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しゅばっとネクサス

ウルトラマンネクサス』感想・第4話

◆Episode04「亜空間-メタフィールド-」◆ (監督:根本実樹 脚本:長谷川圭一 特技監督菊地雄一
 トンネル内部に集結しつつある巨大ウミウシへの攻撃作戦のブリーフィングが描かれ、CICの白い人は作戦参謀、ナイトレイダーの上官であったと判明。通称:イラストレーター、ビーストの出現を感じ取る予知能力者という噂もある白い人の合理主義、状況を俯瞰する視線の、現場の持つ熱との温度差が、ブリーフィングに生身では無くホログラフィで現れる、という距離感で描かれるのは秀逸。
 「さて、あの巨人、また現れるかな」
 立場と内心の掘り下げはこれからでしょうが、ナイトレイダーの面々がモブキャラと大差ない現状、着実にキャラクターの特徴付けが進んでいるのは良いところ。
 作戦前の待機時間、革ジャン男についての報告を怠っている件に関して懲りずに副隊長に話しかける孤門くんは、ある意味、鋼のメンタル……
 「感謝して報告を控えたとでも言いたいわけ?」
 「違うんですか?」
 というか、素朴に驚愕の表情を見せる孤門は、純朴とか善良とか通り越して、世界中の人間が自分と同じ物の見方をしていると思い込んでいるヤバい奴なのでは、という気もして参りました。
 今回の印象を踏まえると、前回、「ウルトラマンは僕や工場の人を助けてくれたんですから、いい奴に決まってます。え? なんでみんな、わからないんです?」とお歴々に証言していた孤門への見方も変わってくるというか、その時点で死神さんに対して「チームを預かる者として、あの真っ直ぐさは危険です」と孤門を評した隊長の嗅覚は、極めて的確だったのかも。
 孤門くんの語る「信じていた現実は嘘だった」「情報操作とか冗談でしょ?」って、「この世にゴミの分別をしない人が居るなんて嘘ですよね?」と同じレベルで全ての事象を捉えている、狂気に近いイノセンスなのではないか。
 第4話にして初めて、孤門にイラッとする副隊長にちょっぴり共感できてしまいました(笑)
 「報告しなかったのは、次に会った時、私自身の手で殺す為よ」
 ……この人はこの人で、凄くどうかと思いますが!
 そういえば副隊長、第1話で現場に残ったウミウシの体組織を、個人的に気にくわないからという理由で回収班の処理前に勝手に焼き払っていましたが、「これまでの推理を覆す新たな物証が発見されたが、私はあいつが犯人だと思うので、デリートを執行する」って平気で撃つ人だ!
 新型機を投入してトンネル内部の巨大ウミウシに挟撃を仕掛けるナイトレイダーであったが、ウミウシは健在。逆にホーミング火球に次々と被弾して戦闘不能に陥り、一ヶ月溜めただけはあり、ようやくの本格的な空中戦はなかなか格好良かったです。
 最終防衛ラインでなんとか抵抗していた孤門機が弾切れを起こした時、(暑い……! 暑いよ……!)と懸命に森の中を走っていた革ジャンさんが、ウルトラマンに変身。二階級特進寸前だった孤門を救うと、体色を変えて再び謎のフィールドを発生させ、自らとビーストを通常空間から隔離し、それに巻き込まれた孤門は奇妙な世界を目にする……。
 コンピューターワールド、じゃなかった、空に青白い光が揺らめく異世界で巨人とウミウシは満を持しての肉弾戦に突入し、地面が少し異質な造形になっていたりはするものの、物語における“隠された戦い”と繋げつつ、ミニチュアの都市を展開しないで済むという、予算節約作戦の一貫でありましょうか。
 ウミウシの放電攻撃を断ち切った巨人は、団子をこねて竜巻を作り出すとウミウシを土に埋めて足を封じ、腕をクロスさせて放つ伝統的な必殺光線で撃破。
 ここまであまりにも長かったですが、やはり巨大バトルが入る事で、「『ウルトラマン』見てるな!」という気持ちになって盛り上がります。孤門くんも、主人公というより、勇者が訪れた辺境の地の純朴な田舎娘ヒロインだと思った方が、立ち位置に納得しやすいですし!
 ……まあ、それにしても、ヒロイン像が古すぎるのでは、感は迸りますが。
 この辺り今作は、時代性が強いというか、2004年に見る感触と、15年後に見る感触が、だいぶ違う作品ではありそうかな、と。“新しい”=長所、というわけでは必ずしもありませんが、2019年現在に見ると新しく感じない要素も、当時は新しかったりそこまで古くさくもなく、劇中でもう少し別の意味合いを持っていた、というのは幾つかありそう。
 比較して『仮面ライダークウガ』が、ある程度時代性を超越しえたのは、撃たれるもの(傷つくもの)=主人公、という構造がもたらす普遍性によるところが大きいのではと思われるのですが、今作はその点において、視聴者と革ジャンさんの距離が遠すぎて、そこにブリッジが存在していない(孤門がそうなるのかもですが、現時点では機能の働きが弱すぎる)、のが立ち上がりの歯車の噛み合っていない所であり、鮮度に頼らざるを得ない作劇になっているように見えます。
 あと『クウガ』は非常に早い段階から、五代の視点ばかりでなく、一条さんの視点も、おやっさんの視点も、杉田刑事の視点も……と配置していたのがお見事であったのですが、そこで“キャラクターに魅力を与える”事に長けた荒川稔久の筆、というのは大きな意味を持っていたのだな、と改めて。
 その点で今作に欠落しているのは、謎は謎でいいから、今そこに居るキャラクターの魅力であるように思えます。
 (僕はまた、命を救われた。でも、ウルトラマンが救ったのは、本当はもっと大きなものだという事を、僕の心は、しっかり受け止めていた)
 ウミウシの撃破と巨人の消失により孤門機は通常空間に復帰し、元来《ウルトラマン》にはそういう因子が含まれている(そしてある程度、意識的に削ぎ落とされている)のですが、孤門がすっかり、神秘体験の末に宗教を作り出しそうで、少々心配です。
 「リコフクロウ様、リコフクロウ様にお祈りすれば、光の巨人が皆を救ってくれのです。さあ、一緒に祈りましょう。どんがらもっさー、えっさー、ほいさー、まぐまー、せいやー、よいさっさー」
 ……はさておき、
 「巨人が作り出す戦闘用亜空間……メタフィールドか」
 基地では白い人が好奇に目を輝かせ、現場近くの警備中に巨大ウミウシを目撃した警察官に対するTLT情報処理班の活動が見せられて、To be continued...
 次回――孤門くんの案、採用される。