東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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年末に新春回

救急戦隊ゴーゴーファイブ』感想・第45話

◆第45話「初夢は災魔の旋律(メロディ)」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:山口亮太
 「おまえ達のような不出来な子供なぞ、もはやあてにはせぬ。どこへなりと失せるがいい!」
 母上様、家出。
 映像的には、天岩戸のようなところに閉じこもっており、ヒステリー起こして奥に引っ込んだ感じですが、上司としては面倒くさいことこの上ありません。
 「……捨てられたの? 私たち」
 「嘆くなディーナス。我ら二人で、地上を恐怖と絶望に染め、母上の愛を取り戻そうぞ」
 がっくりと膝をつくディーナスに対し、背中で語り、振り返って勇気づけるコボルダが急に滅茶苦茶格好いいのですが……そう、これが、逆境の力だ!!
 追い込まれたコボルダが遅まきながら覚醒の気配を見せていた頃、地球は2000年を迎えており、晴れ着姿の子供たちの前に、何故か男声合唱団を引き連れて姿を見せる巽モンド。
 「私が作った、救急戦隊のテーマソングだ。名付けて、救命唱歌
 アップにされる合唱隊の男性は、今作主題歌を歌う石原慎一さんのようですが、3人とも、平然と秘密基地――ベイアエリア55――の方から出てきたのが、気になります(笑)
 いっけんただの合唱隊だが、その正体は首都消防局特殊部隊から派遣された、セキュリティのエキスパートだったりするのでしょうか。
 指揮棒を振って御満悦のモンドに呆れて初詣に向かった兄妹は速瀬先輩と出会うが、そこに新年の挨拶と共にピエールも姿を現し、酒に溺れたまま失踪する事なく、サラマンデスの仇を討つべく憎しみの炎を燃やすピエールが繰り出す、1バク2トラ3ナマズなサイマ獣。
 バクの鼻による吸着攻撃を受けた青緑黄桃は、次々と変身が解けると、空虚な笑顔でその場に座り込み、
 「大きな消防車が、飛んだり跳ねたりしている……あはは……大きい! 99マシンかな? いや違う、違うな。99マシンはもっと、ばぁーって動くもんな!」
 新年早々、お茶の間にはギリギリの映像が流れていた。
 「夢を無くした人間は、生きる気力を失う。腑抜けたゴーゴーファイブを倒すことなど、たやすいこと」
 残るは赤のみ、と指示を出すピエールだが、あいつの夢は汗臭くて不味そう、と好みを出したバク災魔が、市民を避難させていた速瀬を襲ってお腹いっぱいになってしまい、一時撤収。
 ひとまず、弟妹&速瀬と帰宅したマトイだが、再びサイマ獣が出現すると、5人を救う為、自らバイク災魔の体内へと気合いで突入。サイマ獣は吸い込んだ5人の夢を悪夢に変えてマトイを迎え撃ち……マトイの前に現れたのは、頭に根性ハチマキを巻き付け、すっかりゴーレッドのつもりになった速瀬京子。
 夢にまで見たVアタックで砲弾にされた速瀬が宙を舞い、フライングクロスチョップを叩きつけられたマトイが派手に吹き飛ぶと、今度は白バイ警官として爆走するダイモンが、これが! ヒーローの! 通過儀礼どぁぁぁぁっ!!とマトイの拘束された暴走車に体当たりをしかけ……東映ヒーローお馴染みの魔空空間展開に、キャラクターそれぞれの“歪められた夢”を繋げたのは、場面転換のバラエティとして秀逸なアイデア
 バイクアタックを受けたマトイの前に続いて現れたのは、研究に研究を重ね開発したと主張するプロボクサー養成ギブスを外し、グローブを手に真の力を解放したナガレ。
 この場合の、「遂に俺の夢が実現する時が来たんだ」は、「格闘技の名の下に、マトイの顔面に思いきりパンチを叩き込みたい」でしょうか。
 「たーいへん! 頭も悪いし、顔もわるーーい!!」
 続けて転がり込んだ手術室にはスーパードクターマツリが現れ、みんな、日頃の鬱憤が、だいぶ溜まっている様子です。
 巨大ドリルで顔面を改造されかけたマトイは辛うじて脱出すると、今度はショウがライブハウスで熱唱しており、マイクを向けられると、反射的に唄いだすマトイ(笑)
 兄妹それぞれがバンドメンバーに扮して一節ずつ唄うので、マトイだけ唄わないのも……と思ったらしっかり唄うところに目配せががありつつ、順番に唄っていくと、マトイ兄さん、上手い。
 「どんな夢見ようと勝手にだろう」
 「僕たちには僕たちの夢がある!」
 「兄さんに俺達の夢を奪う権利はない!」
 「なんでもお兄ちゃんの言いなりになると思ったら大間違いよ!」
 新春箸休め・コスプレギャグ回かと油断させたらところからゴーゴーファイブ(巽家)の暗黒面が雪崩を打って噴出し――ただし、あくまでも「悪夢」である事が先に言われているので、序盤に設計した今作のコア部分は破壊していない――ギター銃で撃たれたマトイは再び荒野に転がっているところを私服の弟妹から一斉攻撃を受け……相手がショウなので、遠慮無く顔面にパンチ入れた(笑)
 「みんな! やめろって! やめろって!」
 「死ねぇ……マトイにぃ……!」
 殺意のボルテージを上げていく弟妹だが、夢のエネルギーを利用されている為に生命エネルギーが急激に低下していき、ゴーゴーファイブ壊滅の危機(またも有能なピエール(笑))に、夢の中の皆を目覚めさせようとするモンドがひらめキング。
 悪夢の中のマトイは次々と巨大ロボに襲われており、メカ要素もしっかり押さえると共に、マトイが飛んだり跳ねたり転がったりする事でヒーローアクションの部分がぬかりなく補われているのも、行き届いた作り。
 この辺り、次から次へと場面を跳躍させ切り替えていく魔空空間展開のオリジナルである『宇宙刑事ギャバン』、中でもノンストップアクションの傑作回・第15話「幻?影? 魔空都市」(監督:小林義明 脚本:上原正三)を想起させますが、そこに兄妹の夢を絡めることで『ゴーゴーファイブ』ならではの形になっているのが、実に鮮やか。
 また、主な被害者がマトイとなる事により、まあマトイ兄さんなら多少は日頃のしっぺ返しを物理で受けても仕方ない……となり全体的に感じが悪くならない作りも、ここまでの積み重ねが上手く活きました。
 「やめろ……みんな。俺たちの夢は、こんなものじゃ、ない筈だろ! 俺たち5人、ゴーゴーファイブの夢は!」
 抵抗虚しく、弟妹のクーデターにより突きつけられた4つの銃口でマトイの処刑寸前、悪夢の世界に響き渡る――モンドの弾き語り。
 予告では当然のように中心扱いになっていましたが、今回この、「モンドの歌唱シーン」ありきから逆算して作っていったのならば、そこに最低限の必然性を持たせつつ、他の部分を入念に作り込んだ、スタッフの物凄く良い仕事でありました。
 「思い出せ! 俺たちの本当の夢を! 俺たちは、今までなんの為に戦ってきたんだ! 人の命を! みんなの夢を! 守る為じゃなかったのか!」
 人々の平和な生活、街、そして地球全体へ……とカメラが大きくズームアウトして、一つ一つの命の輝きが星の輝きそのものである事を示されると、青い地球がゴーゴーファイブのエンブレムに重ねられる。
 「そうだ……人の命は地球の未来!!」
 「「「「人の……命は……地球の……未来」」」」
 モンドの歌とマトイの言葉に弟妹4人は悪夢から解放され、ゴーゴーファイブが守ろうとする「人の命」とはすなわち「人それぞれの夢」でもある、というのがエピソードのお題と上手く繋がって、吸い取られた夢がバク災魔から吐き出されると、一同復活。
 「夢は自分で掴み取るものなんだ! 災魔に用意された夢なんて! まっぴら御免だぜ!」
 兄妹揃うと英語詞OPに生身バトルでインプを蹴散らし――人の命は地球の未来!
 今作恒例の5分割パターンを活かし、兄妹それぞれ、凜々しい眼差しを強調した素顔のアップで前口上を言わせていくのは実に渡辺監督らしい演出で、大変格好良く決まりました。
 今作ここまでにおけるチーム名乗りでも屈指の格好良さで、最終回どうするの……? となりましたが、渡辺監督はそろそろ『クウガ』に回って離脱になりそうなので、後続へ高いハードルを置き土産にしていった感じでしょうか(笑)
 あと今更ですが、スーツ無しで「出場!」やると、広げて突き出した手が完全に、歌舞伎の見得なのだな、という気付き。
 夢を奪い操るサイマ獣に、兄妹怒りのラッシュが炸裂し、フィニッシュはいつもより残虐にサイマ獣のボディを突き破るビッグVバスター。
 このまま勢いに乗って圧勝……かと思われた巨大戦だが、再生バクが災魔忍法・鼻ちょうちんを膨らませると、メリーゴーラウンドに乗ったディーナスが歌い出す謎の幻覚攻撃が炸裂!
 生身の顔出しキャストとしてディーナスにもちゃんと配慮があるのが素晴らしく、まんまと眩惑される赤青緑黄(笑)
 ……いつもの衣装でカラオケの映像みたいに雰囲気出して下さい、と言われた女優さんの心境は気になりますが、イチョウ並木を人間の姿で歩くディーナスの姿も入り、コスプレシーン各種に続いて、今回なんだか、やたらに手間がかかっていますね! 
 ひとり幻術に引っかからなかったマツリは、幻術を破る為にコックピットで歌い出す事で強引に空間を上書きし…………渡辺監督が、無理矢理、アイドル回をねじ込んできた!!(笑)
 荒川さんもきっと、『クウガ』のプロットを練りながら涙を流して喜んでいるに違いありません。
 『クウガ』打ち合わせの最中にいきなり、「ところでマツリは唄わせないんですか?」と言い出した逸話があったと言われたら、信じます。
 幻影世界における顔出しスーツ姿のマツリの歌唱、そしてディーナスとの幻覚アイドル対決が割と長々と繰り広げられ、場面転換と衣装チェンジを繰り返す手間のかかった映像の数々も、いっけんサービスに見えたモンドの弾き語りシーンも、全ては、ラストに放たれる実質的アイドル回を視聴者に飲み込ませる為の入念な伏線だったのだ! と驚異の心理トリックが煩悩をパワーに変えて炸裂し、渡辺監督はそろそろ『クウガ』に回って離脱になりそうなので、最後に好き放題やっていった香りが濃厚に漂います。
 マツリが幻覚アイドル対決に勝利すると、除夜の鐘で煩悩を清めきれていなかった兄4人も正気を取り戻し、バク災魔はさっくり爆死。
 巽一家+速瀬は一同改めて初詣を行い、夢は出初め式の成功だったマトイに、志が小さい! と弟妹一同がブーイングを浴びせて、つづく。
 予告の映像が速瀬とモンドへのフィーチャーだったので、一体どんな新春大騒ぎ回になるのか……と身構えていたのですが、速瀬の扮装は掴みのネタでさらっと処理すると以後は存在が消え、兄妹のパーソナリティを纏う悪夢により空間移動に説得力と面白みを与えるツイストから、父の支援を挟んだ上で、「人の命は地球の未来」というゴーゴーファイブ』ど真ん中の主題に接続。
 それをきっちり踏み切り板に使った上で、みんないい表情をするようになったな……と思わせる素顔の前口上も大変格好良く決まり、後半ここまでの上位に来る出来でありました。 
 敵味方のレギュラー全般に出来る限りの目配りを行い、道中のアクションも派手で申し分なく、クライマックスバトルまでがテンポ良く濃密だったので、最後にアイドル回に飛躍されるのも笑って許せてしまい、予告で油断させてくるテクニックも含めて、見事な秀逸回。
 次回――なんか物凄い、<レスキューポリス>感。