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投石は人類の子のたしなみ

仮面ライダーBLACK』感想・第15話

◆第15話「狙われた怪奇学園」◆ (監督:小笠原猛 脚本:宮下隼一)
 少年サッカーの臨時コーチを頼まれた光太郎、そういえば回想シーンで信彦とサッカーをやっていたので、ただのイケメンスキルだけではない納得感がしっかりとあり。
 そこで、チームメイト達が妙に勉強熱心になっていて何やらおかしい、という話を聞き……


「夏休みに塾に通って勉強しすぎたばかりに……本官は……融通の効かない体になって、市太郎くんを助ける事が出来なかった……!」
「子供にとって夏休みは遊ぶ為にあるんだ! 夏休みまで塾に行って勉強しすぎるから、こんな体になっちまうんだよぉ!!」

(『激走戦隊カーレンジャー』第22話「悲劇の交通ルール体質」(監督:坂本太郎 脚本:浦沢義雄))

 

 が脳裏をよぎりましたが、妙に「勉強も大事だけど、子供は遊ぶのが本分」といった思想性が強いのは、「受験戦争の加熱」が問題になっていた世相もありそうでしょうか(今作後半同期の『超獣戦隊ライブマン』の背景の一つであり)。
 休日の学校で行われる勉強会に忍び込んだ少年はそこで、闇の平均台罰ゲームと、水槽の中で目を光らせるカメの怪物を目の当たりにし、1クール目からの路線変更は路線変更でも、今回は“子供目線のホラー路線”に落ち着ける事で、前回ほどのコースアウトから獣道に突っ込む、ような事にはなりませんでした。
 ゴルゴムは、子供の持つ残酷さこそ人間の本能、と怪人カリキュラムを密かに進めており、深夜の学校に潜り込んだ光太郎を襲撃するイワガメ怪人。
 夜の学校のプール、というのもホラーの小道具として演出ラインの統一に機能しており……前回はどうして、あそこまでコースを踏み外してしまったのか。
 Aパートから主題歌バトルになるが、自在に首を引っ込めるカメ怪人を相手に頭部狙いの攻撃は空振りを繰り返し、両手両足と頭を引っ込め、防御形態にもなるカメモチーフらしいギミックがしっかり作られていたのは、良かったところ。
 「またしてもあの、南光太郎めが!」
 「心配するな。むしろ、絶好の機会ではないか」
 あなた方がそうやって余裕を見せて、“絶好の機会”だったためしが無いですね!!
 光太郎を罠におびき寄せたゴルゴムは、怪人カリキュラムの成果を見せよ、と他者への攻撃性を強める教育を施された子供たちを光太郎にけしかけ、単純な洗脳ではなく、人間の持つ性質の一部を歪めて伸ばした結果、というのは定番アイデアにおける一工夫となりましたが、その出力が、〔ドッジボール・投網・駄々っ子パンチ〕なのは、ヒーローフィクションとしては危機感絶無になってしまい、そこにも一工夫が欲しかったところです。
 (駄目だ……いくらなんでも子供相手に戦うわけには)
 投網の下で対応に難儀する光太郎だが、体育館に囚われたサッカー少年が同級生による闇の平均台罰ゲームの標的とされると、投網を払いのけて立ち上がり、水槽の中から正体を見せたカメ怪人を前にBLACK変身。
 BLACKvsカメと、ボールを投げつけられる少年の姿が交互に描かれ、上述したように相手が光太郎なら「危機感絶無」ですが、相手が少年だと「陰湿なイジメの図」でしかないので極めて口当たりが悪く、その上でBLACKが少年を助けに行くこともなく怪人と戦い続けるので、ただただ、“戦闘シーンの合間に陰湿な映像を見せられる”だけになり組み立ての目的が行方不明になってしまいました。
 ここで必要なのは、“少年の危機をヒーローが救えるかどうかのサスペンス”ないし“少年の友情がクラスメイトを止められるかの心の動き”だったと思うのですが、どちらも全く機能せず。
 カニに続いてカメの甲羅にも打撃を跳ね返されるBLACKは、頭部狙いと見せての足払いを仕掛けるも決定打を放てずに苦戦。
 マルチアイで弱点を突き止めると、引っ込んだ頭部に急降下パンチを叩き込み、いまだ! パンチをつかえ! めだ!!
 苦戦からの弱点攻撃で戦闘に起伏を付けようとする方向性は歓迎なのですが、ざっくりした特殊能力発動・いまいちピンとこない弱点・肝心の打撃が目に当たっているようには見えない、といった辺りは面白みに欠け、BLACKの手札の少なさによる戦闘シーンの難しさは感じますが、これなら途中の、頭と見せかけて足ぃ! から一気に形勢逆転した方が考えて勝利を掴んだ感が出た印象。
 カメ怪人を倒すと子供たちは正気に戻り、子供目線のホラー路線という事もあって少年サイドに尺を割いた割には結局、状態異常を殴って解決という十年一日の手法オンリーで処理されたのも、物足りないところでありました。
 この点については全体として作劇のアップデートを志向しているのが見えるだけに、足りないところが目立つ、という性質でありますが。
 次回予告の雰囲気ほど古典オマージュ詰め合わせによる先祖返り路線に走らずホッとしましたが、“人間の中の悪”を利用しようとするゴルゴムの姿勢に対して、ヒーローと少年の絡みが薄い事もあって「その悪を乗り越えるものはなにか?」の掘り下げが弱く、もう一手二手が欲しいところで停滞しており、その壁を破れるかどうかが作品全体のハードルになりそうな印象。
 次回――京本政樹がやってくる。