東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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貴様等に屋根など必要ない

キカイダー01』感想・第2話

◆第2話「ハカイダー四段攻撃とは何か!?」◆ (監督:畠山豊彦 脚本:長坂秀佳
 「なんだあれは?!」
 「化け物だよ!」
 山中で出くわしたハカイダー戦闘員を見るや、躊躇無く発砲する猟銃持ち市民のアグレッシブさが、実に70年代(笑) この辺り、なにがしか世相の反映もあるかと思うのですが、特撮ヒーロー物から猟銃がめっきり姿を消すのはいつ頃からなのか、少しばかり気になってくるところです。
 「キカイダー01のお陰で、重要なハカイダー基地を失った。新しく、ハカイダー基地を作らねばならん」
 そして山道を移動する戦闘員に、崖の上から指令を下すハカイダー達は、立派な宿無しになっていた。
 一方、手がかりを求めて謎の女リエコの元を訪れるイチローとアキラだが、リエコは病院から姿を消しており、ハカイダー部隊の強襲を受けた2人は、西武ゆうえんちに逃げ込んでしばらくバトル。
 アキラが同行しているフリをした囮作戦でまんまとハカイダー赤青銀を欺くゼロワンであったが、看護婦に預けていた本物のアキラが、偽イチローによって連れ去られ、ハカイダー部隊の手に落ちてしまう。
 実は看護婦はリエコの変装であり、そのリエコは行き会った本物のイチローに詰め寄られるも沈黙を守るが、偽のイチローに気付いてアキラの危機を伝え、とにもかくにもアキラを追うイチロー、とこの辺りはだいぶ大雑把。
 特に現時点では素性と目的がさっぱり不明のまま、説明はせずに「イチローさんの言う事を聞いて幸せになってね」をアキラに向けて連呼するリエコの存在があまりにも掴み辛いのですが、まだ見ぬアキラ父への不信感が既にメーターの上限を突破しそうです。
 イチローハカイダー部隊を追い、またも高い所から響くトランペットの音色。
 「悪のあるところ必ず現れ、悪の行われるところ必ずゆく。正義の戦士、キカイダー01!」
 「なんだと……?!」
 「ハカイダー! 貴様がハカイダー基地をどこへ移そうと、この俺が居る限り、幾つでも潰してやる! 無駄なあがきはやめたらどうだ!」
 そして繰り出される、無慈悲なる徹底して宿無し宣告!
 なお今回、アキラの服に発信器を取り付けたので、このレーダーでいつでも居所がわかるぜふへーん、がハカイダー部隊の要なのですが、イチロー悪のあるところセンサーがあまりにも強力すぎて、色々と台無し(笑)
 ハカイダー部隊に立ち向かうゼロワン、だが……
 ナレーション「太陽が沈むと、ゼロワンの能力は十分の一になってしまうのだ」
 太陽電池でエネルギーを得ているゼロワンの弱点が発覚し、迫る日没に危機を感じたゼロワンは、ゼロワン・ドライバーで次々とハカイダー部隊を殴り飛ばすと、基地内部へと突入。ハカイダー黒との殴り合いを制すと基地の設備を適当に弄って破壊に成功し、むしろ破壊の使徒
 そして、第2話から主人公との正面対決に完敗する悪の組織(一応)の首領(多分)は、なかなか居ない気がするぞハカイダー黒!
 首尾良くハカイダー基地を破壊するゼロワンであったが、日没によりエネルギーを失い、ハカイダー四人衆の反撃を受けてしまう。バイクで引きずられ、高圧電流を流され、残り少ないエネルギーで決死のジャンプをするも頭上に待ち受けていたのはハカイダー黒!
 空中でのやりとりが、ややスローになった映像(圧縮された時間)で行われる、というのは格好いい演出で、逃げ場を失ったゼロワンは、恐怖のハカイダー四段攻撃の洗礼を受ける。
 初段・つばめがえし!
 二段・オウム返し!
 三段・孔雀返し!
 四段・コンドル縛り!
 と四人衆が次々と放つ連続攻撃により大ダメージを受けたゼロワンは両足を激しく損傷し、第二話にして絶体絶命。アキラをかばいながら、地面を這って逃走する、というなかなか強烈なピンチ演出で、つづく。
 怒濤のナレーション攻勢が落ち着き、長めの殺陣とやや間延びしたテンポ、増えすぎたハカイダーにより定まらない話の焦点、と重なってパッとしない出来。
 純粋正義の戦士であるゼロワン、ひたすら虚ろな表情のアキラ、ミステリアスというか意味不明のリエコ、力量のハッキリしないハカイダー四人衆、という主要キャラクターも揃いも揃って捉えにくく、もう少し落ち着いてくれる事を期待したいです。
 ところで前回、ナレーションに圧縮された情報が多すぎて言及している余裕がなかったのですが、背中の半分ぐらいまでしか丈の無い真っ赤なジャケット・ぴったりしたデザインの水色のヘルメット・ひもでくくりつけた白いトランペットを背負っている、というイチローのファッションは、当時でも奇抜だったのか、当時は割と納得できたのか、とても気になります(笑)
 一番困っているのは、サイドに入った銀色のラインの為に、上下ジャージに見える事なのですが、次回、いきなりの身も蓋もない展開で、イチローは主役の座を守り抜く事ができるのか?!

9/14付けレス

 本日は、『キカイダー01』の感想を書きました。

01ゼロワン

◆つるさん
 >主人公の決め台詞に2話目にして捻りと重さを乗せてきてくれたのが個人的に大満足でした
基本の決め台詞に、意味の広がりを持たせるのって、いいですよねー。バルカンとの対比も凄く綺麗に決まりましたし。
 >ゼロワンを見た不破がヒューマギアだと思い込む、自動車が自動運転、などの細かな描写が素晴らしく、
 >ここまでディテールを詰め込んでくれると、かなり安心して見れそうで嬉しいですねー
とにかく目配りが随所に行き届いていて、世界観の示し方が凄く良かったですよね。
 >アルトのキャラクターは正直好みからは外れ気味なのですが、それを補って余りある「いい奴」さのおかげでストレス無く見れるのも地味に高ポイントだったりします
キャラクターの抱える過去→そこから形成された人物像、の見せ方が巧かったですね。初対面から、他人(不破)の心情にズカズカ踏み込もうとしなかったのも、良かったですし。
 >迅雷netがネオギルドよりもかなり邪悪なのは驚きましたが(笑)、今後も非常に楽しみです
ストレートに悪辣な感じで、どこまでやってくれるか楽しみです。ビジュアルはやはりちょっと、似ていると思うんですよ(笑)

◆中吉さん
 >ホマレがしばしば明らかにプロとしての自覚が薄い行動に出てしまうのはなんとかならないかなあと思います。
キャラクターとしては嫌いではないのですが、もう一つ、腰が据わらないですよねー。
 >3話での「復讐は良くない!」発言の時も少々思ったのですが、ヒロユキは性格は間違いなく善良だけど1本筋の通ったキャラとして見れないんですよね…。
今のところヒロユキが、自身のキャラクター的魅力で3人のウルトラマンとの融合に説得力をもたらすというよりも、トライスクワッドの触媒として都合が良いように、無味無臭、みたいな扱いなのは残念なところですよね。
 >これまで現代社会の闇を思わせるような作劇が中心だったため今回の内容に違和感を感じるのは仕方ないと思いましたが、
 >それでも少しは「タイガ」らしい要素を組み込んで欲しかったですね。
変化球エピソードに徹するならこれはこれででしたが、大がかりな展開に繋げる話としては、ちょっと疑問の出る選択でしたよね……。

トランペットの風切るメロディ

 『仮面ライダーゼロワン』繋がりで配信の始まった『キカイダー01』見ました! 前作『キカイダー』は過去の配信で1話だけ視聴。「良心回路」や「ハカイダー」といった著名な要素の名前を知っている程度の知識です。

キカイダー01』感想・第1話

◆第1話「無敵!!人造人間ゼロワン誕生!!」◆ (監督:永野靖忠 脚本:長坂秀佳
 仁王像の目が光り輝くと、内部から像を破壊しながらヒーローが登場するという、かなりかっとんだ映像でOP曲がスタートするのですが、本編は、もっと、かっとんでいました!!
 黒雲、そして雷鳴と共に姿を見せ、手を振り上げるハカイダー
 「「「「ハイル・ハカイダー!」」」」
 「時が来た! 今こそ我らハカイダー部隊の、立ち上がる時だ」
 「世界を闇に」
 「全世界を夜の闇に」
 「夜は我らが制服する」
 「立て、ハカイダー部隊」
 「「「ハイル・ハカイダー!」」」
 黒・赤・青・銀の4体のハカイダーと稲妻模様の衣装を着た戦闘員達が、全世界征服計画になくてはならない重大な秘密を握っているアキラ少年を手中にすべく動き出し、サブタイトルの書き文字がやたら格好いい。
 ハカイダー四人衆がテーマ曲をバックにバイクで疾走して主役気分を満喫していたその頃、身柄を狙われるアキラ少年は、記憶を失いさまよい歩いていた。
 ナレーション「アキラはここ数日、たった一人で、あてもなく歩き続けていた。それが何日になるのか、何週間になるのか、アキラは、わからなかった」
 いきなり場外にフルスイング!
 アキラ少年は朧気な父の記憶だけを頼りに歩き続け、この時点でまだ見ぬアキラ父への不信感がレッドゾーンを振り切りそう。
 少年が水を飲もうと潜り込んだ関東原子力研究所をハカイダー部隊が襲撃し、赤青銀が、ボウガン・鞭・棒、というそれぞれの獲物を披露。シルバーの棒による大回転キックは、そのまま翌年放映の『仮面ライダーX』(1974)に引き継がれたのでしょうか。
 黒ハカイダーの指揮の下、研究所は徹底的な攻撃を受け、炎上大爆発。
 喉が渇いた少年が入り込んだ、という物凄いとばっちりで、かつてこんなに雑に破壊された原子力研究所があったでしょうか。
 ナレーション「まさに恐怖のハカイダー部隊、恐るべき悪魔の使い、ハカイダー。このハカイダーに立ち向かう者はいないのか。ハカイダー部隊の行く手を阻止できる、正義の使者はいないのか」
 ――しかしその時、寺の山門の仁王像の瞳が、光った……!
 OP冒頭では意味不明だったシーンに繋がり、仁王像を砕いてその内部から現れる、赤と青のツートンカラーに頭部と胸部に電飾装甲を纏った謎のロボット。
 キカイダーーーーゼロワン!」

 ナレーション「キカイダー01――ここに、太陽電池の力で動く、正義の戦士、キカイダー01が誕生した。キカイダー01は、仁王像の中に、3年の間眠っていた。日本を取り巻く、悪の力が増大し、巨大な、悪のエネルギーとなって動き出した時、そしてそれが、一般市民の、平和な生活を脅かす危険の生じた時、仁王の中に組み込まれたコンピューターが作動して、キカイダー01を、自動的に誕生させるシステムになっていたのだ。今や、我らのキカイダー01は生まれた。ゼロワンはゆく、世界平和を守る為に。世界平和に影を落とす、巨大な、悪の組織と戦う為に」

 やたらめったら名調子なナレーションによる有無を言わせぬ怒濤の進行で、今や、我らのキカイダー01は生まれたのだ!
 1973年という放映時期からするとナレーションの多用による進行は珍しくないとは思うのですが、それにしても癖になりそうな問答無用さで、思わず全て、書き起こしてしまいました(笑)
 一方、マンホールを使って炎上する研究所から脱出したアキラは、黒ずくめの謎の老婆に追われて逃げていたところを、バイクにまたがったハカイダー四人衆に捕まってしまう。そのまま連れ去られそうになった時、そこに鳴り響く、トランペットの音!
 バイクを止めた四人衆が見上げた崖の上には、高らかにトランペットを響かせる、謎の青年の姿が。
 「何者だ貴様。答えろ! さもないと……」
 「悪のあるところ必ず現れる。悪の行われるところ必ずゆく。正義の戦士、キカイダー01!」
 「なに?! キカイダー01」
 「手を離せ。俺は子供に手出しをする奴は、許すわけにはいかん!」
 格好良く見得を切った青年はアキラ少年を助けようとハカイダー部隊に立ち向かい、その正体こそが……
 「チェンジキカイダーーーーー、ゼロ・ワン!」
 正直、今日目線で見ると格好悪い青ヘルメットの一部が回転すると、プリズム的な演出を挟み、青年はゼロワンへと変身。
 死んだ筈のハカイダーは、プロフェッサー・ギルの脳を組み込んだ事で甦り、ダークの誇る最高の科学者の脳を組み込む事で、赤青銀のハカイダーを作り出した事が語られ、これは前作との接続要素でしょうか。
 ハカイダー部隊と一当たりしたゼロワンは、高速スピン攻撃ゼロワン・ドライバーによりハカイダーの顔面を殴り飛ばすと、アキラの身柄を確保し、逃走。アイキャッチを挟んで場面切り替わると、少年が何故か上半身裸でとっても通報案件になっているのですが、湖のほとりにサイドカーを止めているので、少年を入浴でもさせていたのでしょうか……ゼロワンは少年の背に綺麗な三角形のほくろがある事に気付き、この提示をしたかったのでしょうが、なかなか、少年を自然に半裸にさせるのは難しいというか、伏線の仕掛けが厳しかった感。
 アキラの背には何かの設計図が隠されていると示唆され、女性の悲鳴をキャッチしたゼロワンは謎の老婆を締め上げていた青ハカイダーを撃退。気を失った老婆を助け起こしたゼロワンは、その顔がラバーマスクである事に気付き、マスクとかつらをはがすと、その正体は若い娘。ゼロワンと青ハカイダーの戦いを目撃したカメラマン(如何にもなコメディリリーフ)に娘を託すゼロワンだが、その間に赤ハカイダーによりアキラ少年はさらわれてしまう。
 ハカイダー基地に囚われたアキラ少年を助けるべく急ぐゼロワンを待ち受けるのは、ハカイダー部隊と地雷原。しかし、ゼロワンのサイドカーは、その地雷原を猛スピードで駆け抜けていく!
 ナレーション「ダブルマシンが地雷を踏む。そして、地雷が爆発するまでの速さより、ダブルマシンのスピードの方が遙かに勝っていたのだ」
 「ぬぅ~、恐るべきゼロワンめぇ。やれぃ!」
 地雷原を気にも留めず正面から突っ込んでくるヒーローに対し、アジト一つ守る為に、首領と3人の幹部が先陣を切って決死の突撃を敢行するハカイダー部隊の姿に既に悲壮感が漂って仕方ないのですが、本当に「悪の組織」なのか、大変不安になってきます(実際、自称「部隊」なわけですが……)。
 目標に掲げる「世界征服」という四文字のドリーム感がかつてないレベルなのですが、ゼロワンは、そんな部隊の戦闘員を軽々蹴散らすと、あっさり基地の中へ侵入。
 「貴様の思い通りにはさせん、ゼロワン!」
 なんか、悪役に、悪役みたいな事を言われたぞ!!
 ゼロワンの前に立ちはだかるハカイダー三人衆は、次々と千切っては投げ捨てられて基地の設備を炎上させ、やはり、量産は鬼門。
 あと、脳が科学者という設計コンセプトに問題を感じるのですが、「最強のボディと最高の頭脳」になる筈が、「優れた身体能力を使いこなせない欠陥品」になってしまってはいませんか。
 かくしてゼロワンはアキラ少年を救出するともののついでにハカイダー基地を壊滅させ(というか設備にぶつかったハカイダー達が勝手に崩壊させ)、無事に脱出。一息ついたところでアキラの身につけていたお守りに気付くと許可も取らずに中を開き、「アキラちゃんとリエコ」と書かれた、先程の老婆に変装していた女性と少年が一緒に写っている写真を発見する。
 少年の記憶が何者かによって故意に消されていると推測したゼロワンは、アキラ少年を守り、両親と再会させる事を決意し、「風よ、雲よ、太陽よ、心あらば教えてくれ。なぜこの世に産まれたのだ」などとは1ミリも悩む事なく(ハカイダー死亡の件がインプットされていたという事は、仁王コンピューターのデータは随時更新されており、世間的常識などもアップロードされているようですが)、少年を乗せたダブルマシンを走らせる。
 ナレーション「キカイダー01とハカイダー部隊の壮絶な戦いは開始された。アキラ少年の握る、重大な秘密とは何か。そして、アキラの父は……母は……。謎の美女リエコは何を知っているのか。アキラとともにイチローは行く。ハカイダーとの、限りない戦いの道を」
 主人公の名前も、ナレーションで挿入(笑)
 「この恨みきっとはらすぞゼロワン!」
 色々と散々な目に遭いましたが、ラスト、走り去るダブルマシンを、夕陽を浴びながらシルエット気味の姿で見送るハカイダーは格好良かったです。
 黒いボディに半ば剥き出しの脳と真っ赤に裂けた口、というのは今見ても実に良いデザイン。
 とにかく全編、有無を言わさぬナレーションの勢いが物凄く、ハイテンポな展開を更に加速させて場外ホームランを連発しながら突き進んでいく作劇で、4人に増えたらまとめてへたれになったハカイダー部隊の前途を含め、どこに進んでいくのか全く読めなくて凄い(笑)
 次回――予告で変なポーズを決めるハカイダー三人衆が妙に格好いいですが、果たしてゼロワンに一矢報いる事が出来るのか?!