿体なさも感じる、存在感でしたね。
 >妹はホントどこに行ったんでしょう?
のちのち、追加幹部で出てきて、今回の裏が明かされる……? とか面白いかな、と期待しております。

◆インザファイトさん
 >(これは現状ではロケの場所に制約がかかっているというのもあるのでしょうが)
画面上のエフェクトの多さやCGによる異世界表現で、巧く色々な違和感を減らしていますが、どうしてもこれは撮影に影響出ているのでしょうね……。
 >ディアゴスティーニを彷彿とさせる本のネタが楽しめたのでそこまで気にならず。
あれはやっぱりそういう事だったんですかね(笑) 果たして毎号きちっと完走できるのか……。
 >瞬間瞬間でSNSでの反響を稼げるようなネタに集中しすぎるがあまり全体の構成を蔑ろにしてしまう
「話題」を作る事の意義は大きいのでしょうが、どうも、「結果」と「目的」がこんがらかってないか……? みたいな時は、ありますよね。
 >ファンタジーな世界観だからこそのダイナミックなスケールの大きい戦闘
新機軸の打ち出しそのものは悪くないと思うので、キャラクターの魅力でそれを支えられるようになってくれると良いのですが……今回はどうも、先に不安を感じてしまうエピソードでした。
 >ゴーカイジャー、当時42話を見た時の絶望感は半端なかったです(笑)
最強の敵と、最弱の勇者、という(笑) アイム回もでしたが、ハカセの過去話も、残しておいたのが凄く効いているなと。
 >基本1話完結を中心にしつつ、2話連続回で「次回一体どうなってしまうのか...!?」の盛り上げが上手い作品だな、と改めて思います。
今作、ここぞの前後編の使い方、盛り上げ方が通して巧いですよねー。
 >逆にゴルフの引きとか、しょうもなさすぎて印象に残ってしまったものもありますが(笑)
誰も見ていないから、としれっと反則するメテオが忘れられません(笑)

ダンスがうまく踊れない

仮面ライダーセイバー』感想・第2話

◆第2章「水の剣士、青いライオンとともに。」◆ (監督:柴崎貴行 脚本:福田卓郎
 「神山飛羽真くん、君の持っているワンダーライドブックと、火炎剣・烈火を渡してくれないか」
 「青い……」
 「ライオン?!」
 店に乗り込んできたライオン強盗に本と剣を要求されるも拒否した主人公は、強盗の上司に呼び出され、店内に作られたゲートを通り、“世界の均衡を守る為”に戦う組織・ソードオブロゴスの北極基地で、諸々の説明を受ける事に。
 今作における「仮面ライダー」とは“聖剣に選ばれた剣士”の名として定義付けられ、まあどうせ未来永劫戦い合っているから好きにすれば~、と強盗上司にフリーハンドを与えられた主人公は、人々を守る為に戦うと宣言。青い人と共に、怪人メギドによって書き換えの進む世界へと乗り込んでいくのだが……。
 背後にある組織の登場と設定の説明、そして青い剣士の初登場、とかなり“戦隊ぽい”進行ですが、これといって山も谷も波もないまま青い人はのったりと初変身して青い仮面ライダーとなりアリ怪人軍団を撃破 → ほくそ笑む悪役カルテット(前回も思いましたが部屋が狭くて暑苦しそう……) → 取り残された人々を救出する主人公 → いきなりの「絶対に助ける。約束だ」 → 山も谷も波もないままのっぺりと二回目の変身、と脳のシワが消えそうなレベルで躍動感皆無。
 第1話の印象はそんなに悪くなかったのですが、急に、ものすっごくテンポが悪くなったというか、リズム感が失踪して音信不通に。
 その後、怪人から本が完成間近で「もう手遅れだ」と言われる → 編集者が気絶したので一時退却 → (いきなり北極) → 状況完全無視で敵の目的の説明 → 「急いで戻らないと!」 → バイクでもう一回突撃、の緊張感の切断具合も目を覆うばかりで、村の盆踊りにラッパーとフラメンコダンサーが吹奏楽団を連れて乱入したみたいな事に。
 「水勢剣・流水に誓う。僕が必ず、世界を守る」
 「絶対に、街と人を救う」
 加速シークエンスのない急停車と急な最高速が繰り返され、場面と場面を繋ぐべき主人公たちの心の動きが消失して、場面の都合に合わせてぶつ切りで転がってくるので、盛り上がりの生まれ様のない選手宣誓が深海に虚ろに響くのに続いて赤青のマシンが繰り出され、青のちょっとレトロな風情のバギーにガトリング砲が搭載されているのは、バットモービル感があってちょっと格好いい。
 ……今回の、唯一良かったところでしょうか。
 赤青は書き換えの進行する世界を爆走し、アリメギドとキリギリスメギドの組み合わせから『アリとキリギリス』を連想した主人公が「キリギリスはアリを守ってるんだ」と言い出す理由がよくわからない上に最後まで説明ゼロで困ったのですが……更に、
 〔キリギリスはアリを守っている → 女王アリを見つけて青が倒す → 結局キリギリスとも戦って赤が倒す → 青がバギーで残り物のアリを壊滅させる〕
 何も考えずに全てのトッピングを乗せていったような展開が異常なまでにテンポが悪く、オーダーされるがままにイベントを詰め込んだけどその間を繋ぐ要素も効果的に見せる工夫も全面的に放棄されている(尺の都合で軒並みカットされた可能性が高そうですが)ので、ひたすら同じトーンのクライマックスが連続する(もはやそれはクライマックスと呼べない)事で最初から最後まで全てフラットになってしまい、純粋に1エピソードとして希に見る出来の悪さ。
 ……2020年になって、『ストロンガー』第11話とか、『大鉄人17』15話とかと、脳内で比較するエピソードに出会うとは思いませんでしたよ!
 「これで私の計画は、加速する。ふっふっふっふっふ」
 サウナルームでは、15年前に多くのワンダーライドブックを奪ったとされる、裏切り者の剣士カリバーがほくそ笑み、つづく。
 第1話で要素を絞った反動か、青の人の活躍・背景組織の登場と各種設定の説明・バイクとバギー・豆本によるフォームチェンジ要素、の全てを一つに詰め込んだ結果、紛う事なき大惨事。
 演技も人格もふわふわしている青い人・既に聖剣に意識を乗っ取られているかのような言動を繰り返す主人公・強引に乱入してきて状況を悪化させるだけさせて途中で姿を消す編集・一方的な上に投げやり気味なロゴス上司、と誰一人として言行がキャラクターの魅力に繋がっていないのも、辛い。
 特に主人公は、前回を踏まえて「私」の部分から「公」の部分へと繋げていくのかと思いきや、いきなりパーフェクトに大義の為に戦う強い意志を持ったヒーローが誕生してしまい、前回と今回の間に何をラーニングさせられてしまったのでしょうか(昆虫魂……?)。
 怪人を撃破する事で回収された豆本は、剣に読ませると特殊攻撃発動、ベルトにはめるとフォームチェンジのギミックとなり、三色縦ストライブが特徴的だったセイバーは、ベルトに填めた豆本の位置に対応してスーツが変化する事に。青の方は最初から真ん中に填めていたので、今後は胸のアニマルが変わる仕様になりそーでしょうか。
 次回、ラストに出てきた絨毯の人ではなく、また別のライダー登場も大変不安を誘いますが、父子のドラマに一縷の希望を見出したいところです(ライダーの統一組織が存在している事で『響鬼』的なメイン以外にもあちらこちらに居る世界観をやりたいのでしょうか)。
 そして、これだけテンポもリズムも切り刻まれて物語の態を成していなかった本編の後に見せられるEDダンスが、壮絶な皮肉として機能してしまって、凶悪。

夏の劇場版オルタナティブ

『魔進戦隊キラメイジャー』感想・第22話

◆エピソード22「覚悟はいいかそこの魔女」◆ (監督:坂本浩一 脚本:荒川稔久
 ヘリコ渾身の乙女のハリケーンで窮地を脱したのも束の間、ミサイル攻撃のダメージで合体強制解除の危機に陥るキラメイジン。ところがモーターボート怪獣はバラバラになった魔進にトドメを刺さずに走り去ってしまい、辛くも一時撤収した5人は、「マブシーナを助ける方法が見つかった」と告げる博多南に迎え入れられる。
 それは、記憶の中の過去に20分だけ戻れるリバースストーンの力を用いて、オラディン王が呪いを受けたヌマージョ討伐ミッションに介入する事。
 だが、下手に過去を変えたら未来にどんな影響が起きるかわからない……為朝の指摘に頷いた博多南が取り出した切り札は、沼女の毒液を浴びて輝きを失った、アクアキラメイストーン。
 「過去はそのままに、未来を変える」
 地球の科学力に希望を託してオラディンから博多南父に預けられていたアクアキラメイストーンを修復する為に、過去の戦いの成り行きそのものには関わらず、沼女の毒の解析に必要な体液の成分――例えば、口をつけたティーカップ――だけを入手する。
 それが、最低限の干渉で最大限のリターンを得る博多南のアイデアであり……地雷が多すぎる時間逆行ネタという事で予告時点でだいぶ身構えていたのですが、これは成る程。
 またこの作戦を、博士ポジションにしてたっぷり思考する時間のあった博多南に一から十まで語らせるのではなく、博多南の示唆に応じて為朝が答を導き出していく形で描く事で、(博多南は既に結論に達しているとはいえ)長官キャラが解決策を一方的に提供するお仕着せ感を巧く減らし、メンバーの主体性を保っているのが非常に巧み。
 もう一つ、デスクに置かれたアクアストーンを前にしたメンバーが一斉に「臭い」のリアクションをする事で、アクアストーンの惨状を映像にプラスして効果的に示すと共に、沼女の嫌な感じと、今回のキー要素である毒液の印象を同時に強めているのが、秀逸な見せ方でした。
 「俺はマブシーナを笑顔にしたい……」
 「だから……」
 「だが、俺が街の人達を見捨てていけば、いくら自分の命が救われてもマブシーナは笑顔にならない」
 ところが作戦を伝えられた宝路は、マブシーナの気持ちに応える為に、現在に残って怪獣と戦うのが自分の役割だと宣言。それを聞いた充瑠は、宝路の代わりにファイヤーの記憶に入って過去に行くと名乗りを挙げ……あ、ファイヤー、役に立った。
 前回、戦闘中は存在感の消失するファイヤーの姿に、タクシー扱い……と密かに涙を流していたのですが、最後に沼女に体当たりを一発決めたので、役に立って良かったなファイヤー……と再び涙をこぼしていたら、それは引っかけで、本命はこちら、というのはしてやられました(笑)
 ファイヤーの同道にしっかりと意味がもたらされ、時間遡行というトンデモ寄りのアイデアを持ち込むにあたって、前後編のパズルのピースの当てはめ方が、実に丁寧。
 「充瑠、おまえがマブシーナのヒーローになってくれ」
 宝路は充瑠にリバースストーンを託し、為朝と瀬奈がそれに同行。ファイヤーに乗り込んだ3人は過去のヨドンヘイムへと辿り着き、為朝と瀬奈はヨドン戦闘員に変装して、広域指定暴力星クリスタリア会の前に立ちふさがる。
 「ペチャット参上!」
 「ペチャット妨害!」
 「「ここから先へは、行かせないペチョー!」」
 崖の上でポーズを取る、あからさまに怪しい蓑笠に仮面……タメくんが同行者に瀬奈を選んだのは、このノリについてきてくれるからでしょーか?(女帝には怖くて頼めず、アニキの場合は演技プランの打ち合わせに数時間がかかる)
 「……陛下? ペチャットって、あんなに喋りましたっけ?」
 ……あ、王妃様、ヨドンの戦闘員(原住民?)とか、見つけたら潰す羽虫だと思ってるニュアンスだ……。
 「んー……突然変異かもしれん」
 オラディン一行に躍りかかると回避メインで足止めに徹する2人だが、私の敵は宇宙の敵だ! と立て続けに放たれるオラディンダイナミックが大地を砕き、予告で見せた大爆発、何から必死に逃げているのかと思ったら、身内(?)の攻撃でした(笑)
 為朝と瀬奈が間違いなくキラメイ史上最強の敵から逃げ回っている頃、充瑠は妹を待つ沼女の元へ辿り着き……やはり沼女さん、「クリスタリアの民の不幸が最高のデザートなのさぁ!」みたいな含みゼロで、本当に「ささやかなティーパーティー」を開いてお互いの近況について女子会する予定だったのでは。
 前回、オラディンを奇襲したと思ったらすぐに姿を消してしまった沼女妹は、話の都合の駒というだけではなく、今後の再登場を期待したいところです(この時点で既にガルザと手を結んでいたりすると、綺麗に繋がりそうですが……さて)。
 身を潜めながら変身した赤は、キラメイブルーの技を参考に「――釣られたら釣り返す。今、俺の右手はひらめキング!」とゴッドハンドでティーカップを釣り上げようとするが失敗。攻撃を受けて景気良く吹き飛ぶと、廃品回収を主張して強引に誤魔化そうとするが、キラメンタルの戦士と匂いでバレて、割と思い切り剣を振り回す沼女と戦闘に。
 ……充瑠の場合、素顔のまま近付いて、捨てられた子犬のようなつぶらな瞳アタックの方が成功確率が高かった気がします(笑)
 一方、居残り組の青桃銀は、エネルギー補充の為に東京湾に停泊して大量の魚を補食しているモーターボート邪面獣を発見し、すっかり大怪獣のノリ。
 待機中にドリジャンで地中から穴を空けてやろうとする銀だが、ガルザ&戦闘員軍団がお邪魔虫に現れて戦闘に突入。ガルザの剣の湾曲部分にドリルをひっかけて奪い取り、それを叩きつけるも受け止めて反撃に転じるガルザと銀の激しい激突、大量の戦闘員を相手に時代劇風のタメを効かせた立ち回りを見せる青、スピーディなカメラの動きに合わせて組技を繰り出す桃、と凝ったアクションが連発。
 そうこうしている内に怪獣が補給を終えてガルザは帰宅し、再上陸した怪獣の破壊シーンを俯瞰で見せるのは怪獣もの寄りの映像ですが、他にも幾つかのシーンで、今季は『ウルトラマンZ』(未見)にも参加している坂本監督が、《ウルトラ》的な演出と《戦隊》的な演出を意識的に交差させているようにも見えます。……まあ今回、どこまでが坂本班で、どこからが佛田班なのかは、ちょっとわかりませんが。
 桃がエクスプレスを召喚して怪獣を追撃するが、地中だけではなくビルを透過して逃げられ、不意打ちを受けてリタイア。戦闘員の囲みを突破した銀がドリジャンを召喚し、戦いは地中戦へと突入する……。
 過去では赤と沼女が激しく剣を打ち合わせ、『ルパパト』でインパクトのあった全方位カメラ的な映像でのアクションとなり、カット割らずにスピーディなアクションを多方向から見せられる一方、露骨に画質が変わるのが弱点でしたが、周囲の風景を異世界にする事で違和感を抑えるのは、見事なアイデア
 地面に落ちたティーカップに手を伸ばす赤だが届かず、魔女の唾液を求めながら背中をピンヒールでぐりぐり踏まれる柿原さんにはお届けできない映像で新世界の扉がひらめキング寸前、自らの「強すぎる」という言葉に、別の可能性をひらめキング。
 なんとか体勢を立て直した赤は、飛び道具で挑発する事で吐かせた毒液をキラメイシールドで受け止めたところでファイヤーに回収され、実力差を認めた上で逆手に取って目的を果たす、のは説得力のある流れになりました。
 現在の地球では、一回限りだと勿体ないと思われたのか地底の巨大戦が繰り広げられるが、ドリラーは怪獣のスピードに翻弄されたまま、再び地上へ。
 「振り向く間もねぇのかよ!」
 一方的に殴り倒されたドリラーはビルに叩きつけられ、一度カットを切り替えてからの、画面を横に長く使ってのモータボートビームが大迫力。遂に完敗したドリラーから合体解除で投げ出された銀に怪獣が迫り、今度は巨大怪獣に追われる銀を全方位的映像で撮るのも、面白い使い方になりました。
 いよいよ追い詰められた銀はモーターボートビームを辛うじてドリルで受け止め……変身解除で済むのが、凄い。
 絶体絶命の死地に、それでもマブシーナの為、街を守る為に怪獣に立ち向かおうとする宝路だが、敢えなく消滅寸前、新たな魔進が飛来する!
 それは、キラメイソードに付着した沼女の毒液を解析した事により復活したアクアキラメイストーンに、さっそく充瑠がひらめキングを発動して誕生した、魔進ザビューン!
 十数年ぶりに目を覚ましたら、いきなり「君はカラットの為、魔進となるのだ」と機械の体に改造されてしまった魔進ザビューン!
 赤の乗り込んだ魔進ザビューンは宝石フォームからサメ列車へと変形してモーターボート怪獣とチェイスを繰り広げ、前編冒頭で紹介されるも使われないままだったロレンチーニ器官が拾われて、弱点をサーチするとミサイル発射。
 改めて今回冒頭でも強調されていたロレンチーニ器官はさすがに伏線でしたが、基本的に特殊能力としては出鱈目の「ひらめキング」の前振りとして、閃きの元になる「知識」を置いてくれたのは(またそれを、水族館見学といった要素と繋げてくれたのは)地味に良かったところ。
 エンジンを破壊されて動きを止めたボート怪獣に対して、ザビューンとキングエクスプレスが合体してキングエクスプレスザビューンが誕生し、第22話にしてとうとう、ジョーキー問題が解決。
 ただ、前回は青、過去に行くのは黄緑、と来て初の合体相手が桃、なのはメンバーの活躍バランスとしては納得できるものの、“物語の段取りと、集約点としてのロボットが微妙にズレる”のは相変わらずで、1人乗りとか単独変身とか2人乗りとかのシステム面が、どうも噛み合いきりません。……充瑠がやってくれた事を見て、気を失った宝路の口に満足げな微笑が浮かんでいるのなんかは、悪くはなかったものの。
 「俺様の早さを刮目して見よ!」
 ちょっとファイヤーと被り気味のテンション高い系なザビューンの力により、水を纏った怒濤の連続攻撃で、キングザビューンはモーター怪獣に圧勝。……次はガルザ相手に、「もうおまえのジョーキーなんて要らないもんねー」とか挑発して、邪メンタルを煽ってあげてほしいですね!
 宝路はベットで目を覚まし、そこには無事に呪いの解けたマブシーナが。
 「お兄様は、わたくしのヒーローです」
 「いや、俺はおまえを放っておいて戦いに行ったんだぞ」
 「皆様のヒーローが、わたくしのヒーローなんです」
 ファザコンの度合いが強いですが、姫様は本当にい子ですね……。
 「……じゃ、そういう事にしておくか」
 「はい!」
 「これから、いくらでも見せてやるよ。みんなと一緒に、ワンダースプレンディッドなヒーローの戦いを」
 お宝探しの義務感から解放された宝路はマブシーナに改めて誓い、「スプレンディッド」の意味はと思ったら「素晴らしい」の事だそうで、つづく。
 爆発、CG数、凝ったカット割りとアクションの数々による多彩な画の数々、と映像面で物凄く豪華な後編でしたが、夏の劇場版の予算がここに流れた、と言われたら信じる内容(笑) 絶好調の荒川さんの帰還に加え、実に坂本監督にあつらえたようなエピソードで、得意方面がフルに発揮されて面白かったです。
 マブシーナの解呪により、ひとまず収集理由の無くなった叶えまストーンですが、「呪いが解けるかどうか」をクライマックスまで引っ張るのはちょっと話が小さいかなとは思っていたので、ここで一旦解決した上で、残り二つの叶えまストーンの存在そのものを今後の大きな広がりの布石に変えるのは、納得。そろそろヨドンヘイム本国も絡んだ動きが、見たくなってくるところです。
 次回――今回ラストからの温度差に困惑しますが、まるまる一ヶ月遅れのお盆回……?