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本当の年末はこれからだ!

救急戦隊ゴーゴーファイブ』感想・第41-42話

◆第41話「マトイが負けた男」◆ (監督:諸田敏 脚本:小林靖子
 ニューヨークから届いた一枚のエアメールの送り主……それは、マトイに輪を掛けて体育会系コミュニケーションが背脂マシマシなマトイの先輩にして、現在はニューヨーク消防に所属する男――工藤雄二(演じるのは、モンド役:マイク眞木の実子である真木蔵人)。
 「工藤さん、あの……兄とは、いつもああいう事を?」
 「うん。あいつがね、何かと絡んでくるんだよ。新人ん時に俺に助けられたのが、よっぽど気にいんねぇんだろうな」
 「助けられた? 兄がですか?」
 かつては同じ職場に居て工藤の実力や噂を知っているナガレが、終始かしこまっているのは、いい味(笑)
 工藤とのカップラーメン大食い対決に敗れた上、かつて現場で腰を抜かした恥ずかしい過去を暴露されたマトイが床で歯ぎしりをしていると、そこに顔を出したモンド、リビングに知らない人が居るのを見た途端、物凄く挙動不審に(笑)
 傍若無人で歯に衣着せない工藤から、「子供を放り出して蒸発していた遊び人」扱いを受けたモンドは心臓にクリティカルダメージを受け……うーん…………個人的にちょっと苦手なタイプの人物像かつ、VIP扱いのゲストのアフレコが(先日の探偵ほどの大惨事ではないものの)いまいち微妙、で個人的には終始ノリにくいエピソードでありました。
 傲慢な自信家なようで人一倍の努力家でもあるとか、物言いは雑だが後輩への目配りはあるとか、マツリに対して感じ悪い態度は取らないとか、一線をきっちりと引いて好感度を下げない描写をされてはいるのですが、言ってしまえばステレオタイプど真ん中ではあり、サブタイトルに冠した「マトイが負けた男」としては、正直、面白みの弱いキャラ造型。
 工藤とマトイの関係性はあくまでも“レスキューの先輩後輩”であり、そこに焦点を絞ったのは今作らしいアプローチとはいえるものの、『救急戦隊ゴーゴーファイブ』をここまで見てきた側からすれば、巽マトイはなにより“数々の逆境を覆してきたヒーロー”なわけで、好みの問題にはなりますが、40話台まで来てマトイの前に壁を立てるのならば、レスキュー隊員として有能なのは勿論、何故かヒーロー属性も持っている、ぐらいぶっ飛んでも良かったなのではないかな、と。
 後、いきなり大食い対決の画でげんなりしてしまったのですが、どうも、今作と諸田監督には相性の悪さを感じ、演出全般への不信感が先に立ってしまったところもあります(脚本ベースかもしれませんが、冒頭における、食事の準備を手伝おうとしないマトイ、は巽家ルールに反している感じもある、不必要な下げ方だったりとか)。
 河童……じゃなかった、熊手サイマ獣ガバラを一度は撃退するゴーゴーファイブだが、死んだふり戦法で池に潜んでいた河童は、断層へと槍を突き立て地震を引き起こす事に成功。
 コンバットチャレンジで対決していたマトイと工藤は、巻き込まれた登山者を救助しようとするが、マトイと少年が崖から滑落してしまい……途中で生えていた木の枝に必死に捕まる画も、合成が丸出しすぎて、あまり効果的なスペクタクルにならず。
 レスキュー隊員としては上には上が居て、まだまだマトイも成長途上! というのはリアルではありますが、最終的に工藤に救助されるマトイの姿を見せられても、あまり面白くも嬉しくもないのが正直なところで、VIPゲストの見せ場の為にレギュラーヒーローが格下げされる、一番悪いパターンの先輩ヒーロー客演回みたいになってしまいました。
 一応、工藤の態度も来日の目的も、マトイを認めているからこそ、とされるのですが、根本的に“マトイが越えたい男”としての工藤にあまり魅力を感じられず、“そんな工藤に認められているマトイ”の株価にフォローが入った感じもあまりせず。
 一方、残り4人は池の中に潜む河童に気付き、そういえば、初めての水中活動。
 俺は青いから大丈夫な筈! と池に飛び込んだゴーブルーは、河童に大苦戦しつつもなんとか槍を引き抜くと大地震を阻止し、マトイも合流して人の命は地球の未来!
 戦闘中に工藤が手を出すも、インプに追われてモンドと一緒に死にかける場面がコミカルに挿入され、実子がゲスト出演という事でかモンドが野外ロケに参加するなど出番大増量なのですが……一度は、重要なターニングポイントで描かれたモンドの生死の危機を、ドタバタ騒ぎの渦中に取り込むのもどうも筋がよろしくなく、眞木親子共演というメタ要素で羽目を外しすぎた印象となりました。
 マトイの引き抜きを保留した工藤はニューヨークへと戻っていき、その背に敬礼を送るマトイの姿で、つづく。
 親子共演の話題性だったり特別感ありきといった作りに加え、急なトラブルでもあって『タイムレンジャー』立ち上げ中と思われる小林靖子に慌てて書いてもらったのだろうか、みたいな出来で、終盤のマトイ回としては不満の大きい内容。
 特に今作における小林脚本は、ゴーゴーファイブを素材に「ヒーローとは」を書き続けてきたので、そこからズレてしまったのも残念だったのですが、その観点では、工藤を“若きマトイにとってのヒーロー”と位置づける狙いはあったのかもしれません。
 とはいえ、それを効果的に見せるにはマトイと工藤の年格好が近すぎて上手く行かず、またそこから、フィクションのヒーローへのフィードバックが無いので、ただ“マトイの目標”を描いただけで終わってしまい、マトイにとっての“現実のヒーロー”が居るなら居るで、それを足がかりに“フィクションのヒーロー”へと飛躍させないと、『ゴーゴーファイブ』である意味が薄いのではないか、と思うエピソードでありました。
 もういっそこれなら、家長の権威を木っ葉微塵にされ濡れ雑巾で集めて路地裏に捨てられたマトイが家出を敢行し、巽ブラザーズ家出ミッションCompleteが見たかったです(笑)
 次回――聖夜に地獄の蓋が開く?!

◆第42話「地獄の災魔獣軍団」◆ (監督:諸田敏 脚本:武上純希
 「もはや母上の信頼を取り戻すのに手段を選んではいられない!」
 若頭の座から転落し、すっかり落ちぶれたサラマンデスが遂に家出……ではなく、幽魔地獄に繋がる扉を開く一方、ケーキを準備し、クリスマスツリーの飾り付けが行われる巽家の居間に顔を出すモンド。
 「おお、クリスマスかー。いやぁ、ベイエリア55に居るとな、季節感が無くってな。すっかり忘れとっ」
 「……違うよオヤジ!」
 兄妹一同、険しい視線でモンドを見つめ、楽しげな日常BGMも途切れて、久方ぶりに流れる、とっても気まずい空気が開幕のパンチとして大変良かったです(笑)
 ここまでどうも、諸田監督と今作の相性を悪く感じていたのですが、今回はこの、無神経な失言をしてしまうモンドと、それに対する兄妹それぞれの反応・間合いが良くて、始まって二つ三つぐらいのシーンの間に、歯車がカチッと合う感じがあるかどうかは重要だな、と。
 「……ホントに忘れちゃったの?」
 ダイモンが取り出したケーキに乗せられたメッセージは、母の誕生日を祝うもので、モンド、超気まずい。
 「クリスマスイブは、母さんの誕生日よ」
 笑いごとな場面ではないのですが、モンドの、ワシまたやらかした、超気まずい……な表情がどうしても笑いを誘い、家族の問題をギスギスさせすぎないクッションとして、マイク眞木さんの纏う雰囲気はいいキャスティングになったな、と改めて。
 勿論、家族間にもっと緊張感を孕ませたり、モンドの極道ぶりを面白さ(?)として見せる選択肢もあったとは思いますが、中盤以降は明らかにマイルド路線に舵を切った事もあり、感じ悪くならない範囲の気まずい、に収めるのは全体の案配として良い判断だったかなと。
 ――8年前。
 行方のわかった巽モンドの元へ向かう、と告げて旅立ったまま、母・律子は帰宅せず……長らくハッキリさせずに来た兄妹の母親は、乗っていた筈の旅客機が消息不明になった報道を最後に生死不明になっていた事が判明。
 これにより、理屈をどうつけるのかはともかく、生存・再会フラグが立ったのと同時に、父失踪の2年後には母が消息不明となり、16歳にして家族を背負って立つ事になったマトイのハードモードぶりが裏打ちされる事にもなり、それは時に家長の横暴を剥き出しにする面はあっても、弟妹4人は土壇場ではマトイを信じ頼るし、マトイがこれまで背負ってきたものを少なからず理解した態度になる、という点の説得力も念押しで補強。
 その一方で、定期的にマトイの人間としての問題点(ただしそれを、家庭環境に起因させる言動は取らない)と、それに対する弟妹の反発を描いて、弟妹4人をマトイ信者にする事なく、マトイを巽レスキューカルトの教祖に祭り上げなかったのは、物語面における今作の、大きな長所となりました。
 家族の愛は重視しているし、根っこのところで兄妹とモンドが繋がっている事は描きつつ、ネガとしての災魔一家の描写も含めて、「家族」を過剰に美化しすぎない、のは今作の良いバランス感覚で、後年まま見られる、とにかく主人公ポジションの行動を正当化して持ち上げる作劇を回避する事にも繋がっていて、見やすいところ。
 「だけどオヤジ! 俺達は……」
 母の帰宅に一縷の望みを持って、毎年クリスマスイブに母の誕生日を祝い続けていた兄妹だが、タイミング悪くというか良くというか、街に幽魔地獄の衛兵サイマ獣カオスが出現。
 「みんな! さっさと片付けて、母さんの誕生日の準備しようぜ!」
 序盤との帳尻合わせもあるのでしょうが、ここしばらく台詞が露骨にナガレに回されがちだったので、今回は要所の台詞がショウに回されるのには目配りが感じられ、人の命は地球の未来!
 だが、先制のVマシンガンを放ったゴーゴーファイブはカオスの力により幽魔地獄に引きずり込まれてしまい、科学の力で観測不能なオカルトな荒野で待ち受けるサラマンデス。
 「おまえ達がどこへ来たか教えてやろう。ここは第13倉庫。社内政治に敗れた災魔たちの無念が集う島流し部署」
 じゃなかった
 「ここは幽魔地獄。倒れた災魔の無念が集う死の世界。おまえ達の最後に、ふさわしい場所だ」
 巽家では焦れるモンドの手前に机上のケーキが印象的に入り込むと、子供たちの希望の籠もった「母さん おかえりなさい」のメッセージカードを目に留めるモンド。
 「母さん……あの子たちを、守ってやってくれ」
 一方、幽魔地獄では、幽魔災魔――すなわち再生サイマ獣軍団が大挙出現し、十数体を一挙投入する事で、なりふり構わぬサラマンデスの作戦に画として説得力が出たのは大変良かったところ。
 ビッグVバスターで荒野にド派手な大爆発を引き起こすゴーゴーファイブだが、霊体のサイマ獣は幾らでも復活し、「今日は地球はクリスマスイブだ。死者の魂が甦る日」と、大教授が言ったとか言わないとか。
 恨みの念で動き、生者の肉体を求める幽魔サイマ獣軍団に囲まれて絶体絶命の危機に陥るゴーゴーファイブだが、カオスが手にしている杖が幽魔を制御していると青が気付くとそれをあっさり狙撃で破壊し、
 「カオス、どうした?!」
 絶体絶命の危機に陥るサラマンデス(笑)
 あそこに偉そうな奴が居るぞ……日常的にパワハラを繰り返していそうな奴が居るぞ……と、幽魔サイマ獣の矛先はあっという間にサラマンデスとカオスにも向けられ、今、誕生以来、最高に輝いているよサラマンデス!
 やはり、アップダウンの振り幅は、悪役に重要な栄養素です。
 慌てて鍵を取り出したサラマンデスは幽魔地獄を脱出しようとするが、突然の落雷(笑)で鍵と扉を破壊され、丁度良いからゴーゴーファイブと心中してみせろ、と非情の戦力外通告
 「カオス、なんとかしろ!」
 「もはや、私の手には負えません!」
 「この私が捨て石にされるとは……!」
 サラマンデスは幽魔サイマ獣の怨念ビームを受けて膝を付き、栄光から没落へと直滑降で廃棄物置き場に滑り落ちていき、必要だったのはやはり、お祓い。
 「こうなったのも……全てゴーゴーファイブのせいだ!」
 サラマンデスが逆恨みを強火でこんがり燃やす一方、サイマ獣に追われながら洞穴へ逃げ込んだゴーゴーファイブは、分かれ道の一方から、8年前に母に渡したお守りのベルの音、そして母の声を聞き……
 「みんな……みんな……こっちよ……」
 「その声は……母さん?!」
 ……それはむしろ、そっちに行っては駄目なのでは? という気もしつつ、母の声のする方向へと進んだ5人は、幽魔地獄と現世を結ぶ鏡へと導かれると、大脱出。
 ところが、3体の幽魔サイマ獣も5人を追って現世へと抜け出してしまい、恨みの念で動く霊体だった筈の幽魔サイマ獣が、現世に飛び出した途端に肉体を得てゴレムサイマ獣扱いになってしまうのは、グランドライナーを使いたい都合ありきに過ぎて強引になりましたが、久々の線路発射からの連結合体は格好良く、グランドストームで2体を撃破。
 残る1体は「剣には剣」のこれまた謎の理屈でVロボを繰り出すも苦戦すると、ライナーボーイの援護攻撃からMVロボでマックスノヴァし、vs無限連鎖における巨大ロボ総ざらえの見せ方が鮮やかだっただけに、見せたい画はわかるものの、一通りのロボを出そうとする理由付けに無理が出たのは、ちょっと勿体ないところでありました。
 「母上様……やはり、恐ろしい御方」
 「あんなに可愛がっていたサラマンデスを、ゴーゴーファイブを倒す為とはいえ、見限るとは……」
 災魔一家では、大魔女グランディーヌのあまりに容赦のないリストラを目の当たりにしたコボルダとディーナスが、アイツちょっと調子に乗ってたけどここまでされるとな……と真顔になって目線を交わし、己の不手際が遠因とはいえ、結果として幽魔地獄に幽閉される自滅を演じたサラマンデスは、屈辱と怒りにまみれていた。
 「おのれ……! ゴーゴーファイブ! このまま幽魔地獄で朽ち果てはせん!」
 ここで、その怒りが自分を切り捨てたグランディーヌに向かない、のは実に災魔一家らしいですが、力強い転落により、ようやくサラマンデスに風味が出てきたのは好材料で、ここからの奮起に期待したいです。
 絶体絶命の窮地を乗り越えた巽ブラザーズだが、果たしてあれは本当に母の声だったのか……幽魔地獄において、こんな地獄に母さんが居るはずがない! と叫ぶダイモンと、ここから母さんを助けなければ! と戻ろうとするマツリの反応差が描かれるなど、兄妹それぞれの描き分けに目配りがあったのは、脚本・演出ともに良い仕事でした。
 今回限りでは割とざっくりした“奇跡”になった部分はあるので、ここからどう落とし前を付けるかがスタッフ腕の見せ所となりますが、ようやく、今作の諸田演出回で面白いものが見られて、良かったです。
 「父さんが待ってる。帰ろう」
 兄妹は母との再会を信じ、戦闘前の一件が尾を引いて、あの外道親父とは今度こそ絶縁じゃぁぁぁ!! とならずに締めるのも、ホッとするオチでした(笑)
 待ってると、思ってもらえて父さん感涙。
 次回――あれ?! まだクリスマス?!
 と驚いたのですが、今回の放映が12/12という随分と早いクリスマスイブだったようで、〔無限連鎖 → 基地爆破 → クリスマス決戦〕と、実に2ヶ月ほど年末決戦みたいな事をしている、シリーズでも割と珍しい組み立てだった模様。
 てっきりしばらくフェードアウトするのかと思ったサラマンデスも早々に戻ってくるようで、これは果たして、初日の出を拝む事ができるのか?!
 如何にも最初に退場しそうだったコボルダが、いつまで経っても退場しない内に、もはや退場させるほどの権威も存在感も無くなりつつありますが、災魔サイドもそろそろ最終章へ向けて激震がありそうで、どう転がしてくるのか楽しみです。