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叩き込め! 救急精神!

救急戦隊ゴーゴーファイブ』感想・第47話

◆第47話「冥王!復活の代償」◆ (監督:長石多可男 脚本:武上純希
 見所は、
 「その時思ったの。マトイ兄ちゃんは、いつも私たちの側に居てくれるんだって」
 「……そうだな。……兄さんの熱い気持ち、俺らが持っていくぞ!」
 まだ生きている内から、弟妹によってエターナルヒーローに祀り上げられそうになっているマトイ(笑)
 何故そうなったのかというと……
 「遂にこの日が来た。我らが真の冥王、兄上ジルフィーザ様の復活の日が!」
 ユース生え抜きのスター候補生をトップ下に起用するも不発に終わり、オーナーはパワハラ問題が発覚して雲隠れ、フロントの無能と怠慢から戦力不足にあえぎ降格争いまっただ中のFC災魔は、最後の望みをかけてテコ入れ封印幹部に3億円のオファー……を出す資金もないので、一度は解雇した名将ジルフィーザの監督再就任を計画。
 土壇場の戦力強化策としては迫力不足ですが、今作ここまでの災魔一族の描写を見るに、年長者にアピールする/すがる、が精神性と行動原理の基軸となっているのが、コボルダとディーナスの弱みといえるのかもしれません。
 「おまえたち長男の命の力は、我らが長男復活の生贄となるのだ!」
 前回ラストでマトイに取り憑いた寄生サイマ獣・パラサイトを用いた術式により、マトイの生命エネルギーが吸い出されると、恐らく死の世界へ通じる出入り口といったイメージと思われますが、井戸の中から出てきたみたいな感じで、冥王ジルフィーザ、割とざっくり復活。
 「我は、今ここに甦ったり」
 第18話では新装備Vランサーお披露目の踏み台として危うく爆死寸前に追い込まれ、第22話ではマックスビクトリーロボのデビュー戦の生贄とされてグランドクロスを迎えるよりも早くマックスノヴァされて退場した事でお馴染みジルフィーザが、24話ぶりの現世帰還を果たし、失われた冥王スターに替わって胸にサソリコネクターがついているのは細かい味付けとして好み。
 退かぬ! 媚びぬ! 顧みぬ! と冥王ノーガード戦法で突き進むジルフィーザは青緑黄を蹴散らし、苦しみ悶えるマトイも戦闘不能で絶体絶命に追い込まれたゴーゴーファイブは、ライナーボーイの空爆の隙にシャトルで逃走。
 「今こそゴーゴーファイブの首を、母上様の前に並べ、お怒りを鎮めてくれよう」
 「それでこそお兄様! その力強いお言葉、お待ちしていたのです!」
 「任せておけ」
 城に戻って母の家出を知ったジルフィーザは打倒ゴーゴーファイブを改めて宣言し、今回やたらと感情の起伏大きめのディーナスですが、最終回が迫っている事もあり折角の顔出し幹部なので……といった事情かと思われ、台詞も顔のアップも多め。
 冥王帰還をまだ知らず、これ以上ワンオペじゃやってられません! とオーナーに直訴しようとしていたピエールが、宮殿の奥で奈落へ落ち、謎の赤い光と灼熱の炎、そして雲隠れしていたグランディーヌの高笑いを耳にしていた頃……切除不可能なパラサイトに生命力を吸い出され続けるマトイは、生死の境を彷徨い続けていた。
 「兄妹も助けられずに……何がレスキューだ」
 「そんな泣き言を云うんじゃない。マトイは今、必死になって災魔と戦ってるんだ! マトイは……お調子者で、いい加減なようだが、泣き言云うとこだけは、見たことがない」
 モンドのマトイ評は、「うちの親父、地球を守る事にかけちゃ結構マジみたいなんですよね。……ま、他の事は全部いい加減ですけど」(第8話)へのアンサーでしょうか(笑)
 「今度は俺達が兄さんを助ける番だ。……兄さん、待ってろよ。行くぞ!」
 後半になって、ナガレがなんとか次兄/サブリーダーとして台詞と表情に力を込められるようになったのは、話の組み立てに大助かりなところで、パラサイトを操っている魔力の元を絶つべし! とモンドに見送られて4人は出場。
 「おまえ達は、今まで何度も不可能を可能にしてきた。おまえ達なら、きっと奇跡を、起こせる」
 マトイの窮地に弟妹4人が立ち上がっていくのは、台詞でも言及のあるホテルで4人で高級ランチ回の裏返しの構造といえ、序盤の重要回となった小林脚本2本を、最終決戦で武上さんが拾うような形になっているのは、ちょっと面白いところです。
 前世のやらかしを忘れているのか、甦っても軽率に最前線に繰り出してくるジルフィーザは派手に市街地を蹂躙していき、
 「兄上のパワーは復活して、より強力になっている」
 「今もゴーレッドの心が注ぎ込まれ続けている」
 ……つまり、救冥王・ゴーゴールドになっていた。
 ゴミ捨て場から死にものぐるいで戻ってきたサラマンデスと違い、復活したら強くなる理由が特にないジルフィーザについて、マトイ兄さんのメンタルのパゥワァァァは、納得していいのかはともかく、説得力は出ました(笑)
 パラサイトによりマトイの生命力が吸い尽くされた時、冥王ジルフィーザは完全なる復活を遂げるが、それを阻もうとするのは4人のゴーゴーファイブ
 「ゴーレッドの居ないゴーゴーファイブで、我ら3兄妹と戦えるつもりか!」
 ディーナスは勝ち誇り、3兄妹が横一列に並ぶと、ディーナスの頭の位置=ジルフィーザの胸の位置なのが結構なインパクトですが、釣り合いを取る為なのか肩幅が凄く横に大きいコボルダのデザイン、遠くからシルエット主体で見ると、割と格好いい事に今更ながら気付きました。
 そして、もはや存在しないもの扱いのドロップ(サラマンデス)、ちょっぴり可哀想。
 「兄さんはここに居る! いつも心の中で一緒なんだ!」
 「それは違うぞ! おまえ達の長男の心は、ここにある!」
 とジルフィーザが返すのは良い感じの嫌らしさで、4対3の戦いがスタート。
 余裕で高笑いしていたコボルダとディーナスが早速ピンチに陥るが、ジルフィーザの冥界ダイナミックを浴びて、ゴーゴーファイブはまとめて変身解除に追い込まれてしまう。
 「お兄ちゃんだったら……お兄ちゃんだったら……」
 「……気合いだ!」
 「うん。諦めるより、気合いでぶつかっている!」
 「そうだ! 気合いだ!!」
 最後にものをいうのは、精・神・力!
 ……まあ今作の場合、日々の鍛錬や技術の向上を当然の前提とした上で(今回も冒頭に兄妹ランニングが描かれている)、土壇場で自身を支え、困難に立ち向かっていく為のスイッチを入れるキーが「気合い」といった感じではありますが、どうしてもマジックワードめいた作劇になってしまったのは、今作中盤以降の「気合い」偏重の勿体ないところでした。
 ……それから勿論、そんなスイッチを自在にオンオフ、出来れば常時入れっぱなしで活動しようとしているマトイ兄さんはヤバい人なので、良い子のみんなは気をつけてくれよな!
 「何が奴らを突き動かしてるというの……?!」
 自己洗脳ですね……!
 災魔3兄妹を狼狽させ、気合いでダッシュ着装した青緑黄桃は、前世で嫌な思い出のあるVモードパンチをジルフィーザに叩き込むと、胸のパラサイトに向けて全火力を集中。
 王道に回避なし! とサラマンデスと同じ過ちを犯してノーガードで突き進むジルフィーザだが、人類のテクノロジーを注ぎ込んだ集中砲火を前に筋肉の限界に達するとガックリと膝を付き、復活から約10分、あまりにも短い全盛期でしたが、〔クラス:冥王〕に回避スキルがセットされていないのは、災魔一族にとって痛恨の失策となりました。
 冥王のパラサイトに叩き込まれた破壊エネルギーが逆流していくと、マトイの胸に寄生していたパラサイトがそれを受け止めきれずにショートを起こし、術式は中断。
 それに気付いたディーナスは、パラサイトを引き寄せると自らに取り付ける事で冥王の完全復活を目論み、一度はジルフィーザに払いのけられながらも、パラサイトを胸に倒れ伏す――。
 「災魔で、ただ一人……お兄様は……優しい方だった」
 「ディーナス……」
 「お兄様の妹で……幸せでした!」
 ……策士サイマ獣を盾にしたり、ドロップ暗殺の誘惑にかられたりはあったので、ジルフィーザが器の大きい(災魔的)人格者とされるのには疑問もありますが、敗死の際にコボルダとディーナスが嘆き悲しんでいたのは確かなので、兄妹間に存在していた敬意としては、ギリギリ飲み込める範囲。
 基本、女優さんを綺麗に撮る事にこだわりのある長石監督な事もあってか、アップの多用から散り様も出来る限り綺麗に描かれたディーナスは、自らの生命エネルギーを兄に捧げて消滅し、予告映像で概ね想定されましたが、最初はマトイに掛かっていた「代償」が、最後はディーナスに掛かる、というサブタイトルの使い方は秀逸でした。
 『激走戦隊カーレンジャー』(1996)から続く、顔出し女幹部路線だったディーナス、兄妹の中で一人だけ姿形が大きく違う点について特に物語内での意味づけがされないままの退場となったのは、“幹部の一人”ではなく“兄妹”だけに、少々物足りなかった部分。
 往年の女スパイ路線も加味した頭脳派ポジションとしては、「美しき災魔のワナ」ならぬ「えげつない身内(巽家)のワナ」により、ナガレに仕掛けたハニートラップ作戦の失敗確定状態から兄による雑すぎるネタばらしを食らって精神的に爆散した第7話以降、マンガ補正も全くされず、人間への変装が一瞬でバレるようになったのは早すぎた致命傷となり、変装スキルの低さが惜しまれます。
 後は今作全体の傾向と言えますが、あくまでイニシアティブが巽兄妹サイドに置かれている為、ヒーロー5人の中の誰かと強く因縁を結ぶような事が無く、“頭脳派ポジション”や“妹幹部”といった要素を伸ばしていけなかったのが、悪の敵幹部としての厚み不足に繋がったのは残念でした。
 総合的には、立ち位置は悪くなかったのにポテンシャルを生かし切れなかった印象。
 「ディーナス……俺の美しい、妹よ。…………おのれぇ、ゴーゴーファイブめ!」
 4人がかりで袋だたきにされながらもコボルダは時間稼ぎに奮闘しており、その間に今度こそ完全復活したジルフィーザが怒号とともに立ち上がり……寝てばかりだった弟の事も、少しは思い出してあげてほしい。
 「待ちやがれ!」
 だがそこに先に割り込んできたのは、もはや不死身の男・巽マトイ。
 「俺の兄妹に手を出す奴は、許さん!」
 「貴様……まだ生きていたのか」
 「当たり前だろ。みんなの呼ぶ声が聞こえてな!」
 弟妹4人により、エターナルヒーローに祀り上げられそうになっていたマトイ兄さんですが、もはや本人の方も、ヒーロー概念に融合しつつありました(笑)
 最終回、地球を守る炎のレスキュー魂と一体化したりしそうで、ちょっぴり不安になってきます。
 「貴様が兄妹の声を受けたなら、俺は妹の命をもらい、完全に甦った。ディーナスの弔いの為にも、おまえらは始末する!」
 改めて武器を構えるジルフィーザだが、今度は巨大な地震に腰が砕け……せっかく復活したのに、とことん格好付けさせてもらえないのはサラマンデスの呪いでしょうか(笑)
 「これは……!」
 ベイエリア55では強大なマイナスエネルギー反応が感知され、その正体は、どういうわけか完全なる魔力を得てアップグレードを果たした大魔女グランディーヌ2000。
 ピエールから報告を受けると、こうしてはいられない、と冥王らはくるっと回って城へと戻り、母上様復活のお祝いにカボチャパイを焼かなきゃ!
 「もっと力を……もっと力を……生まれ変わる為の、力を……」
 子供たちを見限って家出の後、奈落の底で全身にマグマを浴びていたグランディーヌは鬼神もかくやという姿に変貌しており、ひたすら怖くて邪悪で、悪夢的なデザインは、良い感じ。
 「大魔女グランディーヌが復活した……地球はどうなるんだ」
 暗雲が地球を覆い尽くそうとする中、巽ブラザーズはベイエリアへの帰還を急ぎ、次回――カチコミ。