『ワールドトリガー』(葦原大介)29巻、感想
コミックス6冊、51話に及んだ閉鎖環境試験編、遂に終了。
ページ数とテキスト量も大盛りで、今巻も読み応え抜群でありました。
……戦闘シーンへの潔い割り切りっぷりが凄い(笑)
それはそれとして、あまり組織マネジメント論みたいなものが続くのもどうなのかと思ったところで、かつての城戸さんが“どういう人”だったのか、に触れられて、普遍から作品固有のキャラクターの話、へと落としこんでみせたのは鮮やかな手並みでした。
頭脳戦の絡むバトルマンガとしてどうしても、“抜け道”を見つけられる方が有能に描かれがちな点に対するカウンターになっているのも、チームでの戦いを重視する作品コンセプトにも合わせた目配りで、さすがのバランス感覚でもあり。
いわゆる、縁の下の力持ち、への意識が強いのは今作の良いところ。
そんな今巻で、なにより一番面白かったのは、最後の「隊長評価」のくだり。
7日間を閉鎖環境で共に過ごしてきた臨時チームそれぞれの、“チームの色”が見えると共に、その中における“個々人の色”も見える組み立て、限られたページ数でその両取りを成立させているのが実に鮮やかで、閉鎖環境試験の集大成として、完璧でした。
スポーツ物の文脈を多分に活用している今作ですが、ボーダー内部における、“ライバルだけど敵じゃない”人間関係の表現とも噛み合って、実に“『ワールドトリガー』らしさ”溢れる満足度。
続いて待ち受ける長時間戦闘試験も、A級勢揃いだけでも楽しみなのに隠し球まで投入され、戦況の組み合わせだけでも無数の選択肢がある中で、作者が何をどう繋げてくるのか、毎度こんな事ばかり書いている気はしますが、引き続き大変楽しみです。
……そしてイコさんの飛び道具ぶりが本当に凄い。