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トランペットの風切るメロディ

 『仮面ライダーゼロワン』繋がりで配信の始まった『キカイダー01』見ました! 前作『キカイダー』は過去の配信で1話だけ視聴。「良心回路」や「ハカイダー」といった著名な要素の名前を知っている程度の知識です。

キカイダー01』感想・第1話

◆第1話「無敵!!人造人間ゼロワン誕生!!」◆ (監督:永野靖忠 脚本:長坂秀佳
 仁王像の目が光り輝くと、内部から像を破壊しながらヒーローが登場するという、かなりかっとんだ映像でOP曲がスタートするのですが、本編は、もっと、かっとんでいました!!
 黒雲、そして雷鳴と共に姿を見せ、手を振り上げるハカイダー
 「「「「ハイル・ハカイダー!」」」」
 「時が来た! 今こそ我らハカイダー部隊の、立ち上がる時だ」
 「世界を闇に」
 「全世界を夜の闇に」
 「夜は我らが制服する」
 「立て、ハカイダー部隊」
 「「「ハイル・ハカイダー!」」」
 黒・赤・青・銀の4体のハカイダーと稲妻模様の衣装を着た戦闘員達が、全世界征服計画になくてはならない重大な秘密を握っているアキラ少年を手中にすべく動き出し、サブタイトルの書き文字がやたら格好いい。
 ハカイダー四人衆がテーマ曲をバックにバイクで疾走して主役気分を満喫していたその頃、身柄を狙われるアキラ少年は、記憶を失いさまよい歩いていた。
 ナレーション「アキラはここ数日、たった一人で、あてもなく歩き続けていた。それが何日になるのか、何週間になるのか、アキラは、わからなかった」
 いきなり場外にフルスイング!
 アキラ少年は朧気な父の記憶だけを頼りに歩き続け、この時点でまだ見ぬアキラ父への不信感がレッドゾーンを振り切りそう。
 少年が水を飲もうと潜り込んだ関東原子力研究所をハカイダー部隊が襲撃し、赤青銀が、ボウガン・鞭・棒、というそれぞれの獲物を披露。シルバーの棒による大回転キックは、そのまま翌年放映の『仮面ライダーX』(1974)に引き継がれたのでしょうか。
 黒ハカイダーの指揮の下、研究所は徹底的な攻撃を受け、炎上大爆発。
 喉が渇いた少年が入り込んだ、という物凄いとばっちりで、かつてこんなに雑に破壊された原子力研究所があったでしょうか。
 ナレーション「まさに恐怖のハカイダー部隊、恐るべき悪魔の使い、ハカイダー。このハカイダーに立ち向かう者はいないのか。ハカイダー部隊の行く手を阻止できる、正義の使者はいないのか」
 ――しかしその時、寺の山門の仁王像の瞳が、光った……!
 OP冒頭では意味不明だったシーンに繋がり、仁王像を砕いてその内部から現れる、赤と青のツートンカラーに頭部と胸部に電飾装甲を纏った謎のロボット。
 キカイダーーーーゼロワン!」

 ナレーション「キカイダー01――ここに、太陽電池の力で動く、正義の戦士、キカイダー01が誕生した。キカイダー01は、仁王像の中に、3年の間眠っていた。日本を取り巻く、悪の力が増大し、巨大な、悪のエネルギーとなって動き出した時、そしてそれが、一般市民の、平和な生活を脅かす危険の生じた時、仁王の中に組み込まれたコンピューターが作動して、キカイダー01を、自動的に誕生させるシステムになっていたのだ。今や、我らのキカイダー01は生まれた。ゼロワンはゆく、世界平和を守る為に。世界平和に影を落とす、巨大な、悪の組織と戦う為に」

 やたらめったら名調子なナレーションによる有無を言わせぬ怒濤の進行で、今や、我らのキカイダー01は生まれたのだ!
 1973年という放映時期からするとナレーションの多用による進行は珍しくないとは思うのですが、それにしても癖になりそうな問答無用さで、思わず全て、書き起こしてしまいました(笑)
 一方、マンホールを使って炎上する研究所から脱出したアキラは、黒ずくめの謎の老婆に追われて逃げていたところを、バイクにまたがったハカイダー四人衆に捕まってしまう。そのまま連れ去られそうになった時、そこに鳴り響く、トランペットの音!
 バイクを止めた四人衆が見上げた崖の上には、高らかにトランペットを響かせる、謎の青年の姿が。
 「何者だ貴様。答えろ! さもないと……」
 「悪のあるところ必ず現れる。悪の行われるところ必ずゆく。正義の戦士、キカイダー01!」
 「なに?! キカイダー01」
 「手を離せ。俺は子供に手出しをする奴は、許すわけにはいかん!」
 格好良く見得を切った青年はアキラ少年を助けようとハカイダー部隊に立ち向かい、その正体こそが……
 「チェンジキカイダーーーーー、ゼロ・ワン!」
 正直、今日目線で見ると格好悪い青ヘルメットの一部が回転すると、プリズム的な演出を挟み、青年はゼロワンへと変身。
 死んだ筈のハカイダーは、プロフェッサー・ギルの脳を組み込んだ事で甦り、ダークの誇る最高の科学者の脳を組み込む事で、赤青銀のハカイダーを作り出した事が語られ、これは前作との接続要素でしょうか。
 ハカイダー部隊と一当たりしたゼロワンは、高速スピン攻撃ゼロワン・ドライバーによりハカイダーの顔面を殴り飛ばすと、アキラの身柄を確保し、逃走。アイキャッチを挟んで場面切り替わると、少年が何故か上半身裸でとっても通報案件になっているのですが、湖のほとりにサイドカーを止めているので、少年を入浴でもさせていたのでしょうか……ゼロワンは少年の背に綺麗な三角形のほくろがある事に気付き、この提示をしたかったのでしょうが、なかなか、少年を自然に半裸にさせるのは難しいというか、伏線の仕掛けが厳しかった感。
 アキラの背には何かの設計図が隠されていると示唆され、女性の悲鳴をキャッチしたゼロワンは謎の老婆を締め上げていた青ハカイダーを撃退。気を失った老婆を助け起こしたゼロワンは、その顔がラバーマスクである事に気付き、マスクとかつらをはがすと、その正体は若い娘。ゼロワンと青ハカイダーの戦いを目撃したカメラマン(如何にもなコメディリリーフ)に娘を託すゼロワンだが、その間に赤ハカイダーによりアキラ少年はさらわれてしまう。
 ハカイダー基地に囚われたアキラ少年を助けるべく急ぐゼロワンを待ち受けるのは、ハカイダー部隊と地雷原。しかし、ゼロワンのサイドカーは、その地雷原を猛スピードで駆け抜けていく!
 ナレーション「ダブルマシンが地雷を踏む。そして、地雷が爆発するまでの速さより、ダブルマシンのスピードの方が遙かに勝っていたのだ」
 「ぬぅ~、恐るべきゼロワンめぇ。やれぃ!」
 地雷原を気にも留めず正面から突っ込んでくるヒーローに対し、アジト一つ守る為に、首領と3人の幹部が先陣を切って決死の突撃を敢行するハカイダー部隊の姿に既に悲壮感が漂って仕方ないのですが、本当に「悪の組織」なのか、大変不安になってきます(実際、自称「部隊」なわけですが……)。
 目標に掲げる「世界征服」という四文字のドリーム感がかつてないレベルなのですが、ゼロワンは、そんな部隊の戦闘員を軽々蹴散らすと、あっさり基地の中へ侵入。
 「貴様の思い通りにはさせん、ゼロワン!」
 なんか、悪役に、悪役みたいな事を言われたぞ!!
 ゼロワンの前に立ちはだかるハカイダー三人衆は、次々と千切っては投げ捨てられて基地の設備を炎上させ、やはり、量産は鬼門。
 あと、脳が科学者という設計コンセプトに問題を感じるのですが、「最強のボディと最高の頭脳」になる筈が、「優れた身体能力を使いこなせない欠陥品」になってしまってはいませんか。
 かくしてゼロワンはアキラ少年を救出するともののついでにハカイダー基地を壊滅させ(というか設備にぶつかったハカイダー達が勝手に崩壊させ)、無事に脱出。一息ついたところでアキラの身につけていたお守りに気付くと許可も取らずに中を開き、「アキラちゃんとリエコ」と書かれた、先程の老婆に変装していた女性と少年が一緒に写っている写真を発見する。
 少年の記憶が何者かによって故意に消されていると推測したゼロワンは、アキラ少年を守り、両親と再会させる事を決意し、「風よ、雲よ、太陽よ、心あらば教えてくれ。なぜこの世に産まれたのだ」などとは1ミリも悩む事なく(ハカイダー死亡の件がインプットされていたという事は、仁王コンピューターのデータは随時更新されており、世間的常識などもアップロードされているようですが)、少年を乗せたダブルマシンを走らせる。
 ナレーション「キカイダー01とハカイダー部隊の壮絶な戦いは開始された。アキラ少年の握る、重大な秘密とは何か。そして、アキラの父は……母は……。謎の美女リエコは何を知っているのか。アキラとともにイチローは行く。ハカイダーとの、限りない戦いの道を」
 主人公の名前も、ナレーションで挿入(笑)
 「この恨みきっとはらすぞゼロワン!」
 色々と散々な目に遭いましたが、ラスト、走り去るダブルマシンを、夕陽を浴びながらシルエット気味の姿で見送るハカイダーは格好良かったです。
 黒いボディに半ば剥き出しの脳と真っ赤に裂けた口、というのは今見ても実に良いデザイン。
 とにかく全編、有無を言わさぬナレーションの勢いが物凄く、ハイテンポな展開を更に加速させて場外ホームランを連発しながら突き進んでいく作劇で、4人に増えたらまとめてへたれになったハカイダー部隊の前途を含め、どこに進んでいくのか全く読めなくて凄い(笑)
 次回――予告で変なポーズを決めるハカイダー三人衆が妙に格好いいですが、果たしてゼロワンに一矢報いる事が出来るのか?!