『仮面ライダーBLACK』感想・第18話
◆第18話「剣聖ビルゲニア!!」◆ (監督:小西通雄 脚本:山田隆司)
創世王のお叱り電波を受けて切腹の窮地に立たされた3神官は、BLACK抹殺の刺客として送り出してきた怪人たちに責任転嫁し、
「奴に倒された怪人たちは、動物の本性を前面に出しすぎて、冷静さを欠き、我々が与えた作戦を、無視したからでございます」
これまでのゴルゴム怪人に知性を感じにくかったのはつまり、改造手術の不備であったと補強。
ゴルゴムにおける「怪人」の位置づけに対して、あまりにも描写が「怪物」に過ぎる点についてスタッフ間でも問題意識があったのかと思われますが(映像・演出上の狙いとしては、想定通りなのでしょうが)、怒りの収まらぬ創世王は、ビルゲニアの封印を解け、と命じ、渋々ながらもそれに従う3神官。
なお、創世王様は、フラッシュの明滅と聞き取れない言葉のようなもの、お叱り電波にジタバタする3神官のリアクションのみで存在を表現され、“見ることができない”し“人間には発音も聞き取りも不可能な言葉を用いる”のは、ある種の“神”らしくはあるのですが、存在感を出すには限界を感じる表現で、適当なところでなんらかのシンボルは欲しいところ。
……多分、3神官が恐れおののき藻掻き苦しんでいても、まあ3神官だし特に珍しくないな……で済んでしまい、創世王の格が担保されないのが、問題点。
(できれば……この部屋には足を踏み込みたくなかった)
物凄く嫌そうな3神官だが、ここまでの実績が実績だけに首領命令には逆らえず、社史編纂資料室の封印を解かれ、漆黒の棺桶の中から甦ったのは、パールピンクの鎧兜と、真紅のマントに身を包んだ戦士――剣聖ビルゲニア!!
サブタイトルと共に流れ出すバロック調のメロディが格好良く、起き抜けのビルゲニアは、無言のまま棺桶をぶった切るパフォーマンスを披露。
「――妖剣も錆び付いてはおりませんな」
その手に握る剣と盾には巨大な蛇と赤い実の紋章が刻み込まれ、兜の下は派手な化粧も髭もなくほぼ素顔そのまま(眉毛だけ鋭角に加工)、どこか古生物を思わせる鎧はパールピンクを基調に塗られ、《仮面ライダー》のみならず他シリーズと比べても、だいぶ珍しい印象のデザイン。
「3万年もこんな狭いところに閉じ込められていたので、体がなまってしまいましたよ、大神官様」
和気藹々というか馴れ合いが、数千数万年単位で続いていそうな3神官に対してどういう路線で来るのか思われた新顔は、慇懃無礼で厭味ったらしく、これは確かに、3神官と相性悪そう(笑)
書類の期限に2日遅れで提出したが最後、500年ぐらい、ネチネチネチネチ言ってきそうです。
3神官への敬意も忠誠心も無さそうだが、命令には従うビルゲニアは、出来る男は寝起きがいいと早速BLACK抹殺の為に活動を開始。
杏子と克美が大エジプト展で熱心に鑑賞してきた「王の剣と盾」が、ゴルゴムと繋がる大宮コンツェルンから寄贈されたものであり、そこに刻まれた蛇とリンゴの意匠がBLACKの胸のマークと似ている――ゴルゴムの社章のモチーフである――事に光太郎が気付くのは、女性陣の存在も活かした面白い流れ。
その剣と盾こそ、BLACKをおびき寄せる為にビルゲニアが用意した餌であり……光太郎が来る前に、警備員に見とがめられた(笑)
個人的に間合いの外し方として大変ツボだったのですが、哀れ警備員がクロネコ怪人の犠牲になると、博物館へ不法侵入した光太郎もまたクロネコ怪人に襲撃され、今回の怪人はあくまでビルゲニアの前座という事もあってか、ストレートにヒョウ怪人と似た見せ方。
ジャンピング変身したBLACKは、ライダーセンサーによる心眼を発動してクロネコ怪人の邪眼を封じると、目つぶしチョップからライダーパンチを叩き込むが、背後から飛んできた剣が怪人を貫いてトドメをかっさらい、姿を現すパールピンク。
「おまえは誰だ?!」
「貴様を抹殺する為に、地獄より遣わされた、ゴルゴムの剣聖ビルゲニアだ」
兜の下の髪の毛は、オールバックでぴっちぴちに固めているのかちょっと気になってくるビルゲニアは、BLACKに迫って剣を振るい、掟破りのシールド投擲で、宙に飛んだBLACKを撃墜。
地面に落ちたBLACKめがけて、追撃のビルセイバー・ダークストームを放ち、技名のセンスは、「ダイナ剣、夢の翼! ゴールデンスパーク!」と通ずるものを感じます。
道具を使う知能を持った突然の強敵出現! にホッパーを召喚したBLACKは一目散に逃走し、BLACKの場合、苦戦そのものはあまり珍しくないのですが、負傷したまま喫茶店に戻る事で、かつてない苦戦と恐るべき敵をアピール。
クロネコ怪人を情報収集の為の捨て駒に使ったビルゲニアは、全く悪びれずに神官ズからの抗議をいなすと、日食の日に生まれたのが3万年早すぎた為に、“世紀王候補になれなかった男”というBLACKとの浅からぬ因縁が判明し、人間感覚ではまるで惜しくありませんが、ゴルゴム感覚では誤差の範疇なのかもしれません。
「無闇に戦いを仕掛けても、奴には勝てません。頭を使わないとねぇ」
御託はいいからさっさとBLACKを倒せとせっつかれたビルゲニアは、つい先程まで「いつでも消せます」とか「あの程度の力」とか言っていた割には、「無闇な戦いでは勝てない」と言い出し、ただの厭味なのか、石橋を叩いて渡る性格なのか、なんにせよ、3神官との間に互いに遺恨がありそうなのはゴルゴムの体制にしっかりとスパイスを加えてきました。
3万年ぶりに出社してみれば、大丈夫なんですかゴルゴム? と厭味を繰り返すビルゲニアは、神官ビームを盾で軽々と跳ね返すとBLACK抹殺の為に再び出撃し、妖刀に操られて公園で暴れる青年役は、岡元次郎さん(BLACKのスーツアクター)?
(奴は今まで戦ってきたゴルゴムの怪人とは全然違う。あの氷のような冷たい眼差しと、凄まじい殺気)
テコ入れ幹部を手堅く持ち上げる光太郎は、一般市民を巻き込むまいとバイクを郊外に走らせるがビルゲニアの強襲を受け、森の中に並ぶ墓碑を景気良く破壊する剣聖はダークストーム!
続けて、ゴルゴム忍法・分身の術でBLACKを取り囲むと、マントを投げつけて剣聖ビルゲゾーンに引きずり込み、その忍法はマルチアイさえ無効化。
「トドメだぁ!」
凄まじい斬撃に襲われるBLACKだが、急にベルトをピカピカさせると目くらましで幻術を打ち破り……キングストーンの力、という事なのでしょうが、ここまで強敵相手の殺陣で盛り上がりを作ろうとしてきたのに、先日の縞々と同じような、唐突な“仮面ライダーBLACKの秘密”で切り抜けてしまったのは残念。
主題歌ブーストを背に反撃のライダーキックを放つBLACKだがゴルゴムシールドに受け止められ、
(奴は不死身なのか?)
と戦慄するのですが、シールドに当てたら本体が消滅したら、それはそれでビックリです。
互いにジリジリと間合いを測りながら、生死を賭けた一撃が交錯しようとしたその時――突然の落雷がビルゲニアの振り上げた剣に直撃!
「仮面ライダーよ! 今回はほんの挨拶代わりだ! 次に会った時は必ず貴様を倒すから、首を洗って待っていろ」
……目映い閃光の中でビルゲニアは姿を消し、3万年眠っていた為か、捨て台詞のセンスがだいぶ古い剣聖であった。
「落雷に打たれても生きているとは、なんという奴だ」
戦いが水入りに終わるとBLACKはビルゲニアの生命力を持ち上げ……てっきり、創世王のなんらかの意図による介入か、3神官による嫌がらせかと思ったら、それ以上の言及は全く無いので、ただの、自然現象だったの……?!
まあ、《敵に不幸なことが起きる》みたいな世紀王のパッシブスキル覚醒の可能性もありますが、本当に自然現象だったのだとしたら、雨中の死闘、ぐらいの前振りは欲しかったところです(ビルゲニアの装備、濡らすと動けなかった可能性もありそうですが……)。
マリン喫茶に戻った光太郎は、努めて陽気な表情で、杏子と克美から改めて傷の手当てを受け……
「光太郎さん、仮面ライダーと友達なら、伝えて。……ゴルゴムと戦うのはいいけど、命だけは大切にして、って」
「……杏子ちゃん。君は……」
真顔になる光太郎に対して杏子は笑顔で包帯を叩いて話を打ち切り、“秘密のヒーロー”にありがちな、誤魔化しの無理や、近しい関係者との距離感があやふやになったり、話の展開に強引なねじれが出たりといった問題に対して、杏子も克美も、光太郎=仮面ライダーBLACKである事にほぼ確信を得たが(光太郎の「仮面ライダーは友達」発言も大概でしたし……)、光太郎の意志を尊重して追及はしない、のは女性サイドの気遣いや強さも見せられる、上手い落としどころとなりました。
黙ってはいるがわかってはいる事を伝える際の杏子の表情も素晴らしく、ゴルゴム側の戦力増強に合わせて、ヒーロー側の人間関係に内面的な変化を与える、転機としてのタイミングも良い綺麗なオチでした。
そんなわけで、大丈夫じゃないゴルゴムに参戦した新戦力は、怪人との差別化もあってか「よく喋る(自称)頭脳派の剣士」となり、現時点ではまだなんとも言い難いですが、両陣営に波乱を巻き起こしていくのを期待したいところです。
目指せ! 大丈夫なゴルゴム!!
……なお個人的に、「ビル……」まで行くと、どうしても「ビルゴルディ」を脳が予測召喚してしまい、名前を覚えづらい(笑)
次回――黒松崖っぷち!
「剣聖ビルゲニアと、オニザル怪人の死の罠が、黒き英雄の伝説に、最大の危機をもたらす。負けるなライダー! 帰らぬ友の為に、邪悪の剣をはね除けるんだ!」
の格好いいナレーションから、耳に入ってきたサブタイトルが「いきづまるじごくのわな」でどうしようかと思いましたが、「行き詰まる」ではなく、「息づまる」でした。良かった! ゴルゴムにはまだ、未来への道があったんだ!!
……それにしても、悪魔博士とか大博士とか、何故、ナレーションさんは黒松博士を盛りたがるのか(笑)