『仮面ライダーBLACK』感想・第16話
◆第16話「友よ! 海を越えて」◆ (監督:蔦林淳望 脚本:鷺山京子)
Warning!
黒づくめの謎の狙撃手(演じるのは、友情出演:京本政樹)を目撃した光太郎は男をバイクで追跡するが、狙撃では無くただの警告だ、と言いくるめられると車で走り去るのを見送ってしまい……いや、駄目じゃ、ないかな……?
日本国内の市街地で発砲している時点で、標的が人間だろうがアタッシュケースだろうが通報そして逮捕だと思うわけですが、研究所に侵入したり学校に忍び込んだり、《世紀王》スキルのアンロックの副作用として遵法意識が段々と薄らいできている光太郎、人に当てなければ怒るほどの事ではないのかもしれない、と法律に対する認識がだいぶ曖昧になってきております。
一方、つい先日まで土をこねくり回して土器とか作って喜んでいた人間どもが、セラミックとか使っているのが許せん! と本日も人類文明に難癖を付けるゴルゴムでは、ハサミムシ怪人の光線で地盤を破壊する、大がかりな東京沈没作戦を実行しようとしていた。
……ここしばらく、マグロ窃盗やイワガメの寄付など、だいぶせせこましくなっていたゴルゴムが、久々に大規模な破壊活動を目論んでくれて悪の組織ながら胸をなで下ろします(笑)
創世王様も、幹部陣の一念発起に、ホッとしているに違いありません。
ゴルゴムは、ハサミムシ怪人のエネルギーを増幅する高純度のウルトラクォーツを必要としており、その研究に関わっていたヤナギ博士が、謎の狙撃手に警告を受けていた男だと気付く光太郎。
女学生を侍らせてバーに繰り出す、ゴルゴム以前のところでだいぶ不安になるヤナギ博士に密かに張り付く光太郎だが、同じバーに居合わせたのは、二枚目オーラを燦然と放ちまくる、あの謎の狙撃手。
男は自称ルポライターのタキを名乗り、まあ予告の次点から想像はされましたが、友情……というか接待出演みたいな。
知名度高めの俳優がゲスト出演すると、スポット強めで時によっては筋書きを歪める事もあるのは今回に始まった話ではないですし、見ているこちらが穿ったメタ視線を最初から向けてしまっているところはありますが、京本政樹が出てくれるなら……という空気はどうしても感じてしまいます。
普通のゲストならまず、初代のレギュラーキャラだった「タキ」の名前を引っ張り出したりはしないでしょうし。
そんなわけで、背後に天井照明をキラキラさせるタキは、おもむろにヤナギ博士にビリヤード勝負を持ちかけるとウルトラクォーツを手に入れようとするが、おのれゴルゴム! 主役の座を渡しはしない!! と光太郎が割って入り、博士は逃走。
光太郎とタキが生身バトルで揉めている間に博士にハサミムシ怪人が迫ると、タキは空中に放り投げた丸太を蹴り飛ばす接待ライダーキックで怪人を怯ませ、さすがに直接の飛び蹴りが怪人に通用しないのは、スタッフに理性が残っておりました(笑)
「あれは……!」
その蹴り技を見た光太郎は何かに気付くと、博士の安全をタキに任せて「虹のゴール」というメッセージを伝え、サッカーのグラウンドで2人は再会。
タキの正体は、信彦の先輩にしてインターポールの刑事と明らかになり、80年代初頭には絶滅したかと思われていた“インターポールという事にしておく”が草葉の陰から蘇生して、割り切りと開き直りの濃厚な香りが漂います(笑)
なお、光太郎がタキと信彦の繋がりに気付くきっかけとなった、やたら語呂の悪い「リュウシュート」は、京本政樹の当たり役である《必殺》シリーズ「組紐屋の竜」からと思われますが、《必殺》シリーズにおける竜の登場作が1985-6年放映なので、ドンピシャの時期のゲスト出演。
「ウルトラクォーツを狙っているのは、並のワルじゃない。恐らく、巨大な悪の組織だ」
「――ゴルゴムです」
「……ゴルゴム?」
「謎の暗黒結社です」
名前以外、なんの情報も増えていないよ南光太郎くん!
信彦が結んだ縁により光太郎とタキが情報交換する一方、ヤナギ博士はウルトラクォーツごとハサミムシ怪人にさらわれ、脅されるままにビーム増幅装置にクオーツをセット。
増幅されたハサビームにより地上では巨大地震が発生し、ゴルゴムの東京沈没作戦が成功するかと思われたその時、ヤナギ博士がハサミムシ怪人を鉄パイプで殴りつけたのに続いて、光太郎がアジト内部へと突入。その隙を突いてやけに身軽なヤナギ博士がウルトラクォーツを奪還し、その正体は、ヤナギ博士と瓜二つに変装したタキ!
……反省した博士が快く協力してくれたとの事ですが、恐らく、表沙汰になるとさすがに大学での立場が危うくなる写真とかをちらつかせて脅迫もとい交渉したに違いありません。
「アジトを突き止める為の、ちょっとしたパフォーマンスだ」
「さすがインターポールの追跡装置は、優秀ですね」
光太郎とタキは並んで笑みを浮かべ、コンビプレイでゴルゴムの裏をかき並び立つ2人、というやりたかった画はわかるものの、そのちょっとしたパフォーマンスで、地上に甚大な被害が出ているのですが。
派手な地割れやコンビナート爆発の映像は使い回しであろう事情はあるにしても、「アジトを突き止めるのが目的」なので「本物にビームを撃たせる必要性」が無く、ちょっと言い訳が利きません。
タキが囚われていた研究者たちを逃がすと、これまでのタブーをあっさり破った光太郎はタキの前で変身し、怪人との壮絶な戦いの中で(主に怪人の手によって)アジトは崩壊。
ロードセクターを召喚したBLACKがアジトから脱出すると、更なる地震被害の映像が挟み込まれ、“ちょっとしたパフォーマンス”の代償があまりに大きすぎるわけですが、既に止めた作戦の被害を念押しする映像そのものに必要性を感じない事もあり、不用意に派手な映像を入れて、タキの問題発言をウルトラ増幅する形に。
「仮面ライダー・BLACK!」
逃げるハサミムシ怪人を背後から撥ね飛ばしたBLACKは、ロードセクターを降りると再びの肉弾戦……と思ったら、そういえば撃てたビームの直撃を受け、中距離の間合いに弱い弱点を突かれてハサミ攻撃に大ピンチ。
それを見ていたタキがウルトラクォーツを蹴り飛ばしてBLACKに向けてセンタリングをあげると、キミハッミタカッアイガーー真っ赤に燃えるボレーシュートが放たれてハサミを粉砕。
弱った怪人に必殺パンチとキックを叩き込み、単独で聞く分にはそこまで気にならないのですが、本職の歌手による挿入歌をたっぷり2番まで使った直後に主題歌を流すと脳髄へのダメージが大きく、仮面ライダーブラッッ! に合わせて、ハサミムシ怪人は消滅。
サッカー要素を拾った逆転のパスなどは綺麗に繋がったものの、ウルトラクォーツは最終的に小型爆弾のような扱いで良かったのでしょうか(笑)
友情出演による歪みも含めて、脚本と演出がいまいち噛み合っていない雰囲気強めの内容でしたが、光太郎は「改造人間」についてタキへと打ち明け、
「君は今日までたった一人で戦ってきた。信彦くんの為に……人間の自由と平和の為に」
なんだかこの、シリーズの記念碑的文言を、京本政樹に読ませたかった(が読みたかった?)雰囲気が濃厚に漂うラストシーン。
「……だが君は、決してひとりぼっちじゃない。共に戦う者は、ここにも居る」
光太郎と握手をかわしたタキはアメリカへと去っていき、ここから徐々に、光太郎の理解者や協力者が増えていく新たな流れの端緒……になりそうというよりは、タキの前で変身した事そのものが、京本政樹の前ならいいや、に見えてしまい、諸々の特別扱いについて、どうしてもメタ視点で受け止めてしまうエピソードでありました。
……いやここから、作品のシフトチェンジを図っていくなら、それはそれでありますが。
次回――10話以上ぶりぐらいに新映像の信彦!!