『仮面ライダーBLACK』感想・第17話
◆第17話「杏子の不思議な夢」◆ (監督:蔦林淳望 脚本:鷺山京子)
久方ぶりに、バブルの中で体育座りする信彦、もといシャドームーンの繭が登場するが、その異変に3神官は大騒ぎ。
「苦しんでおられる……」
「いかん! シャドームンの生命力が弱っている」
「シャドームーンは、我らに残された、唯一の世紀王。なんとしても助けなければ」
怪人の食糧管理も出来ないのに、世紀王のまともな体調管理など出来るわけもなく、「大丈夫かゴルゴム」を通り越して「大丈夫じゃないゴルゴム」がすっかり板に付いてきましたが、なにぶん、人類史の闇に数万年単位で潜んできた巨大な秘密結社だった筈なので、看板倒れのダメージが天井知らず。
……今時の流行り風に表現するならば、「無能はいらない、と総務のアイツを解雇したら、伝統ある暗黒結社は崩壊寸前です」みたいな状況なのかもしれませんもしかして(そして、ゴルゴム元総務課員が異世界で無双しているのかも…………ゴールドプラチナム……?)。
シャドームーンに新たな活力をもたらす為にタウリンエキスを求めてマグロを……じゃなかった、新たな生命エネルギーを注ぎ込む為に肉親である杏子を狙ってバク怪人が放たれ、深夜の街角で、杏子の夢探しを行う神官バラオムと怪人の姿が、だいぶシュール。
「フフフフ。夢さえ手に入れてしまえばこちらのもの。ははははははは……!」
光太郎に感づかれたバラオムは、杏子の夢を確保すると無駄な抵抗はせずにすたこら逃走。
バク怪人の夢操作により、ドリーム信彦の助けを求める声で杏子を罠へと引きずり込もうとし……それ、先に、光太郎が来るのでは(笑)
だが、悪夢にうなされる杏子の話を聞いた光太郎は、杏子を止めようとするも《説得》判定に失敗。
普段、ゴルゴムの名前を隠しているわけでもなんでもない光太郎が、今回に限ってゴルゴムのゴの字も出さずに「ただの夢」で押し切ろうとするのは違和感が強くなって無理の出たところで、兄との思い出の湖――宅地造成によって埋め立てられていた!――に向かった杏子は、地底のアジトへと引きずり込まれると、バク怪人の夢操作能力により肉体から生命エネルギーを引き出されてしまうが……
「秋月杏子は、自ら進んでこなければならん。我が身を犠牲にして、兄を助けようという気持ちがあってこそ、初めてその命のエネルギーを、シャドームーンに注ぎ込む事ができるのだ」
オカルトなので、面倒くさいルールがありました!
杏子は、助けを求めるドリーム信彦の声に導かれるように悪夢の中を進んでいき、今回のバク怪人は以前のヤギ怪人のように、ギリギリ人語に聞き取れない呪文のような声を発するのですが、ドリーム信彦の箇所は自ら熱演し、ドリーム信彦のもっさりセーター(折角の新規映像だったのに!)の縞模様は、バクのイメージなのでしょーか。
光太郎が杏子を探し回る中、とうとう3神官の元に辿り着いてしまった杏子は、虚ろな表情で体育座りする信彦とご対面。
3神官に促されるままに杏子の生命エネルギーがシャドームーンへと奪われていく一方、杏子の本体を発見した光太郎はバク怪人と激突し、なにぶんレギュラーメンバーの生死がかかっているので、タイムリミットサスペンスはしっかりと機能。
杏子も、若干ながらヒロインゲージを上昇させますが、遥か先を走っているのはバトルホッパーのアニキと秋月信彦です。
相変わらず中距離戦に弱いBLACK(3神官は、飛び道具が出せて本当に良かった……)はバク怪人の鼻からバルカンに苦しむが、前転から口の中にパンチを叩き込むと、バク怪人の頭が火を噴いた!
映像の勢いが凄く面白かったのですが、よくよく見るとパンチを叩き込まれたバク怪人の両頬の部分が赤く膨らんでいっており(良く出来たギミック)、拳銃の銃口に詰め物をしたら暴発した、みたいなニュアンスでしょうか。
その詰め物が自らの拳、というのは世紀王アクションとして面白かったです(笑)
口内が大火傷で苦しむ怪人は、渾身のライダーパンチ、そしてキックを叩き込まれて消滅。
杏子の生命エネルギーは途中で肉体に戻ってしまい、肝心のバク怪人に護衛を付けておかなかったのが、今回のゴルゴムの失策でありました。……払う給料(食糧)が無いので仕方ありません。
光太郎によって救出された杏子は事の顛末を全く覚えておらず、シャドームーンに吸い取られた分、ちょっぴり寿命が減っている、かもしれなかった。
ナレーション「時は流れ、街の景色は変わっても、そこに生きる人々の心は変わらない」
思い出の湖が消えていた、のがどういう意図か不可解だったのですが(ロケーションはどうにでもなるわけで……)、最後にナレーションさんによって拾われ、とはいえ、今回のエピソードの主題だったわけでもなく、やはり不可解ではありますが、杏子を慰め、信彦奪還へ更なる闘志を燃やす光太郎の表情は非常に格好良く、南光太郎がヒーローとして引き締まってきたのは、作品にとって大きなプラスを感じます。
次回――大丈夫じゃないゴルゴムに新幹部テコ入れ!
ナレーション「立ち向かえ、光太郎! 負けていいのか、邪悪の剣に!」
今作予告のこの熱血エール路線は気に入っておりますが、 歴代の東映ヒーロー作品で彷彿とさせるのはやはり、
「マリ、傷を癒やす暇はない。シャドウと非情の戦いは、一段と激しくなるのだ。立てマリ、進めマリ、希望の光が、おまえを励ましているのだ」
……『キカイダー01』でしょうか(笑)
ちなみに、主人公であるイチローに対しては、このぐらいのトーン。
「――イチローゆけ。シャドウとの総力戦に体当たりするのだ。たとえ五体が無惨に散ろうとも、それは人造人間の宿命だ。進めイチロー、シャドウを倒すのは、おまえだ」
『キカイダー01』の劇中ナレーション(岡部政明さん)は、とにかく名調子かつ、本編への介入度合いの激しさが面白くて、今でもお気に入り。