『仮面ライダーBLACK』感想・第13話
◆第13話「ママは怪人養育係」◆ (監督:小西通雄 脚本:杉村升)
この後、《メタルヒーロー》シリーズ『機動刑事ジバン』~《スーパー戦隊》シリーズ『超力戦隊オーレンジャー』まで、シリーズまたぎの7年連続メインライターを務める事になる杉村さんが、初登板。
個人的に杉村さんといえば、“ナチュラルボーンマッドサイエンティストの書き手”でありますが、今回は残念ながら、マッドサイエンティストは出てきませんでした(笑)
代わりに出てきたのは、新生児の母親を次々とさらっていくカニ怪人(これまでに比べると、顔が人型に近いネオショッカー怪人寄りの路線)。人々を恐怖に突き落とすゴルゴムの目的は、人間の母親に「育てー、育てー」と、丁寧に慈しませ、カニ怪人の卵を大量に孵化させること。
……つい先日、食糧難による組織存亡の危機だった記憶も生々しいですが、孵化のプロセスが儀式めいている点などからも、恐らくカニ怪人そのものではなく分身体のようなものでしょうか。
「でかしたぞ、カニ怪人」
「へーい」
……思わず吹きだしてしまいましたが、カニ怪人はやる気の欠片も見えない下っ端みたいな相づちを打ち、怪人の発話を解禁してはみたものの、“あまりこれまでの雰囲気を崩しすぎないゴルゴム怪人らしい台詞回し”の落としどころがどこにも見つからないようで、毎度毎度、ひどく凡庸な一言二言、に留まっているところにスタッフの悩ましさが窺えます。
会話で個性を付けるかどうか、にまだ迷いがあるようですが、現状、凄く中途半端な発話が、どちらかといえば笑いどころになってしまっているので、早めに上手いやり方を探り出してほしい部分。
ビシュムは恐怖のカニベビー計画のついでにBLACKも倒そうと画策し、カニ怪人の奇襲を受けた光太郎は変身するが、カニの甲羅にライダーパンチを跳ね返されてしまう!
毒の泡を公園の川で洗い落としたBLACKはロードセクターを召喚し、秘密のガレージに、バトルホッパーとロードセクターが並んで停めてあるのがリアルといえばリアルですが、「二股なんて、言語道断ってやつだぜ!」。
って乾巧ってヤツが言ってた。
メカニック強調する演出でロードセクターが自動発進するとカニ怪人を力強く轢き、凄い勢いで逃げ帰るBLACK(笑)
改造人間としてのBLACKの生命力と復元力についてナレーションで強調されると、体を休める時は正妻の側のBLACKが、打倒カニ怪人の秘策を練る為という名目で、挿入歌と共に1クール目の戦いが挿入歌に乗せて振り返られて、全てを~ 飲み込む~ 暗闇の底に~ 蠢く悪魔に~ 鋭く尖った牙~。
ナレーション「だが、今までの戦いからは、秘策を発見することができなかった」
鬼だ!!
無慈悲なナレーションでAパートが終了すると、ロードセクターの車体に、轢いたカニの粘液が付着していると気付いた光太郎は、それを分析。
地面を大胆に割って出没するカニ怪人のアジトの手がかりは掴むも、勝利の為の活路は見いだせず……こうなったら、最後に信じられるのは筋肉だ!!
勝利への真理を掴む為、最速のパスポートはいつだって己の筋肉、とBLACKは荒れ地に立つと岩を相棒に特訓に励み、これまでの技が通用しない強敵への対策を練ったり、自ら怪人の体液を分析したり、隠し持っていた手持ちのカードで雑に解決しないアプローチに尺を採るのですが、“孤独な戦い”ゆえに黙々と生真面目な自主練に励む他なく、「もっと岩をーーー!」 とか飛び出してきようがないのは、少々物足りなくは感じてしまいます(笑)
組長も師匠も無く、自主練の限界で壁にぶつかるBLACKだったが、道ばたに落ちていた雪印牛乳をひろ……じゃなかった、急斜面を滑落しそうになっていた犬を助けようとした際の咄嗟の動きでライダー昇竜パンチに開眼し、修行に至る流れを丁寧にやった一方で、新必殺技を編み出すきっかけは定番中の定番イベントによる“突発的なアクシデント”頼りになったのは、もう一工夫欲しかったところ。
カニ怪人のアジトを探し回る光太郎は、光太郎を追ってカニ穴に突入していた少年(さらわれた女性の子供)の悲鳴を聞きつけてアジトに乗り込んでいき、おのれゴルゴム、これが《スーパー戦隊》だったら、光太郎が新生児の母親に女装してアジトへ潜り込めそうだったのに!!
……いや、少年が母親と再会して他の被害者たちと逃げだそうとしたところで、新しく捕まえた女性を抱えてカニ怪人が戻ってくるので、てっきり、その女性こそが光太郎だと思ったのですが、特に全くそんな事はなく、女装光太郎捨て身の作戦はお預けとされました。
ギャラリーが居ると変身できない縛りの光太郎は、カニ怪人と共に地下アジトから大ジャンプすると、身勝手な理由で母親をさらうゴルゴムに怒りの変身。
倉庫内での壁蹴りを駆使した跳躍は格好良く、回避したカニバサミが床に油を撒き散らすと、カニの粘液に発火性があった事を思い出したBLACKは、焼きカニにしてやる! と切断されたケーブル(これもカニの攻撃によるものなのは、戦闘シーンの良い組み立てでした)を利用して油に着火し、迫力の炎上爆発。
炎の中で狼狽えるカニ怪人に向け、ライダー爆熱パンチ、そして爆熱キックが炸裂し…………眩しい。
直撃を受けたカニ怪人は青白い炎に包まれて火花をあげながら消滅し…………これまた眩しい。
最近だいぶ慣れてきたところで、必殺技エフェクトと消滅エフェクトの明滅が強化されてしまいましたが、特訓シーンの動きと実際の必殺技の動きが繋がって見えず、新技特訓回を今作なりにやろうとしたアプローチは悪くなかったものの、
〔カニ怪人の強敵感が薄い・特訓シーンに狂気が足りない・肝心のニュー必殺技と特訓の関連性が弱い〕
ともう一つ物足りない出来。
また、新技特訓+母子のドラマをセットでやろうとしてゲスト周辺のドラマが中途半端になり、バトルホッパー+暴走族ハンター回(ほど酷くは無かったものの)の二の舞に近くなったのは、1エピソードに入れる要素を削ぎ落とした方が良さそうなところで削ぎ落とせない、今作の悪いところが出てしまった感。
被害者たちを救出したBLACKは、カニ怪人の卵を念入りに焼き尽くして処理し、ロードセクターによる帰還シーンで、つづく。
次回――「ゴルゴムの悪魔博士・黒松教授の大発明」
肩書きが盛られた(笑)
「恐るべきタウリンエキス」
どこのサラリーマンなの?!
……子供の頃だったら謎の薬品感があったかもですが、社会人になると「タウリン」の4文字から受けるイメージがあまりに世俗的で、なにやら世知辛い風が吹きすさびます(笑)