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救急戦隊ゴーゴーファイブ』感想・第35話

◆第35話「黒い蛇のトラップ」◆ (監督:諸田敏 脚本:宮下隼一)
 ところどころイラストが挟まる風変わりな演出で、宝石店から獲物を強奪していく怪盗・黒蛇団。
 その正体はディーナスとインプスであり、基本はいつものインプスながら、ディーナスモデルのビキニアーマーを身につけている姿が率直に気持ち悪いのですが、いったい誰の悪ノリなのか……。
 黒蛇団が次々と盗んでいるのは、未来のエネルギーとして注目されている新発見の鉱石・ジルコニアX。
 大学の研究室から依頼を受けたナガレは、ジルコニアXを守る為のセキュリティを設置しに出張しており…………仕掛けてしまうのか、自爆装置。
 「黒蛇団を捕まえてやるって、張り切ってたよ。Han、ナガレ兄さん」
 巽家では、兄妹が新聞記事などを目にしながらのやり取りで、ジルコニアXとナガレへの依頼について視聴者に説明し、その、肩にかかる髪を後ろに流す仕草は、ナガレの真似なのか? ダイモンよ(笑)
 本人に見られたら、ポンプ車で放水されそうだぞ、ダイモンよ。
 「私のセキュリティシステムで、必ず守ってみせます」
 外向けの顔なのか、1クール目ぐらいの魂が帰ってきたのか、自信満々のナガレ@背広は早速システムを設置し、壁からレーザーが出てきたりするのか、ワクワクが止まりません。
 「これでもう、万全です」
 隣室で監視体制に入るナガレだが、その日の夜――窓ガラスをくり抜いて潜入してきた黒蛇団は、監視カメラに偽映像を流し、吸盤で天井に張り付いて保管場所に近づくというスパイ映画はだしのアクションを見せ、映画『ミッション・インポッシブル』が1996年公開で、ちょっと離れますがその辺りからの流れでしょうか。
 華麗にセンサーを回避し続ける黒蛇団だったが、最後の最後でミスを犯してしまい、壁から出てきたレーザーに焼き尽くされる! ……ことはなく檻に捕まるが、正体を現して力尽くで脱出。
 「ゴーゴーファイブごときに構っている暇はない! ははははははは!!」
 負け惜しみを高笑いで誤魔化すディーナスは、城に帰ってはサラマンデスから、怪盗団コスプレとかしちゃって、どうせこそこそ集めたジルコニアXを首都近郊で爆発させる計画なんでしょ? と目的を看破されて踏み台に使われ、巽家でもモンドに狙いを読まれて脚立代わりにされ、踏んだり踏まれたりの扱い。
 災魔一族の狙いが分かった以上、これを利用して幹部クラスを撃破するチャンス、とナガレとモンドが意気投合すると、各国に協力を呼びかけて本物のジルコニアXを集めて罠を張り、サイマ獣を出さずレスキューからも外した変化球を、ナガレとディーナスの頭脳戦というアプローチで描くのですが……が、ナガレには既に「小百合さん」の存在があるので、私の盛り上がりが9割減なんですよ!!(机をガンガンと叩く)
 それはそれとしても、「空き倉庫の真ん中にジルコニアXを詰めた木箱を置き、その周囲に不可視のバリアを張り巡らす」画があまりにもつまらない為に、個人的なテンションがた落ち。
 そんな、これ見よがしの罠にディーナスが挑むのは作戦の都合もありますがプライドの為でもあり、罠をかけるナガレと、罠に挑むディーナス、互いのプライドを賭けた争い、と見せたい話運びなのですが、両者の衝突は第7話以来で因縁の積み重ねは薄く、色々と研究開発はしているにしてもナガレは別にセキュリティのプロフェッショナルなわけでも無いので、画の空虚さをキャラ要素で補う事も出来ず、今作にしては珍しいレベルで歯車がガタガタ。
 ディーナスが使い魔アタックを仕掛けて罠を作動させ、そもそも作戦に乗り気で無かったナガレ以外の4人がやる気を失うくだりを繰り返すのもしつこくてテンポが悪く、油断しきったマトイ達を拘束したディーナスは、マトイの声真似でナガレにバリアを解除させると首尾良くジルコニアXを強奪するが、木箱の中からゴーブルーがサプライズ登場。
 なんとしてもジルコニアXを守ろうとする青は、ディーナス一味ごと自らをバリアの中に封じ込め、ちょっとしたリモコンで、ディーナスの攻撃でも破壊できないバリアが発生するのも滅茶苦茶ですが、問題のジルコニアX抱えたまま互いをバリアに閉じ込めて、背水の陣でディーナスを倒そうとする無謀なやけっぱちぶりが、今作ここまで敷き詰めてきたレールから完全に脱線。
 「ジルコニアXは、俺が守る! ディーナスは、俺が倒す! これは、俺の作戦だ!」
 今作ここまでの積み重ねからすれば、膠着状態を作って外の兄妹の助けを信じて待つ! とかなら増援を期待できないディーナスとの対比にもなり、ゴーゴーファイブらしさにもなったと思うのですが……表面的な熱さに惑わされた無謀運転で、列車は線路を外れて残骸絶壁からダイブ。
 「ナガレ……おまえの作戦は、俺達の、ゴーゴーファイブの作戦だ!」
 そこへスネーク拘束を脱した兄妹たちが駆けつけると、意固地になっていたナガレの姿勢も軟化するのですが、そもそもナガレが意固地になっていた顛末からして説得力に欠けるので、兄妹げんなりも、ナガレ一人相撲も、全てが中途半端な扱いのまま海底深くへと沈んでいきます。
 罠にこだわりすぎたナガレが悪いのか、真剣味を失った兄妹が悪いのか、お互い非を認めて地固まるわけでもなく、誰一人として反省も謝罪も見せないまま進んでいくので、いったいエピソードとして何が見せたいのかもすっかり迷走。
 ゴーゴーファイブの銃撃も通じないバリア(何これ……)を破壊する為、青は「バリアの中」のジルコニアXを撃ってくれと意味不明な事を言い出すと、手持ちのジルコニアXを一つ、バリアの天井近くへ放り投げ、そこに銃撃を合わせるとどういうわけかバリアの中に衝撃(……?)が伝わってジルコニアXが爆発する滅茶苦茶のオーバードーズを引き起こし、ありとあらゆる穴から浸水が止まらない大惨事で、際どくかわす余地がありません。
 物は物とはいえ、厚意と信頼で世界中からレンタルしてきた貴重なジルコニアX(見方を変えれば、今回のレスキュー対象である)を一つ、あっさり爆弾代わりに使うのも今作の路線からは外れてしまった印象。
 黒蛇インプ三姉妹が再生巨大化する変化球に対してMVロボが出撃するとマックスノヴァで勝利を収め、やたらとディーナスとの戦いにこだわって格好つける青ですが、正直もう、引き出しの奥でカビの生えた饅頭みたいな要素なので、どうして今更になって引っ張り出してきたのか……。
 撤収したディーナスの背中にはメッセージカードが張り付けられており、
 「次のショータイムを楽しみに、ミス・ディーナス! ゴーブルー」
 ひたすらデーナスを虚仮にするブルー、怪盗団カードを逆に使うのが洒落たオチ……と呼ぶにはキャラが完全に行方不明になり、第35話でやるには、あまりにもピントが外れっぱなしのエピソードでありました。
 私が、宮下脚本×セキュリティ、に過大な期待を寄せすぎたところもありますが、それにしても中盤以降の話の破綻ぶりと画の面白くなさは尋常ではなく、今作ここまでの、ワーストクラス候補。
 次回――牛乳一直線?!