『救急戦隊ゴーゴーファイブ』感想・第48話
◆第48話「決戦は災魔宮殿(パラディコ)」◆ (監督:長石多可男 脚本:武上純希)
ダウンロードの強制中断により、巨大な黒いホヤの如きオブジェにされてしまってから苦節20話あまり。遂にダウンロードを完了して完全版となった大魔女グランディーヌ、その秘密とは……
ナレーション「40億年をかけて、宇宙より、地球に降り注いだ、マイナスエネルギー。それは、大魔女復活に、十分な量に達していた。グランディーヌは、密かに、大地の底で、そのエネルギーを取り込んだ。そして今――」
地球には元々、マイナスエネルギー溜まりがありました!
と一聴唖然とする理由が付けられて、えええええ。
……そもそも、地球が大魔女降臨の聖地とされたのはグランドクロスの際に宇宙からマイナスエネルギーが集まる迷惑な立地条件の為だったので、40億年の間にそれが蓄積されていた、とする理屈そのものは通らない事も無いのですが、何がまずいかといえば「もともと地球にマイナスエネルギーが溜まっていました」=「この20話ほどのあれやこれやは大魔女復活と特に関係ありませんでした」となったのが、あまりにも大きな失点。
大魔女は早い段階でこのマイナスエネルギー溜まりに気付いており、地上での作戦行動は全て陽動だった……とでもなれば少し印象も変わってきますが、「いつその事情がわかったのか」について一切の描写がない完全なる後出しの為、成り行きからは「家出したらたまたま見つけた」としか読みようが無いのも、非常に厳しい。
グランディーヌ完全復活の手段について土壇場ギリギリで決まったのか、とにかく布石や伏線の類が皆無なのですが、小惑星グランデ作戦の時に副産物で見つかったとか、サラマンデスの行動がマイナスエネルギー発掘に繋がったとかいった、グランドクロス後、後半20数話の内容との接続点が存在しない為、肝心要のところで致命的といえる物語の断絶を生んでしまいました。
「妾は完全なる魔力を手に入れた。地球を我が物とし、全宇宙を支配するのだ」
鋭く尖った瞳に裂けた口と剥き出しの牙、とにかく顔が怖く、長い鉤爪をカチカチ鳴らすのも怖い、大魔女グランディーヌ2000の造型は悪くないだけに……物語の積み重ねが活きない、ほぼ虚空から湧いてきた要素で完全体になってしまったのが非常に残念です。
ベイエリア55では前回感知された巨大なマイナスエネルギー反応を頼りに、災魔一家の屋敷にカチコミじゃ! と盛り上がり、完調ではないマトイを待機させて弟妹4人が調査に向かう一方、グランディーヌは冥王の座をちらつかせてコボルダを焚き付け、ゴーゴーファイブへの鉄砲玉として送り出していた。
「ゴーゴーファイブを災魔ロードに連れ込めば、後は我が手で……所詮捨て駒。死んだとてかなわぬ」
母上様に撒き餌扱いされてるとは知らぬまま、やたら格好いいバズーカ砲を持ち出すコボルダだが、救急戦隊お得意の死んだフリ戦法に足下をすくわれると銃を突きつけられ、尋問が拷問に代わる5秒前、割って入るジルフィーザ。
グランディーヌの発言を耳にしてコボルダを助けに来たジルフィーザであったが、兄弟絆アタックを拒絶されると、一同まとめて大魔女の力で災魔ロードに引きずり込まれ…………ええとつまり、災魔の本拠はバイストン・ウェルにあったんだ?!
「ふふふはははは……ようこそ我が災魔ロードへ。ゴーゴーファイブ、ここがおまえ達の墓場になる」
「「なに?!」」
「コボルダよ。災魔ロードならおまえの力は数百倍になる。見事ゴーゴーファイブを討ち果たしてみよ」
災魔一族名物:丼勘定でパワー数百倍! とバズーカ構えてコボルダがゴーゴーファイブへと襲いかかり……恐らく、災魔一族の中で唯一、冥王ジルフィーザだけが丼勘定と無縁で在庫確認や給料計算をしてくれたのだと思えば目下の者から慕われているのも納得で、ゴルゴムに欲しい人材です。
「気合いだ! 気合いで奴を、ぶっ飛ばすんだ!!」
そっちが丼勘定なら、こっちは気合いエクストリームだ!
バズーカの爆風をくぐり抜けた青緑黄桃は銃を乱射しながらコボルダに組み付き、前回に続き、精神的支柱である赤を欠く弟妹が災魔幹部に立ち向かう姿でチームとしての成長を描くのですが、その出力が気合い一辺倒になってしまったのは集大成としては物足りないところで、“その場に居なくても家族は繋がっている”事を強調しようとした結果、かえってマトイへの依存度が上昇してしまったようにも見えてしまいます。
マトイ不在で一皮剥ける弟妹を描く筈が、不在のマトイが遍在するマトイへと人を越えてしまったといいますか(笑)
「ジルフィーザよ! 今だ! ゴーゴーファイブにトドメを刺せ!」
「これでは……コボルダが巻き添えになってしまいます!」
「構わぬ!」
グランディーヌ2000は、取っ組み合う5人をまとめて災魔バズーカで吹き飛ばすようジルフィーザに命じ、拒絶虚しく、念力による強制で発射された砲弾は、青緑黄桃を吹き飛ばし、コボルダの心臓部に直撃。
「兄上……冥王の宿命を持つ兄上の元、俺はいつも、二番目だったが……災魔人生にたった一度でいい、大輪の花を咲かせ、母上様に、褒めて、欲しかった……ァァ……」
コボルダの行動はあくまでも、兄上の寝首を掻きたかったわけではなく、母上に褒めて欲しかった故とされ、母親の精神的支配に隷属したまま、コボルダ、身内の一撃で大爆死。
「……何故。何故です母上。……いや……グランディーヌぅ!」
一方、その死をきっかけに母への疑問を怒りへと変えたジルフィーザは母離れの一歩を踏み出すのですが……なにぶん約2クールぶりの登場なので、キャラクターとしての連続性が保たれているとは言い難く、その「変化」が劇的にはなりきらず。
嫌いなキャラではないですし、管理職としての実務に優れた長男キャラという土台から大きく外してはいないのでしょうが(行間を妄想で埋めやすい立ち位置ではあり)、そうそう、こういうキャラだった……という感触は正直なく、復活させるならもう少し早めに出しておくか、間にシルエットだけではなく「ジルフィーザこういう人だった」話を置いておけなかったのは、苦しくなりました。
……全体的に、“最終章へ向けた仕込み”が足りなかったなと。
「なんのつもりだ?! 俺に、なぜ愛する弟を殺させた?! 母に忠誠を誓う、愚かだが、愛しい弟を!」
「子供はいつか、親を裏切るものだ。おまえ達とて例外ではない」
「なに?!」
子供達は道具でしかない、と断言したグランディーヌは、ジルフィーザを爆散させる事により発生した悪魔の業火でゴーゴーファイブを焼き尽くそうとし、その火力は、アンチハザードスーツの耐性さえも上回る。
一方、通信の途切れた弟妹の救出に向かっていたマトイは、自力で災魔ロードへの入り口を発見すると突入に成功し、その前で、炎の中に浮かび上がるジルフィーザ。
「ゴーレッド……おまえは……良い肉親を持って、幸せだったな……」
「……ジルフィーザ……」
息も絶え絶えのジルフィーザは、悪魔の業火は大魔女グランディーヌが操っており、弟妹4人を救う為には大魔女を倒すしかないと告げると今度こそ爆散し、最高幹部なのに戦闘シーンではやたら格好付かない災魔人生でしたが、再びの最期では母を捨てて仇敵に利することで兄弟愛を選び取り、持って生まれた冥王の宿命とはいえ、ドロップ(サラマンデス)と上手くやれなかったのが惜しまれます。
ジルフィーザが禁断の回避スキルを修得してサラマンデスに継承できれば、戦いの成り行きはまた違ったものになっていたかもしれません。
ジルフィーザ最期の言葉を信じた赤は災魔宮殿へと単身カチコミを仕掛け、その前に立ちはだかるピエ……ではなく、御簾の奥から立ち上がる災魔一家組長・大魔女グランディーヌ。
「おまえは強い。しかし、しょせん人間の力はそこまでだ」
「なにぃ?!」
「大魔女グランディーヌの前には、ひざまづくしかないのだ」
念動力で宙づりにされる赤だが、前回と逆に、業火の中で苦しむ皆の願いが力を与え、怒濤の反撃。
「貴様、どこにそんな力が?!」
「俺が強いんじゃねぇ! ……みんなの力が一つになるから、強いんだ!!」
赤の絶叫に思わず怯んだ大魔女の土手っ腹にVモードナックルが叩き込まれ、(死んでないけど)オヤジの仇じゃぁぁぁぁぁ!!
東映特撮名物:ヒーロードスアタックがクリティカルヒットすると、案外打たれ弱かったグランディーヌと共に災魔宮殿も派手に吹き飛び、弟妹4人が元の世界に放出されたのに続き、宿願を果たした赤も無事に帰還。
「遂にやったぜ! グランディーヌを倒したんだ!!」
勿論さすがにそうは問屋が卸さず、現世に降臨する巨大グランディーヌ2000。
いきなり市街地を大々的に吹っ飛ばすと人類に最後通告を行い、ゴーライナー出場から緊急合体!
「大魔女グランディーヌ! 地球をおまえの好きにはさせない!」
「貴様らになにができる」
とりあえず回転ハシゴキック! からの連続ハシゴパンチ!
出会い頭の先制攻撃で優勢を取るVロボだが、パンチを受け止められ、至近距離から光線を浴び、更には闇に潜んだ大魔女の鉤爪が連続で振るわれると形勢逆転。
だが追い込まれながらも赤は冷静にVスキャンを発動し、前回今回と弟妹が「気合い」濫用して引き返せなくなりそうだった一方、赤が「気合いだ!」で全て解決しなかったのは、最低限のブレーキになって良かったです。
グランディーヌの隠匿魔術を見破ったVロボは、マックスフォーメーションから一気にマックスノヴァを叩き込み、足の止まった大魔女に真っ正面から全火力を集中。
大魔女様はグワグワ言いながらよろめき、災魔一族の戦績が戦績なので不安ゲージが画面右端で急上昇していきますが……あ、倒れて吹っ飛んだ。
マイナスエネルギー反応も完全に消滅し、災魔一族の偉い人たちは、何故そんなにも、揃ってノーガード体質なのか。
「父さん! これで地球は……人類は救われたのか?!」
「うむ。災魔は、地上より、消滅した!!」
歓喜の赤が任務完了を宣言すると全員がコックピットでポーズを取り、太陽に照らされるMVロボの勇姿……しかし、生死不明でVシネマ要員に回されるかと思われたピエールが地上に姿を見せて嘆き悲しむその時、再び暗黒に包まれる地表。
「ふふははははは……ふふふははははは……愚かなる人間どもよ。妾は遂に地球という、巨大な肉体を得た。大魔女グランディーヌが、宇宙を支配する日が来た。ふはははははははは!!」
……うーん……あからさまな「やったか?!」パターンにしても、「実はマイナスエネルギーが溜まっていました」の完全復活に続いて、「弾け飛んだら地球と合体しました」も布石皆無なのが物足りないところですが、更なるバージョンアップを遂げた大魔女グランディーヌXPの巨大な爪が地球を覆う、OP冒頭を思わせる画で、To be continued...
前回今回と、グランディーヌに切り捨てられる前提で災魔の兄弟愛を中心に描いた結果、あいつ、成長したら生意気になったしな……とドロップ(サラマンデス)が頭数に入れてもらえないのはさすがに可哀想な画が続き、本来は美味しいポジションだった筈のサラマンデスの存在が、ひたすら裏目に出ることに。
加えてサラマンデスが若頭やってた時期の活動と、グランディーヌ2000誕生との間に深刻な断絶が発生している為に、サラマンデスの活動期間そのものが物語の夾雑物めいてしまい(ジルフィーザの連続性を保っていた方が良かったのではとなってしまい)、ゴーゴーファイブには敗れたがマイナスエネルギー集めには役に立っていたとか、逆に既に復活の算段をつけていた大魔女によって陽動に使われていただけだった……とか、何かと物足りなかったサラマンデスの存在意義を物語の中に落としこむ為の一工夫は欲しかったところです。
……と思っていたら、次回、サラマンデスも復活!
予告の台詞からすると人格は初期化されているようですが、ジルフィーザともども、最後にもう一花咲かせて、爪痕を残してほしい。
最終決戦でまとめに入ったところで玉突き事故が発生していますが、波はあってもここまで楽しんできたので、残り2話か3話、逆境に強いゴーゴーファイブの真価発揮に期待したいです。
……あ、今回は、災魔バズーカのデザインはとても良かったです!
出来れば、バズーカ担いだコボルダの方が、トラックでベイエリア55にカチコミを仕掛けてくる画が見たかった(笑)