『MOVIE大戦アルティメイタム』さっくり感想
◆『ウィザード&フォーゼ MOVIE大戦アルティメイタム』◆ (監督:坂本浩一 脚本:中島かずき/浦沢義雄)
2012年12月公開の、『ウィザード』×『フォーゼ』劇場版。
『フォーゼ』は完結、『ウィザード』本編は1クール目が終了した辺りの時期で、まだフェニックス生きていた……からの、S.I.Cみたいなデザインのアクマイザー3出てきた。
「「「我ら、アクマイザー!!」」」
……そういえば一時期、往年のヒーローをリデザインして、劇場版で敵にしたり味方にしたりするのが東映のトレンドだったような……と朧な記憶が甦りますが、作品に思い入れは無いが元ヒーローであると知っている視点だと、特に感慨はないが、劇場版悪役として素直に見ることも出来ない、と一番中途半端な気持ちに。
3人のアクマは、ゲートを利用した無限モンスタープラントにより人類滅亡を目論んでおり――5年後。
…………5年後?
超能力兵士を追うインターポール捜査官の窮地を謎のグラマラス美女が救い、なんだかこの時点で監督の見当が付きましたが、しばらく生身アクションから、燃やされたり念動で吹っ飛ばされたりしていた捜査官の男が仮面ライダーメテオに変身し……記憶の5倍ぐらい目つきが悪くて、この時点まで、朔田流星だと気付いていませんでした(笑)
『フォーゼ』で一番好きなキャラは流星で、メテオの非対称ヘッドも好きなのに!
マフィアのボスを捕らえた流星が、超能力兵士の供給元が日本であると突き止めていた頃、日本の天ノ川学園高校には、短ランならぬ短スーツに身を包み、トレードマークのリーゼントをばっちり固めたあの男が、教師となって帰ってきていた。
「俺は天高の全員と友達になる教師、如月弦太朗だ」
監督好みのワイヤーアクションが冒頭から所狭しと連発されると、宇宙飛行士になった城島ユウキに、新人類を名乗る怪人同盟が牙を剥き、パルクール追いかけっこから剛力招来した教え子サブローに対して如月先生もフォーゼに変身。
「サブロー、おまえは間違ってる!」
変身したからいいや、みたいな感じで、躊躇ゼロで生徒に鉄拳制裁(笑)
「サブロー! おまえは俺のダチだが、誰かを傷つけようとしてるなら、俺はそれを全力で止める!」
理論武装してから、膝を入れた(生徒に)。
そして、焼いた(生徒を)。
ところが、そこに現れた怪しげな男――帝王ならぬ博士バンバが剛力サブローに謎の装置ゼーバー((元ネタは『イナズマンF』の超能力増幅装置ですが、本編見ていると、割と面白みのない装備の印象が強い(笑))を渡すと、放たれた衝撃波を受けたフォーゼは一撃で変身解除。
スイッチにより変身したバンバゾディアーツに吹き飛ばされた弦太朗は、タイミング良く駆けつけたメテオによって助けられ、ユウキを地球に無事帰還させる為、かつての仲間達を招集する……という趣向で、それぞれの道を歩む宇宙仮面ライダー部の面々が登場。
クイーンこと風城美羽はモデルとして活躍中、元キングこと大文字隼はアメフト選手として渡米を控えており、ジェイクは雑誌記者、野座間友子は人気作家になっており、サイン会を開いていた友子の元には格好つけた流星が迎えに行ってくれたので、もう、この作品で何が起きても許せます(笑)
「弦太朗。おまえが友達になるだけじゃ、解決しない事もあるんじゃないか?」
「……それどういう意味だよ?」
なにか研究機関に所属しているらしい歌星賢吾が最後に合流すると、バンバが扇動する新人類(エスパー)軍団については、背後の安い陰謀が雑に暴露されて空中分解し、背景事情もろもろについては、きっぱりと割り切ったおまけ扱い。
「貴様ら! 何者だ?!」
「その名も、宇宙仮面ライダー部」
「宇宙と」「地球と」「学園の平和は」「俺達が守る」
「よくも可愛い生徒達を利用したな。……てめぇは許さねぇ」
「「――変身!!」」」
ライダー部の面々の台詞に続き、弦太朗と流星がダブル変身で揃い踏み。
「宇宙キターーーーーッ!」
「おまえの定めは、俺が決める」
メンバーそれぞれ乱戦の渦中で見せ場が与えられ、思わぬ格好いい白衣アクションを見せる賢吾、やはり、科学者には筋肉が必要です。
バンバに騙されていた事を知り、ライダー部と共に戦う怪人同盟だったが、一人サブローだけはゼーバーを手にフォーゼに戦いを挑むと、阻害されてきた異能者の孤独が突然放り込まれ……メテオストームはひたすらバンバゾディアーツに苦戦していた。
教え子とゼーバーをバンバに奪われた弦太朗は、孤独と哀しみを抱えるサブローに向き合うべく、ベルトを溶鉱炉に投げ捨てると「俺はもう、仮面ライダーにはならねぇ」宣言で自らの超人性を捨て去り、外では、バンバを追ったメテオストームが死にかけていた。
「なあサブロー、自分で作った殻は自分で破れるんだ。今のおまえはサナギだ。でもな、きっと蝶みたいに大きく羽ばたく翼を持てる」
ゼーバーに蓄積されたサイコエネルギーを用い、ユウキの乗った帰還船を爆破しようとするバンバだったが、そこに現れた剛力サブローが自分の殻を破って超力招来し、
「自由の戦士・イナズマン!」
が誕生すると、逆転チェストーーー!!
メテオの踏み台ぶりがあまりにも酷いですが、まあ、イナズマンだしな……と元ネタを知っていると敵の方が可哀想になってくる圧倒的パワーが発揮され、白目剥きっぱなしみたいに見える顔が怖いイナズマンは、バンバゾディアーツを完封滅殺し、一体全体、何を見せられているのでしょうか、これ。
冒頭の生身アクションが先行投資だったようで、全くいいところなしだった流星はバンバを逮捕し、やたら格好付けてますが、いいところは全く無しでした。
「やりましたよ、如月先生」
殻を破って全裸をさらけ出し、開放感溢れるスッキリした笑顔を浮かべるサブローだったが、アクマイザー黄色が現れてゼーバービーム砲を起動すると、ユウキ木っ葉微塵?!
の危機は、帰還船に乗り込んでいた仮面ライダーなでしこによって救われ…………えーと……アレか……月面スライム生命体……?
確認してみたら印象が幾つか混ざっていましたが、劇場版『フォーゼ&オーズ MOVIE大戦 MEGA MAX』に登場した、「全部、翔太郎のせいだ」でお馴染み、宇宙生命体〔ソル〕で、ラスト『フォーゼ』という事もあってか、本編第7-8に登場した佐竹先生が校長として助言をくれたり、第21-22話に登場した宇津木先生のアクションシーンがあったりとサービス満点の作りなのですが、拾ってくるネタが多すぎて消化が追いつきません(笑)
「弦太朗! どうやらおまえも、本物の教師になったんじゃないか?」
サナギマンからイナズマンは、生徒とダチになって横に並ぶだけではなく、先達として導いていく在り方を見出した弦太朗の成長の象徴とされて、『フォーゼ』本編との繋がりとしては、
「次の世代に繋ぐ。それも立派な私たちの仕事だ」(歌星緑郎)
を弦太朗が行った、といった形でしょうか。
なでしこロケットキックで弾け飛んだかと思われたアクマイザーはさすがに生きており、
「これさえ貰えば、この時代に長居は無用」
と胡乱なことを言い出すとゼーバーを手に時空の亀裂の向こうに消え、反射的にそれを追った弦太朗・流星・撫子が放り出されたのは――5年前。
通学路から過去の自分を拉致した弦太朗がフォーゼドライバーを奪い取っていたその頃――指輪の魔法使いは大量のグールと謎の怪物を前に、ドーナツを食べていた。
「――さあ、ショータイムだ」
主題歌に合わせてのクルクルマジカルアーツで『ウィザード』パートが開幕し、見所は、監督補正により謎の戦闘力を発揮する凛子さん(笑)
……これはもう、中身ファントムなのでは。
一通りのアクションを見せたウィザードは、無限モンスタープラントでアクマイザー3と対峙するも、アクマイザーフォーメーションの前に敗北。ゼーバーを手に人類滅亡を目論むアクマイザー3を追いかけ、プラントのコアとなっている人物のアンダーワールドに入り込むが、そこではポワトリンの誕生パーティーの準備が進められており……ポワトリン?
「愛ある限り、戦いましょう。命、燃え尽きるまで! 自分で言うのは、ちょっと恥ずかしいんですが……美少女仮面・ポワトリン!」
「は?!」
銀幕の向こうの晴人さんとのシンクロ率は『ウィザード』史上最高に上がりましたが、とにかくずっと、消化の難しい展開が続きます。
美少女仮面ポワトリンは、アンダーご町内でヒーローとして永遠の一日を繰り返しており、お馴染み美少女仮面を、現実に倦んだゲートが生み出した夢の中の理想の私と位置づけ、原典抜きでも成立させてはいるのですが(理想の投影としては、番組としての原典があっても成立しうる)……サブローにしろポワトリンにしろ、キャラクターとして思い入れを持たせる為のフックが劇中に存在しないので、どんなに格好良く動き回っても、そこに“物語”が乗らないのが、個人的には盛り上がりに欠けてしまいました。
基本、あらゆる状況をアクションで処理していく映画なのですが、監督の好みもあって「アクションそのもの」が目的化してしまい、究極、そこで飛んだり跳ねたりクルクル回っている人が誰でも良くなってしまうというか、その人は飛んだり跳ねたりクルクル回らないのでは……? とさえなってしまうのが、色々と割り切った作りにしても、相性の悪かったところ。
色々あってポワトリンの説得に成功するウィザードだが、今回もアクマイザーフォーメーションの前に敗れ、さらわれるポワトリン。
現実世界では怪物に襲われていたコヨミがフォーゼ組に助けられると、フォーゼリングをスイッチで起動したフォーゼは、メテオ・なでしこと共にアンダーワールドに突入してウィザードに加勢し、ここからアルティメイタムがスタート。
「タイムスリップの後にサイコダイブか。今日は忙しいな!」
メテオストームにも活躍の場が与えられて雑魚軍団を蹴散らしていくと、トラック野郎悪魔チームを前に決戦となり……まずは前菜の生身バトル。
例えばここも、それぞれのアクションには力が入っているのですが、4人の生身グルグルバトルを順々に見せられる事そのものにストーリー上の意味は薄いので、ただアクションが流れていくだけになってしまい……正直、芸の無い個別集団戦。
勿論、アクションそのものが凄い/面白いに越した事はありませんし、それだけで息を呑むような画を作ることもできるしょうが、それでも私が見たいのは、ただ目まぐるしく動いているだけではなく、“物語の乗ったアクション”なので、ここからクライマックスバトルで致命的な点として、ヒーロー側の誰一人として、アクマイザー側の計画の全貌を把握していないので(視聴者に向けてはワイズマンが別シーンで説明)、「ポワトリン救出」と「ゼーバー奪還」という目的そのものは変わらないものの、
“悪魔の海にゼーバーが放り込まれて人類が絶滅するのを止める”
という意識が、ヒーローのアクションに全く乗らないまま最後まで突き進んでしまう、のは大変残念なところでした。
後これは劇場版でありがちですが、頭数を揃える為の謎モンスター軍団が、本当にどこから出てきたのか謎で全く物語を背負っていないので、集団戦をやればやるほど、《バトライド・ウォー》(※いわゆる《無双》系のライダーアクションゲーム)の戦闘画面を実写で見せられているような気分になってしまったのも、個人的にはマイナス。
「お願い……だれか晴人を……みんなを助けて」
外部で待機中のコヨミちゃんが劇場版ブーストでヒロイン力を発揮しようとしたところ、残っていたグールに襲われそうになるが、そこに現れたのは、明日のパンツを旗印にした……変態。
未成年の女の子にパンツの旗を持たせるのはどんなに二枚目補正が発動しても言い訳がきず、ここに凛子さんが居たら問答無用で留置場行きだったと思うんだ映司……。
「弦太朗くんから聞いたよ。誰かが助けを求めて手を伸ばした時、僕らは必ずこの手を繋いでみせるよ」
サービスアクションでグールを蹴散らした後の、この台詞は格好良かったですが!
コヨミの指輪が光ると、アンダーワールドにシルエットのヒーローたちが現れて、プラントに繋がれていた子供たちに指輪を渡し、晴人のベルトの力を借りて召喚される、ダブル・アクセル・オーズ・バース。
「ここからはおれたち仮面ライダーの――ショータイムだ」
過去ヒーロー一挙登場の要請を、ポワトリン同様、“夢と魔法の具現化”としたのは悪くない処理でしたが、そこから荒野の爆走トラッカーバトルに突入すると、数を揃えた以上の意味はあまり感じられず、爆発! 爆発! とにかく爆発!! で誤魔化していく作り。
劇場作品としてはある程度、これでいい面もありはしますが、それにしても集団バトルの殺陣にストーリー性が弱いのは残念。
最終的にフォーゼとウィザードがトラック内部に突入してアクマイザー3を一体ずつ片付けていくと、残ったリーダーを相手に、最後はステゴロから、ドリルは素手に入りますかキーーック、そして零距離ドラゴンファイヤーが炸裂。
一度は弾け飛ぶも多分アクマイザー3の乗り物モチーフに変貌したトラックを相手に、フォーゼ:フューチャーフォームと、ウィザード:美少女フォー……じゃなかった、劇場先行オールドラゴンで勝利を収めるのであった。
かくして現実世界に帰還すると、ポワトリンの正体はドーナツ屋の店長だったと衝撃のオチが付き、確かに、理想の私だから現実の現在の姿である必要はなく、妙に親しげな「はるくん」呼びが伏線だったのは、見事にしてやられました(笑)
そこからEDパートに進み、この時、プラントの動力にされていた4人の少年少女は5年後の弦太朗の生徒であり怪人同盟あらため少年同盟の結成を宣言。
今後、恥ずかしいユニフォームで市内を徘徊し、担任の先生に警察から呼び出しが入る可能性が危惧されますが……更なる衝撃! クイーンと元キングがよりを戻した?!
晴人は高校生の弦太朗にフォーゼドライバーを返却すると、5年後に使う事になるフォーゼリングを渡してタイムスリップものとしての辻褄合わせがされて、ビースト先行顔見せで本編に繋がる形となって、おわり。
……無理と無理を掛け合わせて生じた歪みをアクションの勢いで埋めた、みたいな作品で、噎せ返るほどの坂本浩一監督成分が濃霧のように全体を覆っており、坂本監督のアクション趣味や執拗なフェチズムの発露にピントが合うかどうかにだいぶ感触が左右されそうな一本でしたが、個人的には見事なまでの、合わない時の坂本監督作品でした。
ただ、途中で書いたように、サイン会を開いていた友子の元に格好つけた流星が迎えに行ってくれたので、なにもかも飲み込みます(笑)
ポワトリンの正体については見事にしてやられましたし、『ウィザード』は割と好きなライダーなので、Gimmickさん、ご紹介ありがとうございました!