東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
旧ダイアリー保管用→ 〔ものかきの倉庫〕
特撮作品の感想は、順次こちらにHTML形式でまとめています→ 〔特撮感想まとめ部屋〕 (※移転しました)
HP→〔ものかきの荒野〕   Twitter→〔Twitter/gms02〕

目指せ地図にない場所を 幻なんかじゃないんだ

電撃戦隊チェンジマン』感想・第29話

◆第29話「花を守れ! 幻の蝶」◆ (監督:山田稔 脚本:藤井邦夫)
 「私が欲しい物は宝石ではなく――黄金の蝶」
 アハメスは自分に求婚してくる宇宙海賊ギガラに、全ての命を甦らせ不老不死をもたらすという伝説の蝶を要求して地球へと送り込み……そ、それはどう考えてもセントパううっ、頭が……。
 毎度お馴染み昆虫魂ネタはさておき、その頃、飛竜はどういうわけか風光明媚な高原に居たが、昼間っからいい若い者が一人でハイキングしている姿を蝶泥棒と誤解され、凶器を振り上げた少年に襲われる事に。
 「違う! 俺はこの高原にUFOが現れたと聞いて調べに来たんだ!」
 五十歩百歩ですね!
 そこに、黄金の蝶を求めて口から毒ガスを撒き散らすギガラが姿を見せ、容疑の晴れた飛竜はレッツチェンジ。初使用の挿入歌をバックに一騎打ちとなり、ゴズマ配下の宇宙獣士ではなく、一匹狼の宇宙海賊を名乗るギガラは、金銀の鎖を取り出しての連続攻撃でドラゴンを追い詰め、ひと味違う戦闘力を見せつける。
 仲間達が駆けつけるもギガラの皮膚はチェンジソード(射撃)さえ弾き返し、ズーカを構えるチェンジマンだが、通りすがりのブーバに攻撃を邪魔されてしまう。ヒドラ兵を連れて休暇にハイキングに来ていた(としか思えない)ブーバは、かつてギガラと無敵の宇宙海賊コンビを組んでいたのだ!
 がっちり握手を交わした海賊二人は華麗なコンビネーション戦法でチェンジマンを一蹴し、強烈なビームの一撃! とかではなく、目に見えて説得力のあるアクションにより、無敵の海賊コンビの強さを示してくれた立ち回りが非常に秀逸。
 そして毒ガスを浴びたドラゴンは、久々にスキル《転落の匠》を発動する。
 「ドラゴーーーン!」
 「「「ドラゴン!!」」」
 残された4人はドラゴンを助けるべく退避し、ブーバもまた、負傷したドラゴンを追い詰めるべくヒドラ兵を山狩りに向かわせる。
 「負けてたまるか……。絶対に、地球は荒らさせはしない」
 傷だらけの飛竜は冒頭に襲撃してきた少年に助けられ、山のほこらに祀られる黄金の蝶の伝説を聞くと、仲間と無事に合流。今回から爽やかな夏服姿となった伊吹長官に、宇宙海賊の目的を伝える。
 「長官、黄金の蝶は本当に居るんでしょうか?」
 「うむ!」
 長官は力強く頷いた!
 「黄金の蝶の伝説は地球だけではなく宇宙伝説にもあり、そのエキスを飲めば不老不死、つまり永遠の命と美しさを与えられるという。まさか、この地球に居るとは……!」(※独自の研究です)
 もう30話も近いですが、改めて、この人、信用していて大丈夫なのか(笑)
 一応、専門家のお墨付きを得たチェンジマンは、黄金の蝶を海賊にもゴズマにも渡してはならない、と状況を確認し、海賊に踏み荒らされた草花を整え直す少年の姿を挿入して、霧ヶ峰高原の美しい自然をアピール。
 ところがその少年が海賊に襲われ、明らかに狙ったタイミングで、祠の影から飛び出して少年を助けるチェンジマン(笑) 幾ら何でも、ヒーロースキルでは言い訳の効かない飛び出し方ですが、電撃戦隊が子供を囮に使う事にはすっかり慣れてきてしまい、しかし、それでいいのかチェンジマン。地球の為だチェンジマン
 そこへ、黄金の蝶を確保後、邪魔なギガラを抹殺せよと密命を帯びたブーバが乱入して少年を人質に取り、無抵抗でヒドラ兵の攻撃を受けるチェンジマン、どこぞのエージェントと違い人質への配慮があって大変素晴らしく、その少年を囮に使っていたのは、多分、気のせいです。
 絶体絶命のその時、少年の祈りに応えるかのように、祠に祀られていた蝶の像が光り輝くと黄金の蝶が羽ばたいていき、混乱の隙を突いて少年を救出した5人はレッツチェンジ。
 「宇宙海賊ギガラ! ブーバ! これ以上地球の自然を、貴様等の自由にはさせん!」
 から主題歌バトルに突入し、
 「負けてたまるか! 俺達は美しい自然と、黄金蝶を守る!」
 と、今回は霧ヶ峰ロケで繰り返し強調。
 ヒドラ兵を蹴散らすも、またも海賊殺法に手も足も出ないチェンジマン。そろそろ雑に逆転しそう、という頃合いで放たれた渾身のドラゴンキックも弾き返されるが、前衛に立ったギガラがその防御力で攻撃を跳ね返した直後、背後のブーバが飛び上がり、ギガラを踏み台に空中攻撃を仕掛けてくる、という海賊殺法のパターンを掴むと、ブーバがギガラをジャンプ台にしようとした瞬間を狙い澄ましてギガラの足を撃つ事で両者の体勢を崩し、海賊殺法を打ち破る!
 一度、これでも駄目か、と海賊コンビの強さを存分に描いた上で、単純な力技ではなく戦術能力と鍛え上げた戦闘技術でそれを打ち破るという流れが大変素晴らしく、形勢不利と見たブーバの撤退後、主題歌をバックにドラゴンアタック→パワーバズーカへ繋げる所までスピード感も溢れて、非常に良いバトルシーンでした。
 巨大ギガラは風車斬りで武器を破壊してからスーパーサンダーボルトで真っ二つにし、黄金の蝶は何処ともなく飛んでいってしまったが、霞ヶ関高原を守り抜くチェンジマン。地球が生んだ戦士は自然と共に生きるのだ! とナレーションも重ねて強調して、続く。
 霧ヶ峰ロケでしぜんをだいじに、という半ば企画回のようなエピソードでしたが、最後にチェンジマンの力の源である「アースフォース」と「地球の自然」を関連づける事で、そもそもチェンジマンは何の力で何を守るために戦っているのか、を手堅く再確認してくるのが、今作らしさ。
 藤井脚本という事を考えると、友情を取るか命令を取るか、脚本段階では後半に若干ブーバのドラマがあったのでは? とも思えるのですが、そこは特に広げられず。悪女ムーヴで余裕を見せ続けるアハメスに対しギルークの小物ムーヴが止まらないのが少し心配ではありますが、ブーバのアクション的見せ場がたっぷりあったのは良かったです。
 次回も、引き続き霧ヶ峰

3/13付けレス

 本日は『ウルトラマンガイア』感想を書きました。

胸のエンジンに火を点けろ

◆藤村さん
 >角川ホラーからの作品群は傑作揃いなので未読であればおすすめしたいのですが、ホラーの傑作だけあって相応に怖いので、苦手な方には是非にと言いがたいのが辛いところです
防犯探偵シリーズが面白かったので他も読んでみたいなと思いはしたのですが、苦手なんですよね、ホラー……。

◆KEYさん
 >其より出演したレジェンド全てに“らしい”見せ場がちゃんと用意されていた事の方が重要ですよね。
ここがホント、荒川さんのキャラ立ちと、坂本監督のアクション演出がはまって、今作は良かったですね。何を一番重視するのか、というのがきちっと貫かれた作品だったなと。
 >チームであるという大前提も其を後押ししてますよね。どのキャラもなんだかんだ纏まって動くのを促す感じがある。
これは大きい感じですよねー。その中での色分けも、戦隊のフォーマットに当てはめる事で、視聴者が受け入れやすくなる、という効果がありますし。
 >ちゃんとホウレンソウが出来る様になって迷惑かけた相手に素直に謝れてるのが良かったです。何も変わらない儘でリベリオン指令やられちゃ困りものですからね?
リーダーが単独行動して自分の目的だけ果たして部下へのフォローなしは困りま…………うっ、なんか、どこかにそんな赤い人が居たような……。
 >何時ものジャケットでも砂漠仕様でもなくショウ指令の服を着てた事に一話で突っ込みが無かったので何かもう全部見ておられる心算になってた。
……あ、な、成る程! いやなんか、こんな肩パッドついてたっけ……? とチラリと思いはしたのですが、あまりにもさらっと着こなしていたのもあり、すっかり、本編通りの衣装のつもりで見ていました(笑) あれで、ビジュアル的に本編後の立場を表していたんですねー。
 >ゴテゴテフォームは一強じゃないとバランス悪いんだなぁと改めて思った次第。
ライダーはまさにこの文脈なので、ああいうのはある程度、理屈があってああなるんだなぁと納得してみたり。
 >何気にニンニン×忍者戦隊・ジュウオウ×海賊・キュウレン×スペーススクワッドと続いてましたしコラボ回の方がありそうだと思ってます。
ああ確かに、本編コラボ回の方がありそうですね。『ジュウレンジャー』は相性良さそうですし、『アバレ』『キョウリュウ』でむしろ積極的に鎧ネタを被せにいくとか(笑)
 >私事で恐縮ですが恐竜モチーフも割と鬼門だった……。
……言われてみれば私も、過去の恐竜戦隊とは相性が良くなかったかも……。
 >ファンタジーなんだし恐竜じゃなくてドラゴンでよくね?そっちのが格好良いと思うんだけど何で駄目何ですかね……。
モチーフ的には図鑑などに載っているものの方が安定してウケやすいという事情はありそうですが、今回、実在恐竜にこだわってはいないようなので、もしかするとドラゴン的な展開もあるかもですね。
 >子供受けを考えれば間違いないのかも知れませんがギリギリ忍者と言ったら影の軍団白土三平作品に引っ掛かる世代なのであのノリがもう無理。
往年の東映時代劇テイストの忍者戦隊は面白いかもですね。おっしゃる通り、忍者版シンケンジャーな雰囲気になりそうな感はありますが。
 >今回のエピソードで注目すべき点は少年の死に間に合わなかった事だと思います。そして其は彼のトラウマを直撃している。
 >どうしても赦せなかった父の立場に立ってしまった事は相当の動揺をもたらした筈。
大和くんはなんだかんだ、物事に折り合いをつけるのに時間のかかる部分がありますよね(厳密に言えば、「人が世界とどう折り合いを付けていくのか」というのが香村さんのテーマ性の一つなのでしょうが)。そういう点では、今回のバトルは大和くんに取って、折り合いをつける為の儀式的意味をもたらす面もあったのだろうな、とは。
なので、そんな大和に(無意識でしょうが)さらっと手を伸ばせる男になっている天晴は、実に格好良かったなと。
 >出来るいい人振りがはまり過ぎてて闇を長いこと抱え込んでた分自分の汚さも理解している十分な大人であるけど
 >トラウマつつかれると直ぐ壊れるという部分から目を逸らされがち。
全4話のお祭り企画という事で、キャラクターをある程度デフォルメしている作劇に、印象が引っ張られている部分はあるのかもですね。そのデフォルメが、今作における妙味であるので、ある意味では、巧くデフォルメしすぎたというか。
 >実質鎧しか味方居ないんじゃ大分厳しくないですか?全治いくらになるんでしょうか……。
とりあえず、「あんたの大好きな宇宙刑事の真似をしてこい」とゴーカイガレオンの舳先にくくりつけられて、究極大サタン突撃の再現ですかね……。

衝撃の光

ウルトラマンガイア』感想・第26話

◆第26話「決着の日」◆ (監督:村石宏實 脚本:小中千昭 特技監督:村石宏實)
 今回からOP映像がマイナーチェンジされ、めっちゃバック転をアピールする我夢が凄く面白くて、繰り返し見てしまいました(笑)
 各部隊が、チームシンボルないし機体をバックにスリーマンセルで並ぶのも格好良かったですが、上層部及びブリッジクルーは冒頭で大写しになる結果、千葉参謀が凄く重要人物のように(笑)
 ……いやまあ、重要といえば重要なんですが。
 そんなわけで、思わぬ見所&ほっこりポイントに本編の緊迫した状況を忘れかけてしまいましたが、ガイアとアグルには決着の時が迫っていた!
 「ワームホールは開かない……もし……もし何かを待っているのだとしたら。……そういう事だったのか、そうだったのか」
 戦況を静観するコマンダーは、従来のワームホールとは比較にならない規模の巨大な穴が、遙か彼方のどこかの宇宙と地球を繋げようとしているが、これまでと違って何故か開通に時間がかかっている、というダニエルくんの情報から何かに気付くと、ファイター各機に即時退避を指示。
 直後、うにょんバスターとウルトラリーゼントバスターがぶつかり合い、莫大な光の奔流が巻き起こる!
 「これを待っていたのか……!」
 ウルトラマンの力とウルトラマンの力が衝突する事で発生した膨大なエネルギーの渦の中、くるくる回りながら交感する我夢と藤宮。
 「強くなったんだな、我夢」
 「僕が強いんじゃない。やっとわかったんだ。僕は地球の力を借りているんだ。君だってそうなんだ」
 「そうだ。地球は慈悲深い母などではない。こんな破壊的な力を俺に授けてくれた。俺がしようとしているのは、地球が願っている事だ。それを我夢、おまえは!」
 個人的にあまり、くるくる回る系&くるくる回す系(例えば《平成ライダー》だと石田監督がよくやる)の演出は好きではなく、他に見せようがなかったのかと思ってしまうのですが、エネルギーの奔流は大気圏を飛び出して宇宙のツボを刺激し、相討ちとなった我夢と藤宮は傷だらけで地面に転がる事に。
 「ただの人間が踏み込める場所じゃないんだ、ここは!」
 「人間だよ! 人間だからこんな事になっちゃったし……人間だからあんなに傷付いて!」
 藤宮は堤に回収されてジオベースのメディカルセンターへと連行され、玲子は倫文と再会。藤宮を乗せた救急車が走り去るのを見送る事しか出来ず、胸で泣く玲子に、ちょっと役得だなぁ……、というのが顔に出つつも、心の隙間に潜り込もうとはせずに「仕事しましょ、仕事」と“いつも通り”でいようとする倫文は、ちょっといい奴ポイントを稼ぎました!
 我夢を拾ったコマンダーは密かに手当てを施し、いい加減、ガイア=我夢という真実に気付いた(ていた?)事を仄めかし。アグルとの激突を悔いる我夢に対し、巨大なエネルギーを得る為にウルトラマン同士の戦いを望んだ何者かの存在を示唆すると、ガイアの件は自分一人の胸に納め、「傷が治ったら……戻ってこい」と言い残してエリアルベースへ。
 ここまで、ちょっぴり怪しげだが器の大きそうな人演出を繰り返されてきたコマンダーですが、背後で糸を引く巨大な存在にいち早く気がつく事で、ただの無口な人でないアピール。……まあ、一番印象に残ったのは、外れた腕をはめるシーンなのですが!
 なお私のコマンダーに対する評価が辛めなのは、個人的にあまり、渡辺裕之さんは視線とか仕草に細かいニュアンスを込める芝居が得手ではないと思っている、というのはあります。
 どうしても、コマンダーが思わせぶりな無言を貫く度に、本当は何も考えていないんですよね……? と思ってしまうというか(笑)
 宇宙ではツボを刺激されたワームホールが急速に拡大し、光量子コンピューター・グリシスの暴走により、衛星の防御システムも使用不能という緊急事態に。
 「何故だ? 何故こんなに一度に事が起きる?!」
 「偶然ではないのかもしれませんね……」
 「我々は――やれる事をやるまでです」
 ファイターチーム勢揃いによる、緊迫のブリーフィングシーンが挟み込まれるのが大変『ガイア』らしく、先行を申し出るファルコンの米田に対し、「ワームゾーンの中に突っ込むつもりなら……」と視線をぶつけるチーフ。
 「……あいつならどう考えるか」
 「……我夢、ですか」
 「あの子なら、直感を信じるわ」
 「うん、そうだね」
 同レベルの頭脳を持つアルケミースターズの同輩からならともかく、敦子さんからも「直感ボーイ」扱いを受けるのはやや違和感がありますが(その直感に至るまでに常人の計り知れない分析と仮説の構築を我夢はしている筈なので)、梶尾の言葉をきっかけに、ブリッジの雰囲気がやや変わったところで入るホルン風のBGMが格好いい。
 「これまで戦ってきた相手は、いずれも常識を越えた存在だった。今降りてこようとするものがなんであれ、我々が後に引くわけにはいかん」
 コマンダーの号令一下、ファルコンが先行する形で作戦が決定し、各自が出撃準備に向かう中、米田を呼び止めるクロウ03。
 「……自分にはわかりません。何故いつも、命と引き換えみたいなミッションばかり」
 「そう命を安売りしているつもりはない」
 「でも」
 「……長く飛んでるとな。色々いらない事まで考えるんだ」
 そもそも久々の登場な気がする米田さんですが、第14話における幾分死にたがり気味な姿勢が1クールぶりに拾われ、ちょこちょこと台詞の多いクロウ03が絡む事で、人間関係に一つ広がりが出たのは、次へ期待したい布石。
 一方、アルケミースターズのネットワークにアクセスし、グリシスが空から来るものと呼応している事に気付いた我夢は、ワームホールの彼方、暗雲の中から遂に突き出した巨大な破滅招来頭部に立ち向かおうとするが、そこに溢れる筋肉でジオベースを脱走してきた藤宮が姿を見せる。
 「あいつは、僕たちのパワーを使ってここまでやって来たんだ」
 どちらが“本当のウルトラマン”――地球の意思を正しく代行する存在――なのか、決着にこだわる藤宮に対し、自分たちがまんまと利用された可能性を伝えた我夢は、暴走するグリシスの映像を藤宮へと見せる。
 「ありえない……!」
 「この光のパルスは、あいつとシンクロしてるんだ」
 破滅を回避する方法として「人間」の削除を設定した時、既にシステムの一番奥深いところに、破滅招来体の影響が存在していた……その残酷な可能性を、藤宮に告げる我夢。
 「じゃあ…………じゃあ俺の得た結論は?!」
 「根源的な、破滅をもたらすものの意思に書き換えられていたんだ」
 あまりにあまりな真実に、轟く雷鳴の中、顔を歪めて藤宮は絶叫し、人格崩壊して幼児退行ぐらいしそうな勢いですが、震えを抑えるように自ら体をさするのが良い演技。
 上空ではファイターチームが巨大な破滅ヘッダーに攻撃を開始し、悲壮なBGMが絶望的な戦いの雰囲気を醸し出します。
 「何のためにウルトラマンになったんだ? 地球の意思じゃなかったのか」
 「わかんない。わかんないけど、行くしかないじゃないか。戦うしかないじゃないか! 大事なものを、守る為に!」
 例えそこに根源的破滅招来体の思惑があったのだとしても……今ここに力があるのなら、それで大事なものを守れるというのなら……変身しようとする我夢だが、藤宮はそれを止める。
 「いくらウルトラマンの力を借りても、その力でどれだけ戦える」
 破滅ヘッダーが口から吐き出す炎の雨が地表に降り注ぐ大迫力のカタストロフの中、藤宮は、自分の変身ブレスから青い光を放出する。
 「アグルの力を一緒にしろ。少しはマシに戦える」
 「藤宮……」
 「信じていたものに、大事なものに裏切られた気持ちが、おまえにはわかるか?」
 生気を失った表情で呟く藤宮の姿に我夢が言葉を失うのが、環境テロリズムに藤宮が懸けてきたもの、それにより犠牲にしてきたものの大きさを、一端でも我夢が感じ取る表現になっていて(この後の展開にも繋がり)良かったです。
 また、破滅の回避の為に地球から「人類」を排除する、という仮説に破滅招来体の意思が介入していたというのなら、裏を返せば「人類」こそが破滅招来体にとって危惧すべき希望という可能性が垣間見え、それに踊らされてしまった藤宮の絶望の深さが、我夢を沈黙させたともいえるでしょうか。
 「……俺にはもう、守るものなんて何もない」
 全てを捨てた藤宮は、我夢に背を向け、歩き出す。
 「……光を取れ! 我夢」
 この言い方が大変格好いい直後、炎に飲み込まれ、藤宮の姿は消える……。
 「……大事なものなんて、幾らでもあるじゃないか!!」
 破滅の未来を回避する為、地球という星を救う為……あまりに巨視的な物の見方にこだわりすぎ、“人間”としての夢や幸せを見失ってしまった藤宮の消失に、伝えきれなかった言葉を我夢は絶叫し、アグルの光を取り込むとエスプレンダーを掲げる。
 「ガイアーーーーーーー!!」
 巨大化するガイアいつものテーマに、女性コーラスが入るアレンジが大変格好良く、今作の壮大なBGMが、要所をぐいぐいと盛り上げてきます。
 飛翔したガイアは破滅ヘッダーに挑むもあえなく撃墜されるが、なんとかこらえると、降り注ぐ炎の雨を連続で前転回避して立ち上がる。
 (アグルの力を貰ったんだ! このまま、終わるか!)
 破滅に立ち向かう意志を胸に、もう一つの力を宿したガイアの体を新たな光が包み込み……地球の声は言いました。
 (我夢……我夢……いいですか、我夢。帰ったらまずは、ホームジムを買うのです。あなたのパソコンに、藤宮のIDとパスワードを送っておくので、この通販サイトで、ホームジムを買うのです。それから、プロテインを買うのです。今なら、イチゴ味・バナナ味・コーヒー味、3食セットが大変お得です。なんと、5kg~10kgまでのダンベルセットがついてきて、今なら19,800円。19,800円の大奉仕価格です。それから……)
 と、とにかく、全身に、ストレッチパワーが、溜まってきただろう!
 アグルの力を取り込んだガイアは体の横に青いラインが入り、全体的にパンプアップした姿へと変貌し、完全に、
 アグルの力=筋肉
 で、私はこの状況を、どんな顔で見ればいいのでしょうか(笑)
 空では梶尾の発案により、ファイター部隊が破滅ヘッダーの突き出すワームゾーンに直接ミサイルを叩き込み、苦悶するヘッダーの口の中(びろびろと毛のようなものが蠢く舌が大変気持ち悪い)へ飛び込んだガイアグルは、マッスルストレッチビームを発射。巨大な破滅ヘッダーは内部からのエネルギーに耐えかねて木っ葉微塵に弾け飛び、つまり……筋肉は光だ!
 (今作と『重甲ビーファイター』の妙な親和性については、何かでっちあげて与太話を書きたいぐらいの勢い)
 かくして史上最大の破滅招来体の襲来は水際で防がれ、ここからEDパートに入ってガイアの横を次々とファイターチームが飛び去っていき、それに敬礼を返すガイア、もう、実質的に正体バレているのでは(笑)
 ガイアとアグルの激突・明かされる真相・ガイアグル誕生! と盛り込みつつ、ブリーフィングシーンからファイターパイロットを勢揃いさせ、人類とウルトラマンの共闘によって破滅を退けるというのは、今作のテーゼが貫かれて、良い決戦でした。
 2クール目のラストを締める山場の敵が、巨大すぎて頭しか出てこない存在、というのは意表を突かれましたが、最終クールの頃にはどんなアイデアが飛び出してくるのかも楽しみです。
 エリアルベースでは災禍をくぐり抜けて機嫌の良い参謀が我夢の復帰を笑顔で承諾し、拾いに向かうチーフ。
 「我夢、お許しが出たぞ」
 それに笑顔で手を振りながら、我夢は、消えた男の事を思う……。
 (生きてるよね、藤宮。いつか一緒に戦える日が来ると、僕は信じてる)
 破滅招来体を撃破・ガイアがパワーアップ、我夢はXIG復帰、と朗らかに大団円風だけど、藤宮は……? と思ったら、我夢がちゃんと拾ってくれて安心しました。
 色々とやらかしてきた藤宮の行動については、全ては巨悪の差し金でした、というのは落としどころとしては頷ける一方、ガイア(我夢)とアグル(藤宮)の思想的対立の決着としては、楽な解決法を選んでしまった感があり、少々残念。
 藤宮の抱えていた問題意識は問題意識で、破滅招来体の目論みとは別に存在するものですし、このままでは藤宮が道化で終わってしまうので、生死不明となった藤宮の再登場と、作品として改めて「人類と環境」テーマに向き合ってくれるのは、期待したいです。
 玲子さんが間接的に藤宮の抱えていた問題意識を継承し、玲子さんの視点で取り組んでいく、というポジションチェンジをする可能性もありますが……稲森博士もあまりに浮かばれませんし、我夢の台詞は再登場の布石であると思いたい。
 お薦めは、記憶を失ってゴミ捨て場に転がっている所を拾われるだよ藤宮!
 「藤宮……? 本当に、僕を覚えていないのか藤宮!」
 「ふじみや……それが、俺の名前なのか? ううっ、頭が……」
 「……そうだ藤宮! これを見るんだ。君がお薦めしてくれたホームジムさ!」
 「ホーム……ジム……? ……こ、これは……何故だ、何故俺は、この機械の使い方がわかるんだ……?」
 「筋肉さ、藤宮。筋肉は、全て覚えているんだ」
 次回――やたら軽やかに動く敵が登場し、サブタイトルが長い。