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魔改造の家

仮面ライダーBLACK』感想・第20話

◆第20話「ライダーの墓場」◆ (監督:小笠原猛 脚本:杉村升/荒木憲一)
 連名の形ですが、東映特撮では後に『ジェットマン』や『ジュウレンジャー』に参加する荒木さんが、8人目の脚本家として初登板。
 失態の一部を黒松になすりつけて処刑はしてみたものの、このままでは遠からず切腹を命じられてしまう、とライダー必殺の秘策を日夜検討していた3神官だが、儂らちょっと、完璧に作りすぎたよね……いやだってそもそも、社長候補の器だったし……とすっかり行き詰まっていた。
 「はははははははは! だいぶ焦っておられるようですな」
 通りすがりのビルゲニアに感じ悪く煽られた3神官は、光太郎の動静をコウモリ怪人に見張らせると、
 「奴の弱点は心の優しさだ」
 と“人間性”に目を付けてアネモネ怪人を送り出し、真っ赤な花の真ん中に人を思わせる顔のついた邪悪なニンフ、とでもいった新路線のデザイン。
 前回のオニザル怪人に続いて、人間の中年女性へと変身してみせたアネモネ怪人は、光太郎が関わった少女ユカリの家族に不動産会社の社長を名乗って近づくと大金を見せつけて家を買い取り、3神官はそこを、ライダーの墓場にするべく劇的ビフォーアフター。
 光太郎を死地に招くべく、まずは少女ユカリを誘い込み、ユカリが光太郎と出会うきっかけとなった人形とは、
 カラクリ仕掛けの日本人形だった
 のが、だいぶ意表を突く飛び道具(笑)
 (おかしい。何かある)
 ゴミに出されてしまった筈の人形の帰還に不審を抱く光太郎だが、警戒する間もなく窓を割って飛び込んできた巨大な蔦に絡め取られ、こういった操演に迫力があるのは、今作の良いところ。
 ユカリは冷蔵庫の中へと吸い込まれていき、匠の遊び心により押し入れから火炎放射を浴びた光太郎は、変身するとバトルホッパーを召喚するが、そのアニキまで捕らえられてしまう大ピンチ。
 「「「仮面ライダー。我らの力を思い知ったか」」」
 三面鏡に三神官の姿が浮かび上がる演出は格好良く、力、すなわち、現ナマ。
 「ゴルゴム」「ゴルゴム」「ゴルゴム
 「これは幻覚だ。幻覚に違いない」
 「キングストーンを返せ」「キングストーンを返せ」
 「「「無駄な事だ仮面ライダー。貴様はここで破滅するのだ」」」
 年度末予算を使い切る勢いでBLACKを攻め立てる神官ズに対し、マルチアイによって幻覚のコアが人形と見切ったBLACKがキングストーンフラッシュ@ベルトぺかぺかを放つと、体を張って人形に化けていたダロムは撤収。
 ところが、幻覚が晴れた直後に駆け込んできたユカリの両親もまた神官ズの変装であり、恐らく3人とも、前回のビルゲニアに激しく対抗意識を燃やしています。
 「甘いぞ光太郎」
 「地獄へ落ちろ!」
 不意を打たれた光太郎は、ユカリとバトルホッパーが囚われた謎の空間へと飛ばされ、檻の中に閉じ込められているホッパーのヒロイン力がぎゅいーーーんと上昇し、ロードセクターに格の差を見せつけようとしています。
 多分、本来の人質であるユカリを巨大アネモネの真ん中に据え付けたアネモネ怪人が光太郎に花粉を浴びせかけると、これまでの戦いは「余興、ほんの余興、我々はまだ本気出してないだけだから、来季の年俸についても話し合いの席が欲しい」と懸命に主張する3神官は、アネモネ怪人を倒してみせろと光太郎を挑発。
 「人間をなんだと思ってんだ!」
 「馬鹿な真似はよせ。貴様が変身すれば、この空間は爆発するぞ」
 「なに?」
 「この空間に溢れているアネモネ怪人の花粉は、貴様がライダーに変身する時、変身ベルトから発する光で引火、大爆発するのです」
 ……え、それ(「変身ベルト」)、ゴルゴム正式名称なの?!
 あまりにも気になる発言でしたが、いただいた情報によりますと、当時の商品名としては「テレビパワー 変身ベルト」であり、BLACKのベルトは設定上も固有名詞が存在せず、「変身ベルト」以外の言いようが無かったようです(笑)
 変身を封じられ、キングストーンと人質の交換を要求される光太郎だが、そもそもパカッと取り外せそうにないので交渉の余地が存在せず(さすがにこれは3神官も、言ってみただけ感はありますが)、生身のままアネモネ怪人との戦いを継続。
 (しっかりしろ光太郎! こんな事で負けていいのか?! 僕が倒れたら誰がゴルゴムと戦うのだ)
 頼みのバトルホッパーも身動きが取れず、追い詰められた光太郎の姿を見た3神官は、今ならいけるのでは、と調子に乗って戦闘に介入するが、世紀王のパッシブスキル《敵に不幸なことが起きる》によって命中判定でファンブルしたダラムの攻撃がアネモネ怪人に直撃すると、吹き飛んだ怪人が光の檻にぶつかって爆発する絵に描いたようなフレンドリーファイアを引き起こし、バトルホッパーとユカリが同時に解放される大惨事。
 ……う、うーん……せめて光太郎が予想外の動きを見せるとか、3神官の攻撃を利用しようと狙って立ち回るとかあればまた違ったのですが、第3話の繰り返しになっているのも含めて、敵がごく単純に狙いを外す、では窮地からの脱出劇としてあまりにも工夫が無く、“3神官が期待に応えて面白い”を遥かに通り越えて、場の緊迫感を粉々に破壊してしまいました。
 さすがにこれは凡ミスで済ませられる場面でもなく、『BLACK』ができる限りキープしてきた作品世界の緊張感を灰燼に返しかねない、大きな判断ミスだったように感じます……例えるならそう、ジュニア・ライダー隊が自転車で通り過ぎていったような気持ち。
 光太郎はホッパーにユカリを脱出させると変身し……爆発、せず。
 トラップの予算不足をハッタリで誤魔化して光太郎を追い詰めていたと思えばそれはそれで面白いのですが、もはやその点について言及のないまま主題歌タイムに入ると、目に痛い空間でBLACKは怒濤の反撃に入り、ライダーパンチ! そしてライダーキック!
 ちなみに今回、配信のサムネイル画像が、アネモネ怪人の飛ばすトゲを両手でキャッチして十字に構える場面で、サムネイルサイズだと、そのトゲが紅く輝く手持ち武器のように見えていて、ビルゲニア復職と神官ズ大攻勢を受けてBLACK遂に素手を卒業?! 光るバチを装備?!
 ……と身構えていたのですが全くそんな事はなく、サムネイルネタバレではありませんでした(笑)
 「おのれライダー! 今一歩のところを……だがこれで勝ったと思うな!」
 神官ズを代表してダロムが捨て台詞を残していくと、ユカリ両親が手に入れたと思い込んでいた屋敷も幻覚でした、と欲をかいてご破算になるタイプの昔話のようなオチが付き、まあ、この両親もなんだかなぁといった描写が続いていましたが、反省して娘に謝罪すると、光太郎がにこやかに
 「もういいじゃないですか。元のうちに戻ればいいんですから」
 で、済むの?!
 登記とかどうなっているのか大変不安ですが、家屋敷の購入とか社会権力でどうにかできるのがウリだった筈のゴルゴムが幻術でオチを付け、欲に溺れてゴルゴムに踊らされる一般市民の顛末をだいぶマイルド路線に描いたら、キレが無いのにコクも無い、「社会派路線」という名の炭酸が抜けきったのったりとした味わいになってしまいました……。
 ビルゲニアの連戦を避け、3神官主導の作戦にした点は良かったのですが、予告で盛り上げたほど3神官が切羽詰まっているわけでもない上で、とにかく窮地からヒーロー逆転の理由が、敵幹部の命中判定失敗、はあまりにも雑で、パッとしない出来。
 脚本・演出に次々と新顔が加わる為、「怪人が人間に姿を変えて事前工作を行う」「ゴルゴムに利用された市民について、マイルド路線で教訓めいたオチを付ける」といった手法が、全体の路線修正に繋がるのか、今回限りに終わるのか、現時点ではなんともいえませんが、特に怪人の使い方はだいぶ異色となったので、今後の方向性が気にかかるところです。
 次回――「実家に帰らせていただきます!」
 家出・別居・そして、浮気?!
 かつてない危機が光太郎を襲う! あの爆音は再び響くのか?! 愛を取り戻せ、仮面ライダーBLACK!!