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がんばれいわコロンさん

超獣戦隊ライブマン』感想・第13-14話

◆第13話「燃えよ鋼鉄コロン」◆ (監督:東條昭平 脚本:曽田博久)
 見所は、コロン、華麗なるバイクアタックで、頭脳獣を轢く。
 そして、偽装工作への疑惑から、見た目一般人にテニスボールを投げつけるめぐみさん。
 テニスクラブをカモフラージュとし、その地下で大量の毒ガスを精製するマゼンダは、毒ガスの結晶体をダミーマンによって街中にばらまき、頭脳獣ドクガスヅノーの能力で一斉に起爆させる大規模な毒ガステロ作戦を進行し、ビアス様からは
 「まさにおまえは大量殺人の天才」
 と、とんでもないお褒めの言葉。
 「昨日や今日、にわか天才になったものとは違います」
 マゼンダはアシュラへのライバル意識を剥き出しにし、粗暴なところはそのままのアシュラがアームブレードを解放すると、ケンプとビアス様が止めに入る一幕あり。……そして黙々とボディを磨き続けるガッシュ、おいしい。
 ライブマンに気付かれる事なく順調に進行中のテロ計画だったが、事故で毒ガスを浴びたダミーマンが記憶回路に異常をおよぼして脱走してしまい、あろう事か偶然めぐみに接触。マゼンダとモヒカン兵に囲まれるめぐみ&脱走兵だが、そこにバイクで颯爽と駆け付けたのは、コロン!
 「ドクターアシュラの登場で、敵はパワーアップしたわ。だからこれからは私も、お手伝いしようと思ったわけ」
 2020年に見ると、最新作のマブシーナ姫様を彷彿とさせるアクティブぶりを見せつけるコロンさん(もはや、さん)、順調に、オヤジ(星博士)の仇じゃぁぁぁフラグが、積み重ねられていきます!
 見た目人間の脱走兵はコロンさんに一目惚れし、いたくプライドを傷付けられるめぐみさん(笑)
 「ふん、見せつけてくれるじゃないの。エルボーガン!」
 ジェラシーファイヤー、じゃかった、なんとしても口封じを図るマゼンダの肘からキャノンが炸裂し、マゼンダもどんどん面白くなっていきますが、悪の組織の幹部が揃って楽しそう、というのはポイント高いなと改めて。
 砲弾からコロンをかばった事で外装の一部が無惨に砕け散り、モヒカン兵士である事が明らかになる脱走兵。惰眠を貪っていた男衆がようやく合流すると、回路を調べて毒ガスの影響に気がつくのが、学者戦隊らしくて良いアプローチ。
 テロの決行が迫る中、脱走兵の記憶を辿ったライブマンはテニスクラブに辿り着き、起爆の寸前に戦闘になるが、毒ガスヅノーに苦戦するライブマンをかばおうとしたコロンをかばい、脱走兵は頭脳獣と共に大爆発!
 「こ、コロン、さん……ぼ、ぼくたち……ピンポン、ピンポーン、だ、だよ、ね……」
 たとえロボットだとしても、そこに生じた気持ちは確かに本物だったコロンと脱走兵は手を取り合い……肝心のコロンさんの気持ちが、〔ぐいぐい求婚される→カバーリング→ぴっぴろぴろりろりーん♪〕と超速で処理されたり、要所要所でめぐみが目立つ事でコロン中心になりきらず話のスポットが散漫になったり、全体的に荒っぽい展開が目立ちましたが、ダミーマン→顔と腕のパーツが部分的に剥き出しになる→腕が吹き飛び顔も半壊したモヒカン兵に、と脱走兵がロボットである事を順々に強調しながらクライマックスに至り、けれどそこには間違いなく真心があった、とする見せ方は秀逸でした。
 恐竜回のスピーカー代わりも印象的でしたが、ここ数作の中では、人型機械としての戦闘員ポジションの使い方に工夫が見えるのは、面白いポイント。
 ライブマンは怒りの連続攻撃からバイモーションバスターを叩き込み、巨大戦は出撃シーンの方が長いレベルで、瞬殺。
 「俺たちはもう、コロンの事はロボットだとは思わない」
 「ホント?!」
 「もう、飯を炊けだの掃除をしろだの言わない! これからは、ぜーんぶ勇介くんがやってくれるから」
 「任せなさい」
 「ピンポーン」
 モヒカン兵を掌底の一撃で叩き伏せるコロンさんの戦闘力に戦慄した男二人は「靴でも磨きますよ、へっへっへ」と、コロンさんに服従を誓い……じゃなかった、悲しい出来事はあったが、3人とコロンの距離は縮まるのであった、でつづく。

◆第14話「ナベ男勇介の叫び」◆ (監督:長石多可男 脚本:曽田博久)
 バイクでパトロール中、三つの黒い影に襲われた勇介は、冒頭から凄い勢いで崖下にダイブ、するも崖を登って復活。
 「貴様等いったい何者!」
 それは、ドクターアシュラが更なる自己改造によって生み出した、サイバー分身!
 「この前は不覚を取ったが、戦う天才ドクターアシュラはそのまま終わる男ではない!」
 面白い自称を始めたアシュラの体から再び放たれた、一心同体の分身・アシュラ組三人衆のキレのいい連続攻撃を受けた赤は、デンキウナギ似のエレキヅノーの光線を浴び、今度こそ崖下へ転落。
 辛くも追跡の手を逃れてキャンプ場に辿り着いた勇介だが、エレキヅノーの特殊光線により強烈な帯電体質になっており、危うく、一般市民を感電死させかける。
 「もうおまえは、終わりだ」
 その身に帯びた電気の影響で通信も変身も不能な勇介は、孤立無援の危地に立たされると、助けを求めて訪れた民家でまたも一般市民を感電死させかけた末、体が磁石化。金属製の物を引きつける体質になってしまい、体中にナベやらヤカンやらフライパンを貼り付けて歩く謎の変質者として街の人々に追われる事になり……ギャグめいたサブタイトルとは裏腹に、一貫してシリアス。
 「なさけねぇ。なにが悲しくてこんな格好しなきゃなんねぇんだ」
 恐怖・調理具ヅノーと化した勇介の身に纏う磁力はどんどん強くなり、倒れかかってくるバス停のポールに向ける脅えた表情が秀逸。
 「お似合いだぜ天宮勇介。お前の命もここまで。くたばれ」
 知性を感じさせない台詞と共にその背後に迫るアシュラだが……危機また危機の勇介、通りすがりのバスに磁力で貼り付いてしまう(笑)
 予告とサブタイトルで「ナベ男」前提ですが、帯電・放電→磁石化→とうとうバスに貼り付く、と段階を踏んでエスカレートしていく流れは盛り上がり、バスの乗客全員をしびれさせる勇介。……事故みたいなものとはいえ、かつてここまで、一般市民にダメージを与えて回った戦隊ヒーローは果たして居たのか。
 もはや街を騒がせる怪奇ビリビリ男となった勇介は、緊急停車したバスの乗客から、とうとう投石を受ける事に。
 「俺はこんな奴らを守る為に戦ってきたのか……今まで命を懸けて戦ってきたのは、なんだったんだ!」
 バスに磔状態のまま投石を受けるしかない勇介の心に憎しみの炎が宿り……そもそも復讐を動機にした非公認ヒーローであり、今回の勇介が特にヒーロー的活動をしていない事を考えるとかなり勝手な言い草なのですが、この後の展開を含め、磔・投石・救済、と並ぶ要素を見るに、ライブマンの“公のヒーロー”としての立ち位置を今一度決定づける為に、宗教的ニュアンスを取り込む事で超越性を与えようとした結果、過程が幾つかすっ飛んだ感。
 以前にも触れましたが、今作、ヒーローとしてのライブマンの位置づけを繰り返し描いており、ここで更に念押しになったのですが、軍人戦隊であったチェンジマンは別として、フラッシュマン・マスクマンにおいて、“公のヒーロー”としての足場を固めきれなかった想いなどがあったのかもしれません(両作も今作も、そこからの脱皮を志向してはいるのですが)。
 (勇介……あなたの口からそんな言葉、聴きたくなかった)
 ナベ男の件がニュースになった事で勇介の危機を知っためぐみと丈が駆け付け、勇介の言葉にショックを受けるめぐみ。丈は体を張って投石を続ける乗客たちを止めようとし、勇介に近付く、謎のシスター。
 「かつてあなたは、人知れず戦うことを誓った筈です。感謝されることも、讃えられる事はなくても。忘れたのですか?!」
 決して報われる事はなくても、生けとし生ける全てのものに戦う事はライブマン結成時より決められていた事が明かされ、やや強引に解釈するならば、復讐を動機にしているからこそ、それに囚われて道を踏み外さない為のオモリが、勇介達には必要であったのかもしれません。
 「……尼さんか……お祈りでもしてくれるっていうのか? そうすりゃ、元に戻れるっていうのかい」
 やさぐれる勇介におもむろに近付いたシスター、感電しながら、力尽くで、引きはがす(笑)
 「ごめんね、生意気言って。弱音を吐く勇介なんか見たくなかったんだもん」
 シスターの正体は勿論めぐみで、久々に真っ当なヒロイン力を発揮しためぐみの言葉と姿に勇介は正道に引き戻され、その時、めぐみが一部のナベが外れている事に気付く。
 「勇介の体を流れる電流が、私の体に通ったから、磁力が弱まったんだわ!」
 そこからの……
 「丈……次はあなたよ」
 凄い(笑)
 めぐみが実にめぐみであり、半歩退く丈だが、覚悟を決めると勇介を熱烈にハグし、剥がれ落ちるナベその他。
 「ありがとう丈! ありがとうめぐみ」
 ……この間、一切の手出しをしてこない乗客たちは恐らく、この狂気に満ちたやり取りにどん引き。
 めぐみと丈の友情により心身共に最大の危機を脱出する勇介だが、そこにアシュラが登場。
 「貴様に三人衆があるなら、俺たちは三人の戦士! チームワークなら負けないぜ!」
 構えを取ったところで主題歌イントロが流れ出し、
 「超獣戦隊!」
 「「「ライブマン!」」」
 からの主題歌バトルが問答無用の盛り上がりで、ザ・戦隊の格好良さ。
 ライブマンはサイバー分身を三位一体攻撃で打ち破り、エレキヅノーには、エレキ返しからのバイモーションバスター。巨大戦ではシールドでエレキビームを跳ね返し、最初期の記憶に自信が無いのですが、実戦で使ったのは初のような……(笑) そして、横を走り抜けないタイプの新スーパーライブクラッシュで、大勝利。
 3人揃ってボロボロになりながらも、友情の絆を確認しチームワークを高めるライブマンであったが、不穏なBGMでそれを見下ろすアシュラが宿す憎悪の炎がますます燃え盛り、危難の予兆が示されて、つづく。
 シスターめぐみはかなり強引でしたが、演者のアイドル力で強行突破し、天秤の片方に強烈な復讐心を置き、もう片方に全ての命への無償の愛を置く、超獣戦隊ライブマンの在り方が重ねて確立。……サブタイトルとは全く印象の違うエピソードになりました(笑)