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キラッと光るソウル!

『騎士竜戦隊リュウソウジャー』感想・第1話

◆第1話「ケボーン!!竜装者」◆ (監督:上堀内佳寿也 脚本:山岡潤平
 マスターレッド!
 マスターブルー!
 マスターピンク!
 という、この上なくストレートな呼び名に、思わず笑ってしまいました(笑)
 「今から、お前達が、リュウソウジャーだ」
 リュウソウルと剣を受け取り、リュウソウジャーとなった3人の若者――彼らが暮らし、そのパワーの源である神殿をいただくリュウソウの森……それは、青木ヶ原樹海にあったのです。
 そこへやってきたYoutuberを通して、リュウソウジャーの暮らす村が世人には秘密の隠れ里である事、リュウソウジャーはその境界を瞬時に乗り越えて行き来できる事、ただし外部の人間との接触は堅く禁じられている事、がさらりと説明され、謎の生き物に襲われたYoutuberを助けるべく、二人のリュウソウレッドが割って入る、ところで通常通りのOP。
 盾と槍を構えた敵戦闘員はチェック柄がお洒落で、青い幹部がルーク(城砦)に見える事を考えると、敵キャラの基本モチーフはチェスでしょうか。戦闘員にはどことなく“トランプの兵士”めいた印象も漂い、『不思議の国のアリス』もイメージに入っていそうですが、そうするとスライムキノコは帽子屋?
 そうそうそうそうその調子!でチェック兵を軽々と蹴散らし、掴みのバトルから派手なトライアングルダイナミックするリュウソウジャーだったが、それは、かつて恐竜が栄えた時代に地球征服を目論み、今から6500万年前に宇宙へと逃げた、戦闘民族ドルイドのほんの様子見に過ぎなかった。
 「奴らの狙いは恐らく、神殿に眠る大いなる力だろう」
 リュウソウジャーのパワーの源であり、リュウソウ族が守り続けてきた“大いなる力”――それは、リュウソウ族の先祖がドルイドン族に対抗すべく作り出した最終兵器」騎士竜。
 生体兵器めいたものを「作り出した」と明言されている辺りに、リュウソウ族の先祖へ対する不審ゲージがケッボーーーンと上昇していくのですが、戦闘民族の割に名前が「ドルイドン」だったり、100%リュウソウ族主観で語られる過去の歴史において、最終兵器を使う事なくドルイドンが「宇宙に逃げた」くだりに若干の不自然さが感じられたりと、割と歴史の暗部がありそうでワクワクします(笑)
 「ドルイドンなんて、俺が蹴散らしてやるよ」
 新たなリュウソウジャーとなった3人の若者達は、近づく戦いの気配に緊張を隠せず、ここで赤が、無鉄砲なのでも自信過剰なのでもなく、桃の様子を見て敢えて威勢のいい言葉を口にした、というニュアンスがあったのは非常に良かったところ。
 「油断は禁物だ」
 「大丈夫。俺と、メルトの剣の腕と、あと……アスナの馬鹿力があれば」
 「はぁ~?! 誰が馬鹿力、よ!」
 立ち上がった桃がつかつかと近付き、赤の胸を突き飛ばした瞬間、カット切り替わって煙を上げて岩に激突している赤、というのは大変面白かったです。
 第1話で一番面白かったかも(笑)
 岩に激突した赤は、いつの間にか隠れ里に入り込んでいたYoutuberを発見。Youtuberはバナナで3人を懐柔しようとするが、そこにいきなり長老が登場。
 「この村では、なんぴととも、外部の者を入れてはならん。コウ!」
 「ハイ!」
 「座敷牢に閉じ込めて、一生そこから出すな 夜明けと共に連れ出し、記憶を消せ」
 パワー系の青い敵幹部(割とさくっと退場しそうな予感)がCV:中田譲治だったり、そこかしこで『動物戦隊ジュウオウジャー』を思い出さずにいられないのですが、偶然なのか意図的なのか、「歴史の暗部」とか「侵入者の処分」とかで『ジュウオウジャー』を思い出す私がおかしいのか。
 「リュウソウジャーをコウ達に継承して、正解だったと思うか?」
 「あいつらなら心配ない。まだまだ未熟だが、騎士として最も大事なソウルが……あいつらには既に宿っている」
 「……そうだな」
 「まあ、手は掛かるけどね」
 翌朝――3人のマスターがコウ達について語るシーンを挟み、Youtuberを樹海の外へ送り届けたコウが、記憶を消すハンマーを構えて「大丈夫!」と笑顔を浮かべるのが、割と真人間に見えるが隠れ里育ちでどこかズレている表現としてはまりました。第1話から結構、色々な表情を引き出す演出と脚本になっていますが、レッドの役者さんもそれに応えており、スタッフ側の期待値がだいぶ高そう。
 Youtuberが抵抗を見せようとしたその時、樹海の入り口に巨大怪獣マイナソーが出現。冒頭の、存在を匂わせるシーンに続き、丘の向こうから叩きつけられる巨大な尻尾、直後に視界に入る頭部、など、かなり東宝というか円谷風味の演出。マイナソーのデザイン(100%怪獣)もあったのでしょうが、長老役の団時朗さんへの意識もあったりしたのでしょうか。
 この襲撃にW赤は神殿に向かい、残り4人は怪獣を止めようとするが、神殿にドルイドンが侵入した事により大いなる力が影響を受け、リュウソウジャーは変身不能になってしまう。神殿では青い幹部タンクジョウ、外では怪獣の攻撃から3人の若者をかばってマスター3人が次々と命を落とし、かなりストレートに、喪失を描写。
 変身可能な先代をどう処理するのだろうと思ってはいたのですが、どちらかといえば陽性の作風なのかなと見ていたところで、ここまで明確に殺してきたのは、予想外でした。
 演出が上堀内監督という事で、一瞬、キラキラ劇場が始まったらどうしよう……とか考えてしまいましたが、『ビルド』の傷跡は深い。
 「終わりだ……」
 「駄目だよ……たたかわなきゃ……」
 「マスター! マスターしっかりして!」
 「おまえも……俺も……ソウルは一つだ」
 生き残ったコウにタンクの剣が振り下ろされようとした時、コウの首飾りが光るとその巨体を弾き飛ばし、真紅の光の揺らめきに包まれたマスターレッドの肉体が消滅。そのソウルがコウの持つリュウソウルに宿り、コウはリュウソウレッドへと変身する!
 「おまえは……俺が倒す!」
 このくだりが正直わかりにくかったのですが……本来は変身できない状況から、死者のソウルでブーストして変身を可能にした、という理解でいいのでしょうか。
 聖域を汚された的なニュアンスと推測されますが、「ドルイドンが神殿に侵入したから」変身能力が失われてしまう、という状況設定の説得力が弱かった為、マスターレッドの遺志と限界を超えようとするコウの闘志がその状況をひっくり返した、という瞬間が、第一のクライマックスとしてピークを合わせてきたにも関わらず、もう一歩、劇的にならなかったのは残念だった部分。
 「覚えておけ。この星はもともと我々ドルイドンのものだ。必ず返してもらう」
 新生リュウソウレッドの猛攻にひるんだタンクは、怪獣の攻撃により神殿が崩壊したのを機に撤収。リュウソウレッドは封印されていた騎士竜の内部へ転送され、ソウルを一つにする事で、巨大な竜の騎士が目を覚ます!
 予告映像はかなりロボット押しの感じでしたが、弾け飛んだ神殿の中から姿を見せたリュウソウロボが大爆発と共に動き出し、一気にダッシュで怪獣に躍りかかる、というのは大迫力。戦隊ロボとしては『手裏剣戦隊ニンニンジャー』のシノビマルが同じ路線でしたが、合体後のロボで上半身に重厚感を残しつつ、下半身をスマートにしてスピード感を伴わせる、というのは挑戦的で、今後の見せ方も楽しみです。
 神殿の残骸をリングに見立て、回転運動を主体とした殺陣も格好良く、リュウソウロボはドリルニーからブレードキックの連続攻撃でパーツ付け替えギミックを見せると、低い姿勢から滑り込んで切り払う必殺剣で、巨大怪獣を撃破。ドルイドンの襲来をきっかけに、かつて使われる事なく眠りについた最終兵器が、現代に甦るのであった!
 「お前達のリュウソウル……。神殿の力は無くなっても……パワーは失ってはおらぬ」
 長老……たぶん、直接的な戦闘力は無いので、村人の避難誘導などをしていたのかとは思われるのですが、前線で3人が戦死した後にしれっと出てきて、その事には一切触れずにそれらしい語りを始めるという人でなし度を急上昇させる演出に、東映特撮の確かなDNAを感じます。
 「これからは、俺達が守ります。この地球を」
 3人はマスターのソウルが篭もったリュウソウルを手にリュウソウチェンジし、フル変身だと祭が始まるのは、これはもう完全に『獣電戦隊キョウリュウジャー』オマージュと思えますが、過去作品を想起させる要素は、世代を超えたフックとして意図的に仕込んでいる雰囲気。
 「勇猛の騎士! リュウソウレッド!」
 「叡知の騎士! リュウソウブルー!」
 「剛健の騎士! リュウソウピンク!
 「「「「正義に仕える3本の剣! 騎士竜戦隊・リュウソウジャー!」」」
 ピンクが大変力強く、マッスル担当である事を宣言し、騎士竜をバックに3人が揃い踏みを決め、つづく。
 ブルーとピンクが倒れている間にレッドが一人で合体ロボを操り敵を撃破する、という変則的な構成ながら、最後に戦隊としての名乗りを決める事で戦隊フォーマットへのこだわりを示し、「多人数戦隊」「VS戦隊」というこの2年の変化球から、王道フォーマット再び(でも、その中で進化とアレンジは模索し続けます)という方向性をまず見せてきた感のある第1話。
 メインライターが特撮作品初参加という事も考慮されたのか、スタート時点のメンバーを3人に絞ったのは良い判断だったと思いますし、それもあって『スーパー戦隊最強バトル!』で黒と緑だけが先行出演していたのか、というのも納得。
 その上で更に、青と桃の掘り下げをほぼ切り捨て、とにかく赤を中心に進める事で展開をスッキリさせ、情報が整理しきれなくなったり、焦点が散漫になってのジャンプ失敗を避けましたが、第2話以降で青や桃のキャラクターをしっかり見せていけるのか、それとも悪い意味でこの流れのままレッド偏重になってしまうのか、というのがまず一つポイントになりそう。
 また、戦隊作劇では1話勢い2話説明、というのがよくあるパターンとはいえ、今回時点では「ソウル」というのがあまりにも言葉先行になってしまっていたので、次回、その中身をしっかりと詰められるのかというのが気になるところですが、サブタイトルからは意識があるようなので、期待したいです。
 王道路線を感じさせつつ、どちらかといえば<平成ライダー>寄りに思われるリズミカルなギミック、キッズアニメの世界では既に定番化しているYoutuberネタ、などを取り込んでいるのが物語とどう融合していくのか、第1話時点では、特別グッと来るところは無かったがとにかく大事故は起きなかった、という印象なので、各キャラクターの掘り下げと共に、どんな戦隊の形が生まれてくるのか、楽しみにしたいと思います(今回の時点ではまだ、戦隊未満でありましたし)。
 先代のソウルを受け継ぐ事で強引にブーストして変身を可能としている(?)、というのはかなり重い設定ですが、あまり翳りを感じさせないキャラクター像と、背後に横たわる重い使命、の光と影をどういいったバランスで見せていくのかも、気になるところ。
 そういえば、OPでサポートキャラの思わせぶりなカットがある、というのは戦隊OPでは割と珍しいような気がして(他にも意味深なカット多め感)、その辺りの仕込みがどう出るかも、興味深い点。それにともない、スライムキノコのウェイトが随分と大きくなっているのですが、やはり、Youtuberとしてチャンネル登録者数を競い合うライバルになっていくのか。
 EDにはダンスが復活し、今回のダンスヤバい枠は誰かドキドキしたのですが、黒の人は、笑顔を浮かべる余裕が無いのか、キャラ付けとして意識的にあの表情なのか、微妙……大変微妙…………。
 ダンスヤバいチーム(とりあえず、トッキュウ4号とジュウオウエレファントは確定)は、次の最強バトルに向けてメンバーを募集中です!