『救急戦隊ゴーゴーファイブ』感想・第39話
◆第39話「無限連鎖を断て!」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:山口亮太)
無限連鎖カードがゴーゴーファイブの攻撃の大半を学習すると、勝利を確実なものにしようとするサラマンデスは龍族の戦士リザーデスを召喚し、そこにかかる格好いいサブタイトル。
「無限連鎖かなんか知らねぇけどな、気合いで乗り切ればいいんだよ、気合いで!」
巽家ではナガレが無限連鎖カードの学習成果を上回る新兵器を作り出そうと頭をひねる中、思考放棄したマトイが、とても駄目なルートに入っていた。
そこにサイマ獣の出現がキャッチされると、いきなり高いところから銃撃を浴びせるゴーゴーファイブだが、無効化、更に反射され転落。
とにかく手当たり次第に攻撃してみるも通用せず、ビッグVバスターさえ完璧に跳ね返されると、高い所に現れ返して優劣の逆転を示し、嘲笑に加わるのは慢心サラマンデス。
「ふふふふ……どうしたゴーゴーファイブ? 手も足も出ないか?」
気合いがあれば、分析を越えられる筈、と竹槍ならぬVランサー構えて単身特攻する赤、わざわざ黒バックで放たれたサイマ獣の必殺剣がかすりもしないので、気合いは気合いで、効果を発揮しているのかもしれません(笑)
まあ、無限連鎖カードが一度覚えた技を無効化する現象は、ゴーゴーファイブが「分析」と理解しているのに対して、実態は恐らく「呪術」の類なので、今この場に一瞬展開していたのは、精神世界の戦い。
……うん、然るべきマスターの元で適切な修行を積めば、上回れてしまうかもしれません、気合いで。
「どうした?! もっとよく狙え!」
「小癪な……」
赤の挑発に苛立つサラマンデスが背後から火球を放つと、赤に回避されたそれは、直線上に立っていた、サイマ獣に直撃(笑)
前線に出てきた途端に、絵に描いたような失態を繰り出すサラマンデス、これはもうジルフィーザの呪いを感じるレベルであり、然るべき筋でお祓いしてもらった方が良いかもしれません。
探せば誰かのデッキに居る気がします、お祓いサイマ獣。
上官の不意打ちにより悲鳴をあげて弾け飛んだリザーデスが鎧の損傷にビッグVバスターを叩き込まれると、サラマンデスは配下を引きずって逃走し、ひとまず無限連鎖リザーデスを退かせたゴーゴーファイブであったが、改めて無限連鎖の脅威を目の当たりにする事となり、頭をかきむしって対策に悩むナガレ。
あくまでもナガレ回、として描きたかったのでしょうし、ナガレのプライドもあるのでしょうが、正直この局面で、ナガレがモンドと話し合おうとしないのは違和感が強く、それぞれ独自に対策を進めるにしても、その前段階のやり取りや心情描写は欲しかったところです。
ナガレは差し入れにやってきた速瀬にも八つ当たり気味の態度を見せ、寿司ですよ! 欲しかったのは特上寿司なんですよ速瀬さん!
放映時期的に冬っぽさを出したかったのでしょうが、差し入れが握り寿司から肉まんにだいぶグレードダウンした気がする速瀬だが、「そいつは「煮詰まる」のよくある誤用ですね。これだから宇宙飛行士様はよォ」と大変感じ悪く絡まれても一切物怖じせず、その言葉にナガレは無限連鎖の迷宮を突破する一手をひらめキング。
それはそれとしてなんだか唐突に、災魔に対抗する為に開発された、すっごい爆弾を受け取りに向かう事になるゴーゴーファイブ……ここからしばらく、「メンバーから裏切り者が出た?!」を下手にやった時のような茶番劇があからさまになってしまい、それこそモンドによる別ルートを示唆しておくなど、事前にもう一工夫の欲しかった組み立て。
輸送中のトラックを襲撃したリザードとピエールは、ゴーゴーファイブを蹴散らすと新型爆弾を入手せんとし、荷台を開いて乗り込むが……中身は、空。
「今だ! 災魔キャプチャー! スイッチオン!」
リザードとピエールはトラックの荷台に仕掛けられたプラスエネルギーフィールドの中に閉じ込められ、新型爆弾はそもそもサイマ獣を罠に仕掛けるための虚報だったのだ……って、ピエール?! 一応幹部ポジションの一角で巨大化担当のピエール?!
「サイマ獣! おまえをこのままマックスシャトルに乗せて、太陽に追放する!!」
ピ、ピエールーーー?!
サイマ獣のおまけ扱いでピエール絶体絶命に陥り、すっかり新型爆弾を運んでいるつもりだった他の4人に秘技「敵を騙すには、まず味方からってね」が炸裂すると、「性格、わる~」「だんだん父さんに似てきたんじゃないの?!」と非難囂々の大合唱を浴びる青はウィンクからサムズアップを見せ、頭脳派ポジションに収まる為ならば、兄妹の絆を悪魔に売り渡し、極道親父と同じ箱に入る事も辞さない覚悟であった。
一方、コンテナの中では……
「ピエール殿。我が命を断ち、俺に一万倍の力を!」
「なんですと?!」
「ここで無限連鎖カードを失うわけにはいかない」
リザードはピエールに剣を渡して自決の覚悟を告げ、なんか格好いいぞサイマ獣……!
当人は身内に誤爆しかやらかしていないのに、サラマンデスの株価が過去に例を見ない急上昇をしている……!!
「……許せ。リザーデス……!」
「サラマンデス様に、栄光あれーーー!!」
ピエールに剣を突き立てられたリザードが弾け飛ぶと、内部からの衝撃により災魔キャプチャーごとトラックは吹き飛び、もののついでに太陽送りにされそうになっていたピエールは、脱出に成功(割と頑丈)。
ピエールが一緒に釣れてしまった時はどうなる事かと思いましたが、主の為に勝利の最適解を選ぶサイマ獣と、その心意気を組んで命懸けの剣を取るピエール、というのは面白いシチュエーションとなって良かったです。
リザードが再生巨大化されると、久々に99マシンの発進シーンからビクトリーロボに緊急合体し、ライナーボーイも特急武装。
さすがに前回の二の舞は行わず、初顔合わせの一番で、回転ハシゴキックからの連続ハシゴ張り手を叩き込むVロボだが根本的なパワーの差は覆せず、学習されていない技ならなんでもいいわけではない、点もしっかり描写してくれました。
ライナーキックも弾き返され、暗黒災魔ゾーンによってビクトリープロミネンスも封じられると、土手っ腹を貫かれたVロボは倒れ、ゴーゴーファイブはやむなく流星合体。
無限連鎖への対策として最初はVロボで挑むも、暗黒災魔ゾーンまで使われてVマーズを出すしか手がなくなった、と段階を踏む事でしっかり危機感が煽られ、シャトルミサイルもX斬りも無効化されると、巨大リザードの反撃に倒れるVマーズ。
「今度こそ、災魔の勝ちです!」
殊勲のピエールが快哉をあげるが、どんな逆境に追い詰められても諦めはしない不屈のレスキュー魂の火勢は未だ衰えず、ヒーローに求められる条件の一つでありますが、前職を説得力の土台に据えた逆境耐性の高さは、ゴーゴーファイブの大きな強み。
折れない大黒柱たる長兄の「力を一つに」の言葉に、Vロボが取り落としたブレイバーソードに勝機を見出す流れは綺麗に決まり、Vマーズ×ブレイバーソードの変化球で、
「剣よ、紅蓮の炎を呼べ!」
合体技マーズプロミネンスがリザードを切り裂いて逆転すると、Vマーズは瀕死のリザーデスを抱えて単独で大気圏を飛び出し、目指すは太陽――。
当初の作戦も拾われて、Vマーズはリザードを太陽に放り込む事で無限連鎖カードを消滅させ、ガンガンガンマ……げふんげふん、《スーパー戦隊》の長い歴史の中でも、太陽まで接近して地球への帰還を果たしたのは、Vマーズで3代目?ぐらいでしょうか。
「サラマンデス、どうやらおまえも冥王の器ではなかったようだな」
「は、母上!」
「おまえに軽々しく、母などと呼ばれたくはない」
第26話で誕生し、第31話で若頭に就任してから数えること8話、自らの能力に驕り、頑なに回避スキルをアンロックしない姿勢が裏目に出たサラマンデスがとうとう母上から見限られましたが、華々しい東証第一部上場から暴落までのサイクルが短く、このまま粉飾決算により立場をキープし続けるのはどうにも無理がありそうだったので、一度、転落から再起を目指す形になりそうなのは、幹部キャラの扱いとしては良かったように思います。
一方、期待の新銘柄は1クールで上場廃止きとなり、査定が厳しすぎて真っ当な手駒が居なくなってしまったグランディーヌ様(数話前から、造形物は改善)は、この逆境を克服する事が出来るのか。
コボルダとディーナスに嘲笑われ、忠臣ピエールを八つ当たりで蹴り飛ばすサラマンデスが、屈辱と雪辱に燃えて、つづく。
1話完結エピソードと戦いのエスカレートを合理的に成立させる組み合わせに工夫が光った無限連鎖カードが3話目にして消滅し、てっきり武上さんの3連投かと思ったら山口さんでしたが、
「ピエール殿。我が命を断ち、俺に一万倍の力を!」
から先は畳みかけるような総力戦と逆転劇で面白かったです。
サイマ獣とピエールの動きはターニングポイントの踏み切り板として良い勢いをつけましたし、この3話における、Vマーズ → 三大ロボ → Vロボの剣とVマーズによる合体技、という流れは好き。巨大ロボの使い分けと見せ方がスムーズになったのに加え、トドメに太陽を用いるのも、ビクトリープロミネンスやMVロボの光合成に見るようなプラスエネルギーの象徴的存在として、説得力のある決着となりました。
その一方で、サイマ獣が新型爆弾(デマ)の強奪を目論む姿により、無限連鎖カード対策の為の超兵器が人類に牙を剥く危険性を垣間見せ、冒頭からマトイが繰り返す「無限連鎖と、より強力な兵器によるいたちごっこ」を破滅的な災厄の可能性と繋ぎ合わせた要素は、入れたいテーマを優先しすぎて、頭でっかちになってしまった印象。
これはもう明らかに、かつて『ウルトラセブン』が米ソ対立を背景にした歯止めなき軍拡競争への警鐘として鮮烈に切り抜いた「血を吐きながら続ける、悲しいマラソン」のテーゼなのですが、そもそも災魔一族は仮想敵でもなんでもなく、破滅の災厄をもたらす気満々の“やらなければやられる相手”なので、その生存闘争のまっただ中に持ち出す疑義としては(それはそれで一つの主題になりえますが、ここではそれを問うている風には見えない)、どうもピントがズレてしまった感。
テーマそのものへの挑戦は別に悪い事ではありませんが、とにかく“それをやる”のが目的化してしまって、それを『ゴーゴーファイブ』の中に綺麗に落とし込めたようには見えませんでした。
故に、頭でっかち。
その煽りを主に受けたのがマトイで、新兵器開発に疑問は呈するが勝利を諦めるわけにはいかないので、そこを何で補うかといえば「気合いだ!」を連発する人にされてしまったのですが、これまでの描写からマトイは、体力だったり技術だったり最新テクノロジーの理解や修得だったり、そういったものを向上させる日々の訓練の積み重ねの末に、最後の一押しになるのが気合い(心)、という人物に受け止めていたので、「思考放棄して気合い連発」は、“巽マトイという人物像からはむしろ最も遠い”とさえ思えてしまう大問題が発生。
この点にはスタッフ側も自覚があったのか、マトイを過度な道化役にしない為に気合いアタックが適度に有効なのも何やら露骨なやり口となり、私の中のデカブレイクが「気合いでレスキューできるなら、ゴーゴーファイブなんていらないですよね?」と真顔になっています。
そこからナガレが、無限連鎖カードという災魔の土俵に乗らず、土俵そのものを変える事により勝負をひっくり返そうとするのは悪くなかったのですが、その後、前半執拗に繰り返されたマトイの疑念について全く触れられなくなるのも、とにかく“それをやる”が目的化していた事を窺わせ――結果、そこから解放された後半が面白くなるのが皮肉ともいえますが――、重い命題を持ち込んではみたものの、『ゴーゴーファイブ』の中に落とし込めもしなければ『ゴーゴーファイブ』なりの着地点も用意されていたように見えなかったのは、残念。
まあこの辺りは、ある主題に“いつ、どうやって出会うか”によって感触の変わる所も大きいですが、『ウルトラセブン』で「超兵器R1号」(監督:鈴木俊継 脚本:若槻文三)を通っていた身としては、1999年にやるならば、今作の主題とも合わせながらもっと上手く見せてほしいテーマでありました。
山口さんが責任持って、4クール目で拾い直してくれるなら、それはそれですが!
次回――ミント殉職の危機!